牛乳月間はまだ終わらない!今日のお知らせ
配信の冒頭、川上さんは6月3日火曜の天気や仕事の予定を話しつつ、6月が牛乳月間であることを強調します。
6月1日は「牛乳の日」。でも、そこで終わりだと思っている人が多いんですよね。
6月1日だけだと思ってるでしょ。6月30日までが牛乳月間としてね。この勢いのままこう押し込んでいこうかなと思ってます。
川上牧場のNOTEメンバーシップや、酪農業界で働く人向けの新プラン「ファームエコー」など、いくつかのお知らせも紹介されました。
ファームエコー ── 酪農業界で働く人の悩みや売上、乳量、牛の健康などの相談に、AIと川上さんがタッグを組んで答えるという川上牧場の新プラン。現在は無料モニターを募集中。は、新規就農したい人や従業員、営業マンなど、業界に関わる人のためのプランとして案内されています。
さらに、6月30日までの牛乳月間には「#牛乳で歌おう」企画も。
「牛乳で乾杯」という川上牧場のオープニング曲を覚えて、各SNSでハッシュタグをつけて投稿すると、川上牧場の牛乳を使ったカヌレが抽選で10名に当たるプレゼント企画です。
中学生の質問から届いた「宗教と畜産」のお便り
今日の本題は、stand.fmに届いたお便りコーナーから。stand.fmネーム・せいさんからのコメントです。
以前の「中学生からの質問に答えます」という配信への感想として寄せられたものでした。
人の食べないものを牛さんは食べてくれてるんだよっていうお話を聞いて、なぜイスラム教は豚肉を禁止したのかの考察動画を思い出しました。それを補足する税金の成り立ちについての話も、川上さんの配信を聞いていると、どっかにブレイクスルーがないものか考えてしまいますね。
牛が人の食べないものを食べて牛乳や肉に変える、という話から、宗教や税金へと想像がふくらんだお便り。川上さんも「大変興味がある」と、しっかり答えていきます。
イスラム教はなぜ豚肉を禁じているの?
まず川上さんは、イスラム教が豚肉を禁じる理由を整理します。大前提は、クルアーン ── イスラム教の聖典(コーラン)。神の啓示を記したものとされ、ムスリムの生活や倫理の根拠となる。という聖典に明確に書かれていること。
理由がどうこうより、神が禁じているからというのが、まず大前提なんですね。
つまりなぜ禁止されているのかという理由よりも、神が禁じているからっていうのがまず大前提なんですね。
そのうえで、現代的な解釈や背景もあると続けます。
豚は雑食で、当時は不衛生な飼育環境にあり、感染症や寄生虫のリスクが高かったこと。さらに、豚の行動様式がイスラム的道徳とそぐわないと見られていたことも紹介されました。
一方で川上さんは、いまはネット社会で情報も便利になり、宗教も多様化していると指摘します。宗教の中でも派閥に分かれ、考え方が変わってきているんですよね。
たとえば、イスラム教に属しながらも豚肉は食べない人もいれば、その宗教に所属しながらお肉やお酒を口にする人もいる、というわけです。
食べていい肉の証「ハラール認証」とは
そうした中で登場するのが「ハラール認証」です。適切に処理されたお肉なら食べてもいい、という仕組みです。
牛や羊はハラールとされていても、正しい方法で屠畜され、イスラム法に従って加工されている必要があります。
具体的には、血抜き、そして「ビスミッラー」という祈りの言葉。これらをクリアして、はじめてハラール認証が取れるそうです。
つまり、日本の牛乳や肉を中東やイスラム圏に輸出するには、宗教的・倫理的・衛生的な基準すべてを満たす必要があるということ。
そのため、ハラール認証に対応した新しい食肉処理場や、認証を受けた牧場も増えてきているといいます。認証牧場で処理されたお肉は、適切に加工されて海外に売れる、というわけですね。
宗教と税金のつながり、家畜も課税対象に
お便りにあった「税金の成り立ち」について。川上さんは、コメントだけでは意図をつかみきれないとしつつ、イスラム教の税金の仕組みを紹介します。
一つは「ザカート」。ムスリムが貧困層支援のために支払う慈善税で、所得の2.5パーセントとされているそうです。
もう一つが「ジズヤ」。ムスリムでない人が支払う人頭税です。
これらは畜産と直接関係はないものの、実は家畜もザカートの対象になります。
牛や羊、ラクダなどは、一定の頭数を超えると課税対象になることもあるそうです。このあたりが、食べる・食べないの話ともつながってくるのかもしれない、と川上さんは話します。
ムスリムが貧困層支援のために支払う慈善税。所得の2.5パーセントとされる
ムスリムでない人が支払う人頭税
ヴィーガンとの妥協点はつくれるか
お便りにあった「ブレイクスルーがあるのでは」という問いに、川上さんも同じことを考えていたと共感します。宗教ではありませんが、と前置きしつつ話題にしたのが、ヴィーガンの人たちのことです。
食の選択としてヴィーガンを選ぶ人が増えている中で、こんな認証があってもいいのでは、という発想です。
このヴィーガンの方が理解して、この牧場のお肉なら食べてもいいかなとか、この牧場の牛乳なら飲んでもいいかなみたいな、ヴィーガン認証でもないですけど、そういうのってできないのかなみたいな。
お互いに歩み寄れる妥協点をつくれないか。川上さんは、そうした道を模索していきたいと語ります。
昔話の言い伝えと宗教は似ている?
コメント欄とのやり取りの中で、川上さんは宗教のルールを日本の言い伝えにたとえます。ポッドキャストの「古典ラジオ(コテンラジオ)」の宗教編を引き合いに、昔は宗教が今の法律や憲法のような役割を果たしていた、と話します。
豚を食べたら寄生虫になる、不衛生だ、というのも、人が死なないように守られてきたルール。それが「おじいちゃんがこう言ってたから」のように受け継がれている、というわけです。
日本人でいうとなんだろう、あの夜口笛吹くと蛇出るとかね。爪、夜切るとあれとか、雛人形を早くしまわないとお嫁行けないみたいな、よくわかんないのあるじゃないですか。あれみたいなもんだと思うんですよね。
リスナーからは「食べてすぐ寝ると牛になる」というコメントも。川上さんも笑いながら受け止めます。
時代によって感覚は変わってしまう。それが経典に書かれ、神が言っているから、という形で残っているだけなのかもしれない、という視点です。
出雲のブラジル人が教えてくれた「神様との距離感」
話は川上さん自身の経験へ。出雲市はブラジルの人が多く、牧場でもブラジル人が働いているそうです。その人はキリスト教徒でした。
大きな事故で、あと少しで足を手術しないといけないほどの怪我。それが切断せずに済んだのは神様のおかげだと考え、感謝の気持ちから1年間の禁酒を自分に課していたといいます。
神様に助けてもらったから神様にお返しをする。日本人にはあまりない感覚ですよね、と川上さんは振り返ります。
ところが、その禁酒中にお酒を飲んでいる場面があり、川上さんが尋ねると、思いがけない答えが返ってきました。
神様が飲めって言ったから飲んでるみたいなこと言ってて、わけわからねえって思ったことがあるんで。でもこういうのです、本当に。
同じ宗教でも、その人なりの解釈がある。だからこそ、海外にも行ってみてほしい、と川上さんは勧めます。
一度おいしさを知れば変わる、という経験則
最後に川上さんは、お肉を食べないという考えも、絶対的なものとは限らないと話します。
もしイスラム圏の人が日本に来て、めちゃくちゃおいしい豚肉を食べたら、きっと食べてしまうのでは、というのです。
一回その豚肉の美味しさに目覚めちゃえば、めっちゃ豚肉食っちゃうと思いますからね。味を覚えるみたいなのもあったりするんで。
AIでは出てこない、経験からくる話。ここら辺はAIでもちょっと出てこない経験則だと、川上さんは今日の内容を締めくくります。
ルールの背景を知りつつ、実際に味わってみることでも見え方は変わる。宗教と畜産という一見遠いテーマが、身近な食の話へと着地しました。
まとめ
中学生の質問から広がった一通のお便りが、イスラム教が豚肉を禁じる理由から、ハラール認証、宗教と税金、ヴィーガンとの妥協点、そして酪農家自身の経験談まで、思いがけない広がりを見せた回でした。
- イスラム教が豚肉を禁じる大前提は「神が禁じているから」。衛生や道徳は後づけの解釈として語られる
- ハラール認証は、屠畜・血抜き・祈りの言葉などイスラム法にのっとった処理の証で、輸出の鍵になる
- 家畜もザカート(慈善税)の対象で、一定頭数を超えると課税対象になることもある
- 川上さんは、ヴィーガンとも歩み寄れる「認証」のような妥協点を模索したいと語る
- 宗教のルールは日本の言い伝えにも通じ、味を知れば感覚も変わりうる、という経験則が印象的だった




