お金の話は「いくら」ではなく「何に」から
研修第45回のテーマは、酪農を始めるためのお金です。研修生さんも「一番不安なテーマ」と正直に打ち明けます。
でも川上さんは、お金を「夢を前に進めるための燃料」だと言います。数字が苦手でも、一つずつ分解すれば味方になると励まします。
資金計画は経営者としての覚悟が問われる領域だけど、自分の夢にエンジンを載せるための設計図を描く作業でもあるんだ。
そのうえで川上さんは、多くの人が最初に気になる「いくらかかるの?」という問いに、意外な答えを返します。
最初に考えるのは「いくら」ではなく、「何に使うか」なんだよ。
土地や牛舎は牛の飼い方や働きやすさの骨格になり、導入する牛はその後の乳量や生産性を決めます。ほかにも機械や1年目の飼料代、運転資金がかかります。
「何に使うか」という目的がはっきりすれば、ここは中古で十分、ここは補助金が使えそう、ここだけは絶対にお金をかける、といった判断ができるようになるそうです。
資金ショートの谷を防ぐ「季節×5年」の計画法
目的が見えたら、次は資金繰りの計画です。川上さんは、これを「季節」と「5年」という2つの時間軸で描くのがポイントだと話します。
酪農は季節変動が大きく、その波が資金繰りのリスクになります。
月ごとの収入と支出をグラフにすると、どの月が一番苦しくなるかという資金ショートの谷が前もって見えるようになります。
5年計画も、最初から難しく考えなくて大丈夫だと言います。
最高・まあまあ・最悪の3つのシナリオでざっくり試算する
最悪のケースでも耐えられる設計にしておくと融資審査の信頼にもつながる
資金を組み立てる「4本の柱」とは
大きなお金は自己資金だけではとても足りません。そこで川上さんは、資金を組み立てる「4本の柱」を挙げます。
自己資金
自分の汗の結晶。副業やPC1台で稼ぐこともできる時代
公的融資
国や自治体が低金利で貸してくれる制度
補助金
条件に合えば返さなくていいお金
民間ファンディング
共感してもらい応援という形で集める新しい方法
2本目の公的融資では、青年等就農資金が特に強力だと言います。青年等就農資金 ── 新規就農者向けの公的な無利子融資制度。番組内で紹介された条件は年度や制度により変動するため、申請前に最新情報の確認が必要です。
青年等就農資金は、なんと全期間無利子で、返済が始まるまで5年も待ってくれる。創業期にはすごく強力な味方よ。
3本目の補助金には、就農準備金や経営開始資金という制度があり、年間150万円が最長5年間もらえるケースがあると紹介されます。
ただし審査があり、計画通りに進んでいるか報告する義務もあります。これも経営の一部だと捉えることが大事だと川上さんは念を押します。
4本目は、最近注目される民間ファンディングです。牧場のストーリーや思いに共感してもらい、応援という形で資金を集めます。
資金とファンを同時に獲得できるのが魅力だね。
補助金の落とし穴「後払い」と「プランB」
研修生さんは「補助金がもらえなかったら計画が全部パーになりそうで怖い」と不安を口にします。川上さんは、それこそがよくある失敗だと答えます。
補助金だのみの工程表は絶対にダメ。当たればラッキーくらいに考えて、もし落選した時のプランBを必ず用意しておくこと。
さらに、見落としがちな注意点として、補助金は原則「後払い」だと川上さんは指摘します。
採択が決まってから実際に振り込まれるまで、数ヶ月から1年以上かかるケースもあるそうです。その間をどうしのぐか、つなぎ資金も考えておく必要があります。
その間のお金をどうするか、つなぎ資金のことも頭に入れて、地元のJAさんや金融機関に相談しておく必要がある。
数字アレルギーは「3つの習慣」で克服できる
数字の話が続いて「頭がくらくらしてきた」「私、数字アレルギーかも」とこぼす研修生さん。川上さんは、簡単な3つの習慣で克服できると言います。
ポイントは、数字に触れる場を自分にとって楽しい時間に変えていくこと。それが習慣化の鍵だと話します。
そして川上さんは、これからの時代を生き抜く「しなやか経営」にも触れます。金利上昇や補助金の減少も想定し、固定費を下げて収入源を増やす体質を作る、多層防御の発想が大事だと言います。
今日の総まとめと、まずはノート1ページから
研修の最後に、川上さんが総まとめを促すと、研修生さんはポイントをしっかり言えるまでになっていました。
- お金は「いくら」ではなく「何に」から考える
- 「季節」と「5年」の2つの時間軸でキャッシュフローの谷を予測する
- 自己・公的・補助・民間の4本柱で折れない資金骨格を作る
- 数字嫌いは習慣で変えられる
漠然とした不安だったお金のことが、具体的な「やることリスト」に見えてきた、と研修生さんは話します。
最後の実践ワークは、ノートを1ページ開いて、必要なものを全部書き出し、優先順位をつけて4つの資金のどれで賄うか色分けすること。
まとめ
今回の川上牧場研修は、酪農を始めるためのお金の話でした。「いくら」ではなく「何に」から考え、季節と5年で資金の谷を予測し、4本の柱で骨格を作る。数字が苦手でも、小さな習慣から始めれば大丈夫という、前向きな回でしたね。
- 資金計画は「いくら」より先に「何に使うか」を決めると判断がぶれない
- 「季節」と「5年」の時間軸で、資金ショートの谷を前もって見つけておく
- 自己資金・公的融資・補助金・民間ファンディングの4本柱で資金を組み立てる
- 補助金は原則後払いで審査もあるため、プランBとつなぎ資金を用意しておく
- 毎晩5分・週1回・月末の3つの習慣で、数字アレルギーは克服できる




