夏が近づく牧場と、ちょっと厄介な牛の体調
この日は5月14日の水曜日。天気は晴れで、最高気温は25度という予報でした。半袖じゃないとちょっと暑い、そんな季節の変わり目です。
この日の仕事はおがくず運びが中心の予定。ただ、朝に電話で確認しないと取れるかどうかわからない状況で、翌日以降に予定があるので「今日のうちに運んでしまいたい」と話されています。
季節の変わり目や餌の変化のせいか、体調を崩す牛も出てきていました。川上さんが挙げたのは、乳房炎 ── 牛の乳房が細菌などに感染して炎症を起こす病気。乳の量や質に影響し、酪農では発生を抑えることが大きな課題になるのなかでも大腸菌によるものです。
ちょっと厄介な乳房炎なんですよ。大腸菌の乳房炎って言って、ワクチン打ってたんで症状的には軽い感じなんですけど、立てないのかなと思いながら。
ワクチンを打っていたぶん症状は軽めとはいえ、立てなくなるかもしれない不安もあり、「夏が近づいてきたな」というイメージがする出来事だったようです。
「牛の言葉、わかりますか?」に酪農家が本音で回答
今回のテーマはお便りコーナー。YouTubeに届いた質問を紹介するところから本題が始まります。
川上さんは牛の言葉を理解できますか? 私は動物と話すことができます。もし牛が言葉を話せたら、あなたに何を伝えてくると思いますか?
「動物と話すことができます」という送り主に、川上さんはまず「すごい人ですね」と驚きつつ、自分は牛の言葉も動物の言葉もわからない、と正直に打ち明けます。
さらに川上さんは、わからなくてむしろ嬉しい、と少し意外な本音を口にします。理由は、牛の鳴き声が近所迷惑にならないか気になるからです。
ただでさえ牛さんが餌を欲しい欲しいで鳴いたり、発情の時に吠えたりすると、ほんと近所迷惑だからやめてくれって思ってるんで。なるべくなら喋って欲しくないなって。
言葉はわからなくても“通じる”日々のルーティン
とはいえ、まったく通じ合っていないわけではありません。毎日同じ牛舎で、同じ時間帯に乳搾りや餌やりをルーティンでこなすうちに、牛が何をしてほしいかはなんとなくわかるようになってきたと言います。
手がかりになるのは、目や表情、ちょっとした鳴き声。さらに、自宅で寝ているときに聞こえる鳴き声でも「あの番号の牛が鳴いてるな」とわかるそうです。
鳴き方のちがいで、状況を読み取ることもあります。突然「うぇー」と鳴いたら、首が柵に挟まっていたり、ほかの牛にいじめられていたり。そうしたSOSも鳴き声から察しがつくといいます。
結局のところ、牛が毎日のルーティンで求めてくるのはシンプルなことが多いようです。
- 餌が欲しい
- 水が飲めていない
- 乳を搾ってほしい
観察のポイントも具体的です。お腹の張り、毛艶、糞の状態、足の向き。牛の表情や仕草のちょっとした観察で、ある程度の要求はわかるというのが、酪農家としての実感でした。
AIが牛の声を“翻訳”する未来はくる?
話は、テクノロジーの方向にも広がります。川上さんが紹介したのは、牛の鳴き声から状態を読み取ろうとするデバイスです。
名前として挙げられたのは「カウリンガル」。牛の鳴き声から発情を見つけたり、採食量をチェックしたりする、そんな製品も出てきていると話されています。
人間向けでは、イヤホンやスマートグラスで会話をその場で翻訳する機能も登場しています。川上さんは、こうした流れの延長で動物版も出てくるのでは、と予想します。
これの動物版は多分出てくるんじゃないかなと思ってますね。なので、牛と話せるようになるのも、まあ時間の問題というか、わかるようになってくるんじゃないかなと。
技術で牛の声がわかるようになるかもしれない、と語りつつも、川上さん自身のスタンスは最後までブレませんでした。
だけど川上的には、あんまりお話はしたくないっていうのが回答になるかなと思いますね。
聞きたい派?聞きたくない派?リスナーへの問いかけ
回答のあと、川上さんはリスナーにも問いを投げかけます。動物の声を聞きたい人が多いのか、そうでもないのか、という参加型の呼びかけです。
聞きたい人は「いいね」、そんなに聞きたくない人は「リポスト」でリアクションを、と呼びかけつつ、川上さん自身は最後にもう一度、正直な気持ちを添えます。
正直なとこ言ってごめんなさい。最後なので正直なことで、さして興味はないです。
最後は、グッズ販売サイト「SUZURI」で商品を買った人へのお願いも。「本当に買った人は誰ですか、教えてください」と、お礼を言いたいから、と呼びかけて配信を締めくくりました。
まとめ
「牛の言葉がわかりますか?」というロマンあふれる質問に対して、川上さんの答えはとても地に足のついたものでした。言葉としてはわからないけれど、毎日の観察でちゃんと通じ合っている。そんな酪農家のリアルが伝わる回でしたね。
- 川上さんは牛の言葉も動物の言葉もわからないと正直に回答。鳴き声は近所迷惑が気になるので、むしろ話せなくていいという本音も
- 言葉はわからなくても、目・表情・鳴き声から「餌が欲しい」「乳を搾ってほしい」などの要求はなんとなくわかるようになる
- 観察のポイントはお腹の張り、毛艶、糞の状態、足の向きなど。日々のルーティンの積み重ねが読み取る力を育てる
- 鳴き声から発情や採食量を読み取る「カウリンガル」などのデバイスも登場。AIの発展で牛と話せる未来もありうると予想


