スマホがバキバキ、ダンプも故障。最悪だった前日
3月19日水曜日、雪まじりの寒い朝から配信はスタートします。この日の予定は、繁殖検診の処置と、週末の島根県共進会に出す牛の調教や毛刈りです。
じつは前日、川上さんにとっては散々な1日だったそうです。牛の餌の積み下ろし中、ポケットからスマホがフォークリフトの下に落ちてしまいました。
ゾウが踏んでも壊れない耐久スマホを使ってるんですけど、ゾウよりは軽いと思ってたんですよね、フォークリフト
画面はバキバキに割れて使えなくなり、さらに籾殻を取りに行った10年越しのダンプは、途中でクラッチが焼けて止まってしまいました。
スマホもない、車も止まるっていう状況で最悪でしたね。昨日は最悪な1日でした
知り合いの車屋さんにレッカーを頼み、警察にも連絡してなんとか乗り切ったとのこと。この日はちゃんと切り替えて頑張っていく、と気持ちを立て直していました。
4月施行の法律。SNSでは農家が発狂していた
今回のメインは、Spoonのリスナー・よりこさんからの質問です。
食料供給困難事態対策法って何ですか?
この法律は半年ほど前に話題になったもので、SNSでは大きな反応があったと川上さんは振り返ります。
簡単に国が圧力かけられるのかとか、勝手なことができるのかとか。消費者の皆さんも、食料がなくなったらこんなことになるの、みたいな話題で持ちきりだったんです
その法律が、いよいよ4月から施行されます。だからこそ知ってもらって、考えてほしい。そんな思いから、この回で詳しく取り上げることにしたそうです。
そもそもどんな法律?消費者にとっての意味
まずは法律のねらいから。世界的な食料需給の変化や生産の不安定化で、食料供給が大幅に減るリスクが高まっていることが、この法律が制定された背景にあります。
目的は、食料供給が減って国民生活や経済に影響が出る事態を防ぐこと。そのために政府が一体となって、早い段階から必要な対策を打てるようにするものです。
消費者への影響として挙げられるのが、食料価格の安定です。供給が不安定になりそうなとき、政府が素早く動く仕組みがあることで、価格高騰や買い占めを防ぎやすくなると期待されています。
もう1つが安定供給です。政府が供給不足の兆しを早めに察知して対応することで、消費者への食料供給が確保されるという考え方です。
供給が不安定になりそうなとき政府が迅速に対応し、価格高騰や買い占めを防ぐ
供給不足の兆しを早めに察知して対応し、消費者への供給を確保する
酪農家に求められることと、国の財政支援
では、酪農業界にはどんな影響があるのでしょうか。1つ目が、生産計画の作成と届出です。
供給不足が深刻化した場合、政府は一定規模以上の生産者に対して、生産に関する計画の作成や届出を指示することがあります。供給量を把握し、適切な対策を打つためのものです。
ここで川上さんが大事だと強調したのが、計画は事業者が実現可能な範囲で作成されるという点です。つまり、そこまで強い強制力はないという理解でした。
2つ目が財政支援です。要請や指示を行う際、政府は必要な財政上の措置を講じることが法律に明記されています。
増産してくださいとか、減らしてくださいってなった時の負担は、国がやってくれる、政府がやってくれるっていうところですね
生産計画の指示
一定規模以上の生産者に、実現可能な範囲で計画の作成・届出を求める
供給量の把握
計画をもとに供給量をつかみ、必要な対策を検討する
財政支援
要請や指示にともなう負担を、国が財政面で支える
結局いちばん大事なのは「自分の身は自分で守る」
ニュースや専門家のYouTubeもいろいろ見たものの、川上さんにはどこか的外れに感じる部分もあったと言います。
たとえば戦争や、トランプ大統領の関税引き上げで輸入品が入ってこないといった、本当に食料がなくなる危機。そうなればパニックが起こる、というのが川上さんの見立てです。
そうなった時に、政府が圧力をかけたって、個人個人で勝手にしちゃいますし。農家も自分の生き残りをかけているので、自分の利益が上がるようにいろいろ対策すると思うんです
一方で、昔と違って今はSNSやインターネットが普及していて情報が素早く届くぶん、それなりに人も動くのではないか、とも話しています。
そのうえで、消費者にできることとして挙げたのが、代替する発想です。お米がなければうどんやパスタ、キャベツがなければレタスといった具合に、別の食べたいものに切り替えていく。
それも全部なくなったとしたらどうしようっていう話になってきたら、あるもん食うしかねえって話になるんで
国産を選び、農業に触れてみるという提案
とはいえ川上さんは、この法律をきっかけに前向きに考えてほしいとも語ります。政府がバランスを取りながら食料供給の安定に向けて対策を講じられる、それがこの法律の意味だからです。
提案の1つが、国産を選ぶこと。外国産ではなく国産のものを選び、応援したい農家さんの農産物を買って食べることが大事だと話します。
もう1つが、農業に触れてみること。家庭菜園や空いている土地があるなら、農業を体験してみてはどうか、というわけです。
ただし川上さんは、いざ自分で作るときの現実にも触れています。種や肥料が入ってこない、場所によっては飲み水すら足りず水をあげられない、そんな状況もありうると釘を刺します。
それでも自分の身を守るために、農業に少し触れてみるのはいいのでは、というのがこの回の着地でした。
なお、スマホが割れてしまった影響で、この日はコメント読みができないとのこと。電話もつながらないため、連絡はSNSのDMへ、と案内して配信は締めくくられました。
まとめ
4月から施行される食料供給困難事態対策法を、酪農家の川上さんがリスナーの質問に答えて解説した回でした。制度の意味を押さえつつ、最後は「自分の身は自分で守る」という現実的な視点に着地しています。
- 食料供給困難事態対策法は、供給が大きく減るリスクに政府が早めに対策を打つための法律で、4月に施行される
- 消費者には食料価格の安定と安定供給が期待される
- 酪農家には生産計画の作成・届出が求められうるが、実現可能な範囲で作成され、負担には国の財政支援がある
- 本当の危機ではパニックも起こりうるため、代替品を食べる・国産を選ぶ・農業に触れるといった備えも大切





