ObsidianとAppleの鉛筆ツールを両立したい理由とは
今回のエピソードで五藤晴菜さんが紹介するのは、Inkidianという新しいiPadアプリです。名前はObsidianとInk(インク)を組み合わせたものだろう、と晴菜さんは話しています。
晴菜さんはObsidian ── Markdown形式のテキストファイルでメモを管理するノートアプリ。ファイルをまとめて保存する場所は「ボルト」と呼ばれ、プラグインで機能を拡張できますを5〜6年ほど使い続け、原稿書きやアイデアのストックに活用してきました。隆介さんによれば、登場から1か月以内に使い始めたほど長いユーザーです。
晴菜さんがずっと取り組んできたのは、Obsidianの中に手書きをうまく取り入れることでした。隆介さんは「本来は無理な気がする」と返しています。
晴菜さんはこれまで、他のメモアプリで書いた手書きをObsidianに入れる方法や、手書き風の入力ができるプラグイン、Excalidraw ── 手書き風の図やスケッチを描けるホワイトボードツール。Obsidian用のプラグインもあり、ノート内に図を埋め込めますなどを試してきました。自作のプラグインまで作ったといいます。
それでも晴菜さんが行き着いたのは、Appleのメモアプリで使えるPencilKit ── Appleが開発者向けに提供する手書き用の仕組み。純正メモアプリと同じ鉛筆やマーカーなどのペンを、iPadアプリに組み込めますのペンを使いたい、という思いでした。
(PencilKitの)鉛筆だったりマーカーだったり水彩ペンだったりっていう、あのペンの書き心地がやっぱすごく好きで、特に鉛筆ツールね。
ただ、PencilKitはネイティブのiPadアプリを作るときに使う仕組みのため、Obsidianのプラグインだけでは使えません。そこで、iPad専用アプリとして作られているのがInkidianです。
書くのはアプリ、表示はObsidian。Inkidianの仕組み
Inkidianは、iPad専用アプリと、Obsidianのコミュニティプラグインの2つで構成されています。手書きはInkidianアプリの中で行い、Obsidian側のプラグインがそれを表示します。
最初の設定画面でObsidianのボルトと保存場所を選ぶと、手書きは独自の拡張子を持つファイルとして保存されます。晴菜さんによれば、中身はJSONで、PencilKitの書いた位置を表すベクター形式のデータが入っているそうです。
隆介さんはこの仕組みを、Obsidian上でベクターを描画するプラグインとiPadアプリを組み合わせたもの、と整理しています。
アプリで書く
iPadのInkidianアプリでApple Pencilを使って手書きする
ボルトに保存
設定した保存先に、JSON形式のベクターデータとして保存される
Obsidianで表示
プラグインを入れたObsidianのノート上でプレビューされる
タップで編集
手書き部分のアイコンを押すとInkidianアプリが開き、編集できる
MacやiPhoneでも、プラグインを入れれば手書きの表示自体はおそらくできる、と晴菜さんは話しています。ただし編集にはInkidianアプリが必要なため、編集はiPadのObsidianからアプリを開く使い方になります。
理想に近い書き心地と、見え方の小さな違い
晴菜さんがInkidianで一番大きいと感じている点は、PencilKitによる手書きの書き心地のよさと、Markdownファイルの中に手書きがきれいに表示されることです。
一方で、Obsidian上の手書きはベクターを無理やり表示しているため、鉛筆ツールのザラザラした質感はInkidianアプリ内とは少し違って見えるといいます。それでも、書いた文字や図はObsidian上でちゃんと確認できます。
鉛筆ツールのザラザラした質感まで、書いたときのまま見える
質感は少し異なるが、文字や図はきちんと読める
Obsidianへの埋め込みは、画像を入れるときと同じく、ビックリマークを付けてファイル名を書く方法です。ライブプレビューなら、ノート内に手書きが表示されます。
隆介さんは、プレビューはそのまま、編集はアプリを開くという使い方について、晴菜さんが考える理想に近いのではないかと指摘しています。
現状、はるなさんが考える理想のやつやん。
ベータ版の入れ方と9.99ドルの買い切り価格
Inkidianアプリは現在ベータ版で、App Storeで検索しても出てきません。インストールはTestFlight ── Appleが提供する、正式リリース前のベータ版アプリを試すための専用アプリ。開発者から案内されたリンク経由でベータ版を入れられます経由で、待ち時間もなく、公式ページからジャンプすれば入れられるそうです。
Obsidian側のプラグインはすでに公式に登録されていて、コミュニティプラグインで「Inkidian」と検索すると見つかります。
晴菜さんはお試しを始めて3〜4日ほどですが、使い心地がよいので、このまま買い切りで課金するつもりだと話しています。ただ、TestFlightの段階ではまだ課金できないため、ベータが終わってからになりそうです。
新しいiPadアプリをAIで探す方法
晴菜さんはこれまで、App Storeの関連アプリ欄を掘っていく形で新しいアプリを探していました。最近は、ChatGPTのブリーフィング機能を使っているといいます。
ChatGPTのブリーフィングは、興味のあるものだけを集めて毎日知らせてくれる、スケジュールタスクの一つです。晴菜さんはiPadの新しいアプリや新機能を集めるよう設定し、毎日5件ずつ届くようにしています。
ただInkidianについては、隆介さんが自分のニュース検索網で偶然見つけ、晴菜さんに教えたものだったようです。
Inkidian俺が偶然見つけて春菜に教えた記憶がある。
App Storeの関連アプリ欄をたどって、自分で掘って探す
ChatGPTのブリーフィングに毎日5件ずつ集めさせ、そこから確認する
Web版とKindle版、2つのiPadアプリ図鑑
晴菜さんは、ポータルサイトgotoharuna.comでiPadアプリの紹介ページを増やしていて、現在は135アプリほどになっています。隆介さんはこれを「Web版アプリ図鑑」と呼んでいます。
掲載するアプリの最初の抽出はAIが自動で行い、そこから晴菜さんが良さそうなものだけを選んでページを作っています。最初の候補集めはAI、掲載の判断は人という分担です。
晴菜さんは電子書籍版の『iPadアプリ図鑑』も作っていて、Web版とは役割が分かれています。
新着情報や最新アップデートが一番早い。主なアプリ以外は紹介と関連リンクが中心
晴菜さん自身の活用事例をたくさん収録し、アプリの使い方がよくわかる
電子書籍版は『アプリ図鑑2026』として夏ごろに出したもので、もともとはEPUBで販売していました。10月1日からはKindle版に移行し、Kindle Unlimitedにも対応しています。
手書きもできるObsidianという理想の行き先
隆介さんは、Inkidianが晴菜さんにとって1つのゴールのようになったのではないかと問いかけます。晴菜さんの本当の理想は、アプリを行き来しなくて済むシームレスな形です。
本当はそのシームレスにしたい。だから行き来しなくても済むような感じにしたいのが理想だけど。
隆介さんは、現状の仕様ではObsidian上でPencilKit相当のものを作ることになり、難しいと見ています。晴菜さんは、Obsidianである必要はあまりなく、手書きもできるObsidianのようなものがあればいいと答えています。
だいぶライフをかけたプロジェクトになるもんね。それ(手書きもできるObsidian)をやろうとすると。
晴菜さんは、その理想は追々としつつ、今の時点で手書きを簡単にObsidianに追加できるアプリとしてInkidianを紹介し、この回を締めくくっています。
まとめ
InkidianはApple純正のPencilKitで書いた手書きを、Obsidianのノートに埋め込んで表示できるiPadアプリです。長年Obsidianと手書きの両立を試してきた五藤晴菜さんにとって、理想に近い使い方を実現するアプリになっています。
- InkidianはiPadアプリとObsidianプラグインの組み合わせで、書くのはアプリ、表示はObsidianで行う
- 手書きはJSON形式のベクターデータで保存され、質感は少し違うものの文字や図はObsidian上で読める
- 現在はTestFlightのベータ版で無料、正式版は14日間のお試し後に9.99ドルの買い切り
- 晴菜さんは新しいiPadアプリをChatGPTのブリーフィングで集め、人の判断を通してWeb版アプリ図鑑に掲載している
- 晴菜さんの最終的な理想は、アプリを行き来しなくて済む、手書きもできるObsidianのような環境





