1年で60回、始める前は高かったハードル
番組「おいしい組織」は、いろいろな要素を掛け合わせる組織づくりを料理になぞらえながら、経営や事業にまつわる思考法を語っていく番組です。今回は1周年を記念して、これまでの振り返りと今後について話が進みます。
宇尾野さんは、始める前は結構ハードルが高かったと振り返ります。ところが始まってみるとあっという間で、すでに60回近くまで来ているといいます。
始めるまでは結構僕ハードル高かったんで。もう始まってみたらあっという間っていう感じですね。
宇尾野さんは、100回近くやっている番組を引き合いに出しながら、もっと続けていきたいという気持ちを語ります。
もっと続けていきたいなっていう気持ちに、今なっていたりもしますね。
宇尾野さんが挙げた「感情労働」と「理想の状態」
振り返りの口火を切ったのは、印象に残った回の話です。宇尾野さんは視聴数などの数字を抜きにして、リスナーから良かったと言われる回を挙げていきます。
1つ目は最近配信された第39回「感情労働の時代」です。わかるわかるという反応が多く、自分自身もそういうところで苦労していると人から言われることもあったといいます。
2つ目は、かなり初期にあたる第2回「理想の状態」です。経営者は事業や商品の未来は描いていても、組織の理想の状態はあまり考えていない人も多く、そのモードに切り替えるきっかけになる回だったと話します。
組織の話って意外に理想の状態考えてなかったみたいな方も多かったりしていたりするんで、(これを聞いて)そういうモードに一回切り替えてもらうっていうのは結構大事なんだなっていうのを改めて感じた回でしたね。
池原さんは、この2つの回の反応の良さは性質が違うと整理します。感情労働は普段感じている生きづらさや苦しさを言語化した回、理想の状態は「考えていなかったけれど大事だ」と気づかせる回だといいます。
池原さんが挙げた「ブリリアントジャーク」と「仕事と老い」
続いて池原さんが、特に印象的だった回を2つ挙げます。1つ目は第19回のブリリアントジャークについて考える回です。
(ブリリアントジャークは)優秀だけど組織を壊す邪悪な人でしたっけ?
この回は「いるいる」「でもどうしたらいいのか」という反応が多く、対処法まで話したことで周りでの反響も大きかったといいます。宇尾野さんは、最近ブリリアントジャーク関連の書籍が出るらしいという話も添えます。
宇尾野さんは、転職が一般的になったこともあり、本人が違う職場に行って初めて「あの時の私はブリリアントジャークだった」と捉え直す人も多いと話します。リスナーからも同様のメッセージが届いたそうです。
聞いてる方でも、私、実はブリリアントジャークだったかもってメッセージもらったりしたんですよ。
2つ目に池原さんが挙げたのは、第31回「仕事と老いについて考える」です。池原さんはこれを永遠のテーマだと語り、とても発散できた楽しい回だったと振り返ります。
めちゃくちゃ楽しかった。(老いについて)発散できたって感じがしましたね。
この回では、経営者も組織とともに年齢を重ねていく中で、そもそも老いとは何かという話から、その向き合い方や対策までを扱ったといいます。
80歳90歳でも現役、老いとどう向き合うか
老いの話題は、収録前夜の池原さんの体験談に広がります。池原さんは、大企業出身の幹部やその先輩たちの中に、80歳90歳になってもバリバリ元気な人がいると聞いたそうです。
(大企業出身の方々は)八十歳九十歳になってもバリバリ元気で、ゴルフも行きまくるし、社外取りやりまくるし、影響力がすごい元気みたいなことを聞いて、こういう歳の取り方したいなってすごく思いました。
池原さんは、ゴルフができるかどうかではなく、元気で活動し続けている姿そのものに希望をもらったと話します。
一方の宇尾野さんは、自身が老いたという感覚はないとしつつも、年を重ねて視野が広がり、いい意味で落ち着いてきたと語ります。変な抑揚がなくなり、より直線的になったといいます。
年を重ねることによって、視野が広がったり、いろんな捉え方ができるようになって、自分の中ではいい意味で落ち着いたっていうか、変な抑揚がなくなったみたいな。
池原さんは、宇尾野さんにとっての老いを、経験値の豊かさとそれに伴う落ち着きと言い換え、禅の領域に近づいていると表現しました。
「聞いてます」の声が嬉しい、この1年の変化
話題は、この1年で感じた自分たちの変化や周りの反応に移ります。池原さんは、周りの人から「聞いてるよ」と声をかけてもらえるようになったことが嬉しいといいます。
池原さんは講演の場でも番組のロゴを出して登録を呼びかけており、月曜の朝に通勤しながら聞いてくれる人もいると話します。
宇尾野さんも同じく「聞いてます」と言われることが増え、番組から逆に自分たちのことを知る人もいると語ります。人事系メディアで特集されたのを見て、少しずつ広がっている手応えを感じているといいます。
さらに宇尾野さんは、ライブで1つのテーマを深めながら言語化していくプロセス自体が、自分たちにとっても学びの多い時間だと話します。
いい話ばっかりじゃなくて、あの回もうちょっとこうした方が良かったよみたいなことも(言われて)、それもすごく役に立ってて。喋らないとフィードバックってもらいづらいんで、ありがたいなって思っていますね。
公開収録に書籍化、これからやりたいこと
続いて、番組の今後の展望が語られます。宇尾野さんはまず、番組のサブタイトルにある「経営者に聞いてほしい」という狙いを改めて説明します。経営者本人だけでなく、経営者を支える人たちにも届けたいといいます。
宇尾野さんは、組織づくりに悩む人や、それをもっとクリエイティブに捉え直したい人にこそ聞いてほしいと話し、視聴者の広がりのための機会を作りたいと語ります。具体例として、公開収録イベントやゲストとのコラボ企画を挙げました。
(ゲストの方に)組織のことを語ってもらって、この人が考える組織って面白いな、じゃあ自分たちもみたいな感じになってもらえるようなコラボ企画をやったりとか。
宇尾野さんは、1周年でいい意味でのルーティーンになってきたからこそ、そのルーティーンを外れた企画をやりたいと語ります。リスナーからの企画の提案も歓迎しているといいます。
もう1つ宇尾野さんが挙げたのが書籍化です。番組を始める前から、普段手に取ってもらえる本のような配信を、まとめてお届けしたいと考えていたといいます。
各回は「秘伝のレシピ」、料理本のような組織の話
池原さんは書籍化にとても賛成だと語ります。手元にあるタイトル一覧を見ながら、一つひとつが普段あまり出てこないテーマの「秘伝のレシピ」だと表現します。
(各回が)活字になることで、より多くの方に何度も何度も見返していただくような、まさに手元に残るレシピになるんじゃないかなという気がしてますね。
宇尾野さんは、番組を始める前の企画会議で「料理本っぽくしたい」とずっと言っていたと明かします。味噌汁ひとつ作るにも、具材や味噌、地域や作り手によって味が変わるように、組織づくりにもいろいろなアプローチや文脈があるといいます。
同じ味噌汁でも、具材・味噌・地域・作り手によって味が変わる
同じテーマでも、人・制度・文化・文脈の組み合わせで持ち味が変わる
池原さんは、組織づくりや事業づくりはセオリーがありつつも、条件によって変わるため難易度が高く、正解がないと整理します。だからこそ、番組のいろいろな角度からのスパイスや作り方が参考になるといいます。
一方で、宇尾野さんは「おいしい組織なのに料理の話をしない」とよく言われ、反省すると苦笑します。テーマが込み入ると、料理のアナロジーによる発散や広がりを作りきれていないと認めます。
うちの息子も同じこと言ってました。
池原さんは、各回が個別の料理レシピというより、総合してみると組織づくりの基本、いわば包丁の使い方を学ぶようなものになると言い換えました。
ナラティブのある組織とM&A、これから扱いたいテーマ
最後に、今後扱いたいテーマの方向性が語られます。宇尾野さんは大きく2つあると話し、1つ目に「ナラティブのある組織」を挙げます。
宇尾野さんは、ナラティブのある組織の価値や重みは1つの記事だけでは伝えきれないとし、Podcastだからこそ、1つの会社を切り出して紹介するようなこともやってみたいと語ります。
2つ目に挙げたのはM&Aです。宇尾野さんは、M&Aはこれから世の中的にも増えていく時代の必然だとし、財務的な話ではなく、その前後の組織の扱い方や働く人の考え方に触れていきたいといいます。
(M&Aは)大企業とくっついたベンチャーみたいな取り組みもあれば、地方の会社が合併するみたいなシチュエーションもあると思いますし、それによっての組織作りもバリエーションがあるので。
池原さんは、個社事例の回に前向きです。これまでは抽象論と具体を行き来する話が多かったとしつつ、1つの事例に深く入ることで、そこからの抽象化が面白そうだと話します。ケーススタディをリスナーと一緒に考える形も挙げました。
M&Aについても、池原さんは自身の周りで増えている感覚があるとし、その前後の組織づくりや混乱、立て直しのフェーズに個人的にも興味があると語ります。宇尾野さんは池原さんを「渦中の人」と表現しました。
2人は、1周年という区切りを作りつつ、2周年、3周年と長く続く配信にしていきたいと締めくくります。番組のシェアや紹介に加え、投稿フォームからの個別のメッセージも引き続き募集しているといいます。
まとめ
番組「おいしい組織」の1周年記念回では、印象に残った回の振り返りから、書籍化や公開収録などの今後の展望まで、幅広く語られました。全60回のテーマを「秘伝のレシピ」と捉え、料理になぞらえて組織づくりを届けようとする番組の姿勢が改めて示された回です。
- 宇尾野さんは第39回「感情労働」と第2回「理想の状態」を、生きづらさの言語化と気づきを与える回として挙げた
- 池原さんは第19回「ブリリアントジャーク」と第31回「仕事と老い」を挙げ、老いは経験値と落ち着きだと語られた
- 「聞いてます」という反響や、改善点のフィードバックが、2人にとって学びの多い時間になっている
- 今後は公開収録イベント、ゲストとのコラボ企画、各回をまとめた書籍化などに取り組みたいと語られた
- これから扱いたいテーマとして「ナラティブのある組織」の個社事例と、M&A前後の組織づくりが挙げられた





