AIに情報をつないでも「抜ける」と「余計」が起きる
AIにいろいろな情報をつないでも、思うような情報が返ってこない。
逆にAIをうまく使えている方なら、AIのほうからいろいろな情報を上げてくれるようになっているんじゃないかと思います。
最近だとChatGPTのPulse機能は本当に優秀で、秘書みたいに「これは対応したほうがいいですよ」と教えてくれます。
ただ、こうしたAIを使っていても、大きく2つ問題があると感じています。
1つ目は「抜ける」問題です。本当に教えてほしい「ここは確認したほうがいいですよ」という重要な報告が、なかなかAIから上がってこないんです。
2つ目は「それは余計だよね」問題。もう対応済みのことまで、対応漏れですと報告されてしまうんです。
同じ経験をしている方は、私以外にもいらっしゃるんじゃないかと思います。
抜けても余計でも、結局は確認の仕事が増えます。社長がそれをやっていたら、社長の手間暇が増えてしまうんですよね。
AIの性能の問題も一部はあるかもしれません。ただ、それだけではなくて、AIが判断できるように情報を整えてあげる必要があるんじゃないかと思っています。判断できるものがなければ、さすがにAIも判断は難しいですよね。
「重要なことを教えて」の「重要」は人によって違う
たとえばAIに「明日やることある?」と聞いたら、何が返ってくるでしょうか。
おそらく、明日が期限の仕事、すでに期限を過ぎている仕事、来週の商談あたりが上がってくるんじゃないかと思います。
では、この3つの中で本当に欲しい情報はどれなのか。もしかしたら、この3つ以外の情報こそ挙げてほしいのかもしれません。
ここで意外と大事なのが、「何をしてほしいか」と「何を基準に選ぶか」は違う、ということです。
「お客様とのやりとりで重要なことを教えて」と伝えても、何を重要とするかは人それぞれです。
ロイヤルカスタマーなど大事なお客様とのやりとりに絞って教えてほしいのか、約束の期限を過ぎてしまっているものを教えてほしいのか。この判断基準は、私と読んでいる皆さんとでも違うと思います。
何を重要とするかの基準がないと、AIも適切なアウトプットはできないんです。
従業員への「大事なことは報告して」と同じ構造
実はこれ、AIだけの話ではなくて、日頃の従業員さんとのやりとりでもよくあることなんじゃないかと思っています。
従業員さんは「この案件はまだ社長に報告しなくていいや」「そんなに重要なお客様の声じゃないから上げなくていいや」と思っている。
一方で社長は「いや、それはすぐに報告してほしかったよ」と思っている。求めている情報が、なかなかつながらないんです。
このとき社長は「大事なことは報告してよ」と言うと思うんですが、その「大事」って何なんでしょうか。
その「大事」は、たぶん社長の頭の中にしかないんですよね。だから明文化して、「大事というのはこれだよね」とみんなに伝えなければいけない。
人でも同じなので、AIにも「これが大事ですよ」と伝えていかないといけない。判断基準を揃えることをやらないと、AIを活用しきるのは少し難しいかなと思っています。
三井住友カードの取り組みと、情報に意味を与えること
こうした取り組みを進め始めているのが、『三井住友カード』さんなんじゃないかと思います。
『Cometa』というCometaAIデータプラットフォームを導入し始めた、というニュースが上がっていました。
ざっくり言うと、情報をAIがちゃんと活用できるようにしていきましょう、というもののようです。細かいところは、ぜひニュースを見てみてくださいね。
このニュースを見て改めて思ったのが、AIを活用するには、まず情報の環境整備が大事だということです。情報を残して、ちゃんと整えていく。これは私が常々思っていることでもあります。
ただ、情報を残すだけでは足りなくて、その後に情報の意味を整理しないといけないんです。
「我が社にとって大切なのはこういうことです」「重要なのはこういうことです」と定義する。その定義付けをして初めて、それを基に活用できるんじゃないかと思います。
先ほどの例でいえば、「明日私がやることを教えて」と頼む前に、「私にとって優先順位が高いのはこういう仕事です」と伝えておく。そうすれば、それを判断基準にしてアウトプットしてくれます。
何を考えていて、どんな優先順位なのか、共通言語は何なのか。それを正しくAIに伝えることで、AIを活用できるようになる訳です。
ズレを直し続けて、精度を上げていく
とはいえ、伝えたらそれで終わりではありません。進めていくと、当然判断のズレが出てきます。
優先順位の高い仕事や報告してほしいことを伝えていても、それとズレたアウトプットが出てくると思うんです。
そうしたら、なぜズレたのかを考えて、与えるべき情報やその認識を見直す。大事なことを報告してくれなかったなら、その「大事なこと」を改めて整頓して、AIに伝え直す必要があるんじゃないかと思います。
条件を決めると、AIは膨大な自社のデータから何を拾い、何を拾わないかを判断してくれます。質が低ければ修正する、を繰り返すと、上がってくる情報の精度がどんどん高くなっていくんじゃないかと思います。
逆に、これをちゃんとやらないとどうなるか。たとえば「返信漏れているものを教えて」とAIに聞いたとします。
午前にお客様から依頼が届いて、午後に返信した。でも管理表では未対応のままチェックが入っていなければ、管理表だけを見たAIは「返信漏れ」と判断するんです。
反対に、「確認してお返事します」と返しただけで、実際には質問に答えていないケース。「送ったから完了」という基準だと、AIはこれを見落としてしまいます。
だから、「管理表が未対応だからダメ」「送信したからOK」といった基準ではなく、そこも含めて明確にしないといけません。
今回の例なら、管理表が未対応でもダメ、お客様に求められている質問に回答していなくてもダメ。この2つをやって完了、という定義をAIに伝えておければ、より精度の高いアウトプットが出てくるんじゃないかと思います。
情報をしっかり定義しないと、逆に仕事が増えてしまうこともあるんですよね。
次のステップは、AIに担当者へ振り分けてもらうこと
もう1つ、私が最近やらなければと思っていることもお伝えします。
AIは仕事の漏れや「ここを優先したほうがいいですよ」というものを挙げてくれます。ただ、その全部を社長が集める必要があるかというと、そうではないんですよね。
必要な人、実行してもらう担当者にAIがうまく振り分けてくれるようにする。これを次のステップでやっていかなければと考えています。
何でもかんでも社長に集まってくると、そのぶん脳のリソースを割いてしまいます。担当者レベルでは重要でも、社長にはもっと未来のことや優先順位の高いことがあるかもしれません。
AIが上げてくれる情報も、しっかり回していかなければいけないなと最近考えています。
三井住友カードさんのような大手ですら、データに意味を与えて、AIが適切に判断できる環境を作ることに取り組み始めています。私たちも、AIが必要な情報を参照できるようにし、自社の考え方や取り組みを伝えていかなければいけないなと感じました。
私もChatGPTを最近すごく活用していますが、自分が本当に欲しいこと、やってほしいことと100パーセントマッチしているとまでは、なかなか行きません。
そもそも私が大切にしていることや重要にしていることを、ちゃんと定義して伝えきれていたかというと、そこはやっていなかったんです。人にやらなければいけないことは、AIにも同じように一部やる必要があるかなと思います。
私も今日書いたことを自分で取り組んで、仕組みのレベルをもう一段階上に上げていきたいと考えています。
また、私は「仕組み化実践会」と「AI実践会」という2つの経営者コミュニティを運営していて、合わせて100社以上の経営者の方にご参加いただいています。仕組み化経営やAI経営に興味がある方は、ぜひチェックしてみてください。
それではまた来週お会いしましょう。さようなら。
まとめ
AIから欲しい報告が上がってこないのは、性能だけの問題ではなく、「何が重要か」という判断基準を伝えていないからだと私は考えています。基準を定義し、ズレを直し続けることでAIの精度は上がっていきます。
- AIに情報をつないでも、重要な報告が「抜ける」問題と、対応済みまで上がる「余計」問題が起きる
- 「何をしてほしいか」と「何を基準に選ぶか」は別。従業員への「大事なことは報告して」と同じで、大事の中身を明文化する必要がある
- 情報を残すだけでなく意味を定義し、ズレたら基準を見直す。返信漏れなら「完了」の条件まで明確にする
- 次のステップは、AIが上げる情報を社長に集めず、担当者へうまく振り分けること






