新規事業は「思う」から始まる
新規事業や新商品、新サービスを考えている経営者の方は、非常に多いんじゃないかと思います。
とはいえ、新規事業はそんなに簡単にうまくいくものではありません。新商品も新サービスも同じです。
新しいものを作るときに見るべきポイントは、大きく3つあると思っています。お客様にとって価値があるか、それをどう届けるか、そしてどう提供するか、です。
言い換えると、軸は2つあるんじゃないかと思うんです。お客様がビフォーアフターで喜んでくださっているかという軸と、そのビフォーアフターを届けるために、自分たちがどれくらいの量の仕事をするのかという軸です。
最初は「この商品は価値があると思う」「作れると思う」「売れると思う」という、「思う」が出発点になります。
その「思う」をちゃんと確かめて、結果を振り返る。この一連の流れを仕組み化できるといいんじゃないかと考えています。
私の結論は、商品と一緒に、その確かめ方と決め方も考えておくのが大切だ、ということです。
掛け合わせるだけでは伸びきらない
イノベーションというと、シュンペーターが提唱した新結合 ── 経済学者シュンペーターが示した考え方で、既存の要素を新しく組み合わせることで革新が生まれるというもの、つまり何かと何かを掛け合わせて新しいものを作る、という話がよく出てきます。
掛け合わせて新商品を作ること自体は大事です。ただ、私自身も欠けていたなと思うのが、その先の部分なんです。
ひとつは生産の視点です。その商品サービスに人気が出たときに、たくさん作ることができるのか。
もうひとつはマーケティングの視点です。その商品サービスを、お客様にちゃんと伝えることができるのか。
当然と思われるかもしれませんが、ここまでセットで考えないと、新しい取り組みはなかなか伸びきらないんです。
どんなに内容が良くても、提供する会社や担当者が毎回無理をしていたら、続けるのは難しいと思います。
逆に、売上は立っていても、提供方法や集客の費用を考えると続けられない、ということもあるかもしれません。
だから、商品への反応だけを見ていても、そのサービスが続けられるかどうかは判断できない訳です。
私が1年弱で閉じた「ベクトル会員制度」
少し具体例があったほうがわかりやすいと思うので、私の反省点をお話しします。
昔、私は『ベクトル会員制度』という、お客様向けの会員制度をやっていました。
社内で理念浸透の勉強会をやっていて、どうせなら、同じように理念浸透の勉強会をやっている、あるいはやりたいと思っている企業様に提供したらいいんじゃないかと思って作ったものです。
自社の理念勉強会を社外の方に届けるという、ある意味での新結合ですね。
結論から言うと、この会員制度は1年弱続けて終わりになりました。
振り返ると、生産と売り方をちゃんと回せなかったのが反省点です。
理念浸透の勉強会というコンテンツを作れる人、つまり生産できる人が限られていて、そこがボトルネックになってしまいました。
もうひとつ、理念浸透の勉強会という結構ニッチなニーズに対して、売り方の実験を上手に回せなかった。お客様に「それ欲しい」と思ってもらえるマーケティングまでを、セットで考えることができなかったんです。
ニーズがなかったのか、確かめ方がなかったのか
じゃあ、そもそもニーズがなかったのかというと、そこまでは何とも言えないなと思っています。
生産の方式と売り方の方式をもっと考えていけば、何かしらやり方はあったんじゃないかと思うんです。
たとえば同じ理念浸透の勉強会でも、経営者の方が求めているものは別々かもしれません。
- 勉強会そのものを見たい
- 自社で勉強会を開くための材料がほしい
- 社員にどう話せばいいかで悩んでいる
どのお悩みが一番多いのか。そのお悩みを解決するサービスをちゃんと提供できるのか。そこをもう少し仮説検証して実験できていたら、結果も変わっていたかなと思います。
自社が提供できる価値と、お客様が解決したいことが繋がっていなければ、商品サービスはなかなか売れません。ここをつなげていくことが大事なんだと思います。
「生産できるか」を最初に問う
たとえば、社内でやっている幹部勉強会を社外向けにやろう、となったとします。
話せるのが社長しかいなければ、生産には限界があります。どんなに売れても、社長の体はひとつしかないですよね。
そこで最初から、対面ではなく動画コンテンツにして届けることにすれば、生産の壁を越えられるかもしれません。
ただ、動画にしたことで、今度はマーケティングの仕方も変わります。社内の幹部勉強会の動画を買いたい人って、どんな人だろうかと。
一般的な内容だと、なかなか手に取ってもらえないと思います。同業種・同規模の企業様に向けて、自社がちゃんと成果を出したことを踏まえ、その業種を深掘りした幹部勉強会なら、もしかしたら売れるかもしれません。
マーケティングの観点は、皆さん結構持たれていると思うんです。でも私自身は、生産のところが少し欠けていた可能性があると思っていて。
ちゃんと生産できるのかという視点を持っておくだけで、新しい取り組みの成功確率はグッと上がるんじゃないかと思いました。
もちろん、新規事業を簡単に大成功させる方法はないと思います。ただ、生産の観点、マーケティングの観点、そしてお客様が解決したいことと自分たちが提供するもののずれ。始めるときにそこをチェックリスト的に頭に置いておくだけで、少し成功確率が上がるんじゃないかと思いますので、ぜひ参考にしていただければと思います。
私は『松田幸之助の仕組み化実践会』と、中小企業経営者の皆様向けの『生成AI実践会』という2つの経営者コミュニティを主催していて、合わせて100社以上の会員さんにご入会いただいています。興味がある方は、ぜひチェックしてみてください。それではまたお会いしましょう。さようなら。
まとめ
新規事業や新商品は、価値・届け方・提供の3つをセットで企画段階から仮説にしておき、確かめ方と決め方まで一緒に考えるのが大切だと私は考えています。
- 新商品は「価値がある・作れる・売れると思う」から始まるので、その「思う」を確かめて振り返る流れを仕組みにする
- 反応が良くても、提供側が毎回無理をしていたり集客費用が合わなかったりすれば続けられない
- 私のベクトル会員制度は、コンテンツを作れる人が限られていたことと、売り方の実験を回せなかったことで1年弱で終わった
- マーケティングだけでなく「ちゃんと生産できるのか」という視点を持つと成功確率が上がる







