フジロックには行かない二人、それでもXGを語る
番組冒頭、酒井さんは島田先生にフジロックに行ったことがあるかを尋ねます。二人とも行ったことはないようです。
行かない理由を聞かれた酒井さんの答えはシンプルでした。
暑そう。いや、これ本当なんです。隔離されるわけじゃん。ちょっとそれ、ほんと耐えられない気がする。
今年のフジロックも暑そうなので参加は見送るものの、サマソニには行こうと思っていると話します。
そんな雑談から、今回のテーマであるXGの話へと入っていきます。XGは今年7月25日にフジロックへの出演が決まっているグループです。
そもそもXGとは何者なのか
酒井さんはXGのライブに二年連続で行っているファンです。一方の島田先生は、酒井さんに言われて初めてXGを知ったといいます。
島田先生はMVを見た感想として「宇宙っぽい」「キレキレの感じ」といった印象を挙げます。
XGは全曲が英語で歌われており、J-POPともK-POPとも名乗らない「X-POP」という自称ジャンルを掲げています。X-POP ── XGが掲げる自称ジャンル。J-POPやK-POPといった既存の枠を超える、という意味合いを持つとされる呼称です。
このコンセプトを提唱したのが、プロデューサーのサイモンさんです。既存のジャンルにとらわれず、その先を目指すという考え方だと酒井さんは説明します。
楽曲には、自分たちで自信を持って主体的にやっていこうというメッセージが一貫してにじみ出ていると話されています。
キーワードは「ギャルストイック」
酒井さんが今回もっとも注目しているのが「ギャルストイック」という考え方です。ギャルのマインドに、ストイックさが掛け合わさったものを指します。
ギャルマインドにストイックさが掛け合わさった瞬間、世界最強の生物、グループができるんじゃないかなと思って。それを体現するのがXGじゃないかな、っていう。
そもそもギャルとは何か。島田先生は「白とか黒」「元気がいい」「強そう」といった見た目の印象を挙げます。
これに対して酒井さんは、ギャルの定義は人によって違い、見た目だけの話ではないと考えていると話します。
その気づきのきっかけは、知り合いから言われた一言でした。
「ギャルってマインドだから」って言われたんですよ。その時ハッとして。自分たちが見えてる世界だけで判断してたけど、マインドだとすると見えてないものじゃない、基本的には。
酒井さんは、ギャルマインドの特徴として、物怖じしないこと、あえて空気を読まないことを挙げます。外資系の言葉でいえば「トークストレート」に近い感覚だといいます。
さらに、敵を作らずみんな一緒にやろうという寛容さも特徴の一つだと話します。
そして「ギャルストイック」のストイックの部分。溢れ出る自信は最初からあったわけではなく、ダンスや歌の練習、人間力といったベースとなる苦労に裏打ちされたものだと酒井さんは考えています。
なぜ今XGなのか、エイベックスの背景
島田先生は「なぜ今の時代にXGが出てきたのか」という問いを投げかけます。酒井さんは、これを会社としてのプロジェクトの側面と、世間に受け入れられた需要の側面に分けて考えます。
XGを立ち上げた母体はエイベックスです。島田先生は所属アーティストとして浜崎あゆみさんの名前を挙げました。
酒井さんによれば、エイベックスは90年代から2000年代に大きく伸びたものの、直近ではグローバルでの成功事例があまりないといいます。
どうしてもやっぱ韓国のK-POPがグローバル展開してアメリカとかもいってる中で、基本的にはavexってのはその後発。日本だとすごいけど、世界に出せてないっていうところがあって。
そうした背景から、XGは目線を最初からグローバルに置いています。
システム面でも特徴的です。メンバーは全員日本人でありながら、韓国でサイモンさんと事務所の支援のもと、十代のうちから約五年もの育成期間を経てきました。
売れるか売れないかもうわかんないでしょ、究極ね。その中でやってきたっていう、まず一大プロジェクトだった。
R&B・ヒップホップと、なぜ跳ねたのか
なぜXGが跳ねたのか。マーケットの観点では正直わからないと酒井さんは率直に話します。ただ、音楽性の面ではいくつかの土壌があると考えています。
英語の歌詞に加え、R&Bやヒップホップをベースにしているため、世界でも比較的受け入れられやすいのではないかといいます。
グローバルという意味では、BLACKPINKが海外市場を切り開いたことも土壌になっていると話されています。XGをK-POPとは呼べないものの、道が整えられていたという見方です。
ここで島田先生は、先発でこうしたグループはいなかったのかと尋ね、宇多田ヒカルさんの英語作品を例に挙げます。
酒井さんによれば、宇多田ヒカルさんは2000年代にアメリカへ本格展開したものの、商業的には難しかったといいます。アメリカ本場のR&Bやヒップホップで勝負するのは相当難しいのではないかと話します。
ジャンルがアメリカのR&Bとかヒップホップで勝負するって相当難しいんじゃないの、本場の。要は現地のアメリカ人のファン層がいるのは間違いないけど、もうちょっとコアな層がどう評価してるかはわかんない。
平成カルチャーへのオマージュとサイモンさんの影響
XGの世界観を語るうえで切り離せないのが、平成カルチャーへのオマージュだと酒井さんは話します。Y2Kや平成リバイバルと呼ばれる文脈です。Y2K ── 2000年前後の文化やファッションを指す言葉。近年リバイバルとして再注目され、平成リバイバルとも重なります。
リバイバルで買ったものの話になり、二人ともたまごっちを買っていたことが判明します。酒井さんはさらに、初代ポケモンのドット絵のTシャツも挙げました。
XGのMVには、ガラケーやスマホを思わせるオマージュや、宇宙・SFっぽいテーマが盛り込まれ、ギミックが凝っていると酒井さんは説明します。『スター・ウォーズ』や『アバター』のような雰囲気も感じるといいます。
一貫してやっぱりこう、一個ぶっ飛んだ世界みたいな感じは変わらずかな。ただそこに懐かしさと新しさが混ざってる。
島田先生が、オマージュがなぜその時期に固まっているのかと尋ねると、酒井さんはサイモンさんの影響が大きいのではないかと答えます。
サイモンさんはアメリカ生まれの日本人と韓国人のハーフで、小さい頃からK-POPもJ-POPも聴いてきた人物です。年齢は二人と同じくらい、四十前後だといいます。
宇多田ヒカルさんやSPEED、小室哲哉さんといった平成J-POPや、『スター・ウォーズ』『AKIRA』、ジブリ作品などの影響を受け、それを現代風にアレンジしているのではないかと酒井さんは推測します。
ただし、サイモンさんはすでに第一線を退いています。そのため今後のXGはまた違う形になっていくかもしれないと話します。
サイモンさんが離れて、そろそろ自分たちで考える時期なんじゃないかな。ライブに五回ぐらい行ってるファンアルファーズの方がおっしゃってました。
最後に酒井さんは、XGの世界観は形容し難く、パッとは受け入れづらいかもしれないと正直に付け加えます。それでも、フジロック出演を機にぜひ聴いてほしいと締めくくりました。
まとめ
フジロック出演を控えたXGを、酒井さんが「ギャルストイック」という視点で語った回でした。ギャルのマインドとストイックな努力、グローバルを見据えたエイベックスの一大プロジェクト、そして平成カルチャーへのオマージュが、このグループの独自性を形づくっていると考えられます。
- XGは全曲英語で、J-POPともK-POPとも名乗らない「X-POP」を掲げるグループ
- キーワードは「ギャルストイック」、ギャルマインドとストイックな努力の掛け合わせ
- 母体はエイベックスで、メンバー全員日本人ながら韓国で約五年の育成を経ている
- R&B・ヒップホップやBLACKPINKの土壌、平成リバイバルの文脈が支持の背景にある
- 独自の世界観はプロデューサーのサイモンさんの影響が色濃く、退任後の変化も注目される







