「世界で一番おいしい」バームクーヘンは何がすごいのか
この回は、MCの名倉さんが末松さんに「最近人にすすめたお店はありますか」と尋ねるところから始まります。末松さんが挙げたのは、実家の近くにあるバームクーヘンの専門店でした。
もう私は冗談抜きで世界で一番美味しいバームクーヘンだと思ってるお店があって。
末松さんによると、そのバームクーヘンは賞味期限が3日ほどと短く、手土産にするのは当日会う相手に限られるそうです。それでも持っていきたくなるのは、味だけでなく箱や紙袋まで高級感があるからだといいます。
なんていい店を知ってるんだこの人って思ってもらえそうな。
名倉さんは、店を知っていること自体で紹介した人の価値も上がるような感覚だと受け止めます。末松さんは「さすが末松さん」と思ってもらえそうなほどだと応じました。
バームクーヘン店のこだわりは細部にまで及びます。箱にホコリがつかないようにくしゃくしゃの紙を入れ、化粧品売り場のようなカバーを付け、冷凍しても美味しいことなどを書いたメッセージカードまで添えてあるそうです。
もうそのバームクーヘンだけ生で渡されても美味しいのに、他の付加価値もすごいあって、もうこれは間違いないと思って。
一方で末松さんは、誰にすすめても恥ずかしくないと思いつつ、「私だけの秘密のお店」にしておきたい気持ちも少しあると明かします。それでも、手土産を探している人がいれば一番にすすめたい店だと話しました。
バームクーヘンの熱弁が「販促の最上級」である理由
末松さんの話を聞いていた中村さんは、これがまさに今回のテーマにぴったりだと切り出します。前回の放送で紹介した「お客様の5つの段階」の、最後の段階にあたるというのです。
これ、販促という観点で見たら、一番お金のかからん広告。
末松さんも、頼まれてもいないのに勝手に言ってくれる存在だと納得します。中村さんは、末松さんのように熱く語ってもらえる状態こそ、目指したい販促の最上級だと位置づけました。
知らぬ間にやってましたね。
冒頭の「最近すすめたお店は?」という問いは、実はこの話につなげるための仕掛けでした。末松さんは「まんまと引っかかりました」と笑います。
自分の会社を友達にすすめられるか?
ここで名倉さんが今回の問いを投げかけます。「あなたは自分の会社を友達にすすめられますか?」。末松さんのバームクーヘンのような熱さで、自社を人にすすめられるかという問いです。
末松さんは、すすめる意味が「一緒に働こう」なのか、「困ったときの相談先として」なのかで答えが変わると話します。相談先としてなら、迷わず自社(ココフレココフレ)をすすめられるそうです。
(友達に)一緒に働こうぜかみたいな。ちょっと抵抗あるかもしれない。
中村さんは、働きやすい職場としてはすすめられても、一緒に働くとなると人間関係が絡むと補足します。うまくいかなければ、もともとの友人関係まで壊れてしまうかもしれないという懸念です。
名倉さんは、そもそもここまでの熱意で自分の会社をすすめられる人は少ないのではないかと話します。中村さんも少ないと認めたうえで、それを手に入れた会社は強いと応じました。
広告より口コミの信頼が強いのはなぜか
中村さんは、広告で大事なのは信頼をどう得るかだと説明します。企業はまず認知してもらうために大きな広告予算をかけますが、知らない会社に対して人はどうしても疑いの目を向けてしまいます。
この会社ほんまに大丈夫なん?みたいな。今まで聞いたことないねんけどみたいなね。
ところが、誰かが熱く語って紹介してくれると、紹介者への信頼がそのまま商品への信頼になります。中村さんは、広告で得る信頼より人の口コミで得る信頼の方が圧倒的に強いと話しました。
名倉さんは、末松さんが良いことも悪いこともはっきり言う人だからこそ、その末松さんが言うなら美味しいのだろうと感じたと振り返ります。誰が言うかが信頼を左右するという具体例です。
中村さんは、口コミで来た客は「美味しいに決まっている」と思って店に行くため、スタート地点がまったく違うと続けます。たとえ普通のバームクーヘンでも美味しく感じるかもしれない、とまで話しました。
知らない会社なので「本当に大丈夫か」と疑われ、ゼロから信頼を作る必要がある
紹介者への信頼が乗るため「美味しいに決まっている」と思って来てくれる
紹介するのはお客様だけでなく社員かもしれない
ここまでは商品を買った側が紹介する話でしたが、中村さんは今回深掘りしたいのは「社員が紹介してくれるかどうか」だと話を進めます。自社の商品やサービス、会社そのものを、社員が人に熱く語れるかという視点です。
(社員が)自分の会社のことをこう人に対して熱く語れるかどうか、これって実際どうやろうみたいなね。
名倉さんは、自分の良いところを人に言いにくいのと同じで、会社の良いところも口に出しにくいと話します。だからこそ、まず会社の良いところを見つけることから始めないと難しいのではないかという意見です。
「紹介してください」と頼んでも広がらないのはなぜか
中村さんは、紹介は「紹介活動をしましょう」と号令をかけてやるものではないと指摘します。社内で強化月間のような取り組みがあると、聞かされる側にもそれが伝わってしまうからです。
なんぼアピールされても、うーん、まあお仕事でやってるんですよねみたいな。
名倉さんは「やらされている感が出てしまうのですね」と受け止めます。中村さんは、大事なのは自然と言いたくなる状態だと繰り返しました。
中村さんは、お客様への紹介依頼も同じだと話します。サービスの提供が終わったときに「よければご紹介ください」と頼まれても、多くの人はふわっと濁して、実際には紹介しないといいます。
やったとしても、その時限り。言われたからやりましたっていうだけのことであって、本当に紹介したかったわけではない。
一方で、社員でもお客様でも、本当に紹介したいと思っている状態になれば、放っておいても継続的に紹介してくれるようになります。中村さんは、この状態を作れるかどうかが大事だと話しました。
多くは実行されず、やっても一度きり。広がりが弱い
放っておいても勝手に継続的に紹介してくれる
お客様は動かせなくても社員は育てられる?
中村さんは、自社と直接関係のないお客様の行動を意図的に動かすのは難しいと話します。できるのはせいぜい紹介キャンペーンくらいだといいます。
名倉さんが「お礼が発生するような状況ですね」と確認すると、中村さんは、キャンペーン目当ての紹介は心からのものではないと続けます。熱さが足りないため、紹介された人が実際に動くかどうかもわからないという指摘です。
これが社内の人間だったら、まあある意味、言葉を選ばずに言うと教育できると思うんですよ。
中村さんによれば、自社の取り組みにどれだけ意味があるのかを社員に浸透させれば、社員は自分の仕事の意味を考えるようになります。その意味が腹落ちすると、目の前の作業をこなすだけでなく意識を持って働くようになり、語りたくなるというのです。
教育
自社の取り組みの意味を社員に浸透させる
腹落ち
自分の仕事の意味を考え、納得する
自覚
日々の仕事を意識を持って行うようになる
語りたくなる
自然と自社のことを人に話したくなる
自社の強みは自分たちでは気づけない
番組では、MiraQの定例研究会に参加した人の声も紹介されました。1つ目は幹部の方からの感想です。
参加した幹部の方は「強みがわからないと悩む私に、同じテーブルの皆さんが固定概念にとらわれず、周りの意見も参考にしようと教えてくれた。明日から自分の強みを周りに聞いて回りたい」と寄せています。
末松さんは、強みは自分から言いにくいものだからこそ、自分のことでも会社のことでも周りに聞くのが大事だと話します。名倉さんも、自分が思っているのと違うところが強みかもしれないと応じました。
中村さんは、研究会で自社の取り組みを聞いてもらい「ここがすごいね」と言ってもらえるのはありがたいことだと話します。MiraQには参加者同士の直接的な利害関係がないため、素の状態でいられるのも良いところだといいます。
さらに中村さんは、そうして言ってもらった強みを日々の仕事の中で発信していけば、本来の良さが際立つのではないかと続けました。
人材育成は商品開発と同じなのか
2つ目の声は経営者の方からで、「BtoBでは、一番フロントの人材が販促活動の重要な役割を担っている。つまりは人材育成が商品開発と同じで、それが売り上げに直結する」という気づきでした。
中村さんは、まさに今話している内容だと受け止めます。最前線にいる社員が自社の取り組みを語れるかどうかが、販促を左右するという意味です。
中村さんは名倉さんに、入社してからどのあたりで自分の変化を感じたかを尋ねます。名倉さんは、求人を見てたまたまの縁で入社し、最初は会社の取り組みを深く理解していたわけではなかったといいます。
最初ってただ単に作業になっちゃうんですけど、じゃあその作業って一体何なんだろうみたいなことを考え始めた時に、まあこういうことだよって教えてもらうじゃないですか。
名倉さんによると、最初は仕事の意味を教わっても「へー」「なるほど」程度だったそうです。それが繰り返されるうちに、いつの間にか「当たり前やろ」と感じるようになったといいます。
仕事は単なる作業で、意味を教わっても「へー」「なるほど」と聞く程度
意味が当たり前になり、後輩に「ただ単な作業ちゃうで」と自然に伝えている
言われた通りのことを後輩にも言う立場になったんですよね。
中村さんは、それこそが身になっている状態だと話します。社員が自分たちの仕事をしっかり語れることは商品を磨いているのと同じであり、だから人材育成と商品開発はイコールなのだと締めくくりました。
すすめられる理由を社内で話したことはあるか?
ここで名倉さんが2つ目の問いを示します。「すすめられる、すすめられない。その理由を社内で話したことはありますか?」。中村さんは、そもそもすすめられるかどうかすら話したことがない会社が多いのではないかと話します。
中村さんはミーティングで「うちのやっていることをみんな勧められるか」と聞いてみることを提案します。名倉さんが「勧められないとは言いづらい」と返すと、中村さんは「勧めたことがあるか」「熱く語ったことがあるか」と聞く方法を挙げました。
でも場面って、なんか用意されるもんじゃないもんな。
中村さんは、末松さんのバームクーヘンの話も、誰にもお膳立てされずに急に始まったと振り返ります。名倉さんは、内側から「聞いて聞いて」と前のめりに出てくる熱量こそが大事なのだと受け止めました。
社員が嬉しそうに会社を語る姿が目指す姿
中村さんの会社は「人事労務を通して働くことをポジティブに」という方向性を掲げています。中村さんが思い描くポジティブな姿は、社員が嬉しそうに「うちの会社ってね」と話している様子だといいます。
うちの会社ってね、なんかこういう思いで、こうやってこうやってこういうふうなことをみんなで頑張ってるんですよみたいなね。
中村さんは、仕事で様々な会社を訪問すると、実際にそうやって自分たちの仕事を嬉しそうに話す人がいると話します。末松さんも、そんな会社とは一緒に仕事をしたら楽しそうだと感じると応じました。
そうした状況を作るには、アピールを指示するのではなく、自社が何を大切にし、どんな企業を目指しているのかを発信することが重要だと中村さんは話します。
社員の口コミはなぜ説得力があるのか
感想を求められた末松さんは、自身が買い物のときに必ずネットの口コミを見て、しかも評価の低い順に並べて確認していると明かします。名倉さんも同じことをしていると笑いました。
末松さんは、星の数だけでは決めないものの、「届いてすぐ壊れた」といった口コミが10個ほどあれば購入をやめるそうです。これまでは買った人の口コミが大事だと考えていたといいます。
(社員が)自然と熱が出てきて、こういう商品あって、もうほんまにいいんですよみたいなぐらいで喋られたら、外部の人より内部の人が言ってる方がすごい説得力あるなっていうふうには感じて。
末松さんは、全員が自然に語れるようになるのは大変でも、まず1人2人そういう人が出てくれば、社内で商品の良さに改めて気づく人も出てくるかもしれないと話します。社内の熱量を上げていく作業が必要だという感想でした。
やっぱ好きにならないと語れないですもんね。
名倉さんは、入社した時は誰もが会社を良いと思って入っているのだから、ファンになる素質は皆にあると話します。まずは自分が会社のファンになることを目指したいと呼びかけました。
社員が熱く語らない会社に夢はあるか
最後に中村さんは、バームクーヘンの話からの気づきとして、1つのことをどれだけ熱く語れるかが大事だと振り返ります。販促の打ち手は段階ごとに変わるものの、一番有効なのは紹介や口コミだと話しました。
中村さんは、お客様に語ってもらうこと以上に、社員が語れることが大事だと改めて感じたと話します。そのための打ち手はまだまだあると締めくくりました。
次回の定例研究会は11月12日に開催され、テーマは「組織風土と企業文化」だと案内されています。
まとめ
バームクーヘン店への末松さんの熱弁は、広告費のかからない最上級の販促そのものでした。その熱量を社員が自社に対して持てるかどうかが、企業の競争力を左右すると番組は語っています。
- 人の口コミで得る信頼は、企業が広告で得る信頼より圧倒的に強い
- 「紹介してください」と頼んでも、多くは実行されず一度きりで広がりが弱い
- お客様は動かしにくいが、社員には仕事の意味を伝える教育ができる
- 自社の強みは自分たちではなく相手が決めるもので、外の声から気づける
- 人材育成は商品開発と同じであり、社員が会社のファンになることが販促につながる





