深夜の緊急収録、月曜出発で福岡へ
今回はいつもの回とは違う、番外編の緊急収録です。ひとしさんは冒頭で「もうみんなちょっと眠い」と、疲れの残る夜の録音であることを明かします。
それでも録りたかった理由は、来週に出発が迫っていたからでした。ももによれば、出発は3月2日の月曜日。飛行機で福岡へ向かうといいます。
ちょっと行ってきます。
リスナーには唐突に聞こえるであろう出発の話。実はTOKYO WASABIとして、あるビジネスイベントに出展するための旅立ちでした。
ICCサミットとは何か。奥多摩のわさび農家が参戦する理由
ひとしが向かう先として挙げたのが、ICCサミット福岡2026です。ももが「ICCって何ですか?」と尋ねる場面から、その正体が語られていきます。
ICCって何ですか?
ICCはインダストリーコクリエーション ── Industry Co-Creationの略。産業の共創を意味します。日本のトップクラスの経営者やスタートアップ企業が集まる大規模なビジネスカンファレンスとして知られますの略で、日本中からトップクラスの経営者やスタートアップ企業が集まり、ビジネスの未来を語り合うイベントだとひとしさんは説明します。
略称の読み方をめぐって「コア」なのか「コ」なのか、二人が何度も言い合う場面もありました。深夜収録らしいやり取りの中で、正しくは「コクリエーション」だと落ち着きます。
そのICCサミット福岡2026に、奥多摩のわさび農家として参戦する。それが今回の挑戦です。福岡では年に2回ほど開催されているといいます。
5つの評価軸で挑む「フード&ドリンク・アワード」
TOKYO WASABIが出るのは、数あるカテゴリーの中の「フード&ドリンク・アワード」です。ひとしによれば、出展企業は13社に5社ほどを加えた数があり、かなりの数が集まるといいます。
このアワードには5つの評価軸があります。二人で記憶をたどりながら思い出していく様子から、その内訳が見えてきます。
審査するのは、お金を払えば誰でも来られる一般客ではありません。ももによれば、来場するのは企業の代表や代表クラスの人たちだといいます。
そうした人たちが採点していく集まりが、3月2日から3日間続きます。2日は前夜祭や準備、3日と4日が本番のメインになりそうだと二人は話します。
推薦と面接を経て、思い切って挑戦を決めるまで
このアワードには、誰でも自由に出られるわけではありません。ひとしは、いつも良くしてくれている「ハヤリソーセージのタケシさん」に声をかけられたことがきっかけだったと振り返ります。
ももによれば、出展には推薦が必要で、さらに面接もあったといいます。いくつもの準備をバタバタとこなしてきたと二人は口をそろえます。
それでも挑戦を選んだのは、前回のICCを見て感動した経験があったからでした。一生懸命やるっていいよねと、ひとしは繰り返します。
胸に刻む「ICCスタンダード」
ひとしが特に大切にしているのが、ICCが掲げる理念です。まず「共に学び、共に産業を作る」という言葉があり、その上で行動指針となる「ICCスタンダード」があります。
ひとしはこのスタンダードを暗唱してみせますが、最後の一項目でやや自信をなくします。ももが資料で確認し、記憶が正しかったことがわかると「安心したわ」と胸をなでおろしました。
中でもひとしが繰り返し語ったのが「全員対等、全員真剣」でした。役職で言葉を聞くのではなく、その人のアイデアや言葉そのものを素直に受け取り、行動していきたいと話します。
フード&ドリンクのコンセプトが「食の可能性を発見する」であることにも触れ、この考え方も大事にしたいとひとしは語ります。
初めてのブース出展。Slackが教えてくれた準備の大変さ
準備の大部分を担ったのはたっちゃんでした。ひとしは「たっちゃんがいなかったら多分準備できてない」と、その働きに感謝します。
今回の準備を通じて、3人は初めて本格的にSlack ── チームでのやり取りに使われるビジネス向けのチャットツール。プロジェクトごとに会話を整理でき、提出物のリマインドなどにも使われますを使うことになりました。使い慣れないツールに戸惑いながらも、良い練習になったと振り返ります。
たっちゃんは、アプリを開く癖がつかないと通知に気づけないと語ります。ももは、パソコンのデスクトップにわざと表示させて対策したといいます。
提出物の期限が次々とやってくる中で、リマインドが届く場面もありました。
(Slackに)たっちゃん、出てないですって(リマインドが来ます)。
初めてのブース出展であり、プレゼンをしてアワードに臨む形式も初めて。ツアーやワークショップで話す機会は多い3人ですが、こうしたイベントは勝手が違うと口をそろえます。
ひとしは、心の準備だけでなく金銭面も思ったよりかかると正直に打ち明けます。それでも気合を入れて臨みたいと話しました。
たっちゃんが背負うプレゼン。喉との戦い
プレゼンの中心を担うのはたっちゃんです。ももは「たっちゃんに託して」と、その役割を委ねます。
(プレゼン)できるかな。
たっちゃんなら大丈夫。
僕ならできる。はい、大丈夫です。
不安を口にしつつも、たっちゃんは自分を奮い立たせます。ただ、これほど大勢に話す機会は初めてで、最終日には声がカラカラになりそうだと心配します。
話の流れは、キャニオニングで川の音に負けないよう遠くから叫び慣れているひとしの声の話にも及びます。森の中では声が通らないたっちゃんとの対比が、二人の日々の仕事ぶりをのぞかせます。
出発前の正直な気持ちと、それぞれの目的
ひとしは、出発を前にそれぞれの目的を確認していきます。まずたっちゃんが挙げたのは、自己紹介や説明を鍛える機会としての価値でした。
1分にまとめて話すとか、お互いの時間を有意義に使うには、分かりやすい説明がいい。
たっちゃんは、伝えたいことを分かりやすく短くまとめる練習になると語り、自分を見つめ直す機会だと受け止めます。
ももが期待するのは、人とのつながりです。今まで出会ったことのない、違う分野の人たちに出会えるチャンスだと話します。
(違う分野の人と)繋がりが結構できたらいいかなとは思うよね。
一緒に出展するヨーグルトの会社や、お酢、北海道のミズダコなど、他社の食にも興味は尽きません。たっちゃんは、以前の顔合わせのパーティーでAIやインクルーシブ、社会課題に取り組む企業とも出会ったと振り返ります。
ももが楽しみにしているのがヘラルボニー ── 知的障害のある作家のアートを社会に広げる事業を手がける企業。岩手県盛岡市発の会社として知られますです。地元・盛岡の会社の社長がプレゼンする時間があると聞き、会えるかどうかを気にかけていました。
名刺という「お勉強」と、支えてくれる人たち
今回の出展にあたり、3人は名刺入れを用意しました。たっちゃんにとっては初めての名刺入れで、二人が届けてくれたといいます。
もともと3人は、紙の名刺を配る文化にあまりなじみがありませんでした。ホームページを調べればよいのではないか、ペーパーレスがよいと考えていたとももは打ち明けます。
しっかり個人を売るっていうところが、ちょっともうお勉強になってるなっていうか。
ビジネスをやっていく上で、名刺はまだまだ必要なんだと実感する。それ自体が、この挑戦から得た学びの一つになっていました。
ひとしは、出展を支えてくれる人たちへの感謝も口にします。ももの親友で鹿児島から手伝いに来てくれる「かわちゃん」、紹介してくれたタケシさんやマユミさん。こうしたつながりのありがたさをかみしめます。
試食に込めた「東京の水」の物語
アワードでは試食も行われます。TOKYO WASABIが何を持っていくのか。たっちゃんは「東京を詰め込んでいく」と語り、そのテーマは「東京の水」だと明かします。
今回は東京を詰め込んでいきます。東京の水を。
わさびは常に水が流れる環境で育ちます。その水は街へと流れ、豆腐になる。さらに水は海へと流れ、東京の塩になる。この水の流れを試食で表現するのが、3人の狙いでした。
わさび田
常に水が流れる環境で育つ奥多摩のわさび
街
その水が流れて生まれる豆腐
海
さらに水が流れて生まれる伊豆大島の塩
構成はシンプルです。豆腐にわさびをのせ、塩でいただく。たっちゃんは、そのシンプルさに手応えを感じている様子でした。
タンクトップで乗り込む、世界へのブランドづくり
話は準備の最終確認へと戻ります。提出物も送るものも済ませ、あとはたっちゃんがプレゼンの練習を重ねるのみ。忘れ物をしないようにと、ももは念を押します。
ひとしは、この挑戦の先にある思いを語ります。東京わさびを、世界に通用するブランドにしたい。日本を代表するブランドとしていけるよう頑張ろうと呼びかけました。
最後まで話題になったのが、たっちゃんの服装です。いつも通りタンクトップで乗り込むといい、「つまみ出されちゃうかも」と自ら笑いを誘います。ひとしは、その時は自分が代わりにやると請け合いました。
タンクトップでつまみ出されちゃうかもしれないな。
緊急でICC福岡に行ってきますという報告で、深夜の収録は締めくくられました。次回は現地レポート、または事後報告が語られる予定です。
まとめ
奥多摩のわさび農家TOKYO WASABIが、ICCサミット福岡2026への出発を目前に控えた深夜に緊急収録。初めてのブース出展とプレゼンへの不安を抱えながらも、3人はそれぞれの目的と意気込みを正直に語りました。
- TOKYO WASABIはICCサミット福岡2026の「フード&ドリンク・アワード」に、推薦と面接を経て初出展する
- アワードは美味しさ・サステナブル・アルチザン・ブランディング・共感の5つの軸で評価される
- 試食は「東京の水」をテーマに、奥多摩のわさび・隣町の豆腐・伊豆大島の塩で構成する
- 初めてのSlackや名刺入れなど、準備そのものが3人にとっての学びの機会になった
- ひとしは、東京わさびを世界に通用するブランドにしたいという思いを語った




