雑ポday vol.7と、しゃべり足りない部の番組紹介
この回は、まいこうさんが主催する配信企画「雑談系ポッドキャストの日」、通称雑ポday ── 「あなたが雑談と思えばそれは雑談」を掲げる配信企画。雑談系の番組もそうでない番組も、自由に雑談してよいという何でもあり企画ですのvol.7に参加した回です。
「しゃべり足りない部」は、まいこうさんが一人で雑談する本編を中心に配信している番組です。スピンオフの「しゃべり足りない部の日報」や、5人で週替わりに配信するグループ番組「よるのとびら」もやっています。
まいこうさんはさらに、LISTENのメンバーシップ「rooom」で「しゃべ足りの部室」も運営しています。半分以上は無料で聞けるコンテンツで、本編ではやらないニッチな話をしているそうです。
そして「どさくさに紛れて告知」として、11月21日(土)に都内で初のオフラインイベントを開くことも明かされました。かなりこじんまり開催する予定で、少人数でも実施するとのことです。
忘れがちな「声質問題」
今回の雑ポdayのオープニングトークテーマは「忘れがちなこと」です。まいこうさんはこのテーマに軽く触れてから、自由に雑談していきます。
最初に挙がったのが「忘れがちな声質問題」です。まいこうさんの声は、元気に配信していてもキャピキャピにはならず、落ち着いていると言われることが多いそうです。
問題は、その声がとにかく通りにくいこと。居酒屋で「すいませーん」と言っても雑音にかき消され、手を上げないと店員に気づかれないほどだといいます。
雑音紛れ声なんですよ、わたし。あの居酒屋とかで「すいませーん」って言っても、雑音にかき消されて「すいません」が通らないことが多いんですよ。
子どものころから電話で男性に間違われたり、声を真似されたりして、「この声が気持ち悪くて嫌だ」と感じていた時期もあったそうです。真剣に声帯の手術を考えていたこともあったといいます。
それがポッドキャストを続けるうちに、「その声も好きです」と言ってくれる人が増え、まいこうさん自身も自分の声を好きになれてきたそうです。
まあそれまではね、真剣に、あの、声帯を手術することを考えてましたからね。数十万かけて手術しようかなって。
ただ、リアルイベントの機材体験に行くと、通りにくさをまざまざと思い出すといいます。ガヤガヤした「PodcastBar」で機材メーカーの人に質問しても、声がかき消えてしまうそうです。
だからこそ、リスナーが声を褒めてくれるおかげで忘れがちだけれど、声質の通りやすさは配信活動にとって結構致命的だと、まいこうさんは改めて感じたと話しています。
消えていく博多弁と、思い出しリハビリ配信
もう一つの「忘れがちなこと」が方言です。まいこうさんは福岡の出身で、今は関東近郊に住んでいるため、地元の博多弁をどんどん忘れていくのが悲しいと語ります。
方言は外国語と同じで、使わないと忘れていくもの。まいこうさんは英語もしゃべる人と話すと思い出すそうで、方言も同じだといいます。
そこで、一人で「思い出し博多弁配信」をやろうと考えているそうです。というのも、配信でも日常でも家族以外にはほぼ敬語で話すため、そもそも方言が出る場面がないからです。
基本敬語でしゃべってるから方言が出ようもないんですよ。
番組内では、地元の友達と話すイメージを再現するデモも披露されました。長崎と福岡に行った合宿の話を、まるごと博多弁で語っていきます。
久しぶりに行ったらやっぱりなんかみんなちょっとお酒が強すぎて、九州の人。なんか三時とか四時とかになっても、なんかみんなすごい元気で。
ただ、まいこうさんは博多弁には「市民権がない」とも言います。関西弁はテレビで浸透しているけれど、博多弁で話すと「不思議な言葉でしゃべっている人」に見られがちだそうです。
博多弁は語尾などが変わるだけで、全編が別物になるほど強い方言ではありません。それだけに、方言配信をまいこうさんがやる意味があるのか迷いもあるようです。
なんか博多弁ってさ、可愛い方言ランキングに入っとうことも多いけどさ、そうじゃなくてさ、あの多分可愛い子が博多弁しゃべっとるだけなんよね、それは。
それでも、BMSGやBE:FIRST、MAZZELなど博多弁のアーティストが増え、若者にも少しずつ浸透してきたことにも触れつつ、いずれ別枠で「思い出し博多弁リハビリ回」をやりたいと話しています。
『ボーイズ・オン・ザ・ラン』から『アイアム ア ヒーロー』へ
話題は、まいこうさんが大好きな青年漫画へ移ります。きっかけは、福岡での合宿でのコラボ収録でも触れたという花沢健吾さんの作品でした。
まいこうさんはまず、映画をきっかけに『ボーイズ・オン・ザ・ラン』の漫画を全巻読んだそうです。冴えない会社員が、彼女になりそうな人を大手企業の営業マンに取られながらも頑張る物語です。
「最後は胸糞悪い」と聞いて身構えていたそうですが、実際に読むと「めっちゃいい最終回」だったといいます。まいこうさんは自分の胸糞耐性が高いだけだったのかもしれない、と振り返ります。
その流れで、同じ花沢さんの『アイアム ア ヒーロー』 ── 花沢健吾さんによる漫画。冴えない漫画家アシスタントの主人公が、ゾンビが蔓延した日本を生き抜く姿を描く作品で、大泉洋さん主演で映画化もされましたの完全版全22巻を読み終えたそうです。
主人公は屈強なわけではなく、趣味のクレー射撃で得た猟銃だけを頼りに、ゾンビだらけの日本を生きていきます。まいこうさんは「あっという間に読み終えた」と話します。
面白さのポイントは、アクションだけではないといいます。主人公がかなりダメなやつで、葛藤しながら進んでいくところが良かったそうです。
ちゃんと読んでみて、「ああ、なんでもっと早く読まなかったんだろう」とも思ったし、他の作品も読みたいなって思った。
青年漫画が好きな理由は「嘘のない情けなさ」
『ボーイズ・オン・ザ・ラン』と『アイアム ア ヒーロー』を読んで、まいこうさんは自分が青年漫画のどこを好きなのかを改めて考えたそうです。
少女漫画はファンタジーな恋愛が中心で、欲や生々しい部分は描かれにくい。少年漫画のバトルものも、友情・努力・勝利にフォーカスして誇張して描くと、まいこうさんは整理します。
恋愛や友情・努力・勝利など、テーマにフォーカスして誇張して描く。人間のダメな部分は露出しにくい
日常に非日常が起きる中で、人間の情けない部分を淡々と、たくさん描く
まいこうさんが挙げるもう一つの好きな作家が、浅野いにおさんです。最初に読んだのは短編集『素晴らしい世界』で、普通の生活に少しだけ非日常が混じる感じが良かったといいます。
ここでまいこうさんは、非日常性をまとめて「ファンタジー」と呼んでいます。事件が起きることや、タランティーノ作品・北野武監督作品のような演出も、広い意味でのファンタジーだそうです。
では、なぜ青年漫画にそんなに惹かれるのか。まいこうさんは、人間の情けない部分は誰かが肯定しないと、という思いがあるからだと語ります。
「完璧にやります、頑張ります」でいると疲れていくし、自分の情けなさは肯定してほしい。でも日頃、本当に情けない部分を出すのは難しい、とまいこうさんは言います。
花沢さんの作品を読むと、「あるよね」「これはちょっと嫌かも」と自分に置き換えられる。しかも情けなさを全肯定するのではなく、「こんなんじゃいかんな」と思いながら読めるのが良いそうです。
情けないあなたにも寄り添いますみたいな感じはちょっと嫌で、なんかそういう感じでもなくねっていうのが良かったなと思いますね。
なお、花沢健吾さんと浅野いにおさんが仲良しだと今回知って、「早くに気づけよ」と思ったとも明かしています。もっと早く読みたかった後悔と、今読めて良かった気持ちが混ざっているようです。
誰にでも同じテンションだから、情けなさはいつでも出てくる
『闇金ウシジマくん』も、消費者金融を扱う胸糞な作品ですが、情けないシーンが連発すると、まいこうさんは言います。「そこで借りないで」「借りたお金でそれはやるな」と思う場面ばかりだそうです。
それでも情けなさがベースにあるから、淡々と描かれる。過剰にフォーカスも肯定もしない、その距離感が良いとまいこうさんは話します。
まいこうさんは、青年漫画が一番自分と重なると感じています。誰に対しても同じテンションで生きるタイプで、家族と家族以外で態度が変わらないからです。
つまり、自分の情けなさはいつでも出てくる可能性がある。だからこそ、人間の情けなさを踏まえて描く青年漫画が、いちばんしっくりくるのだといいます。
誰に対しても同じテンションで生きているタイプなんで、(自分の情けなさが)いつでも常に出てくる可能性があるんですよね。
そんなこんなで、雑ポdayのタイミングに合わせて「青年漫画と嘘のない情けなさが好き」という話を、まいこうさんは語り終えました。
まとめ
忘れがちな声質や消えていく博多弁の話から、青年漫画に惹かれる理由まで、まいこうさんの視点がゆるくつながっていく回でした。共通していたのは、飾らない自分の情けなさとどう付き合うか、というまなざしです。
- リスナーが声を褒めてくれるおかげで忘れがちだが、声の通りにくさは配信活動には結構致命的だとまいこうさんは感じている
- 使わないと忘れていく博多弁を、一人での「思い出し博多弁リハビリ回」として別枠でやりたいと考えている
- 花沢健吾さんの『ボーイズ・オン・ザ・ラン』『アイアム ア ヒーロー』を続けて読み、青年漫画の面白さを再確認した
- 青年漫画を好きな理由は「嘘のない情けなさ」。過剰に肯定も誇張もせず淡々と描く距離感に惹かれている
- 誰にでも同じテンションで生きるまいこうさんにとって、情けなさを踏まえて描く青年漫画が一番しっくりくる





