NVIDIAがくしゃみをすれば市場が風邪を引く?
番組冒頭、二人はまず、一企業の決算が世界経済を左右する現状を確認します。
皆さんこんにちは。「米国株投資の耳よりな話」へようこそ。
よろしくお願いします。
いやー、実はですね、本日早朝の重要イベントをリアルタイムでチェックするために、ものすごく眠いんです。でも、次々と出てくる決算データを見ていたら、なんだかアドレナリンが出てきちゃって、すっかり目が冴えてしまいました。
そうですよね。ただ、その眠気を代償にしてでもリアルタイムで追うべき、まさに現在のグローバル経済の中心地と言える発表でしたからね。
間違いないですね。昔はよく経済のニュースで、アメリカがくしゃみをすれば世界が風邪を引くなんて言われてましたけど。今の株式市場を見ていると、完全にそのNVIDIAがくしゃみをすれば市場全体が風邪を引くっていう状態じゃないですか。
一企業の業績がですね、AI産業だけじゃなくて、半導体のサプライチェーンとかエネルギーインフラ、さらには各国の国家予算の使い道にまで影響を与えるような、そういうフェーズに入ってますからね。
だからこそ、世界中の投資家がもう固唾を飲んで今日この日を待っていたわけですよね。
そうです。今日のデータは、単なる一企業の通信簿ではなくて、世界経済の先行指標として読み解く必要があるんですよ。
圧巻の好決算とデータセンター部門の異次元成長
ホストが決算を一言で表すよう求めると、解説者は端的なキーワードで答えます。まずは前半の「圧巻のファクト」を数字で確認していきます。
ズバリ言うと、圧巻の好決算と高次元の期待工作、この一言に尽きると思います。AIインフラ需要っていう強烈な追い風で記録的な成長を叩き出したファクトと、市場が勝手に織り込んでいた高すぎるハードルがぶつかり合った決算と言えますね。
売上高が962.21億ドルで、前年同期比プラス106パーセント、純利益が596.88億ドルでプラス126パーセント。EPS一株当たり利益も2.46ドルでプラス128パーセント。これ凄まじい数字なんですけど、やっぱり特に注目すべきはデータセンター部門ですよね。
ええ、全くその通りです。データセンター部門の売上がですね、880億ドルに達して、前年比でプラス117パーセントになっています。
880億ドル。全体の売り上げの9割以上、ここが稼ぎ出しているってことですよね。
そうなんです。次世代アーキテクチャーであるベラルービンの量産出荷が進んでるんですけど、マイクロソフトのアジュールとかGoogle Cloud、AWSといった主要なハイパースケーラーからのインフラ投資が全く減速していないんです。むしろ彼らはAIモデルをさらに高度化するために、単一のGPUじゃなくてラック単位とか、データセンター丸ごとっていう規模でシステムを構築しようとしていまして、システム全体としての需要がこの圧倒的な成長を牽引しているわけです。
でも前年比で2倍以上の成長って、規模が大きすぎてちょっとピンとこないんですけど。例えるなら、すでに新幹線並みの猛スピードで走っている巨大な列車が、走りながらさらに倍の速度にドーンと加速しているようなものですよね。普通なら摩擦とか空気抵抗で空中分解しそうじゃないですか。
その列車のたとえで言うならですね、今は列車自体が加速しているだけじゃなくて、走りながら新しい線路を引きつつ、駅を作り、さらに動力の電気から原子力へとアップグレードしているような、そんな状態なんです。
もうむちゃくちゃですね、それ。
ええ、しかもデータセンターの部分だけじゃなくて、エッジコンピューティングなどの部門も売上高72億ドルで前年比プラス27パーセントとしっかり伸びてるんですよ。PC向けのAIチップとか、産業向けのエッジAIデバイスの実用化が進んでいる証拠ですね。クラウドでの大規模な処理と手元での推論処理、この両輪がしっかり回り始めているんです。
たった1パーセントの粗利率低下が嫌気された理由
続いて話題は未来の見通しへ。第3四半期ガイダンスは強気でしたが、市場を揺さぶった焦点は粗利率でした。ホストは「たった1パーセント」の低下がなぜ問題視されるのかを問います。
次の第三四半期の見通し、ガイダンスも発表されましたけど、ここもかなり強気だったんですよね。
そうですね。第三四半期の売上高見通しは、1080億ドルプラスマイナス2パーセントの範囲と発表されました。ついにたった3ヶ月の四半期だけで1000億ドルの大台を突破する見込みなんです。市場の事前予想が大体1030億から1040億ドルくらいでしたから、それをしっかり上回る強気な姿勢ですね。
これってものすごいハンデ戦の中で出た数字ですよね。米国の輸出規制の影響で、かつての巨大市場だった中国向けのデータセンター用チップの売り上げが、今は実質1パーセント未満にまで縮小しているって聞きましたけど。
まさにそこが現在のAI需要の異常な強さを示している部分なんですよ。中国市場っていう巨大な需要を失った穴をですね、他の地域の需要が完全に埋め合わせて、さらに上に押し上げているんです。中東諸国とか欧州でのデータセンター投資がかなり活発化していまして、供給さえ追いつけばまだまだ売り上げは伸びるっていう状態なんですね。
つまり需要が減ったわけではなくて、むしろ世界中で引っ張りだこになっていると。ただ、ここからがさっきおっしゃっていた高次元の期待工作のちょっと厄介な部分なんですけど。今回の決算で株価を一時的に大きく揺さぶった最大の焦点が粗利率でしたよね。
ええ、一番の焦点になったのが粗利率ですね。第三四半期の粗利率の見通しが74.0パーセントと発表されました。これは第二四半期の実績である75.0パーセントから1.0ポイント低下する見通しになります。
いや、ここちょっと待ってください。75パーセントが74パーセントになっただけですよね。ハードウェアを売っている企業で粗利率が74パーセントって、一般的なビジネスの感覚からすると、十分すぎるほど儲かってるじゃないかって思うんですけど。なぜこのたった1パーセントの低下が市場でこれほどネガティブに捉えられるんですか?
当然の疑問だと思います。絶対値で見れば間違いなく異次元の高収益なんですよ。ただ、市場が懸念したのは、低下したっていう方向性そのものと、その背後にある構造的なハードルなんです。この低下の主な要因は、次世代チップであるベラルービンとかブラックウェルウルトラの量産立ち上げに伴う初期コスト、つまりランプアップコストの増加にあるんです。
でもそれって過去の製品サイクルでも毎回起きていたことじゃないんですか?なぜ今回だけ特別視されるんでしょうか。
それはですね、今回の世代交代が過去とは比べ物にならないくらい物理的とか技術的な難易度が高いからなんです。現在のNVIDIAの最先端チップっていうのは、もう単なるシリコンの塊ではないんですよ。TSMCのCoWoSって呼ばれる高度なパッケージング技術を使いまして、巨大なGPUコアの周りにHBMっていう高帯域メモリを隙間なく配置して、それを一つの巨大なシステムとして統合しているんです。
つまり、作るのがめちゃくちゃ難しいパズルをさらに巨大化させて複雑化させているようなものだと。
まさにその通りです。回路の微細化がもう物理的な限界、いわゆるレチクルリミットに近づいているので、少しの熱の歪みとかミクロン単位のズレが良品率の低下に直結してしまうんです。でも市場はNVIDIAならこの物理法則の壁すらも軽々と超えて、利益率を前四半期よりさらに上げてくるはずだっていう、完璧以上の完璧を求めていたんですよ。
テストで毎回100点を取っていた優等生が、問題の難易度が大学レベルに跳ね上がったにも関わらず99点を取った。それなのに市場は成績が落ちた、成長が止まったって大騒ぎをしているわけですね。
ええ、そういう厳しい世界なんですよね。
需要の質が変わった、ソブリンAIと多極化
数字のノイズから一歩引いて、投資家が本当に見るべき本質へ。解説者は「需要の質」の劇的な変化を三つのポイントで整理します。
そういった数字のノイズから一歩引いて、投資家が本当に見るべき本質的なポイント、今回のハイライトはどこだったのでしょうか。
今回最も重要なハイライトはですね、需要の質が劇的に変化していることなんです。ポイントの一つ目は、顧客基盤の拡大と多極化です。これまでNVIDIAの屋台骨はハイパースケーラーと呼ばれる一部の巨大IT企業でしたよね。でも今回、国家単位で独自のAIインフラを構築する、いわゆるソブリンAIや一般企業、あとは新興AI企業向けの売り上げが前年比プラス138パーセントという驚異的な成長を見せたんです。これはハイパースケーラー向けの成長率であるプラス102パーセントを大きく上回っているんですよ。
ソブリンAIって最近よく耳にしますけど、なぜ各国政府はわざわざ自前で莫大なお金をかけてAIを作りたがるんですか?GoogleとかMicrosoftのクラウドを使えばもっと安く済むのに。
それはですね、データ主権と安全保障の問題が絡んでいるからです。例えば日本とかフランス、UAEといった国々は、自国の文化とか法律、そして機密データがアメリカの一企業のサーバーに吸い上げられてブラックボックス化されることを極度に警戒しているんです。自国の言語や価値観に最適化されたAIモデルを自国内のインフラで動かす。これはもう単なるIT投資ではなくて、かつての鉄道網とか電力網を国家策で整備するのと同じ国家インフラ防衛のフェーズに入っているんですよ。
ということは、特定の巨大企業がもう投資やめたって言ったらNVIDIAの売り上げが止まるっていう段階はもうとうに過ぎていて、国家予算レベルの底堅い実需に支えられ始めていると。これはめちゃくちゃ大きな構造変化ですね。
そうなんです。そして二つ目のハイライトは、サプライチェーンのボトルネックの実態です。需要が減速している兆候は一切なくて、むしろ需要に対して供給が全く追いついていないっていう強烈な供給制約が継続していることが確認されました。
ポジティブな悩みというか、作れば作るだけ売れる状態ですね。
はい。そして三つ目は強固な財務基盤です。純利益率60パーセント超という驚異的なキャッシュ創出力によって、莫大な研究開発費用を自己資金で賄いながら、株主還元も強化できるっていう無双状態が続いています。
顧客の裾野は国家レベルに広がり、作れば作るだけ売れ、手元には現金が唸るほどあると。これだけ完璧なファンダメンタルズなのに、発表直後の時間外取引でNVIDIAの株価が一時3パーセントから5パーセントも下落したのは、さっきおっしゃっていた完璧以上の完璧を求めたからですか。
そうです。いわゆるウィスパーナンバー、市場のささやきとのギャップですね。アナリストの公式なコンセンサス予想はクリアしたんですけど、熱狂的な一部の投資家とかオプション市場が勝手に織り込んでいたさらに派手な上振れには届かなかったんです。つまり、ファクト、事実で売られた典型的なパターンですね。それに加えて、粗利率のわずかな低下見通しが、短期的な値幅を取りに来ているアルゴリズムトレードなどの売りを誘発してしまったんです。決して長期的な企業価値が毀損したわけではないんですよ。
公式のハードルはしっかり超えたんだけど、みんなの頭の中にあった非公式のめちゃくちゃ高いハードルに足が引っかかって、短期筋が利益確定に走ったわけですね。
NVIDIAショックが分けた関連セクターの明暗
エヌビディアが巨大化するほど、決算の波及効果も強烈になります。ホストと解説者は、今回大きく動いた関連セクターの明暗を整理していきます。
NVIDIAがこれだけ巨大化すると、この決算が引き起こす波及効果、他セクターへの影響も強烈ですよね。今回大きく動いた関連セクターについて整理していきたいんですが。
ここは非常に興味深い明暗が分かれました。まず、半導体を実際に作っているサプライチェーン側ですね。TSMCやSKハイニックスなどはまちまち、あるいはやや軟調な動きを見せました。
なんでですか?NVIDIAが供給不足で困るほど売れているなら、製造を請け負っているTSMCとかHBMメモリを提供しているSKハイニックスはもっと株価が上がってもいいはずですよね。
理屈の上では全くその通りです。実際、NVIDIAの中長期の製造受注を示すバックログ、受注残ですね。これが約2790億ドル規模に積み上がっていまして、ファンダメンタルズは極めて良好なんです。ただ、株式市場では半導体セクター全体のETFなどのバスケットを通じて売買されることが多くて、NVIDIA本体の株価が下落すると、センチメントの悪化から連れ合わせしてしまうんです。中長期目線の投資家にとっては押し目買いの好機と捉える動きもあって、かなり値動きが荒くなりましたね。
業績が悪いから売られたわけじゃなくて、セクター全体が引っ張られてしまったんですね。一方で、調子が良かったセクターはどこですか。
非常に強かったのがネットワークインフラ関連です。決算資料の中で、データセンター向けの超高速ネットワーク部門の売り上げが前年比プラス138パーセントと爆発的に成長していることが明記されました。これを受けて、アリスタネットワークスなどに代表されるネットワーク機器関連の企業群へ一気に資金が向かいました。
GPU単体の性能が上がるだけじゃなくて、それらを繋ぐ配管の部分が重要になっていると。
ええ、その通りです。何万個ものGPUを連携させて、一つの巨大なAIモデルを動かす場合、GPU同士の通信遅延、いわゆるレイテンシーがボトルネックになるんです。だから、光ファイバーとかイーサネットスイッチなど、広帯域のネットワーク技術への投資が今GPU本体と同じくらい急務になってるんですよ。
じゃあ逆に苦しい立場になったセクターはありますか。
苦しい立場が明確になったのがNVIDIAのライバル企業たちです。AMDやIntelなどは連れ合わせ傾向となりました。データセンター市場の9割近くを維持して、さらに次世代チップへの移行も順調に進めていることで、NVIDIAの供給不足の隙をついてシェアを奪えるのではないかっていう市場の淡い期待が打ち砕かれた形ですね。
二番手以下につけ入れる隙を全く与えない圧倒的な強さですね。じゃあ、そのNVIDIAのチップを爆買いしている側、大手のハイパースケーラーたちはこの決算をどう受け止めているんでしょうか。
マイクロソフト、Amazon、Google、Metaといったビッグテック企業にとっては、大きな安堵感をもたらす結果となりました。
安堵感ですか。ここちょっと突っ込んで聞きたいんですけど。最近の市場では、ビッグテックはAIインフラに何十兆円も投資しているけど、結局それはChatGPTみたいな賢いチャットボットを作っているだけで、いつその莫大な投資の元が取れるの?っていう疑念が渦巻いていましたよね。今回の決算で彼らが安堵する理由があったんですか?
そこがまさに今回の決算の核心を突く質問ですね。NVIDIAのジェンセン・ファンCEOは、今回の発表で「AIコンピューターは今や直接的な収益源になっている」と明言したんです。実はビッグテックはもう賢いモデルを作るための実験にお金を使っているわけではないんですよ。例えば、MetaはAIを使った広告ターゲティングの大幅な精度向上によって、すでに広告収益を爆発的に伸ばしています。MicrosoftもCopilotのサブスクリプションとか、クラウド上のAIのAPI提供で着実に実利を上げているんです。
つまり、実際にビッグテックの決算の裏側で、AIによる収益化のエコシステムがしっかり回り始めている。だから彼らは買い続けているんだぞという証明になったわけですね。
その通りです。AI投資の手を緩めれば、逆に競合に収益シェアを奪われるっていうフェーズに入っているため、AI関連株全体のセンチメントを支える大きな要因となりました。
AIブームで起きている三つの質的変化
さらに話は電力インフラへ。データセンターの巨大な消費電力が原子力関連にまで波及すると解説者は説きます。そのうえで、AIブームで起きている三つのフェーズ移行を整理します。
もう一つ、今回の中長期的な視点で極めて重要だったのが、電力インフラセクターへの波及です。現在のデータセンターの消費電力はですね、もはや規模の大きな工場っていうレベルを超えて、中規模の都市一つ分に匹敵する電力を単一の施設で消費するようになっているんです。四半期で1000億ドル規模のハイパワーなAIチップが世界中に出回るということは、既存の電力網ではとても賄いきれないんですよ。安定したベースロード電源としての原子力発電や次世代のSMR、小型モジュール炉関連企業への資金流入の根拠が今回の決算によって完全に正当化されたんです。
NVIDIAの決算を見るっていうのは、単にGPUがいっぱい売れましたっていう話じゃないんですね。超高速ネットワークの配管工事からライバルとのシェア争い、ビッグテックの広告収益の裏側、さらには世界の電力網やエネルギー政策がどう動いていくかまで。なんだか世界の現在地を測るGPSみたいな役割を果たしているんですね。
まさにその通りです。私は今回の決算から、現在のAIブームにおいて三つの大きなフェーズ移行が起きていると分析しています。一つ目はビッグテックの爆買いから需要の多極化、実需への移行です。これまでのAI投資は、一部の巨大IT企業がAI覇権を握るために行う先行投資、陣取り合戦のようなものでした。しかし今は、国家の安全保障目的や一般企業が業務効率化、医療における創薬プロセスの短縮など、明確な実需に基づいてインフラを購入し始めています。一時的なバブルではなくて、経済のインフラとして深く根を張り始めたということです。
特定の企業が主導するブームから、世界中のあらゆる産業がインフラとして使い始めるスタンダードへの移行ですね。では、二つ目の変化は何ですか?
二つ目はモデルの学習から推論、実用への移行です。AIの計算には大きく分けて二つの段階があります。膨大なデータを読み込ませて賢いモデルを作るための学習、つまりトレーニング。そして、その賢くなったモデルに実際の質問を投げて答えを出力させるための推論、インファレンスです。
巨大な工場を建設するフェーズと完成した工場を稼働させて製品を作るフェーズの違いみたいなイメージでしょうか。
素晴らしい。まさにそのイメージです。これまではいかに巨大な工場を作るかに莫大な計算リソースが割かれていましたが、現在は完成した工場を24時間フル稼働させて、世界中のユーザーのリクエストに応答する推論の需要が爆発的に伸びているんです。企業がAIを使って直接的にマネタイズする段階へシフトしているんです。推論の処理においては、ユーザーへの応答速度が命になるため、ここで先ほどのネットワーク機器の需要が連動して爆発するわけです。
工場を作って終わりじゃなくて、そこから莫大な量の製品を出荷するための道路網とか物流網が必要になっている。だから点が線でつながるんですね。では、最後の三つ目の変化をお願いします。
現在はボトルネックが極めて重厚長大化しています。
え?チップを作るだけじゃダメなんですか?
ダメなんです。チップ自体の性能が上がりすぎて、発熱量も異常なレベルに達しているんです。空気を循環させる従来の空調ではもう冷やしきれなくて、サーバラックに直接冷却水を循環させる液冷インフラの導入が必須になっています。さらに、それに電力を供給する変圧器や送電網、データセンターを建てるための広大な土地と水源の確保。チップ本体、HBMメモリー、液冷システム、電力網、不動産。これらのピースが一つでも欠ければ、最新のAIインフラは稼働しないんですよ。
いやもうプログラミングとかソフトウェアの話じゃないですね、これ。完全に国家レベルの巨大な土木工事とか重化学工業みたいな物理的なインフラ構築の世界になっている。
その通りです。AIブームは、画面の中で動く便利なチャットボットっていうソフトウェア的な世界から、データセンターという巨大な物理的施設を稼働させるための、重厚長大なサプライチェーンの構築っていう、総合戦へと質的に進化しているんです。
需要の多極化
ビッグテックの爆買いから、ソブリンAIや一般企業の明確な実需へ移行している
学習から推論へ
賢いモデルを作る段階から、完成モデルを24時間稼働させて稼ぐ実用フェーズへ移行している
ボトルネックの重厚長大化
チップだけでなく、ネットワーク・液冷・電力網・不動産を巻き込む物理インフラの総合戦になっている
舞台の裏方にこそ次の投資のヒントがある
情報量の多い議論の締めくくりとして、二人は重要ポイントを三つに整理します。最後に解説者は、リスナーへ今後につながる視点を提供します。
情報量が非常に多かったので、ここで頭の整理をしておきましょう。重要なポイントは大きく三つでしたね。一つ目。決算自体は四半期で売上1000億ドルを見込むという圧倒的な数字でしたが、株式市場は完璧以上の完璧を求めていたため、次世代チップ製造の難易度上昇に伴う粗利率のわずかな低下見通しを嫌気して、短期的に株価は調整したということ。
二つ目。需要の裾野はハイパースケーラーと呼ばれる巨大IT企業にとどまらず、国家レベルのソブリンAIや一般企業へと急拡大しており、特定企業への依存リスクは薄れて、需要の底堅さが分厚くなっているということ。
三つ目。現在のAIブームは、AIを作る段階からAIを使って稼ぐ実用化のフェーズへ移行している。それに伴い、単にGPUを作る能力だけでなく、超高速ネットワーク、液冷システム、そして莫大な電力インフラを巻き込む重厚長大な総合戦へと質的な進化を遂げているということでした。
今日の議論のポイントを押さえておけば、明日からの経済ニュースや株式市場の動きが、単なる点ではなくて線としてつながって見えてくるはずです。
最初はただNVIDIAっていう半導体メーカーの決算がどうだったかっていう話だったのに、最後はエネルギー産業とか国家の安全保障インフラにまで話がつながっていくとは、なんだか世界の裏側のダイナミズムを見たような気分です。
最後に、リスナーの皆さんへ一つ、今後につながる視点を提供したいと思います。今日議論したように、AIは今や単なるクラウド上のソフトウェアではなく、莫大な電力と物理的なインフラを消費する実体経済そのものです。皆さんも、次に新しく発表されたAIモデルとか、驚くようなAIサービスのニュースを見かけた時はですね、この裏側にある熱を持った巨大なサーバーを冷やしているのはどこの企業だろうとか、これを動かすための電力を安定供給しているのは誰だろう、という視点を持ってみてください。
誰もが注目する、華やかなAIの舞台の裏方にこそ、次の大きな投資のヒントが見つかるはずです。
みんながスマホの画面を見つめて、わーAIすごいって驚いている間に、足元の配管とか冷却装置、発電所の動きに目を向けろということですね。
そういうことです。
それでは、超早起きで手に入れた熱狂の最新データをお届けした今回の放送はここまでです。次回もお耳を、拝借。
まとめ
今回は、発表されたばかりのエヌビディア決算を最速解説しました。売上・EPSともに予想を越える圧巻の内容でしたが、市場が求めた「完璧以上の完璧」に対し、粗利率のわずかな低下見通しが嫌気され、株価は短期的に調整しました。解説では、需要がソブリンAIや一般企業へと多極化し、AIブームが学習から実用へ、そしてソフトウェアから重厚長大な物理インフラの総合戦へと質的に変化していることが語られました。華やかなAIの裏方にこそ、次の投資のヒントがあるという視点が印象的でした。
- 好決算でも株価下落したのは、市場が織り込んだ非公式の高いハードルに届かなかったため
- 粗利率の1ポイント低下は、次世代チップの製造難易度上昇による正常なコスト増だと解説された
- 需要はハイパースケーラーから国家レベルのソブリンAIや一般企業へと多極化している
- AIブームは学習から推論・実用へ移行し、ネットワーク・液冷・電力を巻き込む総合戦になっている


