ゴールドマン・サックスが「買い」に転じた意味
今回のテーマは、株価回復で最高値を更新したパランティアです。きっかけは、慎重だったゴールドマン・サックスが投資判断を「中立」から「買い」に引き上げたニュースでした。
皆さんこんにちは。米国株投資の耳寄りな話へようこそ。
はい、今回もよろしくお願いします。楽しみですね。
本当に。さて、リスナーの皆さん、本日のテーマは株価回復で最高値更新。パランティアに何が起きているのか?です。
おお、来ましたね。ウォール街でも今一番議論の的になっている、エキサイティングな銘柄ですよ。
そうなんですよ。今回の番組を最後まで聞いていただければ、なぜパランティアが一度大暴落してから奇跡の復活を遂げたのかがわかるようになります。
そして投資家として、今この銘柄にどう向き合うべきか、その本質が手に取るようにわかるようになります。
まあ本当に、この数年の(パランティアの株価の)動きはジェットコースターみたいでしたからね。
リスナーの皆さんも、最近のAI関連株の中でも、パランティアの動きが桁違いに激しいことにお気づきかと思います。
ええ、まさに今、市場の景色がAIへの漠然とした期待から具体的な実利へと完全に切り替わった、その象徴的な銘柄になっていますよね。
その期待と実利の転換を決定づけた、すごく大きなニュースが最近ありましたよね。
ずっとパランティアに慎重だったゴールドマン・サックスが、ついに投資判断を中立から買いに引き上げたんです。しかも、目標株価を二三十ドルに設定したっていう。
いや、これは大きいですよ。ゴールドマンのような保守的なメガバンクが強気、つまりブリッシュに転換したというのは、ウォール街全体にとっても極めて大きなシグナルなんです。
彼ら(ゴールドマン)が重視する評価の基準が、将来の夢物語から現在の強固なキャッシュフローに移行した証拠でもありますね。
業績は悪くなかった?低迷期の正体
話は少し前、パランティアの株価が大きく売り込まれた時期に戻ります。
ただ、ここで少し時計の針を戻して考えてみたいんですけど。
なんでしょう。
パランティアって、少し前までAIソフトウェアの絶対的な勝ち組って感じで、ちやほやされてましたよね。
されてましたね。
でもその後、株価が半分近くまで、一時は一桁台にまで大暴落したじゃないですか。
徹底的に売り叩かれた低迷期には、裏で一体何があったんですか?重大な欠陥でも見つかったんでしょうか。
それがですね、あの時期のパランティアの業績自体が悪化していたわけではないんですよ。
え、そうなんですか。
ええ。根本的な原因は、市場全体における高すぎた期待値の調整、まあ暴走とその後の冷や水ですね。
期待値の暴走。
生成AIブームの初期って、市場があらゆるAI銘柄を買いあさったじゃないですか。その結果、PERとかPSRといったバリュエーションが極限まで高騰してしまったんです。
PERは株価が利益の何倍か、PSRは株価が売上の何倍かを示す指標で、どちらも株価の割高・割安を測るときに使われます。
つまり、5年後とか10年後の大成功まで、今の株価に先回りして織り込んじゃったわけですね。
まさにそれです。ただ、NVIDIAのような半導体、いわゆるハードウェア層はすぐに巨額の利益を出したんですけど、パランティアのようなソフトウェア層に対してはちょっと見方が違ったんです。
AIが本当に顧客企業の利益に結びつくのかっていう、強い懐疑論が広がったんですよね。
ああ、なるほど。AIを入れても、結局使いこなせずにマネタイズが遅れるんじゃないかって、ウォール街が警戒したわけですね。
その通りです。だから、決算で並みの好決算を出したくらいでは、もう市場は満足してくれなくて。
ハードルが高すぎたんですね。
ええ、少しでも成長が鈍化すると見なされれば、もう容赦なく売られる。そこに経営陣や機関投資家の利食い売りなんかも重なって、ドスンと下がってしまったんです。
つまり、実力がないから売られたっていうより、ハードルが上がりすぎて自滅させられたようなものですね。
そういうことです。
政府系の会社が民間で伸びた理由
復活の最大のエンジンとして挙げられたのが、民間企業向けの需要の拡大です。
ではそこからどうやって、目標株価目標株価の金額ドルと言われるほどの過去最高へ返り咲いたんでしょうか。
それはですね、パランティアが期待先行の赤字ハイテク株というレッテルを剥がして、実利を伴うAIリーダーへと評価を一変させたからです。
その最大のエンジンがBtoB、つまり民間企業向け需要の爆発なんですよ。
民間向けですか。でもパランティアといえば、CIAとかペンタゴン御用達のお堅い政府系システムを作っているイメージでしたよね。
そうですよね。でも、AIPと呼ばれる自社のエンタープライズ向けAIプラットフォームを民間企業に本格展開したことで、状況が全く変わりました。
収益構造が多様化して、政府向けの一本足打法じゃなくなったことが、市場に大きな安心感を与えたんです。
AIPは普通のAIチャットボットと何が違う?
最近はどの企業も自社のAIを売り込んでいます。そこで、パランティアのAIPがどこで差をつけているのかに話が移ります。
でも、リスナーの皆さんも疑問に思うと思うんですけど、最近ってどのSaaS企業も「うちのAIはすごいです」って宣伝してるじゃないですか。
してますね、どこもかしこも。パランティアのAIPは、一般的なAIチャットボットと一体何が違うんですか?
決定的な違いはですね、パランティアが長年培ってきたオントロジーという独自のデータ統合技術を基盤にしている点なんです。
オントロジーですか。
企業のIT環境って、顧客管理とか在庫管理、経理とか、システムが部署ごとに完全に分断されていて、データがバラバラに散らばっているのが普通ですよね。
大企業あるあるですよね。横の連携が全く取れてないっていう。
このオントロジーは、そのバラバラのデータを統合して、現実世界の工場とか配送トラックといった概念に紐付けて、デジタル空間に会社の完全なコピーを作り上げるんです。
なるほど。いわゆるデジタルツインってやつですね。
ええ。AIPは、そのオントロジーという現実のコピーの上で動くんです。
これが一般的なAIと大きく違うところで、一般的なAIは単に質問に答えるだけですが、AIPは事実に基づいた判断ができます。
でも生成AIって時々嘘をつく、ハルシネーションを起こすじゃないですか。大事な経営判断を任せて嘘をつかれたら、大惨事になりませんか?
そこがまさにAIPの強みでして、オントロジーを根拠として利用するので、自社の正確なデータに照らし合わせてから回答するんです。だから、ハルシネーションを強力に防げます。
おお、それは安心ですね。
さらに、ただ答えるだけじゃなくて、AIPは自律的に業務アクションを実行するOSとして機能するんですよ。
例えば、AIがサプライチェーンの遅延を検知したとします。普通のAIなら警告を出して終わりですが、AIPなら代替ルートの手配とか、発注数の変更手続きまで自動で実行できちゃうんです。
ただの賢い辞書じゃなくて、もう優秀な工場長を丸抱えで雇うようなものですね。
まさにその通りです。
数日でプロトタイプ?「AIPブートキャンプ」の衝撃
大企業へのシステム導入は時間がかかるもの。ホストのその疑問に対して、コホストはパランティアの営業戦略を紹介します。
でも、ちょっと待ってください。そんな巨大なデジタルツインを作って新しいOSを入れるとなると、普通数ヶ月とか、下手したら年単位の時間がかかりませんか?
普通のIT導入なら、間違いなくそうです。でも、パランティアはAIPブートキャンプという超高速の営業戦略を打ち出しました。
ブートキャンプ。
ええ、顧客の実際のデータを使って、わずか数日で動くプロトタイプを作り上げてしまうんです。
待ってください。数日ですか。バラバラのデータを綺麗にするだけでも、数ヶ月かかるのが常識ですよね。
その常識を覆すのが、先ほどのオントロジーなんです。既存のシステムを壊すんじゃなくて、その上にかぶせる翻訳レイヤーとして機能するので、数日でAIモデルを見せられるんですよ。
なるほど。数ヶ月の下準備を丸ごとスキップできちゃうんですね。
目の前で自社の課題が数日で解決されたら、そりゃ経営陣も即決で契約したくなりますよ。
ええ、これで100万ドルから1000万ドル規模の契約をどんどん即決させているんです。これが今の爆発的な成長の裏側ですね。
政府向けも健在、「40%ルール」で100%前後
民間の勢いに続いて、もともとの柱だった政府向けビジネスと、財務の強さが話題になります。
民間での躍進の理由はよくわかりました。でも、元々の政府向けビジネスはおろそかになってないんですか?
いえ、政府向けも依然として強力です。
プロジェクトメイブンなどの多年度大型契約もありますし、最近は各国の政府が自国専用のAI基盤を作る、ソブリンAIの需要も拡大していますから。
民間も政府も絶好調なんですね。それは(パランティアは)財務的にも相当強いんじゃないですか。
驚異的ですよ。粗利益率は約80%で、なんと負債ゼロです。
負債ゼロ。
さらに、SaaS企業の健全性を示す40%ルールってありますよね。売上成長率と営業利益率を足した数字なんですが。
はい、40%を超えたら超優良企業って言われるやつですよね。
パランティアは直近で、なんとこのスコアが100%前後を叩き出しているんです。
マイケル・バーリ氏の空売りはなぜ焼かれたのか
完璧に見える銘柄にこそ、弱気派は現れます。映画『マネー・ショート』のモデルとなった投資家マイケル・バーリ氏の空売りをめぐる攻防です。
100%ですか。これだけ完璧に見えると、逆に弱点がないのか不安になりますね。実際、ウォール街にはこの快進撃に真っ向から喧嘩を売った大物投資家がいましたよね。
ええ。映画マネー・ショートのモデルにもなった、マイケル・バーリ氏ですね。
出ましたね、空売りのレジェンド。彼がパランティアに大量のプットオプション、つまり空売りを仕掛けたんですよね。
そうなんです。メディアは当初、9億ドル規模の空売りだと報じて大騒ぎになりました。
9億ドル、とんでもない額ですね。
ただ、これには裏話があって、後でバーリ氏本人が「実際のオプション代金は約920万ドルだ、メディアは数値を勘違いしている」って反論したエピソードもあるんです。
ああ、想定元本と混同されちゃったんですね。でも、(バーリ氏は)なぜそんな空売りを仕掛けたんですか?
バーリ氏の弱気論拠、いわゆるショートテーゼは主に2つありました。1つは異常な高バリュエーション、AIバブルだという指摘です。
もう1つが株式ベース報酬、SBCによる株主価値の希薄化です。
SBCによる希薄化。リスナーの皆さんのために、もう少し噛み砕いて教えてもらえますか?
パランティアは優秀な人材を確保するために、現金じゃなくて自社の株をどんどん刷って、報酬として配っていたんです。これをピザに例えるとですね。
ピザですか。
はい。会社の価値という1枚のピザの大きさは変わらないのに、新しく株を刷って配るたびに、ピザがどんどん細かく切り分けられていくわけです。
ああ、なるほど。既存の株主からすれば、「自分のピザのピースが勝手に小さくなってるじゃないか」って怒るわけですね。
その通りです。バーリ氏はそこを鋭く突いたんです。
その批判に対して、パランティアのCEOはどう対応したんですか?
アレックス・カープCEOは、全くひるみませんでしたね。「空売り勢はAIの実情をわかっていない」と猛反発したんです。
かっこいいですね。で、(バーリ氏との攻防の)結末はどうなったんですか?
パランティアが驚異的な好決算を連発して、株価が急騰しました。その結果、空売り勢は損失をカバーするために、慌てて株を買い戻す羽目になったんです。
ああ、それがショートスクイーズ、いわゆる踏み上げですね。
ええ、まさに強気派対弱気派の象徴的なバトルで、空売り勢がこんがり焼かれてしまったわけです。
バーリ氏すら焼き尽くして、過去最高値を更新したわけですね。
「天井が床に変わる」最高値更新後の値動き
リスナーがいちばん気になるのは、今から買って高値掴みにならないか。そこで、最高値を更新した銘柄が一般にどう動くのかが語られます。
でも、リスナーの皆さんが一番気になるのは、やっぱり今から(パランティアを)買っても高値掴みにならないかじゃないですかね。
当然の不安ですよね。株価が過去最高値を更新した後って、普通はどう動くものなんですか?
大きく2つのパターンがあります。1つは上値追いによるさらなる上昇、つまり青天井ですね。もう1つは利益確定売りによる一時的な調整です。
青天井になるパターンっていうのは、どういうメカニズムなんですか?
過去最高値を更新している時って、全員が含み益を出している状態なんです。含み損を抱えていて、早く買値に戻ってくれって祈っている人が1人もいない。
なるほど。やれやれ売りをする人がいないから、売り圧力が減って、さらに上昇が加速するんですね。
ええ、ショートスクイーズも巻き込んで一気に上がるケースがあります。
ただ一方で、大口投資家の利食いや、やっぱりバリュエーションへの警戒で反落するケースも当然あります。
じゃあ一旦調整で下がった時が怖いですね。
いや、そこがチャートの面白いところでして、かつての最高値、つまりレジスタンスだった天井が、今度は下値を支えるサポートライン、つまり床に変わることが多いんですよ。
天井が床に変わる。
ええ、最高値を超えて上がっていくのを見て、買えなかった投資家が悔しがっているわけです。
そこへ株価が下がってくると絶好の買い場だと思って一斉に買いを入れるので、そこが底になりやすいんです。
なるほど。買い逃した人たちの執念が床になるわけですね。
急落リスクと「暴れ馬」に乗る覚悟
最後は、パランティアに投資するうえでのリスクと、エントリーの仕方についてです。
とはいえ、パランティア投資の具体的な注意点、リスクも知っておきたいです。
一番のリスクは、現在のバリュエーションが依然として極めて高いということです。決算でわずかでも予想を下回れば、一気に20%から30%急落するリスクは常にあります。
うわぁ、それは怖いですね。
さらに、MicrosoftやAWS、Googleといったビッグテックとの苛烈な競争もありますし、欧州など海外展開の遅れも懸念材料として挙げられています。
なるほど。最高値だからといって闇雲に飛びつくのではなく、ボラティリティの暴れ馬に乗る覚悟が必要なんですね。
おっしゃる通りです。
リスナーの皆さん、もし投資するなら一括投資は避けて、ドルコスト平均法を使ったり、決算後の調整、いわゆる押し目を待って段階的にエントリーするのが賢明ですね。
はい、リスク管理は絶対に忘れないでいただきたいです。
AIネイティブ企業とそうでない企業の格差
締めくくりにホストは、この回の要点を振り返り、リスナーへ1つの問いを投げかけます。
さて、本日はパランティアがなぜ低迷から復活し、過去最高値を更新したのか、その裏にあるオントロジーやAIPといった圧倒的な技術力について解説しました。
マイケル・バーリ氏との因縁や、最高値更新銘柄のメカニズムについても触れましたね。
最も重要なポイントは、パランティアが単なるAIの期待枠ではなく、実利を生み出すインフラへ進化した一方で、高すぎる期待値による株価急落リスクには常に警戒が必要ということでしたね。
まさにその通りです。
最後に1つ、リスナーの皆さんに考えてみていただきたいんですが。
もしパランティアのような超効率的なAIインフラをいち早く導入した企業と、従来のバラバラなシステムを使い続ける企業との間に、決定的なデジタル格差が生まれたらどうなるでしょうか。
私たちが次に注目すべきは、AIネイティブに進化した企業とそうでない企業の、過酷なサバイバル競争なのかもしれませんね。
それは非常に鋭い視点ですね。ビジネスの勢力図が根底から変わる可能性があります。
リスナーの皆さん、今回の深掘り解説はいかがでしたか?米国株投資の耳寄りな話のYouTubeチャンネルへのご登録を、ぜひお願いします。
よろしくお願いします。
また、今後取り上げてほしい銘柄や今日の番組の感想がありましたら、ぜひコメント欄へ投稿してくださいね。
ちなみにこの番組は、バックグラウンド再生が便利なSpotifyやApple Podcastでも配信していますので、そちらもチェックしてみてください。
ぜひぜひ。
それでは次回もお耳を拝借。
まとめ
パランティアの低迷は業績の悪化ではなく、高すぎた期待値の調整だったと語られました。復活の原動力は、オントロジーを土台にしたAIPの民間展開と、数日でプロトタイプを見せるブートキャンプ戦略です。マイケル・バーリ氏の空売りも好決算で跳ね返されましたが、バリュエーションの高さによる急落リスクは今も残っている、というのがお二人の見立てです。
- 低迷期の原因は業績ではなく、ハードルが上がりすぎた期待値の調整
- オントロジーとAIPで、民間向けの大型契約を短期間で獲得している
- 粗利益率約80%・負債ゼロで、40%ルールのスコアは100%前後
- 最高値更新後は、かつての天井が床になりやすい一方で、20〜30%急落のリスクもある
- 投資するなら一括を避け、ドルコスト平均法や押し目待ちで段階的に





