月の半分は旅、仕事はAIが伴走する?
久しぶりの収録で、川原さんはすがけんさんに最近の様子を尋ねます。すがけんさんの答えは、6月にパリへ行き、月の半分以上はどこかへ出かけているというものでした。
なんかどっか行ってますね。月の半分以上。
すがけんさんが仕事で手がけているのは、AIを使った企業研修です。さらに、1時間いくらの相談ではなく、AIがすがけんさんの代わりにサポートする伴走型のサービスも始めています。
(相談を)メールでもらうと、僕の持論みたいなのを全部加味してメールバックするから、場合によっちゃ月に4時間アドバイスするより毎日フィードバックするみたいな感じになるじゃない。
川原さんはこの仕組みを「ループが早くなっている」と表現します。すがけんさんによると、フィードバックの速度がめちゃくちゃ上がり、会議もなくなっていったそうです。
何も決めない旅は「2週間の休みを何回取れるかゲーム」
川原さんは、すがけんさんが旅先をどんな軸で決めているのかを聞きます。すがけんさんの答えは「何も決めない」でした。
すがけんさんの場合、会食の予定が1年後くらいまで先に埋まっていきます。遠い海外に行くには2週間のまとまった休みが必要なので、その枠を確保することが旅の出発点になります。
だから年間で何回2週間の休みを取れるかゲームなんですよね。
川原さんが「多忙な人みたいな言い方してるけど、ご飯の予定だからね」とツッコむのも、この回らしい掛け合いです。すがけんさんの旅は、次のような順番で進みます。
枠を取る
会食の予定の合間に、2週間空く期間を確保する
行く
枠が取れたら、行き先を細かく決めずに出かける
現地で考える
何をするかは行ってから決める
行き先選びについて、すがけんさんは自分を「ピッキー」で行きたくない国が多いと話します。トーク企画で過酷な国に置き去りにされる番組の話題になると、すがけんさんは「ああいうの無理です」と即答しました。
すがけんさんにとって、旅先選びの基準はまずトイレが綺麗か、衛生面が大丈夫かどうかです。「100パーまずそこからです」と言い切っています。
その慎重さの原点として語られたのが、30歳ぐらいの頃に男友達3人で上海へ行ったときの体験です。ローカルな店を求めて裏道の中華料理屋に入ろうとしたところ、出てきたお店のおばちゃんが靴を投げ捨てたといいます。
もうだからさ、初日に一気に萎えて、そこから(旅の間は)ずっとチェーン店しか行かなかった。
すがけんさんは自分を「コンサバな人間」と表現します。川原さんが、すがけんさんの無茶はビジネスの単価の話であって人生単位の無茶ではないと指摘すると、すがけんさん自身はビジネスの側を無茶だとあまり思っていないと返しました。
最近のすがけんさんを表すタグについて、川原さんは「旅、AI、ご飯」と整理します。人はもっと散らかっているものなのに、すがけんさんはすっきり片付いている、というのが川原さんの見立てです。
AIが「往年の夫婦」になった先に何があったのか
最近のAIとの付き合い方を聞かれたすがけんさんは、意外にも「ほとんど使わなくなった」と答えます。のめり込んで使ううちに生産性が上がりすぎた結果だといいます。
あの「あれ取って」とかが(AIに)もうわかるようになっちゃうんですよ。
すがけんさんはこの状態を「往年の夫婦みたいな」と例えます。「あれあれしといて」で仕事が片付くようになり、つまらなくなってしまったそうです。
そこへ、OpenAI側のモデルが大きくアップグレードし、GPTアストラが登場します。すがけんさんはそれまで使っていたClaude ── 米Anthropicが開発する対話型AI。文章作成や分析、プログラミング支援などに使われますをやめて、溜めてきた知識ごと一瞬で乗り換えて試しました。
人類の歴史みたいな話と一緒で、あるところまで早くなっていくとだんだんつまんなくなるんですけど、さらに早くなると、だったらこれもできるかってなるじゃないですか。
できることが増えたことで、すがけんさんはこの2週間ほど、再び1日3〜4時間AIを使うようになったといいます。
新しいモデルで評価しているのは、リサーチ能力とパソコン操作の2点です。XやInstagramの投稿をより良くしたいと考え、自分らしさや今受けているコンテンツを調べさせてから投稿を作らせています。
パソコン操作は以前もAIにできましたが、動きが遅く、自分でやったほうが早いのでイライラしていたそうです。川原さんは「新人が横で仕事してるの見てて、早くなってねえな」という感覚に例えました。
だからもう本当にパソコンなんかは3月からAI使い始めてからそうですけど、自分でほとんど操作やっぱもうしないんで。
手を使わずに1300いいね。声だけで書いた投稿の驚き
川原さんも自分の体験を共有します。Facebookに投稿した「京大を出てブドウ農家になる人」についての文章が、1300ちょっとのいいねを集めたといいます。
川原さんの考察では、テーマ自体が刺さる人が多かったことと、食にまつわる話で関心を持つ人が多かったことがまず挙げられます。そのうえで、驚いたのは書き方のほうでした。
あれ一個も手使わずに全部喋った内容をAIかけてぶち込んで文章にしただけなんですよね。しかも修正もほぼしてない。
すがけんさんが「すごい人間っぽい」と感想を述べ、モデルを変えたからか情報が溜まったからかを尋ねます。川原さんの答えは、おそらく後者でした。情報が溜まり、修正指示を何度も繰り返して「川原卓巳の書き味」を磨き終えたことが大きいといいます。
すがけんさんは、そうなれば毎日投稿や個人へのアドバイスもできるようになると応じます。一方の川原さんは、結局人と喋るのが一番楽しくなり、投稿以外に時間を使うようになったと明かしました。
すがけんさんは「それが投稿の元ネタなわけだし」と肯定します。川原さんは、得たものを投稿するひと手間がないと表の活動が止まって見える、という悩みも口にしています。
会議の音声はどうやってインサイトに変わるのか
すがけんさんの仕事は表に出る活動ではなく、企業とのプロジェクトが中心です。何をしていても音声を録り、議事録というよりインサイトとしてすぐ送り返したり、その会社とのプロジェクトのエンジンに加えたりしています。
録音に使っているのは、プラウドの録音デバイスです。友達に勧められて、ペンダント型とカード型の両方を買ったといいます。
すがけんさんの評価では、カード型はめちゃくちゃ良く、財布に入れて会議室やカフェのテーブルで取り出せるのが合っています。一方でペンダント型は一度使っただけですが、話者分離ができておらず内容もおかしかったそうです。
(Nottaに上げてもダメで)これなんでこんなひどいの?ってなったら、やっぱ音質、音聞いたらもう全然ダメで。音が悪すぎて。
すがけんさんによれば、文字起こしの性能自体は「はっきり言ってどれでもいい」とのことです。Claudeが頭が良く、固有名詞もすがけんさんの溜めた情報から似たものを探して直してくれるからです。次に試すなら、最近出たNottaのカード版だと話しています。
川原さんは、このくらいの粒度の話はほかで聞けないと喜びます。すがけんさんが「基本行動」と呼ぶ会議後の流れは、次のとおりです。
使い分けについては、仕事はClaudeのままで、noteなどのコンテンツ作りのプロジェクトだけをCodex ── OpenAIが提供するAIエージェント。プログラミングやファイル操作などの作業をAIに任せられますに移して新モデルを使っているそうです。フォルダに全部溜まっているので、移行は「続きをやって」で済むといいます。
AIに入れるのは知識か、それとも「知能」か
すがけんさんは、Claudeでも高価な上位モデルFableではなく、Opusで賢くなるように使っていると話します。その理由が、この回の核心となる考え方です。
すがけんさんの講座では、AIに何を入れられるかを扱っています。知識と知恵は入れられますが、どちらかといえば情報です。すがけんさんはそこに加えて、AIには知能もインストールできると気づいたといいます。
だからAIの考え方じゃなくて、AIの上で動く僕の考え方でAIが動いてるんで。
すがけんさんの説明では、命令を受けたAIがどう処理すべきかは誰も決めていません。そこで「こう考えて、こう考えて、こう整理してからやりましょう」という手順をAIに教えているそうです。
情報として入れるもの。中身は増えるが、考え方は変わらない
考える順番や、何回考えさせるか。AIの処理のしかた自体を変える
川原さんはこれを「知能の使う勘所を教えてあげてる」とまとめます。すがけんさんによると、入れているのは考え方の順番などで、著書『小さく分けて考える』の考え方が元になっています。
厚利少売のnoteを「知能」として自分のAIへ
ここで川原さんは、すがけんさんのnoteに付いているMDファイルこそが、その「知能」なのだと気づきます。
すがけんさんの説明では、5万円の厚利少売のnoteの内容は、知識としてAIに入れることもできますが、「この順番で考えてね」という知能として入れることもできます。配布していたMDファイルは、知識版ではなく知能版です。
だから配布してたMDファイルは、まさにそれ(noteの内容)の知識版じゃなくて知能版で。知識ってやっぱ人間になり得ないんで。
このnoteは5万円から7万円に値上げされる予定です。すがけんさんは以前から10万円にしたかったものの、noteの上限が5万円で、プロ契約にすると10万円まで設定できるようになるといいます。
値上げが遅れていた理由は、すがけんさんが設定を大の苦手としていることです。初期ユーザーとして特例的に独自ドメインを使っているため、通常の設定に戻すと何かが動かなくなるのではと怖くて手が出せなかったそうです。うまくいけば、来月の頭から7万円になります。
すがけんさんによると、noteの売れ行きを伝えたところ深津さんも驚いていたそうです。川原さんは、すがけんさんがうまくいく前に購入してほしいと告知しました。
川原さんからは、メンバーが持ち回りで書いているメルマガの紹介もありました。自分からは出ない現場の動きが書かれていて面白いといいます。会議でどう動いているかのような当たり前の行動こそ聞きたい、という今回の話にも通じる紹介でした。
まとめ
旅とご飯とAIに整理されたすがけんさんの近況から、AIの使い方の現在地が見えてくる回でした。中心にあるのは、AIに情報を詰め込むのではなく、考える順番という「知能」を仕込むという発想です。
- すがけんさんは2週間の休み枠を先に確保し、行き先は行ってから決める
- AIが「往年の夫婦」のように察するようになり、新モデルでできることがさらに広がった
- 川原さんは声だけで書いた投稿で1300いいねを集め、文章の熱もAIで出せると実感した
- 会議は録音からClaudeでの議事録・メール下書きまでがほぼ自動の流れになっている
- 厚利少売のnoteのMDファイルは、考え方の順番をAIに入れる「知能版」として作られている




