人生は「何をもって勝ち」なのか
この回のテーマは「有限ゲームと無限ゲーム、勝つためではなく続けるために生きる」ことです。番組はシーズン5を通して、「遊ぶように生きる」「人生を面白がる技術」をお届けしてきたと朝山さんは振り返ります。
その入り口として、朝山さんは素朴な問いを投げかけます。人生って、何をもって勝ちなのか、という問いです。
ところで皆さん、人生って何をもって勝ちなんですかね。
たくさんお金を稼ぐこと、仕事での成功、有名になること、幸せな家庭、長生き。いろいろ考えられるけれど、分かるようでわからない、というのが正直なところだと朝山さんは話します。
それなのに、私たちは気づかないうちにいろいろな場面で勝とうとしている、と朝山さんは指摘します。仕事でもっと成果を出したい、SNSでフォロワーを増やしたい、資格を取りたい、人より早く次のステージへ行きたい、といった具合です。
これらは一つ一つ悪いことではなく、目標があるから頑張れることもある、と朝山さんは前置きします。その上で、ある問いを考えてほしいと促します。
そのゲームって勝ったらどうなるんですかね。
有限ゲームと無限ゲームという考え方
売上目標を達成すれば、次の売上目標がやってくる。資格を取れば、また次に学ぶものを探す。フォロワーが増えても、もっと増やしたくなる。勝っても勝っても終わらない感覚がある、と朝山さんは具体例を挙げます。
ここで朝山さんが紹介するのが、アメリカの思想家ジェームズ・カースの考え方です。著書『有限と無限のゲーム』の中で、世の中には有限ゲームと無限ゲームがあると提唱したと説明します。
有限ゲームとは、勝つために行うゲームです。スポーツの試合のようにルールがあり、参加者がいて、始まりと終わりがある。そして勝者が決まれば、そのゲームは終わります。
一方で無限ゲームは違います。無限ゲームの目的は、ゲームを続けることそのものにある、と朝山さんは説明します。
勝って終わるのではなくて、これからもプレイできるようにプレイするっていう。
勝つために行う。ルールと参加者があり、始まりと終わりがある。勝者が決まれば終了する
続けるために行う。目的は勝つことではなく、これからもプレイできるようにプレイし続けること
一つのゲームに負けても、人生に負けたわけではない
この考え方を人生に当てはめると面白い、と朝山さんは言います。人生の中には、試験の合格、売上目標の達成、大会での優勝、資格取得、昇進など、たくさんの有限ゲームがあります。
一つ一つに本気で取り組むのはとてもいいことで、勝ちに行ってもいい、と朝山さんは肯定します。問題は、その一つの有限ゲームを人生そのものにしてしまったときだと続けます。
試験に落ちた、仕事がうまくいかなくなった、目標を達成できなかった。すると、一つのゲームに負けただけなのに、自分そのものに負けをつけてしまう、と朝山さんは指摘します。
一つのゲームに負けただけなのに、私はダメだ、と自分そのものに負けをつけてしまう。
けれど、人生というゲームはまだ続いています。終わったのは一つのゲームに過ぎません。だったら別のゲームを始めてもいいし、ルールを変えてもいいし、誰かと新しいゲームを作ってもいい、と朝山さんは語ります。
「勝ちたい」と「続けたい」の違い
ここで朝山さんは、もう一つ大事な問いがあると言います。それは「私は何に勝ちたいんだろう」だけではなく、「私は何なら続けたいんだろう」という問いです。
例えば仕事で成功したい、という思いは悪くない。でも「10年後もこの仕事を面白がっていたいか」と聞かれたら、答えが変わるかもしれない、と朝山さんは例を挙げます。
SNSの数字を増やしたい。でも数字が増えなくても、その発信を続けたいか。資格を取りたい。でも資格がなくても、そのことを学び続けたいか。朝山さんはこうした問いを重ねます。
「勝ちたい」と「続けたい」は似ているようで全然違う、と朝山さんは整理します。勝つことを目的にすると、勝った瞬間にゲームは終わる。続けたいものには終わりがありません。
続けたいものに対しては、もっと知りたい、もっとやってみよう、次はこうしてみよう、また失敗した、じゃあ今度はどうしようか、という気持ちが自然と湧いてくる、と朝山さんは描きます。
勝つことが目的。勝った瞬間にゲームは終わる
続けること自体が目的。終わりがなく、失敗しても「次はどうしよう」と遊びが続く
負けても「もう一回」と言える子供
この「続けたい」という感覚こそ、シーズン5でずっと考えてきた「遊ぶように生きる」そのものではないか、と朝山さんは話します。
子供が遊んでいるときにも、もちろん勝ち負けはある、と朝山さんは言います。負ければ本気で悔しがり、泣いたり怒ったりもする。でも、しばらくすると「もう一回」と言ってチャレンジしてくる、というのです。
ここに大事なことがある、と朝山さんは指摘します。負けなかったから遊び続けられるのではなく、負けても「もう一回」と言えるから遊び続けられる、というのです。
一方で大人になると、一度うまくいかないだけで「向いてない」「才能がない」「もう遅い」と、自分でゲームを終わらせてしまうことがある、と朝山さんは対比します。
一回うまくいかなくなっただけで、向いてない、才能がない、もう遅いと自分でゲームを終わらせてしまうことがあります。
本当に怖いのは負けることではなく、「もう遊ばない」と決めてしまうことなのかもしれない、と朝山さんは語ります。だから人生で見つけたいのは、どうすれば勝てるかだけではないと言います。
今日のミニマルドアチャレンジ
番組恒例の「ミニマルドアチャレンジ」として、朝山さんは実際に試せる問いを提示します。今、一生懸命頑張っていることを一つ思い浮かべる、というところから始めます。仕事でも勉強でも子育てでも趣味でも構いません。
その上で、朝山さんは2つの質問をしてみてほしいと促します。
- 私はこのゲームで何に勝とうとしているんだろう?
- 勝ち負けがなくても、私はこれを続けたいだろうか?
もし「続けたい」と思ったなら、そこには自分にとって大切な何かがあるのかもしれない、と朝山さんは言います。反対に「勝てなかったらもうやりたくない」と思ったなら、それも一つの発見だと続けます。
その場合、そのゲームはずっと遊び続けたいゲームではなかったのかもしれない、というわけです。遊ぶように生きるとは、勝ち負けを捨てることではない、と朝山さんは念を押します。
目の前のゲームには本気で参加する。勝ったら思いっきり喜び、負けたら思いっきり悔しがる。それでも、その結果で人生そのものまで終わらせる必要はない、というのが朝山さんの伝えたい核です。
次は何して遊ぼうという。
次回予告とライブ配信の案内
次回は哲学者マルティン・ブーバーを取り上げ、「私とあなた、人と出会いが人生を面白くする」というテーマをお届けする予定だと朝山さんは告知します。
ここまでは「自分はどう遊ぶのか」を考えてきたけれど、人生というゲームには必ず他のプレイヤーがいる、と朝山さんは次回への橋渡しをします。誰かと本当に出会うとはどういうことなのかを、人との関係から考えていくと話します。
また、毎週日曜の夜21時にはこの番組でライブ配信を行っているとの案内もありました。今回のテーマなら「勝ちたいゲームと続けたいゲーム」について、リスナーのコメントから一緒に探求を続けたい、と朝山さんは呼びかけます。
まとめ
この回は、ジェームズ・カースの「有限ゲーム/無限ゲーム」を手がかりに、勝つことを目的にすると勝った瞬間に終わってしまう営みと、続けること自体を目的にする営みを対比しました。朝山さんは「何に勝ちたいか」だけでなく「何なら続けたいか」を問うことを提案しています。
- 有限ゲームは勝つために行い勝者が決まれば終わる。無限ゲームは続けること自体が目的
- 一つの有限ゲームに負けても、それは人生そのものの負けではなく、別のゲームを始めてもいい
- 「勝ちたい」と「続けたい」は違う。勝てば終わるが、続けたいものには終わりがない
- 子供は負けても「もう一回」と言える。怖いのは負けることより「もう遊ばない」と決めること
- ミニマルドアチャレンジは「何に勝とうとしているか」「勝ち負けがなくても続けたいか」の2つを自分に問う





