そもそもスナックはなぜ潰れないのか
この回のテーマは「ボドゲスナックってどうよ?」というものです。食べる方のスナックではなく、お酒を飲む夜のスナックとボードゲームを掛け合わせたらどうか、という発想が語られます。
スナックというと、場末や地方、ベッドタウンにあって、重苦しい扉の奥でお酒を飲むイメージがあるかもしれません。Manaさんは、最近のビジネス界隈でこの業態が注目されていると話します。
最近、ビジネス界隈で「スナックってとても強いよね、業態として」という話が結構出ています。つぶれにくいよね、というのが大きいのかなと思います。
バーやキャバクラのような夜の店は、作っては潰れを繰り返す一方で、スナックはなかなか潰れないと言われています。
しかもManaさんによれば、スナックがなくなる時は、業績不振よりもママさんの結婚や引っ越しといったプライベートな都合が多いそうです。ビジネスとしての硬さがうかがえます。
初期コストと人件費を下げる仕組み
スナックが潰れにくい理由の一つが、初期コストとランニングコストがとにかく低く済む点です。
スナックの内装は、どこも似たり寄ったりです。新しく店舗を構えて内装をこだわるより、以前スナックだった物件を居抜きで引き継ぐスタイルが主体だと説明されます。居抜き ── 前の店の内装や設備をそのまま引き継いで営業すること。改装費を大きく抑えられる。
不動産屋でもスナックの居抜き物件が提供されているため、店を出す時の初期コストを小さく抑えられます。ショットバーのように内装をこだわる場合との違いです。
もう一つが人件費です。ここでManaさんは、キャバクラとの違いを掘り下げます。
スナックは、お客さんの隣について接客する業態ではありません。テーブルを挟んで、ママさんがお酒を入れたり食べ物を出したりするスタイルです。
キャバクラは客一人に女の子一人が必要になりますが、スナックはママさん一人で何十人も相手にできます。人数的に人件費が安く済むわけです。
客の隣に座って接客する。客一人に対してスタッフ一人が必要で、人件費がかかりやすい。
テーブルを挟んで応対する。ママさん一人で何十人も相手にできるため人件費が抑えられる。
火を使わない料理と長い賞味期限
スタッフのスキル面でもコストが抑えられます。スナックはガッツリした料理を提供せず、スナック菓子のように軽くつまめるものが基本だと説明されます。
乾き物やナッツ、ビーフジャーキーなどをお皿に盛るだけなので、火を使った調理は必要ありません。料理人を雇う必要もありません。
お酒についても、こじゃれたカクテルを頼むイメージはありません。ビールを注ぐ、焼酎をボトルで頼んで割る、といった程度で、作るスキルもさほど求められません。
なんならもうビールとかも缶で済ませてもいいのかもしれません。おつまみも最近は缶詰のものでとても美味しいものがいっぱいありますから。
さらに、乾き物や缶詰は賞味期限が長いという利点があります。生ものは仕込みが必要で数日で腐ってしまいますが、乾き物や缶詰なら売れなくても廃棄せずに済みます。
そのため、仕入れが売れ残りのリスクになりにくいのです。
コストを下げれば少ない客でも続けられる
店のビジネスは、お客さんからの売り上げが出ていくコストを上回らないと赤字になります。だからこそコストは徹底的に下げた方がよい、とManaさんは整理します。
初期コストは自己資金で建てられる人が少ないため、多くは借り入れで運営します。その場合、毎月の返済もランニングコストに含まれます。
物件の家賃、借入れの返済、人件費、仕入れ、電気代や水道代などがかかります。これらを下げられれば、お客さんが多く来なくても続けられます。
地方のスナックであれば、人件費は一人分で済み、仕入れも腐らず、居抜きで大きな借り入れもなく始められます。基本的に家賃と売り上げがペイできていれば続けていけるビジネスだと語られます。
加えて、夜がメインの営業なので単価を高くできます。同じビールでも、カフェの昼より夜のスナックの方が高く出せるため、利益率が高くなる点も良さだと説明されます。
ボドゲカフェの難しさをスナックで解消する
ここからはボードゲームとの掛け合わせの話です。ボードゲームと組み合わせる形で最も多いのが、日中のカフェ営業を行うボードゲームカフェです。
1日入り放題いくら、といった形式だと、売り上げが席数の上限に達してしまい、客単価を上げにくいという難しさがあります。新規をどんどん入れ続けないと厳しい、という指摘です。
そこでManaさんは、客単価を上げるために夜のお酒に着目し、リスクを抑えて続けるためにスナックという形態がフィットすると考えます。
自分でお店を出す時はと考えたときに、「あ、スナックっていう形態、めっちゃフィットするじゃん」みたいな、そういうふうに思った次第です。
バーは内装やバーテンダー、カクテルや料理にこだわる印象がありますが、スナックはそこまで求められないため、いろいろなコストを下げられるという整理です。
常連客と相席で回すボドゲスナック像
もう一つのポイントが常連客です。スナックはショットで一杯ずつ頼むより、ボトルで頼んでみんなでシェアするスタイルが多く、ボトルキープが常連化につながります。ボトルキープ ── 店にボトルを預けておき、次回以降その酒を飲める仕組み。再来店の動機になり常連化しやすい。
さらにスナックでは、常連客同士がとても仲が良いといいます。むしろ客同士を仲良くさせていくことが、運営に必要なスキルだと語られます。
新規の人を常連さんにつなぎ、客同士で会話や酒を楽しんでもらう。そうすればママさん一人でも店を切り盛りできる、という構造です。
ボトルキープもしてるし、とりあえず飲み行くかって行ったら、もう知り合いに会えるっていうのがやっぱりスナックの強み、特に地方の強みだったりします。
これをボードゲーム好きな人たちで成り立たせたらどうか、というのがManaさんの発想です。フラッと行けば、ボードゲーム好きの誰かがいて、客同士でボードゲームができる状態を目指します。
新規ばかりを追うのではなく、固定客やファンをつけていくスタイルになります。回転率よりも、常連さんがどれだけ来てくれるかが狙うポイントになる、と整理されます。
家賃・年齢層・ゲームマスターとしてのママ
ベッドタウンや地方に多いスナックは、人通りの多い路面店より家賃が安く済みます。新規を人通りで取るのではなく常連を高めていくため、メインの地域から離れても運営できるからです。
これもコストが下がる点で強みになります。宣伝はインターネットの告知や口コミ、紹介で行えば、コアなボードゲームファンにも届きやすいと考えられます。
年齢層の面でも相性が良いといいます。ボードゲームファンは思ったより年齢層が高めで、ある程度ゆとりのある人たちに多い印象があるためです。
スナックもキャバクラやバーと比べると年齢層が高めなので、同じ年頃で同じ趣味を持つ仲間が地元で集まれる場として合致するのではないか、と語られます。
最後に、ここまで「ママ」と呼んできた店主について補足されます。ボードゲームがメインなので女の子中心のビジネスではなく、パパでもよいという整理です。
店主に求められるのは、ボードゲームを説明したり、来たお客さん同士をつなげたりする役割です。いわば店のゲームマスターだと位置づけられます。
女の子的な接客がというところよりも、ボードゲームを純粋に楽しめる、そして安定的に続けられることを考えると、スナックという形態がいいのかなと考えた限りです。
Manaさん自身、この企画が固まってきたら物件を探して動き出したいと考えており、近場で物件探しを地味に続けていると話しています。
まとめ
この回は、潰れにくいスナックの構造をビジネス視点で分解し、それをボードゲームと掛け合わせる可能性を考える内容でした。コストの低さと常連客の仕組みが、ボドゲカフェの難しさを補う鍵として語られています。
- スナックは初期コスト・人件費・仕入れリスクが低く、業態として潰れにくいと語られる
- 居抜き物件、火を使わない料理、乾き物や缶詰の活用がコストを下げる要因になっている
- ママさん一人で多人数を回せ、常連客同士を仲良くさせる仕組みが運営を支える
- ボドゲカフェの客単価や新規依存の難しさを、夜営業と常連中心のスナック型で解消する発想
- 家賃の安さ・高めの年齢層との相性から、地元でボドゲ仲間が集まる場としての可能性が語られた






