ボドゲで飯を食うには、まず目標値を決める
番組冒頭でManaさんは、ボードゲームを趣味で作り続けるのではなく、販売して事業として成り立たせたいと考える人は多いと語ります。Manaさん自身もその一人だと話します。
ただ「ボドゲで生活できたらいいな」と考えているだけでは、なかなか達成しないと指摘します。何がゴールで、どこを目指すべきかがわからないと、自分の現在地も見えないからです。
どのくらい頑張るとどのくらいの利益が出て、どのくらいから生活できるレベルなのかを、ちゃんと把握した上で動いていかないと、雲をつかむような活動になってしまう
そこでManaさんは、以前Xにも投稿した内容をもとに、どのくらいの価格帯のものが何個売れたら生活できるのかを、ざっくり計算してみたと切り出します。
2000円のボドゲが年間5000個で、手元にいくら残るか
計算の基準として、Manaさんはゲームマーケットで最も多い販売価格を選びます。様々な価格帯がある中で、例年断トツで多いのが2000円だと話します。
そのうえで、2000円のボードゲームが年間5000個売れた場合を試算します。単純計算で年間の売り上げは1000万円です。
ただし、この売り上げがそのまま収入になるわけではありません。印刷費、出展料、遠征費など様々な経費がかかると説明します。
Manaさんはまず原価率を50パーセントと仮定します。1000円で作ったものを2000円で売り、5000個売れると、1000万円の半分の500万円が利益になる計算です。
さらにここから税金や出展料、交通費などの経費が差し引かれます。活動の規模にもよりますが、残るのは大体300万円ほどだと見積もります。
この300万円が、大人が生活できる最低限のレベル感だとManaさんは話します。年間5000個は必要という数字が、まず一つの目安になります。
5000個を一人で売り切る、その大変さ
5000個を売るのは、手間だけの問題ではないとManaさんは指摘します。プロモーションや広告宣伝費もかかり、売りたいと思っても本当に売れるレベルではないと語ります。
直販で年間5000個なら、ゲームマーケットなどのイベントでどんどん売るか、自分の通販で発送するか、倉庫に送って発送を代行してもらう形になります。ただし人に頼むほど手数料で利益が圧迫されます。
三百万円仮に残ったとしても、ほんと一人分だと思うんですね、この利益。ほんと一人が生活できるっていうので、もう最低限だと思います
しかも、この5000個という数字は、デザインや印刷以外の経費も差し引き、それを全部自分一人でやった場合の話だと念を押します。ここに到達できる人は少ないだろうと話しています。
原価率30%と問屋卸を前提にすると数字はどう変わるか
そもそも原価率50パーセントは一般的に見ると高い、とManaさんは補足します。世の中の商品では原価率を30パーセント以内に抑えるのが一般的だと話します。
さらに5000個規模を売るには、通販だけでなく問屋や委託販売も必要になります。その場合、店や問屋の取り分が発生します。
問屋に卸すときのかけ率は大体70パーセント。1000円のものなら700円で卸す形です。Amazonの直販でも手数料は25パーセント以上取られるため、7割程度で卸す前提で考えたほうがいいと語ります。
仮に7がけで卸し、原価率を理想の30パーセントに抑えられたとしても、商品価格に対して残る利益は40パーセントほどになります。
2000円の商品なら、問屋経由で手元に残る利益は1個あたり800円ほど。原価率30パーセントを達成しても、この水準だとManaさんは説明します。
1個1000円が利益。ただし5000個を全部自力で売り切る必要がある
1個800円が利益。流通の取り分と手数料が引かれる
1個800円で300万円の利益を残そうとすると、年間およそ3750個が必要になります。ただしここからさらに税金や経費、プロモーション費が引かれます。
5000個売れた場合でも、問屋経由で1個800円なら残る利益は400万円。そこから経費を引くと、どんな手法をとっても年間5000個は売らないと生活は厳しいという結論に落ち着きます。
キャッシュフローと「毎月500個」という現実
Manaさんは、一度にまとめて作って売り切る形だと資金の余裕がなくなりやすいと指摘します。売れているのに増刷できない事態を避けるため、ある程度の現金が必要だと話します。
そこで販売はできるだけ年間を通してばらけさせたいと語ります。端数を除いて考えると、目安は月500個です。
月500個を日に直すと、毎日10個以上を休みなく売り続ける計算になります。手売りだけで達成しようとすると、毎月イベントに出て毎回500個を売ることになり、現実的ではないと話します。
本当一個のイベントで五百個っていったものも大成功だと思いますので。しかもゲームマーケットとか、そういった大きいイベントでそれですからね
同じ客層が続くと、既に持っている人が増えて商品は買われなくなります。だからこそ、イベントに来ない人へどれだけ商品を届けられるかが勝負になるとManaさんは考えています。
なぜ「一発ヒット狙い」より作品数なのか
原価率を下げるためにたくさん作れば、ボリュームディスカウントで単価は下がります。しかし初期投資が大きくなり、売れなかったときの在庫リスクも高まると説明します。
単一商品で5000個売れるポテンシャルがあるかは別問題で、狙ってヒットを飛ばせる人は稀だとManaさんは語ります。
いわゆるバッターボックスに立ち続けなければホームラン打てないよみたいな。ガチャを引き続けないと当たりが出ないよみたいな感じが必要になってくる
一つの作品に依存する活動はリスクが高い。だからこそ新作を出し続け、当たるものを探していくのがよいと話します。
重要なのは、月500個は一商品で必要な数ではないという点です。自分が出している商品トータルでの月500個だと説明します。
たとえば10商品あれば1商品あたり月50個で済みます。商品数が50点になれば、1商品あたり月10個で生活ラインに届く計算になります。一発の大ヒットではなく、コンスタントに売れる商品を積み重ねる考え方です。
新作を出し続ける
一発狙いより、コンスタントに売れる商品を積み上げる
どこかでヒットが出る
製造やプロモーションのブーストになる
認知とブランドが育つ
過去作にも波及し、活動全体が成長していく
原価率を下げるより、売れる価格を設定する
Manaさんは、作りたい物を作ってたくさん製造し原価率を下げる方法は、初期投資が上がるため避けたいと語ります。代わりに、いくらで作れるかをベースに販売価格を決める考え方を示します。
その価格が市場からかけ離れると売れなくなりますが、逆にその価格でも売れる商品力やブランド力、プロモーションを身につける方向に努力を向けるほうが近道だと話します。
原価千円のものは三千で売る。三千円だと高いって思われるのであれば、何かしらの魅力が足りなかったりする
たとえば原価1000円なら販売価格を3000円にすれば、原価率は33パーセント程度に収まります。3000円が高いと感じられるなら2500円に抑え、そのぶん原価をどう下げるかを考え直す、という行き来になると説明します。
逆に、2000円がギリだと決めて原価を650円ほどに抑えるため大量に作ると、爆死してバッターボックスに立ち続けられない大打撃を受けかねないと警告します。
たとえ一作品で一億手に入ったとしても、それを毎回毎回連発できるのかというと難しい。結構宝くじを引くようなものなのかなと思います
だからこそ作品数やブランディングでサークルの基礎を固め、少しずつでも長期的に続けられる利益を確保しながら新作サイクルを調整するのが確実だと語ります。
続けて積み重ねた先に見える、直販以外の収入
初めて作る人ほど「これは面白いから一生売る」と考え、原価を下げるために大量に作って在庫を抱えがちだとManaさんは指摘します。
同じ作品を売り続けるのもありですが、新作を出すこと自体がプロモーションになり過去作にも波及すると話します。市場も大きくない以上、同じ作品だけではいつか売れなくなるため、新作は出し続けたほうがいいと語ります。
目標は月10個から始まり、20個、30個、50個と伸ばしていくこと。月500個あたりから生活が成り立ち、制作に集中してさらに新作やプロモーションに力を注ぐ好循環に入ると展望します。
さらに長く続けて作品を積み重ねると、直販以外の仕事も来るようになるとManaさんは話します。
- 海外向けのライセンス契約による印税収入
- 企業案件としてのボードゲーム制作の依頼
だからこそ、続けられる仕組みと、積み重なっていく活動の仕方が重要だとManaさんはまとめます。
まとめ
この回は、2000円という基準価格と原価率、問屋の取り分から、ボードゲームで生計を立てるには年間およそ5000個・月500個が必要だと試算する内容でした。一発ヒットを狙うより、作品数を増やして少しずつ積み重ねる戦略が現実的だとManaさんは語っています。
- 最低ラインの目安は、どんな手法でも年間5000個・月500個の販売
- 原価率50%の直販でも、税金や経費を引くと手取りは300万円ほど
- 問屋卸を前提にすると1個の利益は下がり、必要な販売数はさらに増える
- 単一商品に依存せず、コンスタントに売れる作品を積み重ねるのが確実
- 原価率を無理に下げるより、売れる価格設定とブランド力に努力を向ける





