大人数プレイで起こる「引き分け」という悩み
ボードゲームには協力ゲームや2人用ゲームなど、勝敗がシンプルに決まるものがあります。今回のテーマはそこではなく、3人以上の大人数プレイで起こりやすい「引き分け」の扱いです。
たとえば得点が一番高い人が優勝というルールでも、トップの点数の人が2人いるといった同時優勝のパターンが起こります。1位を目指して戦っているのに、結果が引き分けになったとき、それを良しとするか、なしとするかは人によって分かれるとManaさんは話します。
同点時のさらなる勝利条件を定義せず、「同点なら同点の人みんなが優勝」と書いているボードゲームもたくさんあります。この回では、その違いは何か、どう優勝者を決めるべきかを掘り下げていきます。
段階的な勝利条件とは何か
ManaさんはこのテーマをXに投稿したところ、優勝者を決める条件が何段階かあると嬉しい、という声が多く寄せられたと紹介します。
ここでいう「段階」とは、単純な勝利条件のことです。「得点が一番高い人が優勝」という基本ルールが1段階目にあたります。
同点だった場合に同時優勝にせず、さらに条件をつける場合の例として、手番のあるゲームが挙げられます。手番制のゲームでは基本的に先行が有利になりやすいものです。
そうした場合って不利な方が勝ちだよねっていう風に条件付けるパターンが多いです。
同じ得点で同時優勝だった場合は、手番が後ろの不利な人が優勝、という形でさらに条件をつけるわけです。ここまでいけば手番の順序で必ず1人に決まります。
段階を増やすと明確、でも面倒くさい
段階を増やせば勝敗は明確になります。しかしManaさんは、最初のルールからさらに一段階を意識してプレイするのは難易度が高く、面倒に感じることもあると指摘します。
明確なゴールはゲームの序盤からみんなで目指せますが、「同点になりそうだから段階目を意識してプレイしよう」というのはなかなか難しいものです。結果として、たまたま手番が後ろだったから勝ち、といった偶然感が出やすくなります。
同点だった場合はもう同点で仕方ないよね、よし次だ、次こそ同点じゃなくてぶっちぎりトップを目指そうみたいな、そういったようなスタイルの方が私は好きだったりします。
ただし、ゲーム進行中に何度も判定を繰り返し、明確に1人を決めなければ次に進めない場面では、段階的な方式を採用することもあると補足しています。
同点にならない設計をするという発想
Manaさんは、段階を足すより「そもそも同点になりにくいゲームシステムにしておく」ことのほうが大事なのではないか、と話します。
何回プレイしてもほぼ同点になるゲームは、ゲームとしてどうなのかという問題があります。同点が当たり前になるなら、それは「同点だった場合にこう」というアプローチではないとManaさんは言います。
最終的にこういう条件でゴール、そうでなければ点数順、というように逆算して設計をすべきという考え方です。点数ベースでは必ず同時になるなら、最初から段階のルールを伝え、序盤から意識できるようにするのがよいとしています。
同点時にさらなる勝利条件を追加して1人に絞る。明確だが判定が面倒になりやすい
そもそも同点が起きにくいシステムにする。逆算して最終条件を決めておく
オバケキャッチで段階を考えてみる
具体例として、先日プレイしたオバケキャッチが挙げられます。カードをめくってみんなで取り合う形式で手番がなく、実力が拮抗すると同点になりやすいゲームです。
Manaさんは同点時に決着をつける段階を考えるなら、と仮定します。あくまで非公式の思いつきとして、獲得したカードのうちお化けの数が多い方が勝ち、というルールを例に出しました。
そうすると、単にカードを取るだけのゲームから「お化けが出たときほど本気になる」「このカードを狙おう」といった新たなプレイングが生まれます。段階を考えることが、副次効果としてゲームをより面白くすることもあるという指摘です。
ただしオバケキャッチは瞬時に取る形式なので、お化けだからと力加減を調整するのは難しく、この段階ルールは微妙だとも述べています。どうしても1人を決めたい場合の選択肢という位置づけです。
あえて定義しないという選択
勝利条件を多段階にすると、同点判定のあとにまた判定をし直すことになり、単純に面倒です。だったらもうワンプレイ、という考え方もあります。オバケキャッチも、同点時の判定は書かれていなかったとManaさんは振り返ります。
そこを明確にあえて定義しないっていうのも手なのかなと思います。
最終的な優勝者を決めたい人もいれば、引き分けでいい人もいます。さらに絞りたい人は、じゃんけんやサドンデス制、手番で決めるなど、ローカルルールで決めてしまってもよいとしています。
親子でプレイするときは、同点なら年下の子を勝ちにする、といった関係性に応じた決め方もありえます。これは先行後行の決め方にも近い考え方だとManaさんは整理します。
先行後行決めと、勝ちを譲る関係性
スタートプレイヤーの決め方は、ある意味何でもいいとManaさんは話します。ランダムにしたければサイコロやカードのドロー、公平性を保つなら運任せのスタートが多いものです。
一方で、人間関係によっては先行後行決めを端折ることもあります。Managさんも娘とプレイするときは「先行どうぞ」と譲るなど、決めのアクション自体を行わないこともあると明かします。
ただし同点のときはさすがに勝利を譲らず、娘にもガチでやると話します。年齢層が大きく離れている場合は勝ちを譲るのも関係性としてありだが、自分の場合は同点なら同点、次こそはという向き合い方だとしています。
なぜ引き分けを許すルールなのか
Manaさんは複数人プレイでも同点を許せるタイプだと話します。ゲームに多段階が設定されていればそれに従いますが、定められていなければ無理に勝者を決めようとは思わないそうです。
勝利を分かち合おうと定義しているゲームには、作者の意図があるかもしれません。平和主義者なのかもしれないし、そこで一度切り上げてもいいという思いがあるのかもしれない、とManaさんは想像します。
なんでそういうふうにしているんだろうといったもの、といったものを想像するのもまた楽しかったりします。
一方で、明らかに手を抜いていると感じるゲームもあると指摘します。同点ばかり起こるのに同点時の条件がないとつまらない、というケースにはモヤっとするそうです。その場合は自分たちでオリジナルの条件を決め、次回以降そのルールでプレイすると話します。
同点を防ぐ設計と、ゲームを面白くする多段階
Managさん自身も、あえて同点時を定義しないパターンがある一方、同点が嫌なら同点にならない仕組みを入れる、という設計もすると言います。多段階は複雑になるため、そもそも同点が起こらないようにするアプローチです。
たとえば、普通にプレイして同点になっても「最後のカードで勝っていた人」を勝者にする、といった仕組みです。すると最後のカードは何かというブラックボックスを意識した戦い方が生まれます。
つまり勝利者を1人に絞るためだけでなく、多段階にすることでゲームのエッセンスが加わって面白さが高まると見えたときは、しっかり多段階のルールを作るという判断です。
引き分けは趣味趣向、だから意図が問われる
引き分けの好みは人によって千差万別だとManaさんは言います。協力ゲームでも、成功か失敗かの場面で「誰々のせいで失敗した」と攻め立てる人がいます。自分が出し抜きたい、勝たなければと思うプレイヤーもいるためです。
攻め立てるのはマナー違反だとしつつも、その考え方自体は趣味趣向であり否定はしないとManaさんは述べます。Manaさん自身も勝利にこだわるタイプで、娘にも手加減はしないため気持ちはよくわかるそうです。
そういう人もいるという前提を持つと、明確にルールを定義しておいた方がよいという結論になります。ターゲットは誰か、どんな層に遊んでほしいか、その場合どう解決させるかまで意識しているかが重要だとしています。
質問への回答を、作る段階から持っておく
この手のルールには質問が多く来るとManaさんは言います。「この場合はどうなるのか」「ここが書いていない」といったものです。必要なものは本来すべてルールブックに書くべきですが、情報量が多すぎると理解しにくくなるため、イレギュラー要素をあえて書かないパターンもあります。
大事なのは、質問が来たときに悩むのではなく、すぐ答えられる明確な回答を作る段階から持っておくことです。なんとなくそうするのではなく、理解し意識した上でその選択をしているかどうかが問われます。
意識せずになんとなくそうしてしまうのではなくて、ちゃんと理解した、意識した上でこうしたっていう、ちゃんと選択をしてそうしているのかどうかですね。
そうした意識こそがボードゲーム制作者に求められるのではないか、とManaさんはこの回を締めくくっています。
まとめ
引き分けの扱いに唯一の正解はなく、段階的な勝利条件を足すか、同点になりにくい設計にするか、あえて定義せず勝利を分かち合うかは、制作者の意図とターゲット次第です。大切なのは、なんとなくではなく意識して選ぶことだとManaさんは語っています。
- 大人数プレイでは同点が起こりやすく、その扱いは人によって好みが分かれる
- 同点時に段階的な勝利条件を足すと明確になるが、判定が面倒で偶然感も出やすい
- 段階を足すより、そもそも同点になりにくい設計を逆算して考える発想も有効
- 多段階が新たなプレイングや面白さを生むなら、しっかりルールとして作る価値がある
- あえて定義しない場合も含め、意図を持って選択することが制作者に求められる





