トレカ市場が「1兆円超え」の衝撃
この回のテーマは、トレーディングカードゲーム、いわゆるトレカ市場の盛り上がりです。遊戯王、ワンピースカードゲーム、ポケモンカードなどのTCGの市場が、とにかく盛り上がっているという話から始まります。
Manaさんによれば、トレカ市場はついに1兆円を超えたといいます。ゲームマーケットでもコナンやゴジラ、ウルトラマンのトレカが出ており、盛り上がりは体感でも感じられると話します。
一方で、ユーロゲーム的な、いわゆるゲームマーケットでよく出ているボードゲームの市場は、今は億くらいの規模だといいます。トレカが1兆円を超えたということは、規模でいえば桁違いに大きいという指摘です。
ついに(トレカ市場が)1兆円を超えたっていうようなお話を聞きました。これ、めちゃめちゃすごいですよね。
Manaさんは、ポケモンカードの製造枚数も途方もない数字だと述べ、ものすごい量が流通していると話します。
同じアナログゲームなのに、なぜ差がつくのか
トレカもアナログゲームなので、ボードゲームの一つに入るのではないか、とManaさんは指摘します。ただ、ジャンルとしては「トレカはトレカ、ボドゲはボドゲ」と分かれているのが一般的な印象だといいます。
界隈としては近いはずなのに、トレカをやる人はトレカばかり、ボドゲをやる人はボドゲばかりで、意外と近いようで離れている、とManaさんは見ています。
では、なぜここまで差がついているのか。Manaさんは、トレカには市場が盛り上がる要素がたくさんあると考えます。その一つ目が、IPの強さです。
遊戯王もコナンもウルトラマンもゴジラもポケモンも、もともとあるIP、つまりキャラクターや世界観をトレカに持ってきています。元々のトレカファンだけでなく、IPきっかけで新しいファンを取り込む入り口があるのがトレカの強みだと話します。
ポケモンがゲームマーケットに来た、という良い傾向
ボードゲームにもIPを使ったものはあります。ただManaさんは、アニメが好きだから入ってくるという流入は、そこまで多くないイメージだといいます。
キャラクターものはトイザらスなど普通のおもちゃ屋で子供向けに売られていることが多い、とManaさんは述べます。鬼滅の人生ゲームやドラえもんのドンジャラなどは展開しやすいものの、普段ボードゲームで遊ぶ人とは一線を引いている印象だといいます。
最近はポケモンがゲームマーケットにも進出してきており、Manaさんはこれをいい傾向だと評価します。ポケカだけでなく、ボードゲームと親和性のある市場に手を出してきたという見方です。
先日のゲームマーケットでもポケモンのエリアがあり、ピカチュウのかぶりものをつけた人たちがたくさんいたとManaさんは振り返ります。ポケモンは今や子供向けというレベルではなく、大人こそ熱中しており、カップルや友達同士でも来場していたといいます。
Manaさんは、こうした人たちをどうやってボードゲームの世界に取り込むかが、新規ユーザーを増やすうえで重要だと話します。IPを借りるお金があるボードゲーム会社は少なく、IPを持つ会社がボードゲームを企画する例も、もっと増えるといいと述べます。
コレクションと2次流通が市場を押し上げる
トレカが盛り上がるもう一つの要素として、Manaさんはコレクション要素を挙げます。集める楽しさ、コンプリートする喜び、好きなキャラクターを手に入れたいという所有欲を刺激する点が、トレカはよくできているといいます。
コレクション性があるからこそ、企業から買うBtoCだけでなく、個人間取引のCtoCや街中のカードショップといった2次流通も活発になる、とManaさんは説明します。これが市場規模を引き上げる要因になっているという見立てです。
コレクション性が高く、個人間取引やカードショップでの2次流通が活発。追加購入も繰り返されやすい
単価が高く数量も少ない。所有欲は促せるが、2次流通はトレカほど活発ではない
一方でボードゲームは、レアなものや新作、まだ知られていない名作を持っておきたいという所有欲はあるものの、単価が高く数量も少なく、流通という意味では停滞しがちだとManaさんは話します。個人間取引もトレカほど手軽ではない、という指摘です。
「買ったら終わり」のボードゲームと、追加購入が続くトレカ
Manaさんは単価の差にも触れます。プレミアがつかなければトレカは数百円で買えるのに対し、ボードゲームは何千円もかかり、参入障壁になっているといいます。
さらに大きいのが、追加購入の有無です。ワンピースカードゲームなら、最初のスターターセットを買ったあと、強くしようとカードをどんどん買い足していく追加購買行動が起きます。
一方でボードゲームは基本的に「買ったら終わり」で、それを遊んでいくスタイルだとManaさんは述べます。拡張があってもそう多くはなく、それが市場が広がりにくい要因になっているといいます。
ボードゲームは基本的に買ったら終わり。買ったらそれで遊んでいく。
Manaさんは、トレカほど盛り上げようと考えるなら、これらをすべて解決していく必要があると話します。まずはIPの活用をもっと積極的にやっていくべきだ、という方向性です。
作品数の多さと「インディーズの力」という活路
ボードゲームにも強みがあります。Manaさんは、ボードゲームは作品数がとても多いことを挙げます。
トレカは一度タイトルを作ると、大量のカードを印刷してブラッシュアップしながら出していくため、タイトル自体はそこまで増えていかないとManaさんは見ています。それに比べると、ボードゲームの種類は多いといいます。
だからこそ、Manaさんはボードゲーム市場を盛り上げる活動にはインディーズの力がとても重要だと考えます。大手の流通や出版社は国内外の作品をリリースしていますが、その数も限られているためです。
大手に頼らない独立したインディーズ作家が、もっとたくさんタイトルを出してくれば、その数自体が、トレカに立ち向かっていく活路になるのではないか、とManaさんは話します。
Manaさんは、新しくトレカを始めるくらいの金額で1タイトル買えると述べます。トレカで追加購入していく流れのように、新しいボードゲームへ次々と買い手がついていけば、流通も同じくらい増えていくという見立てです。
ボードゲーム界は絶版も多く、有名タイトルだけでなくインディーズにもプレミア(プレ値)がつくことがあります。ただManaさんは、転売の発生などもあり、プレ値がつくのがいいかどうかは検討の余地があるとも述べます。
欲しいものが溢れる市場と、IP・インフルエンサーの力
Manaさんが目指すのは、それぞれが欲しいと思えるものが市場にたくさんある状態です。買っても買いきれない、遊んでも遊びきれないほど良いボードゲームが出てくれば、市場は盛り上がっていくといいます。
買っても買っても買いきれない、遊んでも遊んでも遊びきれない、そういったものがたくさんいいボードゲームが出てくると、市場といったものは盛り上がっていくだろうと。
その土台ができたうえで、普段ボードゲームに関わってこなかった人をどれだけ誘えるかが勝負になる、とManaさんは話します。そこでIPの力が必要になるという流れです。
IPが弱くても、芸能人やインフルエンサーを巻き込みやすい点はあると、Manaさんは指摘します。インディーズの作者がIPを使っていなければ、権利は作者自身が持っているため、許諾さえすれば他で使ってもらいやすいからです。
広く有名な人に遊んでもらい、普段ボードゲームに触らない人にリーチをかけて世界に入ってきてもらう。それがゆくゆくはボードゲーム界隈全体のためになる、とManaさんは考えます。
ボードゲームが盛り上がれば、作家はたくさん売れ、遊ぶ人にとっても一緒に遊ぶ相手を見つけやすくなります。世の中に流行っていけば、いろんな人と手軽に遊べる状態がつくれるという展望です。
ジェリージェリーカフェに見る、広がる間口
Manaさんは、未来は暗くなく明るいと感じています。その理由の一つが、普段ボードゲームで遊ばない一般層が、どんどん界隈に入ってきているイメージがあることです。
客観的な例として挙げるのが、ジェリージェリーカフェのチェーン展開です。ボードゲーム好きが好きな人に向けて開くお店とは違い、カフェ主体で、普段遊ばない人も手軽に来られるスタイルに見えると話します。
Manaさんによれば、いろんな地域に出店していて、しかも赤字ではなく成り立っているらしいといいます。自社だけでなく最近はフランチャイズも始め、60何店舗くらいになるようだと述べます。ただ数字は定かではないので信じすぎないでほしい、とも添えています。
フランチャイズ参加の募集もかけており、ボードゲームに興味はあるがやってみようかなという新しい層が、どんどん増えているイメージだとManaさんは話します。間口は少しずつ広がっているという見方です。
AI時代に「人と人のつながり」が価値になる
ここからManaさんは、少し横道に逸れると断りつつ、ボードゲームの将来性について語ります。話の軸になるのはAIです。
AIによって仕事が合理的に効率よくできるようになると、経済活動が効率化し、長期的には働く時間が減り、暇な時間が増えていくはずだ、とManaさんは考えます。
そうなると、デジタルよりも人と人とのつながりが重要になるとManaさんは述べます。コンピューター同士の対戦には人間は到底敵わないので、人間同士の競い合いや生々しさに価値が出るという考えです。
Manaさんは、走る速さや強さがかつて社会的な意味を持っていた例を挙げます。飛脚のように速く物を届けることや、狩りができる強さがベースだったものが、今は車や飛行機があり、足の速さそのものの意味は薄れたといいます。
だからこそ、人間の力としてどうかというレベルでの競い合いや、人間が頑張っているから応援したくなる感情に価値がある、とManaさんは話します。チェスや将棋も、コンピューター相手には勝てなくなった今、人間同士でどこまで行けるかに価値が出ているといいます。
情報が簡単に手に入る時代には、誰が話しているのか、なぜそう考えるのかという「人」に焦点が当たります。だからこそ人と人とのつながり、会話、人間関係、コミュニティが重要になっていく、というのがManaさんの見立てです。
「ボドゲって最適じゃね?」——今作るものが未来に届く
そう考えると、ボードゲームは最適ではないか、とManaさんは話します。人間が暇になり、何で楽しみ何で競うのかを考えたとき、オフラインで人とつながりながら遊び戦うコミュニティが重視されるからです。
そう考えると、ボドゲって最適じゃね?っていう風に思うわけですね。
トレカも今後さらに盛り上がるだろうとしつつ、ボードゲーム市場自体も今後どんどん広がっていくとManaさんは考えています。今の盛り上がりは一時の流行ではなく、もっと伸びていくという見方です。
だからこそ、今作られているボードゲームには価値があり、未来に届くとManaさんは話します。一度作れば長く遊べるのもボードゲームの特性なので、みんなで面白いものを作って業界を盛り上げたい、と人知れず思っていると語ります。
最後にManaさんは、この回のオチをまとめます。トレカがすごい勢いで伸びているので、ボードゲーム界隈もどんどん伸ばしていこう、というのが今日言いたかったことだと述べています。
まとめ
トレカ市場が1兆円を超える中、ボードゲームが盛り上がるにはIPの活用、追加購入されにくさやコレクション性の弱さといった課題への対処、そしてインディーズの作品数という強みを活かすことが鍵になる、というのがこの回の内容です。ManaさんはAI時代に人と人のつながりの価値が高まるとして、ボードゲームの将来性に明るい見通しを示しました。
- トレカ市場は1兆円を超え、億規模のボードゲーム市場と桁違いになっている
- トレカの強みはIPによる新規流入と、コレクション性・2次流通・追加購入の多さにある
- ボードゲームは単価が高く「買ったら終わり」になりやすいが、作品数の多さが強み
- インディーズ作家の数、IPやインフルエンサーの活用、ジェリージェリーカフェのような間口の広がりが盛り上げの鍵
- AIで暇な時間が増える時代こそ、人と人がつながるボードゲームは価値を増すとManaさんは見ている

