なぜ発売前に遊んでもらうことが重要なのか
ボードゲームは遊んでみないと本当の楽しさやルールの深さがわかりにくい、という課題があります。買う人にとっては「買ってみないと面白いかわからない」ことが、購入のハードルになります。
そのため、試遊会に参加したり、実際に遊んで面白かったものを買う人もいます。Manaさんは、購入してもらう前にいかに遊んでもらうか、いわゆる試遊が一番強いと話しています。
試遊が重要という話は以前の配信でもされていました。今回は、そこから時代が進み、やり方が増えてきたので改めて整理したい、という趣旨です。
発売前に遊んでもらう方法として、Manaさんは大きく3つを挙げています。
PnP
デザインデータを配布し、自分で印刷して遊んでもらう
オンラインセッションツール
ユドナリウムやココフォリア上でデジタルとして遊んでもらう
AIブラウザゲーム
AIで作ったブラウザゲームをコンピュータ対戦で一人でも遊んでもらう
1つ目の手法「PnP」で全国の人に試遊してもらう
1つ目はPnP(Print on Play)です。自分で印刷して遊ぶもので、印刷所への入稿が終わった段階ではデザインデータがすでにあるため、それを無料で配布してしまう手もあります。
配布はPDFなどでよく、受け取った人は家庭用プリンターやコンビニ印刷で自分で印刷して遊びます。Manaさんは、コンビニで印刷して自分で切ってそのまま遊べるサービスに近い、と説明しています。
無料配布で売り上げが下がらないか、という懸念について、Manaさんはコピー用紙などの印刷は耐久度が弱く、あくまで体験版・サンプル的な扱いだと述べています。
それで遊んでみて楽しいって思ったら、もうそれは必ず製品版に行くとは思います。
PnPの利点は、試遊会に来られない全国の人でも試遊できる点です。通販中心で販売する人にとって、地域をまたいで事前に試遊できる環境は効果的だとManaさんは考えています。
また、PnPで遊んで満足して買わない人は、そもそも試遊会でも他人が買ったゲームやボードゲームカフェで遊ぶ層で、購入層とは違うと整理しています。気に入ってもらえれば買う層には購入につながる、という考え方です。
2つ目の手法「オンラインセッションツール」で遠方の人と試遊する
2つ目は、ユドナリウムやココフォリアといったオンラインセッションツールを使う方法です。PnPがリアル対面で遊ぶサンプル版なのに対し、こちらはデザインデータをもとにデジタルとして遊べる形にします。
コンポーネントを用意すれば、作者自身がインスト(ルール説明)をしながら遠方の人と試遊したり、オンラインの試遊会を開いたりできます。これも無料でやるのがよい、とManaさんは話しています。
さらに、こうした形を作っておくとVTuberに遊んでもらえるなど、プロモーションの幅も広がるという利点があります。ここまでは以前の配信でも触れられていた内容です。
3つ目の手法、AIで作るブラウザゲームの衝撃
3つ目は、最近のAIを使ってブラウザゲームを作る方法です。Manaさんは自分の説明書をAIに読み込ませて「ブラウザで遊べるゲームを作って」と頼んだところ、サクッとできたと話しています。
この手法の強みは、コンピュータ対戦ができる点です。PnPやオンラインセッションツールは遊ぶ相手がいないと体験できませんが、コンピュータ対戦なら一人一人が自宅で試せます。
このコンピューター対戦を実装すればですね、ほんと個人個人一人一人が自分の自宅で試すことができると。これめちゃめちゃ強いなと思っております。
ブラウザゲームであれば、URLをクリックするだけ、プログラムファイルを配布して各自のパソコンで開くだけ、あるいはスマートフォンでも遊べる、といった形で展開できます。
Manaさんが使ったのはClaudeです。説明書をアップロードし「コンピュータ対戦のブラウザゲームを作って」と指示したといいます。
4人対戦なら「1人は自分、その他はコンピュータ」と伝え、コンピュータの強さや、堅実派・過激派といった性格まで指定でき、実際に反映されたとManaさんは驚いています。
プレイの仕方に性格性を持たせてよ。例えば堅実派だとか過激派だとか、そういうような性格を持たせてよっていう風に言うと、ちゃんと持たせてくれるわけなんですね。これすげえなとか思いました。
デザインを乗せればオンラインでコンピュータ対戦として遊べます。誰とも集まらずに体験でき、購入を検討できる点をManaさんは大きな可能性だと捉えています。
チュートリアルで「据え読み問題」を解消する
Manaさんが特に可能性を感じているのが、ブラウザゲームにチュートリアルを実装できる点です。インストの大変さや、説明書の据え読みの負担という課題への解決策になります。
PnPやオンラインセッションツールは、説明書を読んだ上で自分たちで遊ぶものでした。一方でコンピュータ対戦はデジタルゲームに近く、ルールベースながらチュートリアルを組み込めます。
ゲーム開始後に「まず手札から取りましょう」「相手がこれを出したので、こういう選択肢があります」と手順に沿って操作させれば、説明書を読まなくてもルールを把握できます。手を動かしながら理解が進む、というインストの理想に近い形です。
Manaさんは、オンラインゲームでは一般的なチュートリアルの発想を、ボードゲームの世界に持ち込める点をよい、と評価しています。
事前試遊の段階でルールを把握するのは時間もかかり、説明書を読んでくださいと求めるのは無理強いになりがちです。チュートリアルで実践プレイまで体験できれば、そのハードルが下がります。
同僚とやりたい、家族でやりたいっていう風に、ほんと誰かとやりたいっていう風になってくると、ちゃんと商品を買う価値といったものが出てくるんだと思います。
逆に「誰かと遊ぶわけでもなく自分一人」という人は、そもそも購入ターゲットではないため、配布しても売り上げは下がらないとManaさんは考えています。AIブラウザゲームにチュートリアルを実装して配布するのが最強の戦略だ、というのがこの回の核です。
さらにチュートリアルは事前の体験版だけでなく、購入後のルール理解にも役立ちます。紙の説明書に加えてQRコードで「チュートリアルはこちら」と用意しておけば、買った人も学べます。
オンラインとオフラインの役割を分けて考える
Manaさんは、オンラインよりオフラインで遊ぶ方がボードゲームの良さがあり、ファンもそれを求めている人が多いと述べています。だからデジタルに転換してもオフラインの領域は侵害されにくい、という見立てです。
事前に印刷すればお金もかかり、すでに製造工場にも発注している状態です。一方でデザインデータはあり、それさえあればオンラインで遊べます。
そこで、オフラインでできないことを補う形でオンラインを活用し、最終的に自分のボードゲーム販売に寄与させることが重要になる、とManaさんは整理しています。
やっぱりオンラインよりもオフラインの方がボードゲって楽しいっていうか、良さってあるじゃないですか。
テストプレイはオフライン、体験版はオンラインという使い分け
Manaさんの周囲でも、ボードゲームを作ってみた際にブラウザゲームで一旦形にして「コンセプトや遊び感はどうか」と共有される場面が出てきているそうです。実際に先日、面白いゲームを遊んだといいます。
ただし、ブラウザゲームやオンラインでは本当の楽しみがわかりにくい面もあります。そのため、モックを作って対面・オフラインで遊ぶテストプレイは絶対に必要だ、とManaさんは述べています。
その上で面白いとなって製品化に至った経緯であれば、ブラウザなどに転換してもよい、という順序です。
本当の面白さを確かめるテストプレイに必須。製品化の判断に使う
ルール理解や体験・試遊に強力。製品化後の事前配布に向く
デジタル上では楽しさが半減したり、コンピュータ対戦では深く考えず適当に遊ばれて面白さが伝わりにくい面もあります。それでもルール理解や試遊の面では強力なツールになり得る、というのがManaさんの結論です。
この番組では、最新のトレンドであるAIの活用の仕方も試しており、その実験結果や考察、戦略を発信していきたい、と締めくくられています。
まとめ
ボードゲーム発売前の体験版には、PnP、オンラインセッションツール、AIブラウザゲームという3つの手法があります。特にAIで作るコンピュータ対戦つきのブラウザゲームは、一人でも試遊でき、チュートリアルで据え読み問題も解消できる点で強力だとManaさんは語りました。
- PnPはデザインデータを配布し、全国の人が自分で印刷して事前試遊できる手法
- オンラインセッションツールは遠方の人との試遊やVTuber活用などプロモーションの幅を広げる
- AIブラウザゲームはコンピュータ対戦で一人でも遊べ、チュートリアルでルール理解を助ける
- 体験版を配っても、買う層は気に入れば購入するため売り上げは下がりにくい
- テストプレイはオフライン、事前体験はオンラインと役割を分けて活用するのが有効



