漫画で書かれた250ページの制作入門書
今回のテーマは、Manaさんが先日購入した書籍『あたしのボドゲができるまで』の紹介です。ボードゲームをどうやって作っていくのか、その制作過程を漫画で描いた入門本になっています。
この本の一番のポイントは、全体が漫画で書かれていることです。Manaさんは読み始めてから一気に最後まで読んでしまったと話しています。
文字が大きくイラストも多用されていて、ページ数は250ページほど。サクッと読めるうえに、内容は網羅的だとされています。
本当すごく読みやすくてですね、全体的に漫画で書かれているっていうところが一つのポイントになっております。
なぜ「漫画でわかる」が制作解説に強いのか
ボードゲーム制作の解説は、理論や論理、制作進行過程などを難しく語ろうと思えばいくらでも難しくできてしまう領域です。言葉だけで説明してもイメージしにくい難しさがあります。
その点でManaさんが評価するのが、漫画という形式の機能です。イラストが多用されることで、言葉だけでなくビジュアル面でも何を言っているのかが説明されています。
さらに漫画にはストーリー性があります。ボードゲームを作ろうと思ってから完成させて販売するまでが、ストーリー立てて描かれている点が大きな特徴です。
これから作ろうと考えている読者にとっては、自分の立場や、いま進行している段階と照らし合わせながら読み進められる作りになっているとされています。
「漫画でわかる」なのに内容が薄くない理由
ビジネス書などでも「漫画でわかる」系の本は多いものの、概要だけ知って分かった気になる、内容の薄いものが多いとManaさんは指摘します。
一方でこの本は、制作の過程で出てくる課題や問題点に対して、漫画で説明するだけでなく、詳しく説明すべきところはコラムとしてしっかり解説されている点が良いとされています。
しかもその補足の入れ方も、章の隙間に置くのではなく、ストーリーの流れに沿って詳細を深く話す形になっているとされています。
女子高生が主人公、ボードゲームへの苦手意識から始まる物語
物語の概要は、ある女子高生のお話です。主人公は昔のトラウマからボードゲームに苦手意識を持っており、楽しめなかった経験がある状態からスタートします。
そんな主人公が、学校の課題で「ボードゲームを作ろう」というものに取り組むことになり、どう作っていくかがストーリーの軸になっています。
物語のきっかけは、ボードゲームカフェの店長との出会いです。主人公はそこで実際にボードゲームをプレイすることになります。
(主人公は)ボードゲームってちょっと微妙だよね、ちょっと怖いなみたいな、そういったイメージがあるところからのスタートになっております。
五目並べのトラウマと、勝ち負けにこだわらない遊び方
主人公には、五目並べをやったときに兄弟ゲンカをしてしまったというトラウマがありました。ボードゲームカフェの人は、勝ち負けにこだわりすぎないことや、勝敗以外にもさまざまな種類のボードゲームがあることを紹介していきます。
作中で紹介される具体的なゲームの一つが、オインクから出ている「ヒュードロドロップ」です。アイテムを片手で掴み、その中から指定のものだけを落とすというアクション系のゲームだと説明されています。
もう一つ挙げられるのが「犯人は踊る」です。人狼のような正体隠匿のカードゲームで、こうしたゲームを通じてさまざまなボードゲームの存在を主人公が知っていく流れになっています。
序盤は、いろんなボードゲームがあること、どんなシステムがあるかの紹介から始まります。自分が作りたいボードゲームにはどんなジャンルが最適なのかを考えられる内容になっているとされています。
企画、モック、テストプレイ。作り方の基本を学ぶ
物語は、ボードゲームカフェで実際に制作をしているボードゲームサークルの人との出会いへと進みます。ここからが作り方の基本にあたる部分です。
作り方の流れとして、まず企画を行い、次にモックとしてとにかく一旦形にし、そこからテストプレイをしてブラッシュアップしていく、という進め方が示されます。
何から始めていいか分からない、どう進めればいいか分からないという人にとって、こうした段取りと、その時々で気にすべき注意点が参考になるとされています。
パッケージ、アートワーク、役割分担まで踏み込む
作中では、パッケージやアートワークの話にも踏み込みます。外箱にはどういう情報を配置すればいいか、外箱の種類などが紹介されています。
外箱の種類として、化粧箱、キャラメル箱、スリーブケース、さらにチャック袋や麻袋まで、いろいろなパッケージ形態が解説されているとされています。
さらに、ゲームのルールを考える人とアートワークを考える人という、役割分担の話まで出ている点が特徴です。
ゲームマーケット出展までを網羅する
この物語は、最終的にゲームマーケットに出展するサークルの話になっています。ゲームマーケットに向けてどう進めるか、注意点は何か、用意しておくといいものは何かなどが語られます。
さらに、ゲームマーケットへの申し込みから当日までのざっくりとした流れも解説されており、この網羅性の高さをManaさんは評価しています。
目線の動きや色の強弱まで。カードデザインの細やかな解説
特に参考になるとManaさんが挙げるのが、企画とアートワークの進め方です。カードのデザインについて、目線がどう動くか、右利き左利きの考え方、色の強弱による見せ方まで細かく書かれているとされています。
全体は白黒の漫画で構成されていますが、色を説明する必要がある箇所はカラーで書かれているなど、本作りとしてもこだわって作られていると感じられるそうです。
色を説明しなきゃいけないところはちゃんとカラーで書かれていたりだとか、ここはちゃんと本作りとしてもこだわって作られているんだなという感じもしますね。
漫画形式だと冗長になりがちな部分でも、列挙するところは列挙し、図解化するところは図解化するというメリハリがよくできているとされています。
初めての人こそ、まずは本の通りに作ってみていい
企画のパートでは、最初に考えるのにおすすめの要素が定義されており、これが進めやすさにつながっているとManaさんは話します。
多くのボードゲーム作者には、長年やってきた中で培った自分なりの進め方や個性があります。しかし初めて作る人には、何かしらの手引きがあったほうが作りやすいものです。
だからこそManaさんは、一旦はこの本通りの進め方でやってみても全然いいのではないかと考えています。
日常の気づきが、どうボードゲームになるのか
物語の後半では、主人公が自分のボードゲームを作っていくフェーズに入ります。どこから着想を得てボードゲームになっていくのかが、漫画のストーリー形式で描かれます。
日常のちょっとした気づきが、どうボードゲームに落とし込まれていくのか。確かにこういうふうに日常生活から思いつくよな、と感じられる描写になっているとされています。
ただし、そのまま形にしただけでは面白くならなかったり、うまくいかないことはよくあります。主人公も詰まってしまいますが、そこをどう打開するかがストーリー形式で描かれる点も、楽しく読めるところだとされています。
みんな同じところで引っかかる、という安心感
いざ作り始めると、システムが崩壊したり、プロトタイプが遊びにくかったり、思っていたものと実際が違ったりと、うまくいかないことが多いものです。
そうした場面で、みんな同じところで引っかかるのだという安心感と、それをどう解決していくのかという未来が見える点が良いとManaさんは話しています。
地味に役立つ点として、カードサイズの紹介もあります。ポーカーサイズやトレーディングカードのハーフサイズなどが実寸大で紹介され、右利き左利きで手札に持ったときに見える位置はどこか、といった内容も扱われているとされています。
みんなちゃんとそういうところで引っかかるんだなっていうような安心感と、どう解決していくのかっていうような未来、そういったものが見えるっていうのはとてもいい。
入稿データから売価設定まで。制作の裏側を網羅
本の終盤では、印刷所への発注の仕方や入稿データ作りのポイントも扱われます。初心者が失敗しそうな塗り足し、フォントのアウトライン化、画像のリンク切れといった引っかかりポイントも網羅されています。
さらに、印刷のムラや、パッケージの仕方、販売方法、発注の分け方まで書かれているとされています。
金額まわりにも踏み込みます。売価をどう決めるか、損益分岐点や原価まで書かれており、さらっと薄い内容だと思っていたManaさんはこの踏み込み方に驚いたと話しています。
- 入稿データの塗り足しやフォントのアウトライン化
- 印刷のムラやパッケージの仕方
- 売価の決め方、損益分岐点、原価
- 宣伝や交流の仕方、当日のブースレイアウト
辞書的な本とは違い、最後まで一気に読めた
本の著者は水田琴美さんで、正式なタイトルは『漫画でわかるボードゲーム制作入門 あたしのボドゲができるまで』です。宣伝や交流の仕方、現場でのブースレイアウトや持ち物まで解説されているとされています。
Manaさん自身、ゲームメカニクスの本やトランプ遊び大全など、ボードゲーム関連の本を多く買ってきました。ただ、それらは調べるための辞書的な使い方が中心だったと振り返ります。
(他の本は)必要になったタイミングで辞書的な形で引くみたいな使い方が多かったんですが、今回の本は読み始めたらいつの間にか最後まで読み進めてしまっていた。
難しく話すと説明チックで情報量も膨大になる制作解説を、ストーリー立てて伝えるこの形式は最適だと感じたとされています。ボードゲームを作ってみようという人におすすめの一冊として紹介されています。
まとめ
『あたしのボドゲができるまで』は、漫画のストーリー形式でありながら、企画から入稿・販売・宣伝までを網羅した制作入門書です。制作者Manaさんは、説明チックになりがちな内容を最後まで一気に読ませる作りを高く評価しています。
- 全体が漫画で描かれ、250ページほどでサクッと読めるうえ内容は網羅的
- ボードゲームに苦手意識のある女子高生が、課題を機に制作へ向かうストーリー形式
- 企画・モック・テストプレイ・ブラッシュアップという基本の流れを学べる
- アートワークの目線の動きや色の強弱、入稿データや売価設定まで踏み込む
- 初めて作る人は、まず本の通りの進め方でやってみるのもよいという一冊



