100万分の1は「100分の1×3」で作れる?
サエキタカフミさんのポッドキャストの今回は、「100万人に1人の人材になるには」という話の後編です。前編の内容を、サエキさん自身が冒頭で簡単に振り返っています。
前編の要点は、100万分の1は100分の1を3回掛け合わせた数なので、周囲の100人の中で負けないものを3つ集めればよい、という考え方です。この考え方は、藤原和博 ── 教育改革実践家。リクルート出身で、東京都初の民間人校長を務めた人物。「100万人に1人の存在になる」キャリア論を著書で紹介していますさんの著書に書かれていたもので、サエキさんは強く共感し、参考にしているといいます。
自分と全く同じ生き方をしてきた人って一人もいないはずなので、(100分の1は)案外見つけやすいよって思ってもいいんじゃない?
さらに前編では、3つの100分の1を三角形としてイメージする話もしていました。1点目と2点目は三角形の底辺にあたり、勝負は3点目でどれだけ高さを出せるかだ、という整理です。
1点目
100人の中で負けないものを1つ作る。足場になる
2点目
1点目と合わせて底辺を作る。離れているほど底辺は長くなる
3点目
高さを出す。ここで三角形の面積が決まる
サエキさんによれば、底辺は長いほうがよいものの、足場がないと意味がないので、1点目と2点目は近いところに打ってもかまわないといいます。後編では、この三角形の3点をサエキさん自身がどう打とうとしているかが語られます。
研究開発と音楽活動で、底辺はもう描けている?
サエキさんは新卒で入った会社で11年目を迎えています。最初の8年ほどはメーカーの研究開発職として、同じ職種の仕事を続けてきました。
サエキさんの1点目は、この研究開発の経験です。それなりに大きい会社で研究開発や製品開発のノウハウを積んだので、100分の1ぐらいの力はあると考えています。
2点目は音楽活動です。サエキさんは社会人2年目ごろから「少年ピース」というユニットで7〜8年活動してきました。前編で触れた「100分の1を作るには1万時間 ── ある分野で一流になるには約1万時間の練習が必要だとする、いわゆる「1万時間の法則」に由来する目安です、約5年ぐらいかかる」という目安を、8年の活動で超えていると見ています。
サエキさんは、メーカーでの会社員業とインディーズミュージシャンはあまり近くない分野なので、ある程度長い底辺はもう描けていると考えています。
経営企画の3年弱で、社内の2点目は打てたのか
サエキさんは、会社員とミュージシャンで1点ずつという見方は「自分の人生全体」を範囲にした話だと補足します。範囲を会社の中だけに絞ると、別の見方が出てきます。
会社の中でのサエキさんは、8年間製品開発をした後、3年弱は経営企画の部署で働いています。8年で1点目は打てたとして、3年弱の経営企画で2点目を打てたのかどうか、サエキさんの中で議論があるといいます。
一般論では1点を打つのに5年かかると言われるため、3年弱ではまだ打てていないと思われがちです。そこでサエキさんは、冷静に自己評価をしてみたといいます。
歴代上司5人が口をそろえた「吸収が早い」は強みになる?
サエキさんが自己評価の根拠にしたのは、歴代のマネージャー5人ほどから共通して言われてきた評価です。
歴代のマネージャーにこぞって言われてきたのが、佐伯くんは吸収が早いと。なんかこう適応力がめっちゃ高いというふうに言われてきたんですね。
サエキさんは、研究開発職らしく「N5で評価できている」と冗談めかして表現しつつ、この評価は自分の強みや持ち味と考えてよいのではないかと話します。自分でもその感覚があるといいます。
みんながこう数年かけて覚えるような業務フローを一年あれば、ある程度の解像度を持って(理解できる)。
サエキさんは、この吸収の早さの源は「これは何のためにやっているのか」を考える目的思考にあると見ています。目的思考については、別の回で話す予定だといいます。
1点を打つには5年かかるとされる
吸収の早さがあるので、3年で1点を打てるのではないか
サエキさんは、自分は意外と3年で1点を打てる人なのではないかと考えました。その結果、社内という範囲でも2点目は打てていて、ビジネスパーソンとしても1万人に1人ぐらいの人材になれているのでは、と前向きに捉えています。
3点目はどこに打つ?掛け算になる高さを探して
3点目をどう打つかについては、サエキさんにも決まった答えはなく、まさに悩んでいるところだといいます。底辺を長く確保できても、高さが取れなければ三角形は大きくならず、安心はできないからです。
僕はすごい、この理論を知ってしまったが故に悩んでるところもあって。
サエキさんは、3点目は足し算ではなく掛け算になるものでなければならないと考えています。会社員とミュージシャンで得たそれぞれの経験が大いに生きる3点目を探しているわけです。
候補の1つは、キャリアについてアドバイスする立場です。サエキさんはキャリア論を考えるのが案外好きで、ミュージシャンにもビジネスパーソンにも、両方を経験した自分だから伝えられることがあるかもしれないと考えています。
百分の1作るのって案外こう、もうあるもんだよみたいなことを、その人を深掘っていくのって、案外こう、僕好きだったりするんですよ。
ただしサエキさんには、自分でクリエイティブを作っていきたいという軸があります。キャリアアドバイザーは支援側の仕事であり、教育と同じく、誰かが伸びることを喜べる人がやるべきだと話します。
やっぱ誰かのために時間を使うよりも自分のために時間を使って自分が登っていきたいっていうところがやっぱりあるので、その三点目は違うかなって思ってる。
会社の中でも、サエキさんは開発と企画を経験したうえで3点目をどこに打つか、最近ずっと上司と話し合っているといいます。サエキさんは自分を「絶賛考えている35歳と半年の佐伯貴史」と表現しています。
30代から40代前半こそ、キャリアを三角形で考えるべき?
サエキさんは後編を、答えの出ていない悩みの共有にとどまったと振り返りつつ、同世代へのすすめで締めくくります。対象は、30代から40代前半ぐらいの人たちです。
言葉悪いですけど、惰性で生きていくのって、この生きていった先に何らかの後悔がちょっと大きめにあるんじゃないと思ったりもしてて。
サエキさんは、自分の人生やキャリアを三角形で考えてみることを、30歳から40歳ぐらいの人に勧めています。番組ではこれからも、キャリア、音楽、AIなど、関心の向くままに話していくといいます。
まとめ
サエキタカフミさんは、藤原和博さんの「100分の1を3つ掛け合わせる」考え方を自分に当てはめ、研究開発と音楽活動で底辺はできていると捉えています。一方で、掛け算になる3点目はまだ探している途中で、その悩みも含めて同世代にキャリアを三角形で考えることを勧めています。
- 100万分の1は、周囲100人の中で負けないものを3つ掛け合わせれば作れる
- サエキさんは研究開発の8年と音楽活動の7〜8年で、離れた2点の長い底辺を描けたと考えている
- 歴代上司から言われた「吸収が早い」を根拠に、社内でも3年弱の経営企画で2点目を打てたと前向きに捉えている
- 3点目は掛け算になる必要があり、アドバイザー的な道は自分の気質と違うかもしれないと悩んでいる
- 30代から40代前半は、惰性ではなく自分のキャリアを三角形で考えることが勧められている






