3連休明けに土用入り、その前に重陽の節句?
収録日は10月9日です。けんけんさんが「そろそろ3連休が近く、明けたら土用ですか」と話を振ったところから、今回の暦トークは始まりました。
タカさんによると、土用入りの前に重陽の節句 ── 旧暦9月9日に行われる五節句の一つ。菊の節句とも呼ばれ、陽の数である9が重なる日として長寿を願う行事が伝わっていますもあり、今年は10月19日にあたります。旧暦の9月9日が、新暦ではこの日になるという話です。
そこ(重陽の節句)がここに効いてくるわけですね。9月9日。
けんけんさんは続けて、20日から土用に入ることも確認しています。3連休、重陽、土用入りと、10月の中旬から下旬にかけて節目が続く時期だとわかります。
新刊のタイトルは「茶をしばき続けよう」
けんけんさんが「タカさん、お忙しいんではないですか?」と尋ねると、タカさんの答えは「激烈忙しいですね」でした。忙しさの理由は、制作中の新しい本です。
タカさんの新刊のタイトルは長く、タカさん自身も一度言い間違えながら『平和の歩みを止めないように茶をしばき続けよう』と読み上げています。
けんけんさんはタカさんから原稿を受け取って半分ほど読み、「激烈共感のものばかり」だったと話します。さらに、けんけんさんの家を訪ねてきた大地の再生 ── 土中の水と空気の流れを整えることで環境を回復させようとする取り組み。造園家の矢野智徳さんが提唱した考え方として知られていますの先生たちも、その本の話題でとても感動していたそうです。
茶をしばくって大事だねみたいな。ひとしきり茶をしばくについて語り合ってましたね。1時間ぐらい語ったかな。
タカさんはこれを受けて「茶をしばくをネタに茶をしばく」と笑い、二人のやり取りは言葉遊びのように転がっていきます。
原稿を本にするのは「人参がスープになる」ような別作業
新刊の発売時期を聞かれたタカさんは、「砂場で城を作ってる感じ」だと答えます。自分で作っている本なので決まった納期がない、という意味です。
新刊の原稿はすでに書き終わり、今はページ組みの段階にあります。文字の大きさ、1行に入る文字数、1ページを2段で組むか1段で組むかといった細かな「建築の作業」に、タカさんは本気で取り組んでいます。
けんけんさんが受け取っていたのはレイアウト前のテキスト原稿でした。タカさんによれば、原稿を本の形にするのは全く別の作業で、フォントや字間、行間、1行の文字量で、読みやすさや重厚感、軽さが変わってくるそうです。
人参とか玉ねぎとかが、スープになるっていうのは別の話じゃん。今スープ作ってる感じ。
タカさんは本作りを料理にたとえ、「食べ応えがあって、栄養になる、食べたいと思える」本を目指していると話します。組版のほかにも、タカさんが並行して進めている作業は多岐にわたります。
- 印刷の見積もりを取り、納期を決める
- 製本を自分で行うためのスケジュールを組む
- タカさんがいないときに製本できるチームを作る
- 本を扱ってくれる卸先を募る
さらにタカさんは、卸先だけが無料で参加できる「茶をしばこう会」のようなサロンも構想しています。全国で10冊ずつ販売しようとしている人たちが集まる場で、けんけんさんも「それすごい楽しみ」と期待を寄せていました。
なぜ「走る」ではなく「歩みを止めない」なのか
多くの作業を抱えるタカさんに、けんけんさんが「元気ですか?」と聞きます。タカさんの返事は少し意外なものでした。
タカさんは「避けがたい健康」と言い換え、健康でなければこの仕事量はこなせないと話します。けんけんさんが「走り切ってください」と励ますと、タカさんはすかさず本のタイトルを持ち出して返しました。
走り切ってくださいって言われて、俺平和の歩みを止めないようにって言ってんのに。
これ(タイトル)自分への念押しなんでね。Keep on peace walkingなんだけど。
新刊のタイトルの英語のイメージは、あくまで「walking」で、走らないことです。タカさんは、歩みを続けるためには途中で茶をしばく時間がいると話し、それが暦ともつながると考えています。
タカさんによれば、地域の暦があった時代の人たちは、暦を見ながら茶をしばいていたはずです。ところが今は、スマホにレストランの呼び鈴のような通知が絶えず届き、腰を落ち着けることが難しくなっています。
タカさんは、腰を落ち着けることが体にもたらす変化を次のように順を追って説明しました。
腰を落ち着ける
スローダウンして座り、気が下に下がる
頭寒足熱
頭が冷え、気が下がることで足が温まる
腎が安らぐ
腎臓が安らいだ状態になる
陽気が補われる
体の陽気が補われる
つまり新刊のタイトルには、平和の歩みを止めないために茶をしばき、できれば味噌汁まで飲んでいこう、暦とともに、という思いが込められています。
けんけんさんは、月1回のコヨオタラジオの収録自体が、自分の歩みを止めてゆっくりできる時間になっていると話します。リスナーにもそんなふうに聴いてほしい、という願いです。
タカさんはラジオと茶の相性にも触れました。ラジオは耳しか借りないので、運転や料理をしながら暮らしに寄り添いやすいといいます。全国にはコミュニティラジオ局の下が喫茶店になった「ラジオカフェ」もあり、番組がカフェで流れているそうです。
「補腎」をスポーツの話題みたいに語りたい
ここで話題は、冬に向けた「補腎」へ移ります。収録前のチェックインで、ギャラリー参加のメンバーが「補腎に備えている」と話していたことを、けんけんさんが取り上げました。
タカさんは、一人でオタクをやっていればいいのにわざわざ番組で話す理由の一つを語ります。木火土金水 ── 五行説で、自然界の働きを木・火・土・金・水の5つに分けてとらえる考え方。季節や方角、臓器などもこの5つに対応させて考えますや、肝心脾肺腎 ── 東洋医学でいう五臓。五行にそれぞれ対応し、臓器そのものだけでなく体の働きのまとまりを指す言葉として使われますのような言葉で話せる友達が増えてほしい、という思いです。
なんかあるじゃん。セリエAの話通じる友達がクラスに何人かいると嬉しいみたいなさ。
けんけんさんも「NBAのあのチームがさ、みたいなね」と応じます。タカさんは、補腎も「今年は補腎やるつもりあんの?」「今年は湯たんぽって思ってんだよね」と、スタンプのように普通に使える言葉になってほしいと話します。
タカさんが引き合いに出したのは、NBAのレイカーズです。スポーツバーで「レイカーズってどんなチームか」を語るとき、人それぞれ違う角度から話してもかまいません。
なんか補腎とかになった途端、間違えちゃいけない気がするから言っちゃいけないみたいになりやすいジャンルだなとか思ってて。
でしょ?俺それがすっげえぶっ壊したいとこなんだよね。
けんけんさんも、土用の話題では「それ間違ってるよ」という空気が出がちだと同意します。タカさんは、そうした権威主義が残っているから広まらないのだと考えています。
タカさんは、野球ファンが自分の球団のように長嶋さんや原さんの采配を語るのと同じで、天保の暦や腎臓の話も自由に語っていいはずだと話します。だからこそタカさんは、何の資格も取らず、「オタク」として語ることを選んでいるのだそうです。
「腎」は腎臓のことではない?
タカさんがまず説明したのは、五臓でいう「腎」はイコール腎臓ではなく、「腎という働き」を指すということです。
タカさんによれば、腎の働きとは体の水のクオリティを保とうとする働きです。薄めた海水のようなミネラルバランス、腐らないためのpHバランス、ホルモンバランスを取ろうとしています。
腎の働きには泌尿系も関わり、体に酸化物質が増えるものは、浄化するより「おしっこで出してしまえ」と排泄します。さらに、卵子や精子、受精卵を育む羊水のクオリティを保つ働きも含まれるといいます。
そのため、タカさんの説明では、腎という働きを担う「チームメンバー」には、腎臓、膀胱、子宮、卵巣、睾丸、前立腺などが含まれます。
臓器としての腎臓そのもの
体の水の質を保つ働きの総称。腎臓・膀胱・子宮・卵巣・睾丸・前立腺などが担う
タカさんは、さらに大きな視点として五行 ── 宇宙の働きを木・火・土・金・水の5つに分類してとらえる東洋の思想。陰陽の考え方と組み合わさり、暦や医学の基礎にもなっていますを持ち出します。体を一つの宇宙として見ると、体にも木火土金水の働きがあり、そのうち「水」の働きにあたるのが腎です。
ただし、ここでいう「水」は、自販機のミネラルウォーターやH2Oとは少し違います。タカさんは「マザーアースの海」のような、生命が生まれ続ける母体としての水だと説明しています。
海が嫌いになった魚とかいないんじゃね。
海の水はパーフェクトなミネラルバランスで、魚はみな満足してそこにいる、とタカさんは話します。ただ、化学物質による汚染や護岸によって、海岸の生態系が崩れることもあります。
腎気が下がると何が起きるのか
タカさんによれば、海が汚染されるのと同じことが体でも起き、ホルモン剤やステロイドなどさまざまなものを体に入れ続けると「腎気」が下がるといいます。ここが補腎の話につながる部分です。
腎気とは、ミネラルバランスや電位などが整い、「いつでも満ちていて、いろんなものを生み出せる」というエネルギッシュな状態のことです。その状態が低下すると、体と心にさまざまな変化が出るとタカさんは挙げました。
- 血が汚れる、骨が弱る
- 目のクマが増える、ふらつきやすくなる
- 腰が重くなる、下半身がむくむ、冷えが取れにくい
- 臆病になり、足がすくむ
けんけんさんが「気も変わるんですね」と驚くと、タカさんは、腎気が下がると積極性が減って「誰かやってくれたらいいのに」となると説明しました。自分のエネルギーがなく、芯がないと感じて怖くなるからです。
腎気を補う方法として、タカさんがまず挙げたのは夜に寝ることです。次に挙げたのが、ごぼうのような冬の根菜でした。
なんか土の中でじーっとしてミネラルを集め続けて、ゆっくりそれをオリゴ糖に変えて生き続けるみたいなさ。
根菜は、土の中で蓄えたものを使って後で葉を伸ばし、花を咲かせ、種をつけるところまで生き抜きます。タカさんはそれを「根気がある」と表現し、根菜に長時間火を入れて体の水を温めることが腎気を補うことだと話しました。
鉄火味噌も高麗人参も「補腎」の知恵
けんけんさんは、以前タカさんのラジオで聞いた鉄火味噌 ── ごぼう・れんこん・人参・生姜などの根菜を細かく刻み、豆味噌と油で長時間炒めて仕上げる保存食。マクロビオティックの食養で知られていますを作り、養生していた時期があったそうです。
鉄火味噌も補腎ですか?違います?
タカさんの答えは「もろですね」。鉄火味噌はミネラルが豊富なうえ、ごぼう、れんこん、人参、生姜を細かく刻むことで火が入りやすくなり、陽気を高めやすくなるといいます。
ごぼうの一本炒めとか食べたいですか?
大きな塊のままでは、煮る、茹でる、蒸かすなどしないと柔らかくなりません。タカさんは、ごく弱火で長時間かければできるかもしれないが効率が悪く、「その間に自分の腎気が失われる」と笑います。
鉄火味噌に使う味噌についても、タカさんは陽気の高さに違いがあると話します。麦味噌、米味噌、豆味噌のなかでは豆味噌がおそらく一番陽気が高く、熟成期間が長いほど陽気も高いといいます。
根菜を細かく刻む
ごぼう・れんこん・人参・生姜を刻み、火が入りやすくする
陽気の高い味噌を使う
豆味噌や熟成期間の長い味噌を選ぶ
パラパラになるまで炒める
「気つけ」と言われるほど陽気を補う
腎気を補う
体の水を温める力を取り戻す
さらにタカさんは、亀やスッポンの甲羅、鹿の角、高麗人参 ── 朝鮮半島原産のウコギ科の植物の根。滋養強壮の生薬として古くから用いられ、栽培年数が長いものほど上質とされていますも、腎気を補う漢方として重宝されていると紹介しました。
土の中に6年人参で居続けられる人参さんはだいぶ陽気が高いと思うんですよね。
周りの植物が1年ごとに枯れて土に還るなかで、栄養を取り続けながら6年も土の中にいる。タカさんはその生命力の強さに、陽気の高さを見ています。
タカさんの「補腎ベスト3」とけんけんさんの10年
最後にけんけんさんが、タカさん自身の「補腎の備えベスト3」を尋ねました。タカさんが真っ先に挙げたのは、夜にしっかり寝ることです。
夜寝る。夜寝る。とにかく夜寝る。夜しっかり寝る。それが一番で。
タカさんの2つ目は適度な運動です。染め物でも散歩でもよいので、体を動かして気と血液を巡らせ、そのうえで夜はしっかり寝ることを勧めています。
タカさんの3つ目は味噌汁で、毎朝、1日2回は味噌汁を飲むといいます。血液を酸化させないためで、番茶や梅醤番茶のような飲み物も含まれるそうです。タカさん自身も「多分俺補腎すごい意識してんだと思う。一年中」と振り返りました。
けんけんさんは、昔「養生FM」で、補腎が大事で冬に1年のエネルギーを蓄えるのだと聞いたことを思い出します。季節の中での自分の在り方を問われ、そんなことを考えたことがなかったと感じたそうです。
まあ元気、なんかあの10年前よりすごいやっぱ元気になったなっていう感じがしてて。
けんけんさんは、それ以来よく寝ること、体を冷やさないことを意識してきました。やってよかったと感じつつ、まだできることはたくさんあり、今回の話も取り入れたいと話して、番組は締めくくられました。
まとめ
今回のコヨオタラジオは、新刊『平和の歩みを止めないように茶をしばき続けよう』に込めた「走らず歩み続ける」という考えから始まり、冬に向けた補腎の具体的な知恵へとつながっていきました。茶をしばいて腰を落ち着けることも、根菜を炒めることも、夜に寝ることも、タカさんの中では一続きの養生として語られています。
- 新刊のタイトルは「Keep on peace walking」。走り切るのではなく、途中で茶をしばいて歩みを続けることが込められている
- 五臓の「腎」は腎臓そのものではなく、体の水の質を保つ働きの総称で、生殖器なども含まれる
- 腎気が下がると、冷えやむくみだけでなく、臆病になり積極性が減るといった心の変化も出るという
- 補腎の基本は夜にしっかり寝ること。根菜に長く火を入れた鉄火味噌や、毎日の味噌汁も腎気を補う
- 補腎のような言葉は、権威を気にせずスポーツの話題のように自由に語ってほしいというのがタカさんの願い






