大阪のフェスで公開生収録。なにわ筋MIX音楽祭とは?
ソシャエンの公開生収録が決まりました。高村さんが主催する「なにわ筋MIX音楽祭」の11月15日(日)、大阪大学のキャンパスで行われるトークライブの一枠として実施されます。
そもそもその14、15の土日に僕が主催する音楽フェスをやってまして、それが公園で大々的にパークフェスをやってたりするんですけど。
なにわ筋MIX音楽祭は、靭公園をメイン会場に、地域11箇所でのライブサーキットやトークライブ、大阪大学と一緒に作るまちづくりワークショップも行われる催しです。2日間で100組ほどのアーティストが出演するといいます。
出演者のジャンルは、アイドルやラッパー、バンドから、サックスやピアノのような落ち着いた演奏まで幅広いそうです。さらに30〜40店舗が参加するバル企画もあり、ライブを見ながら街を周遊してもらう設計になっています。
とにかくこう街を訪れて、そこでライブ見たりとか、トークライブも楽しんでもらったりしつつ、ちょっとご飯もね、食べてもらって、その街自体を巡ってもらえる企画にしようと思ってますね。
高村さんはこのフェスに主催者としてだけでなく、出演者としても参加します。そこで公園の野外会場にディスコステージを作る予定で、その企画の背景にあるのが、今回のテーマである高齢者ディスコです。
なぜいま高齢者ディスコが全国で熱いのか
高村さんは、最近全国で特に熱い企画として高齢者ディスコを挙げます。黒田さんも、SNSやメディアで取り上げられるほど流行っていると応じます。
50代、60代がディスコ世代に差し掛かってきて、なんかみんなが楽しめる、つながれる、健康になるっていうのが全部一石何鳥にもなってるのがディスコかなと思うんで。
DJとしても活動する高村さんには、高齢者ディスコの依頼がたくさん届いているそうです。もともとディスコが大好きで当時の曲も聴き込んできたものの、それでも急に増えたと感じているといいます。
件数が増えるにつれて、イベントの種類や運営で気をつける点、どんな課題にアプローチできているのかが見えてきたそうです。そこで今回は、街で広がる高齢者ディスコの「解像度を上げる」ことが狙いだと話しています。
体育館や公民館でもできる。高齢者ディスコの意外な手軽さ
高齢者ディスコの参加者は、主に50代から80代です。流すのはディスコの音楽ですが、会場はナイトクラブやライブハウスではなく、体育館や公民館でも実施できているといいます。
高村さんは、本格的な音響に頼らなくていい点を一つの魅力に挙げます。黒田さんも、ゴージャスな空間でなくても部屋の一室のような場所でカジュアルにできると応じています。
健康づくりのイベントに、なぜ高齢者は来ないのか?
背景には超高齢社会があります。高村さんは、3人に1人が65歳以上という構造の中で、高齢者の生きがいや健康寿命 ── 介護などに頼らず、自立して健康に日常生活を送れる期間のこと。平均寿命との差を縮めることが社会的な課題とされていますに、ディスコがいい作用をしていると見ています。
一方で、高齢者に運動してもらうのは簡単ではありません。機会が面倒になったり、場所がなかったりして体を動かさなくなり、さらに体が動かなくなるという悪循環が起きやすいと高村さんは指摘します。
機会が減る
運動が面倒になる、施設や機会が見つからない
動かなくなる
運動をしない日が続く
体が衰える
体がどんどん動かなくなる
さらに遠ざかる
ますます運動の機会から離れていく
行政が健康運動大会を開いても、届けたい層には届きにくいといいます。「そこまで老いてない」と感じる人には簡単すぎますし、高齢者扱いされたくないという心理もあるからです。
難易度的にやっぱ自分には簡単すぎるとか、そういうジジババ感を感じたくないよねみたいな、そういう心理性もあったりして。
さらに、高齢になってから新しいつながりを作ることに抵抗感がある人も多く、行きたいけれどやめておく、という選択をする人も少なくないと高村さんは話します。
日本ダンスウェルネス協会を立ち上げた黒田さんは、行政のイベントでは80代や90代の安全に合わせて内容を調整せざるを得ず、60代や70代には物足りなくなる構造を指摘します。
ダンスは自然発生的にそれが繋がれたりとか、健康に繋がるっていうのがあると思うので、そういう意味ではディスコっていうのは僕的には面白い活動やなと思ってます。
「運動しに行く」感覚がない。家族も背中を押せる理由
高齢の親を持つ家族にとって、1人で運動させるのは怖いものです。怪我を心配するあまり「運動なんかせんと家おり」と閉じ込めてしまい、かえって悪循環になることもあると2人は話します。
高村さんは、ディスコがうまく作用している大きなポイントとして、運動しに行くという感覚がないことを挙げます。昔通ったディスコの感覚をもう一度味わいたい、遊びに行きたいという気持ちが動機になるのです。
家族にもね、そういう説明ができるから、まあじゃあそれやったら行っておいでよみたいな。
周りに同世代の人がいて、たとえば看護師さんもいる環境なら、家族も安心して送り出せます。この点も大事なポイントだと高村さんは考えています。
ドレスにメイク、音でつながる。ディスコのいろいろな楽しみ方
高齢者ディスコの楽しみ方は、思いきり踊ることだけではありません。高村さんによると、おしゃれをしに行くこと自体にも大きな価値があるそうです。
普段だったら商店街にね、買い物行ったりするのにおしゃれはしないけど、なんかこう、昔のちょっとドレスを出してみて。で、それを着る機会にする。
ドレスを着るためにダイエットを頑張る、メイクをばっちりするなど、意欲が湧くきっかけになるといいます。黒田さんは、見られる意識を持つことが若返りの秘訣にもなるのではと話しています。
高村さんは、音楽があることで人間関係が生まれる点にも注目します。話すのが苦手でも踊っているうちに仲良くなったり、メイクアップや着付け、マッサージのブースを通じて、提供者側とも気軽に交流できたりするそうです。
ある種言ったら世代を超えて立場を超えてフラットに繋がれるのが音楽を通じて生まれてるっていうところが、本当にこう、音楽のど真ん中の企画言ってるなと思ってて。
家族が会場に居合わせる効果もあります。本人が笑顔で動き回る姿を見て「こんなに楽しんでるお母さん久々に見たな」と感じるなど、高齢者ディスコは家族単位でのいいコミュニケーションのきっかけにもなっているそうです。
なんか自分の親はなんか家でずっと寝たきりで笑ってないよりも、なんかこう、誰かと繋がってるとか、人生楽しんでそうやなとか、そういうことに対してやっぱ安心するし、嬉しいじゃないですか。
看護学校の主婦4人から始まった。供給が足りない今がチャンス
ここから話は、どうやってイベントを作るかへ移ります。高村さんが最近関わったイベントでは、看護学校の主婦4人ほどが、普段話すおじいちゃんおばあちゃんのために何かしたいと考えたのが始まりだったそうです。
話を聞くと「ディスコ行ってないな」「昔はよく行っててんけどな」という声があり、そこから立ち上げにつながったといいます。何件も見るうちに、うまくいくやり方がある程度見えてきたと高村さんは話します。
(ディスコイベントは)今多分結構その供給側が足りてない状態だと思ってて。ちょっとしたディスコイベントでも結構パンパンに入ってるイメージばっかりなんすよ。
黒田さんも、各地で自然発生的にディスコイベントが生まれれば、みんなが集まれる場所がたくさんできると期待を寄せています。
ガチで踊るか、思い出をつくるか。最初に決める2つの方向性
高村さんがまず挙げるポイントは、イベントのコンセプトを絞ることです。「全員来てね」というイベントは、どんなジャンルでも失敗するといいます。そのうえで、高齢者ディスコは大きく2つに分けられるそうです。
1つ目は、ディスコ世代をバリバリ踊らせる熱狂度の高いイベントです。50代から60代の参加者が多く、衣装も決めてきて、5〜6時間ぶっ通しで踊り続けるといいます。
そういうイベントももうね、DJやってる側からするとタイマン張ってるみたいな、熱狂度がすごいから。
2つ目は、地域の70代や80代をターゲットにした、外に出るきっかけや思い出づくりのイベントです。20〜40年ぶりに踊る人も多く、集合した時点では椅子に座ってぐったりしているので、こちらから気持ちを上げていく必要があるといいます。
50〜60代中心。衣装を決め、5〜6時間踊り続ける。ディスコとしての質が問われる
70〜80代中心。外に出るきっかけづくり。健康やつながり、意欲を生むことがゴール
2つのタイプは最初の熱量もゴールもまったく違います。そのため、どちらのイベントをやりたいのかを最初に絞ったほうがいいと高村さんは勧めています。
休憩こそ設計の肝。発表会、ブース、チークダンス
ディスコイベントは基本的に、DJタイムの合間に休憩をはさむ構成になります。高村さんは、その休憩時間を軸に考えたほうがいいと話します。
DJの時はね、やっぱ盛り上がるんすよ、どんな曲かけても。でもその休憩の時間でやっぱ下げてしまう、テンション全体が下がっちゃうっていう時もあるし。
1つ目の案は、発表会のような「見るコンテンツ」です。シニアダンスでマイケル・ジャクソンを踊ったり、フラダンスを披露したりする時間を作れば、参加者は座って水分補給ができます。こまめな水分補給のタイミングを作ることは、安全面でもとても大事だといいます。
発表する側にとっても、その舞台が目標になります。本気でパフォーマンスしてくれるので、イベントの告知力やコンテンツ力を高めることにもつながるそうです。
2つ目の案はブースです。マッサージ、オリジナルのモクテル ── ノンアルコールのカクテルのこと。「モック(まねごと)」と「カクテル」を組み合わせた言葉です、運動時の心拍数を測る健康ブースなどを置き、音量を下げて会話中心の時間にします。
高齢者ディスコだからこそ、そうやって大人力というか人間力が高い人ばっかりなので、意外とこうテンションさえ合えば喋ってくれたり、ブース回ってくれたりするので。
3つ目はチークダンス ── 男女がペアになり、頬を寄せるように体を寄せ合ってスローな曲で踊るダンス。ディスコ全盛期の定番でしたです。高村さんは、テンションを高い状態から落とすなら最強の手段だと話します。バラードでも空気が下がらず、疲れた人は自然に抜けて、また戻ってこられるからです。
休憩のパターンと来場者の層を組み合わせれば、大まかなタイムテーブルができあがります。それだけでも、DJなどへの依頼がしやすくなるそうです。
DJは1時間に1人。人集めはDJのつながりを生かす
DJの配置について、高村さんは1人で1時間を3本担当することもあるものの、1人のDJにはきついと話します。理想は1時間に1人で、6時間のイベントなら6人をアサインする形です。
DJ同士でもね、繋がりがあったりするから、一人DJ見つけて、そこからガンガンガンガン周りに聞いていってもらえれば、多分DJもアサインはできるので。
DJは機材を持ってきてくれることも多いそうです。まずは気軽にDJを探して声をかけ、その人のつながりを最大限に生かすのが近道だといいます。
MCはダンサーがベスト。スモールステップで踊らせる誘導術
高村さんがもう一つ大事だと話すのが、MCの存在です。進行だけをするMCより、ダンサーがMCを務めるのが一番いいといいます。いきなり「DJタイムです、どうぞ」と言っても、参加者はぽかんとしてしまうからです。
高村さんが感動したのは、思い出づくり型のイベントで初めてMCを務めた人の誘導でした。まず全員を立たせて中央に集め、真似をしてもらいながら、少しずつ動きを足していったそうです。
黒田さんはこれを、小さな成功を積み重ねるスモールステップだと説明します。誰でもできる「歩く」を音楽に合わせるところから始め、少しずつ難易度を上げていくのが誘導する側の役割だといいます。
でもDJがダンサーの役割というか、踊らせるきっかけってゼロイチ作るの多分無理なんですよ。
高村さんも、DJが「クラップしましょう」と呼びかけてもすぐに冷めてしまうと同意します。ダンサーがきっかけを作るからこそ、なめらかな曲線のように気持ちが上がっていき、DJは選曲に集中できるのです。
スピーカーは簡易でいい。公民館なら1万円以下で始められる
高村さんが現場で気づいたのは、ディスコの音源はあまり低音を必要としないということです。音のバランスがきれいなので、運動会で使うような簡易スピーカーでも、音量さえ聞こえれば成り立つといいます。
黒田さんも、大人の参加者には大きすぎる音はしんどいと話します。音量控えめで気楽に踊れる空間のほうが合っているので、どこでも始めやすいそうです。
公民館とかね、一日借りても1万円いかんくらい金額でできるし、逆にスピーカーの方が高いかもしらんなみたいな。
高村さんは、コストパフォーマンスがとにかくいい企画だと評価します。イベンターがまだ本格的に参入していないため、入ってきたら一気に広まるだろうと2人は見ています。
年代とジャンルを混ぜすぎない。DJ目線の選曲のコツ
DJ目線では、どんな曲でも流せばいいわけではありません。高村さんはまず、参加者が中学から社会人の頃に聴いた年代の曲を届けることを重視します。60年代のビートルズ世代もいれば、80〜90年代のユーロビートのような超ポップな音を好む人もいるそうです。
その年代の中で交わるのはめっちゃいいんですよ。ここの年代を急激にこう、あっち行ったりこっち行ったりすると結構テンション下がりやすそうだなっていうのは見えてきましたね。
年代ごとに楽器の編成や音質の流行があるため、同じ年代の中ならアメリカ系とイギリス系が混ざっても違和感は少ないといいます。黒田さんも、ダンスには年代ごとに流行ったリズムや動きがあるので、テーマを一貫させたほうが踊りやすいと補足しています。
さらに高村さんは、ツイスト系、ど真ん中のポップス系、ユーロビートを三大ジャンルとして挙げ、時間帯を分けることを勧めます。ジャンルが変わるたびに「俺が主役の時間だ」と、違う人が前に出てきてくれるそうです。
よりディスコに関してはここをちゃんと分けた方が私の時間来たっていう感じで乗っかってきてくれるし、それ以外の時はこう後ろでゆったり聞いとこうみたいな。
高齢者ディスコでは、ずっと盛り上げ続けないことがポイントです。ジャンルの切り替えが、そのまま参加者が熱を調整したり、水分を取りに行ったりする理由になります。
高村さんによると、会場では「フォー!」と声を上げて盛り上がる一方、外に出るとみんな静かにすっと帰っていくそうです。その遊び方のきれいさに、改めてディスコが好きになったと話しています。
事故が起きやすいのは座ったあと。安全管理と前後のケア
安全管理では、まず段差のないフロアを選ぶことが大切です。公民館や区民ホールのような何もない空間が理想で、段差がある場合はかなり目立たせる必要があるといいます。
意外にも、踊っている最中の事故はほとんど起きないそうです。症状が出やすいのはむしろ座ったあとで、腰が痛くなったり、気が抜けて倒れたりすることもあり得ると高村さんは話します。
スタッフ側の見とくべきポイントって、座った人に対してすぐアプローチをする。
座った人に水を勧めたり「今日は楽しいですか?」と声をかけたりするだけでも、少人数のスタッフで安全を確保できるといいます。看護師さんがいればさらに安心です。黒田さんも、ダンスで怪我をする人にはほとんど出会ったことがなく、注意すべきなのは戻るときなどの油断した瞬間だと話しています。
高村さんは、開始前と終了後の時間もコンテンツにできると提案します。30分早く来た人向けのストレッチやラジオ体操、終了後のマッサージや一服の時間は、ケアとコミュニケーションを兼ねた、ほかのイベントにはない良さになるそうです。
やりたい人はDMを。なにわ筋MIX音楽祭でディスコ体験も
最後に高村さんは、高齢者ディスコは外に出る、体を動かす、地域の会話が増えるといった点ですごくいい企画だと振り返ります。2人ともこうしたイベントを手がけているので、やりたい人はDMをくれればサポートや現地への参加もできると呼びかけています。
黒田さんは、踊った経験のない人のために、ディスコの前に踊り方のレクチャー時間を設けるアイデアも出しています。高村さんも、事前講習からショーケースにつなげるなど、柔軟に企画を作れると応じています。
だからそのいきなり踊りましょうってなったら踊ってきた人は踊るんですけど、踊ってこなかった人はやっぱハードルが高いんで。
高村さんのディスコステージは、なにわ筋MIX音楽祭の11月14日(土)、15時ごろから靭公園で行われます。気になる人は、ぜひ現地で体験してみてくださいね。
まとめ
高齢者ディスコは「運動」ではなく「遊び」として人を外に連れ出し、健康やつながり、家族の安心まで生み出す企画です。成功のカギは、方向性を絞ること、休憩やMCの設計、選曲、そして座ったあとのケアにあると2人は話しています。
- 「運動しに行く」感覚がないから、高齢者も参加しやすく、家族も送り出しやすい
- 熱狂型か思い出づくり型か、最初にコンセプトを絞る
- 休憩は発表会・ブース・チークダンスで設計し、MCはダンサーがスモールステップで誘導する
- 簡易スピーカーと公民館で始められ、コストパフォーマンスが高い
- 選曲は年代とジャンルを分け、安全面では座った人への声かけを優先する



