「書く分量も自由」と噛みしめたお便り
この回は、前回のエピソードを聴いたリスナーから届いた感想のお便りの紹介から始まります。前回のテーマは、毎日ノートを続けたうえでの気づきでした。
お便りの差出人は、公開しない日記を毎日うっすらと書き続けているリスナーです。前回の放送を聴いて、日記をやめられない理由に思い当たったといいます。
私は公開していない日記を毎日書いているのですが、うっすらと続いていて、なんだか止められなくて、大したことは書いてないし、なんかの役に立つわけでもないのだけれども、書き続けています。それがやっぱり自分の時間を取ることだったり、振り返りになっているんだな、だからやめられないんだなあと、ポッドキャストを聴きながら思いました。好きなように続けていいし、タイミングだって書く分量だって自由なんだなということを聞きながら噛みしめました。
あずまさんはこのお便りを、朝起きた布団の中でGoogleフォームの通知メールとして受け取ったそうです。読んだ瞬間にとても嬉しくなったと振り返っています。
ありがとうございます。お便りめちゃめちゃ嬉しい。
あずまさんが特に嬉しかったのは、前回話した「内容にこだわらなくても、少ない分量でもいい」という考えを、みどりふさんが自分の体験に重ねて受け取ってくれたことでした。
完璧主義がひょいと顔を出すとき、お便りが返してくれたもの
あずまさん自身も、前回のポッドキャストで「そうするといいよ」と話したものの、毎日ノート以外の新しいことを始めようとすると、完璧主義的な自分が出てきてしまうといいます。
どうしても完璧主義的な自分がひょいって顔を出してしまう節がある。
みどりふさんのお便りを読んで、あずまさんは「続けるのはちょっとでいい」という考えが、ノートや日記だけでなく、これから絵を描くことや何かを練習することにも応用できると改めて感じたそうです。
人には「自由でいい」と話しながら、新しいことでは完璧主義が顔を出していた
何かを続けるのはちょっとでいいし、完璧に仕上げなくてもいいと自分に返ってきた
あずまさんは、自分が届けた言葉がリスナーを経由して自分自身に戻ってくる感覚に救われたと話しています。ラフに続けること、自由であることの大切さを、あらためて確かめるきっかけになりました。
ネタ帳を見てもピンとこない、頭の中が「スカンピン」
お便りの話は、この回の本題にもつながっていきます。今回の収録の台本を考えていたあずまさんは、珍しく話したいネタがまったく浮かんでこなかったといいます。
あずまさんは雑談回にしてもいいかと考えましたが、その雑談すら浮かばず、頭の中が詰まるような、からっぽな感じがしたそうです。
冒頭お便り紹介の前にもなんか喋ろうかと思ったんだけど、「あ、何喋ればいいんだっけ?」みたいな。
あずまさんは普段、収録前に「AIの放送作家エージェント」とネタの壁打ちをしています。そのAIに「今週は話したいことありますか?」と聞かれ、何も思いつかなかったことが発端でした。
ネタがない時のために、あずまさんはネタ帳も用意しています。Twitter、個人のDiscordチャンネル、ノート、会社のSlackなど、あちこちに散らばしたメモをAIに集めてもらい、テキストでまとめてもらう仕組みです。
メモを散らばす
Twitter、個人のDiscord、ノート、会社のSlackなどにメモする
AIが集結させる
散らばったメモをまとめて集めてもらう
テキストでまとめる
ネタ帳として保管し、必要な時に出してもらう
ところが、そのネタ帳を出してもらっても、あずまさんはどれを見てもピンとこなかったといいます。毎日ノートで日記や考えを出していたのに、出し切ってしまったような感覚があったそうです。
アウトプットは満たされているのに、インプットが足りない
ネタが浮かばない理由を考えたあずまさんがたどり着いたのは、「インプットが足りていないのではないか」という気づきでした。
「あれ?私インプット足りてないんじゃね?」っていうことに気がついたんですよ。
あずまさんは最近、文学フリマ ── 作り手が自ら作品を販売する文学作品の展示即売会。小説や評論、エッセイなどの同人誌や個人出版物が並びますの原稿、note、ポッドキャストと、アウトプットの時間を意識的に増やしていました。
そのおかげで、あずまさんの書くことへの欲求はとても満たされていたといいます。一方で、時間をとって何かをインプットする機会はあまりなかったと気づいたそうです。
文学フリマの原稿、note、ポッドキャストなどで時間を作り、書く欲求は満たされている
時間をとって取り入れることがあまりできていない
BLEACH全74巻を読んで、アニメ千年血戦篇で見直す
あずまさんは、最近何を見たかを思い出してみます。真っ先に挙がったのは、漫画『BLEACH』を全巻読んだことでした。
きっかけは、AmazonのKindleで50パーセントオフのキャンペーンをやっていたことです。読んだことのない名作少年漫画を読もうと考え、『NARUTO』と迷った末に『BLEACH』全74巻を買って読み切ったといいます。
アニメとかで見てはいたけれども、久保帯人先生の絵めっちゃ好きかもって改めて思いました。
ただしあずまさんは、『BLEACH』はインプットというより、1つの娯楽として楽しんでいた感覚があると話しています。
あずまさんは、最終章のアニメ化である千年血戦篇も見ています。制作はスタジオぴえろ ── 東京のアニメ制作会社。『BLEACH』のほか『NARUTO』など多くの人気作品のアニメ化を手がけてきましたです。漫画を読み終えた直後にアニメで見直すことは、やってよかったことだそうです。
原作を読んだばかりなので、シーンのカットや描く順番の入れ替えなど、原作との違いがわかりやすく見えたといいます。
アニメって30分尺じゃないですか。で、その中でいかにその30分の中で盛り上がるところと次週に続く引きを作るのか。
あずまさんは、30分の中での盛り上がりと次週への引き、その回だけを見た人にもわかりやすくする工夫という観点から、アニメの演出を見るのが面白かったと話しています。
野木亜紀子脚本『ポリティカルパン』と、時間術の本ばかりの読書
あずまさんがもう1つ挙げたのは、今シーズンに始まったドラマ『ポリティカルパン』です。脚本は、あずまさんが大好きな脚本家の野木亜紀子さんです。
あずまさんは野木亜紀子さんを、『MIU404』や『アンナチュラル』などで、社会風刺を描きながら人間ドラマをドラマチックに描くのが上手な作家だと紹介しています。役者も好きな人が多く出ていて、見せ方やテンポ感もいいと感じているそうです。
あずまさんは本も読んでいますが、時間術の本ばかりになっているといいます。時間をうまく使えていないという思いと、休む時間を作らなきゃという思いから、何もしない時間系の本を読んでいるそうです。
あずまさんは、インプットがゼロではないものの、多面的ではなく偏っていると振り返ります。好きなものを好きな分だけ楽しむ娯楽であって、意識的なインプットとは少し違う感覚だといいます。
家にいてレコメンドに任せると、なぜ偏るのか
あずまさんが望んでいるインプットの形は、映画や展示、美術作品などが入り混じる「ごちゃ混ぜ感」なのかもしれないといいます。
ところが最近のあずまさんは、リモートワークが続いて外にあまり出ておらず、Netflix、SNS、YouTubeなど家で見られるものだけを見ているそうです。本屋には行くといいます。
特にしかも今ってレコメンドもされるじゃないですか。だから偏っちゃうんだよな。
あずまさんは、おすすめされるものや好きな作家の作品など、自分が取れる範疇のものだけを選んでいる感覚があるといいます。
前のクールに見たドラマ『Tシャツが乾くまで』も、Xでフォロワーや知り合いが見ている、面白いと言っていたのをキャッチアップして見始めたそうです。あずまさんは、これを界隈が近い人が見ているものを一緒に見る状態だと表現しています。
家で見られるもの、レコメンドされるもの、界隈の近い人が見ているもの
意外性のあるもの、遠くにあるもの、普段見ないものが入り混じる「ごちゃ混ぜ」
めっちゃスカスカ。入ってはいるけど、ちょっと整理されてるみたいな感じがあるんだよなぁ。
2025年5月、1か月で映画7本を見ていた頃
あずまさんは、頭の中がカオスになることの良さを、いろんなものの点と点が繋がっていく感覚にあると話します。
あずまさんが「めっちゃインプットしていた」と思い出すのは、2025年5月に映画をたくさん見ていた時期です。普段は日本の人間ドラマを描いた邦画が好きなあずまさんですが、この時は世界に影響を与えた名作映画を見ようとしていました。
あずまさんが参考にしたのは、『インプットルーティン』という本に載っている映画ベスト100のリストです。気になったものから片っ端から見ていき、1か月で7本ほど見ていたといいます。
一ヶ月で七本も映画見てたんだと思って。今の自分からしたら全然できる気がしないんですけど、本当に。
あずまさんは、そのリストも人のおすすめではあるものの、普段なら絶対に選ばない作品が多く含まれていたと振り返ります。名前は知っていても触れたことのない作品を見る体験が、とても良かったそうです。
『トレインスポッティング』と『地元最高!』がつながった瞬間
あずまさんは当時見た映画の感想を、しずかなインターネット ── 文章を静かに書いて公開できる、ブログ型のウェブサービス。いいね数などの反応が目立ちにくい設計が特徴ですに書き残していて、今も読み返せるといいます。
その1つが、ドラッグが流行する時代のイギリスの若者たちを描いた映画『トレインスポッティング』です。あずまさんは、若者たちが落ちぶれていく様や時代の病理を描いた青春劇だと説明しています。
あずまさんはこの映画を見て、漫画『地元最高!』に通じるものがあると感じ、感想に書き残しました。日本が舞台で、ポップでキャッチーな絵柄ながら、裏社会的なものを女の子の登場人物であえて描いている作品だそうです。
ごちゃ混ぜに入れる
普段選ばない名作映画も含めて見る
点と点がつながる
「これとこれ近いかも」と作品同士の共通点に気づく
言葉にする
作品の良さや影響を考え、感想として書き残す
それをアウトプットにして言葉にしていくみたいな営みがね、なんかすごい良かった、豊かだった感じがするんですよね。
何も入れないままでは干からびる、でも目的はなくていい
あずまさんは、難しいことを語りたい、知的になりたいということだけが目的ではないと前置きします。毎週ポッドキャストで話し、noteで書くなら、何も入れない手はないと考えたそうです。
家の中で得られる情報だけを食べて生活していると、なんか出ていくもの、アウトプットしていくものにも限りがどうしても出てきちゃう。
一方であずまさんは、見たらアウトプットしなきゃと思ってしまう癖にも触れます。みどりふさんのお便りのとおり、インプットも自由でいいはずだと考えています。
ただ、自分に委ねるとレコメンドされたものばかり食べてしまうというのが、あずまさんの悩みです。だからこそ、あえて触れないもの、行かない場所に行って刺激を与えないと脳が干からびてしまうと焦ったといいます。
流れてくるものを受け止めるだけでは「怠惰」になる
あずまさんは、この気づきは出し続けてきたからこそ得られたものだと話します。考えているプロセスごと出すのがこの番組なので、ポッドキャストで話しておこうと決めたそうです。
あずまさんは、何も考えずに流れてくるものを受け止めることは、自由でもあり怠惰でもあると感じています。タイムラインでレコメンドされた話題を見て、インプットした気になるのは目指す形ではないといいます。
特にそこに気づきがなくたっていいじゃん。別にアウトプットにつながんなくてもいいじゃん。でもちょっとそこを取りに行くっていうことを改めてやっていきたい。
あずまさんの結論は、足を動かして普段見ないものをあえて見に行き、そこで感じたものを味わうことです。気づきがなくてもちょっと取りに行くという姿勢が、健やかで心地よい暮らしにもつながると考えています。
番組の最後には、リスナーに向けて推しコンテンツや、あずまさんが好きそうな作品を教えてほしいという呼びかけもありました。
まとめ
ネタが浮かばなかったという小さな異変から、あずまさんはアウトプットに偏り、インプットがレコメンド頼みで狭くなっていたことに気づきました。お便りが教えてくれた「自由でいい」という姿勢を保ちながら、普段触れないものをあえて取りに行くことが、次の豊かな発信につながりそうです。
- リスナーのお便りを通じて、何かを続けるのはちょっとでいい、完璧でなくていいと改めて気づいた
- ネタ帳を見てもピンとこない状態から、アウトプットに比べてインプットが足りていないと気づいた
- 家で見られるものやレコメンド、界隈経由の作品だけでは、インプットが偏ってしまう
- 2025年5月に名作映画を見ていた時期のように、ごちゃ混ぜのインプットは点と点をつなげてくれる
- 気づきやアウトプットにつながらなくてもいいので、普段見ないものをあえて取りに行きたい






