「誰でも簡単・月10万」の本を買ったら何が書いてあった?
この回のテーマは「なぜ人はAI副業に惹かれてしまうのか」です。きっかけは、しぶちょーさんが本屋で「誰でも簡単、月10万、AI副業入門」といった趣旨の本を見つけ、実際に買ってみたことでした。
しぶちょーさんは紙の本に加えてKindleでも読める本を合わせ、2〜3冊に目を通したといいます。AI副業という言葉はよく聞くのに、何を指してどんなノウハウが語られているのか、真剣に見てこなかったという反省もあったようです。
あんまり真剣に見てこなかったなと思って。若干ちょっと冷笑気味。えー副業かみたいな。
二人は冒頭から「月10万なら、Claude Codeを使い倒している自分たちなら20万、30万いけるのでは」「そのノウハウをコミュニティ限定で定価50万円、今なら半額で売れば」と、あえて怪しい商材の口調で盛り上がります。かねりんさんは、怪しいと思いつつも「イケそう」と感じてしまう自分もいると認めています。
しぶちょーさん自身も、リアルの友人から「AI詳しいんだよね、AI副業しようと思うんだけど何したらいい?」と聞かれたことがあるそうです。この回は、そうしてソワソワしている人に送れる「落ち着くための回」として企画されています。
月10万円と不労所得。売り文句はなぜ刺さるのか
AI副業の売り文句について、しぶちょーさんは「AIで楽に月10万稼げる」という形がほぼ定番だと話します。かねりんさんは、固定給で働く人にとって給料を月10万円上げるのは「まあまあ無理ゲー」だと、その数字の魅力に共感します。
さらに売り文句には、AIエージェントが自律的に動くから働かなくても稼げる、という不労所得の要素が加わります。しぶちょーさんは商材を売る側の口ぶりをまねて、その構造を説明しました。
AIエージェントなんか自律的に動き回るんでしょ?と。じゃあ不労所得が得られるんではないでしょうかみたいな。
でも皆さんはノウハウがないので、私がノウハウをお売りしましょうよっていう。
しぶちょーさんによれば、AI副業の話は最終的に「ノウハウを売る」話に行き着きます。この構造は、あとの「つるはし」の話につながっていきます。
松浦会長のnote自動運用はAI副業の成功例なのか
成功例として話題に挙がったのが、エイベックスの松浦会長によるnoteの運用です。しぶちょーさんの説明では、AIに約60年分の人生のデータを入れて記事に切り出させ、自動で投稿させたところ、4本ほどでフォロワーが2万人を超え、「スキ」が5万を超えたといいます。
記事の中身は、本人の実体験に基づくお金の話や昔の話でした。読者はAIが書いたとは思っておらず、あとから明かされたことで「面白かったのにAIかよ」と騒ぐ人も出たそうです。
かねりんさんが「こんなんでも有名人だからでしょ」と指摘すると、しぶちょーさんも同意します。そのうえで、この事例は副業の文脈ではないものの、「AIで自動投稿するだけで話題を集め、有料記事も売れる」という運用の、いちばん上の成功例として見られていると整理しました。
ブログ、Kindle、LINEスタンプ。AI副業の定番手法カタログ
しぶちょーさんによると、AI副業で推奨される手法の基本は、自動でコンテンツを出し続け、記事販売やアフィリエイトで収益を得る運用です。本に並んでいた手法は、おおむね次のような分類でした。
| 手法 | 中身 | しぶちょーさんの見立て |
|---|---|---|
| AIライティング | 自分のブログやクラウドソーシングの記事代行をAIで書く | 案件を取るのは難しい |
| AI画像・イラスト | 画像やLINEスタンプを作って販売 | LINEスタンプだけはありと感じた |
| AI動画生成 | YouTube用素材などを作り、ココナラなどで受注 | 量産はいずれ規制される |
| Kindle出版 | AIに執筆させ、1日5冊ほど出版 | 「30冊出しています」の世界 |
| 講座・プロンプト販売 | AI講座、コンサル、プロンプトを売る | プロンプト販売はもう存在しない |
| SNS運用代行 | Xなどを自動運用してバズらせ収益化 | できません |
Kindle出版について、しぶちょーさんは「1日5冊ぐらい出せますよ、AIだったら」という売り文句を紹介しました。かねりんさんは、思わず自分たちが冷笑的な口調になってしまうと笑っています。
プロンプト販売については、しぶちょーさんは「もう存在しない」と言い切ります。形を変えた「スキル」の販売はあるものの、AI副業を掲げる人の多くはそこまでたどり着けないだろう、という見立てです。
稼げるのは最初だけ。先駆者利益と規制のいたちごっこ
SNS運用代行で本当に稼げるのか、というかねりんさんの問いに、しぶちょーさんは「できません」と即答します。ただし、AI副業は最初だけは少し稼げるのだと説明を続けました。
これ面白いのが、AI副業は最初はちょっとできんの。最初ってのは先駆者利益が若干ある。
例として挙がったのが、アメリカで流行したAI音楽の大量配信です。しぶちょーさんによれば、何万曲も出して自分で再生し収益を得るようなスキームを、頭のいい人たちが先に作って少し稼ぎ、そのノウハウを売るという流れが、AI副業でよく行われているといいます。
しぶちょーさんが注目するのは、AIが「数打ちゃ当たる」戦法と相性がよすぎる点です。質の低いコンテンツが量産されると、サーバー費用を負担するプラットフォーム側は困り、AI量産コンテンツを稼げないようにしたくなります。
先駆者が参入
誰もやっていない量産手法で少し稼ぐ
ノウハウ化
「これで稼げます」と手法が広まる
量産が殺到
質の悪いコンテンツがプラットフォームにあふれる
規制
プラットフォームがアルゴリズムを更新し、稼げなくなる
次の抜け道
規制をすり抜ける新手法が生まれ、繰り返す
Xでの自動リプライや、強いアカウントへの自動返信でおすすめ表示を狙う手法も、同じいたちごっこの一つだとしぶちょーさんは話します。かねりんさんはこれを「スピード勝負の迷惑行為」「警察来たぞ、逃げろ、の悪ガキ」とたとえ、二人は「不毛」という言葉で締めました。
副業の実態調査。半数は月1万円未満
では実際、副業でどれくらい稼げているのか。しぶちょーさんは、AIに限らない副業全体の調査結果を紹介しました。
1つ目はパーソナル総研のデータで、月収5万〜10万円の層が約27%、月収の中央値は約4万円、時給の中央値は1800円だったといいます。
2つ目はdoda ── パーソルキャリアが運営する転職サービス。転職市場や働き方に関する調査も定期的に公表していますの副業実態調査です。しぶちょーさんによれば、副業の平均収入は6万5000円ですが、最も多いのは月1万円未満の層で、全体の約50%を占めるといいます。
かねりんさんは「アフィリエイトで50円売れた、というレベルも入っているのか」と驚きます。20万、30万円と稼ぐ一部の人がいる一方、大多数はごく小さな金額にとどまる、というのが二人の受け止めでした。
いちばん儲かるのは「つるはし」を売る人
稼ぐ人と稼げない人が極端に分かれる理由を、しぶちょーさんはつるはしを売る構造 ── 金鉱を掘る人より、掘るための道具を売る人のほうが確実に儲かるという比喩。ゴールドラッシュの逸話がもとになっていますと説明しました。AI副業では、道具にあたる「稼ぎ方」を売る人がいちばん儲けている、という意味です。
noteを自動化して収益を作る方法を売るのが一番いいと。例えばね、Xを自動運用してお金を月100万稼ぐ方法を売るのが一番稼げると。
かねりんさんが「実際にそれで稼いでいるわけではないのか」と確かめると、しぶちょーさんは「稼ぐ方法を売って稼ぐ。それを真似して売る人がまた売る」と答えます。この連鎖が、情報商材のメタ構造になっているというわけです。
しぶちょーさんは、過半数が月1万円未満なのに平均値が高く出るのは、ごく一部の稼いでいる人に引っ張られているためだと補足します。その上位にいるのは、オンラインサロンや情報商材を売る側だという見立てです。
稼ぎ方を売る
「AIで月100万」のノウハウを販売する
買った人が真似る
同じ手法を試すが、ほとんど稼げない
真似して売る
買った人がまた同じノウハウを売り始める
売る側だけが儲かる
平均値を押し上げるのは売る側の収入
AI入門本の中身は「解像度」が低すぎた
しぶちょーさんは、情報商材そのものは買っていないので実態はわからないと断ったうえで、本屋で買った「AIで月10万円稼げます」の本の中身について、言葉を選ばずに言えば「ゴミでした」と評しました。アフィリエイトリンクを貼るのかというかねりんさんの冗談には、「同じ穴のムジナになってしまう」と断っています。
とくに驚いたのは、AIに関する情報の粗さだったそうです。例として、ChatGPT、Gemini、Claudeの使い分けを問う項目に「Claude Codeは長文に強い」と書かれていたことを挙げました。
言うて1000文字、2000文字とかの話をしてるのね。なんだけど、こういう長いね、1000文字、2000文字とか、そのぐらいの文章はClaudeが得意なんで、Claudeに任せましょうみたいな。
しぶちょーさんは、間違いとまでは言い難いものの「その解像度の話なんだ」と感じたといいます。かねりんさんは「何もわかってない人が書いてるのかな」と返し、本は全体として浅く広い内容だった、というのが二人の評価です。
ブロガー副業6年目が語る文字単価の現実
本では、ブログで稼ぐ第一歩として「まずクラウドソーシングに登録して記事の案件を取りましょう」と勧めていました。しぶちょーさんは2020年からブログを続けてきた立場から、「そんなんもうさ、無理なのよ」と否定します。
しぶちょーさん自身は寄稿記事の文字単価を高く設定していて、1文字25〜30円、1本10万円ほどになることもあるそうです。ただし最近は依頼が急に減ったとも話しています。
しぶちょーさんが紹介した5〜6年前の相場は、次のようなものでした。人が書いた記事でも、素人は1文字0.5円ほどだったといいます。
| 書き手 | 文字単価 | 例 |
|---|---|---|
| 素人 | 約0.5円 | 1000文字で500円 |
| 一般的な下限 | 約1円 | 5000文字で5000円 |
| 技術ブログ | 約5円 | 5000文字で2万5000円 |
| しぶちょーさんの寄稿 | 25〜30円 | 1本10万円ほど |
しぶちょーさんは、今はこうした相場がAIによって崩壊しているだろうと見ています。一方で、自分のように名前で品質が担保される書き手は、AIのポン出しではなく自分の視点を入れて仕上げるため、単価を取れるのだと説明しました。
だって今は誰が言ってるかにすごく価値があるから。
クラウドソーシングについても、しぶちょーさんは「そこに上がっている時点で条件が悪い」と話します。ただ、ブロガーは最初の実績がないと依頼されにくいため、実績づくりの場としての意味はあったといいます。ココナラがお店を出して客を待つ形なのに対し、クラウドソーシングは案件がすでにあって応募する形だ、という違いも説明されました。
「量を出して売れた所を深掘り」の稚拙なロジック
しぶちょーさんは、入門本がブログ業界のこうした事情を何も書いていないと指摘します。「note記事は有料販売できるので、好きなことを書いて値段をつければ売れます」という調子だったそうです。
売れないと、次に勧められるのは量産です。本のロジックは、AIで大量に出し、売れた記事を深掘りしていけば、1カ月目の1000円が2000〜3000円になり、半年後には月5万円になる、というものでした。
ロジックとも言えないよね。稚拙な。
それでも、しぶちょーさんは唯一使えそうなアイデアとして、LINEスタンプを挙げました。番組の2人のキャラクターでスタンプを作れば、ファングッズになるという発想です。かねりんさんは凝り性の自分が作ると「1年ぐらいかかる」と笑いつつ、ひとまずAIで出してみる案をメモしていました。
副業トラブルは5年で3.8倍。お金を借りさせる手口
しぶちょーさんは、副業をめぐるトラブルも増えていると話します。国民生活センター ── 消費生活に関する相談や情報提供を行う独立行政法人。全国の消費生活センターに寄せられた相談データを集計・公表していますに寄せられた副業の相談では、2020年から2024年にかけて被害金額が金額ベースで3.8倍になり、1件あたりの平均は約132万円だといいます。
しぶちょーさんが紹介した典型的な手口は、段階的に高額な契約へ誘導していく流れでした。
SNS広告
「AIで簡単、誰でも稼げる」と呼びかける
LINE登録
個別のやり取りに誘導される
低額マニュアル
2万円前後のマニュアルを買わされる
高額サポート
稼げないと、数十万〜数百万円の契約を求められる
借金を促す
「AIは今なんです」と消費者金融での借入まで勧められる
実例として、しぶちょーさんは社名を伏せて、2025年に行政処分を受けたAI関連の会社を紹介しました。SNS運用とAI活用のスキル習得をうたうオンラインスクールで、18歳の学生に消費者金融からお金を借りさせ、77万円の契約を結ばせたことが悪質とされたそうです。
元刑事のかねりんさんは、その会社を把握していると話し、行政処分を受けたあとも会社自体は潰れていないと指摘しました。しぶちょーさんは、処分が指示処分だったためだろうと受け止めています。
老後不安と副業推奨。AI副業ブームの土壌
しぶちょーさんは令和7年の消費者白書にも触れ、SNS関連の相談が増えていて、30代以下では副業に関する相談が多いと紹介しました。AIが、価値の低い情報商材の温床になっている節があるという見方です。
かねりんさんが、情報商材そのものは悪いわけではないのではと尋ねると、しぶちょーさんは中身次第だと答えます。Claude Codeの活用法を教える、というものならいいが、「お金が稼げる」とうたうAIのナレッジは「ないと思った方がいい」という立場です。
背景には社会の空気もあると二人は考えています。老後への不安、物価高、かねりんさんが挙げた老後2000万円問題 ── 2019年、金融庁の報告書をきっかけに、老後資金が年金以外に約2000万円必要だと話題になった問題ですのような漠然とした不安が、副業をしなければという圧力になっているといいます。
しぶちょーさんによれば、政府も2018年ごろに副業を推奨する方針を出しました。何をすればいいかわからない人に向けた情報商材ビジネスも同時に広がり、ここ8〜10年ほどで副業やスキルアップのセミナーが一気に増えた、という見立てです。
しぶちょー流副業論。最初は赤字でいい
かねりんさんに「稼げている副業6年目の副業論を」と促され、しぶちょーさんは自分の考えを語りました。前提として、しぶちょーさんの発信は朝晩のSNS投稿を1日も休まず続け、週1回の記事、さらにポッドキャストへと増やしていく「狂ったようなアウトプット」の積み重ねだといいます。
あのね、最初は赤字垂れ流しです。赤字を許容できるかどうかが結構重要になってくる。
ブログを始めるだけでもサーバー代や執筆時間がかかり、工数を含めると最初はマイナスです。しぶちょーさんは、副業は1〜2年のスパンで考えるものであり、3カ月で10万円を狙えば失敗するが、1年かけて月1万円なら、どんな分野でもいけると話します。
しぶちょーさんが一番最初に目指してほしいと繰り返しているのは、会社以外で、自分の力で1円を稼ぐことです。アルバイトやUber Eatsではなく、自分が生み出した価値でお金をもらうことは想像以上に難しく、半年ほどかかるといいます。
しぶちょーさんは、企業も最初は赤字で投資を受けながらスケールし、どこかで黒字化するものだと例えます。自己投資も設備投資もせずに月3万円稼げる環境だけが手に入ることは「絶対にないと言い切ってもいい」とまで話しました。そういう方法を売る人は、売ることが儲かるから売っているだけだ、という指摘です。
ポッドキャストにAI量産が来ない理由と「3手遅れ」
かねりんさんが、ポッドキャストにはこの手の商材があまりないと言うと、しぶちょーさんは、トッププレイヤーでも大きく稼いでいないからだと答えます。かねりんさんは、人が喋る部分が大きすぎて自動化しにくいとも付け加えました。
しぶちょーさんの見立てでは、プラットフォームから広告収益が支払われる仕組みができた瞬間に、AIポッドキャストが大量に生まれるだろうといいます。かねりんさんは、それはSpotifyの音楽と同じ構図だと重ね、海外では週に5000本ほどAIで作る会社も出てきていると触れました。
こうしたスピード勝負の手法について、かねりんさんは「隙間のバグを縫ったかっぱらい」と表現し、しぶちょーさんも同意します。そのうえで、商材として出回った時点で勝負はついているという話になりました。
副業OKにしても誰も動かなかった
ここでしぶちょーさんは、AI副業をやろうとする人をバカにしているわけではないと話を転じます。むしろ、行動しているだけで「ある種偉い」というのがしぶちょーさんの考えで、その理由として自分の体験を語りました。
みんなね、副業したくないんだわ。
副業やりたいけど副業禁止されてるっていう環境が好きでたまらないんだよね。ほとんどの人は。
しぶちょーさんの勤め先は、副業が基本的に禁止されているといいます。しぶちょーさんの活動は、業界の中でもふわっと消せない規模になっていて、会社の悪口を言わずクリーンに発信してきたことも、会社が手を出しにくい理由になっているかもしれないと話しました。
それでもしぶちょーさんは、技術者が会社に依存せず、自分の技術で外でも稼げる世界のほうが健全だと考え、副業を正式に認めてもらえないか総務に掛け合いました。完全なルール変更には至りませんでしたが、例外がある以上、相談は受け付けてもらえるところまでは進んだといいます。
「副業したいけど、うちの会社は禁止だから」と多くの同僚が話していた
相談できると全員に伝えても誰一人動かず、数カ月後にまた「禁止だから」と言っていた
しぶちょーさんはそこで初めて、禁止されていてやれない状況のほうが、多くの人にとって都合がいいのだと気づいたそうです。本当にやりたい人は、ブログなどですでに始めていたといいます。
だからこそしぶちょーさんは、量産コンテンツであっても、AI副業で一歩を踏み出した人は評価できると話します。やり方は少し間違っているかもしれないが、あとは努力の方向の問題だ、という見方です。
本業を軸足に、時間を味方にする
しぶちょーさんが次に挙げたのは、時間感覚です。1〜2カ月で黒字を目指さず、1年で月1万円ぐらいから、時間を味方につけて雪だるま式に大きくしていくほうが確実だといいます。
かねりんさんは、それができるのは本業があるからだと指摘します。本業がなければ「売り上げないと死ぬ」状態になりますが、軸足があれば焦らずに済むというわけです。
それを副業ってそれがいいじゃん。だって業じゃないから、副だから。
かねりんさんは、地方創生の番組に出演している上田さんも「会社を辞めずにやったほうがいい」と話していたことを紹介しました。上田さん自身は起業した側で、高校生の起業支援もしているのに、現実的な意見だったのが印象に残ったそうです。
しぶちょーさんも、家族がいる今、会社を辞めろと言われたら困ると話します。副業が事業として回ってから独立を考える順番でいい、最悪失敗しても命までは取られない、というのが二人の共通した感覚でした。
おもちゃの旋盤と、発信が社内で刺されるリスク
独立の時期を聞かれたしぶちょーさんは、開発中の「おもちゃの旋盤」が世界的にヒットしたら、と笑って答えました。展示会では海外の人から、STEM教育 ── 科学・技術・工学・数学の頭文字を取った言葉。机上の学習だけでなく、実践や体験を通じて理数系を学ぶ教育の考え方ですの教材に使えるのではという声があったそうです。
しぶちょーさんは教育の専門家ではないため、専門家の話を聞きながら詰めていきたいと話し、これも副業の一つだと位置づけています。
一方で、副業や発信には社内のリスクもあるといいます。しぶちょーさんの知り合いには、同僚から「SNSで発信している」と告げ口され、業務で知った内容ではないかと疑われて、会社を辞めざるを得なくなった人もいたそうです。
側から見たら全然そんなの別にいいやろって思うんだけど、やっぱその線引きって会社ごとに違うからさ。
しぶちょーさんは、一歩踏み出すことは何でもリスクを取ることではなく、石橋を叩いて踏み出すこともできると話します。それができるのが副業だ、という考えです。
結論は「提供できる価値が先、AIは道具」
しぶちょーさんは、AI副業はハードルが低すぎて「パソコンでカチカチ月5万」と考えてしまいがちだと話し、この回の結論をまとめました。
かねりんさんは「至極まともな真面目な話」と受け止め、商材を売り始めたらリスナーに背中から撃ってもらおう、という冗談も飛び出しました。あえて稼げないことを全部書いた「落ち着き情報商材」を10円で、というアンチテーゼ的なアイデアも挙がっています。
しぶちょーさんが読んだAI副業の本は、紙1冊とKindle2冊で、どれも出版社から出ていたものの、内容はすべて同じだったそうです。本を買った直後から、YouTubeにはAI副業を勧める動画が次々と表示されるようになったといいます。
かねりんさんは、真っ当なことをする人が儲からずに辞め、ハイエナのような人が儲かって荒らしていく構造に腹が立つと話します。価値があってもお金にならないポッドキャストの現状も同じだという問題意識から、しぶちょーさんは、役に立つことと収入は必ずしも比例しないが、積み上げた分は信用資産になると応じました。
脱線。ポッドキャストの定義とは、RSSは必須か
話は、かねりんさんが執筆中の本のテーマであるポッドキャストの定義へと脱線します。しぶちょーさんは「RSSフィードで配信される音声コンテンツでは」と考えていましたが、かねりんさんは、法律で決まっているわけではないと返しました。
かねりんさんによれば、SpotifyやAppleにはRSSフィードを出していないのにポッドキャストと並んで聴かれているコンテンツがあります。さらに、アメリカの広告業界団体の有志が示した新しい指標では、RSSフィードは必須ではないとされているそうです。
かねりんさんがいま基準として有力だと考えているのは、耳だけで完結するかどうかです。映像があってもなくてもよく、画面を見る必要が生じた時点でポッドキャストではなくなる、という考え方です。
RSSフィードで配信される音声コンテンツをポッドキャストとする
映像の有無を問わず、耳だけで完結するものをポッドキャストとする
ただ、耳だけで完結しRSSも問わないとなると、オーディオブックやネットラジオ、Voicyはどうなるのかという問題が出てきます。Voicyで700本以上配信しているしぶちょーさんも、Voicyが何なのかはあまり考えたことがなかったと話していました。
二人は、ポッドキャストにお金の匂いがすれば迷惑系も現れるだろうと語り合います。かねりんさんは、荒れる時代が来たときに自分たちの「島」ができていればいいと、落ち着きシリーズを諸島にたとえました。
最初の1円はどう稼ぐ?
本題に戻り、かねりんさんは「最初の1円はどう稼ぐのがいいのか」と尋ねました。しぶちょーさんの答えは、ブログでもnoteの100円販売でも何でもいい、というものです。
何がこう人にお金を払ってもらえるのかなって意外と考えないんだよ、社会に出てると。
しぶちょーさんは、AIというツールから考えるのではなく、どんな価値を出せるかから考え、専門性が足りない部分をAIで補えばいいと話します。かねりんさんは、話すのが上手な人なら知識をAIで補って喋るコンテンツを作るのもありだと例を挙げました。
先行投資をしすぎないことも大切だといいます。ポッドキャストならまずスマホで始めればよく、機材を揃えても5万〜10万円はかからず、やめても売れます。一方、100万円で買ったノウハウは売れない、というのがしぶちょーさんの指摘です。
かねりんさんがClaudeの公式が出した無料の教育コンテンツに触れると、しぶちょーさんはまだ見ていないとしつつ、ああいうもので十分キャッチアップできると答えました。
「今しか稼げない」の罠。FOMOとサンクコスト
しぶちょーさんは、情報商材が売れる理由として、自分の知らない重大な情報がどこかにあるはずだと思い込む心理を挙げました。かねりんさんは、暗号資産の界隈でよく使われるFOMO ── Fear of Missing Outの略で、取り残されることへの不安のこと。投資やSNSの文脈でよく使われますという言葉で、この焦りを説明します。
しぶちょーさんによれば、AIは進歩が速いぶん、「今しか稼げない」「1カ月遅れたらもう遅い」「先駆者利益で教える立場になれる」という誘い文句が効きやすいといいます。
で、一回ちょっとお金を払っちゃうと、もうサンクコストの呪縛から逃れられないから、ここまでお金払っちゃったから、もうちょっとやるしかないみたいな。
しぶちょーさんが警戒すべき文言として挙げたのは、「スキルがいらない」「誰でもいける」「放置して稼げる」です。かねりんさんも、楽して稼げるならその人は誰にも教えないはずだと重ねました。
「ならなぜ教えるのか」という問いに対し、売る側には「人の幸せは人を幸せにすること」とマズローの欲求段階説 ── 人間の欲求を生理的欲求から自己実現までのピラミッド状の5段階で示した、心理学者マズローの理論ですの図を持ち出すテンプレの返しがあると、しぶちょーさんはよどみなく実演してみせます。ルールベースのAIのように、こう来たらこう返すというマニュアルがあるのだろうという見方です。
かねりんさんは、オレオレ詐欺と同じで、手口を先に知っておかないと気づけないと話します。先に「落ち着き情報」に触れておくことが防御になる、という考えです。
1カ月試す予定だった企画が、試す前に消えた理由
エンディングで、しぶちょーさんはこの回の裏話を明かしました。当初は、実際に1カ月AI副業をやってみた結果を話すつもりだったそうです。
実際じゃあ1カ月AI副業やってみたらこうでしたよみたいな話の方が面白いかなって思ったんだけど、あまりにも成功できるビジョンのものがなくて。
しぶちょーさんのセンサーに「これはいける」「面白い」と引っかかるものが1つもなかったため、実践企画は見送りになりました。かねりんさんは「ないという事実が重いね」と受け止めています。
二人は最後に、もし稼げるAI副業が見つかったら有料で販売すると冗談を言いつつ、AI副業で痛い目を見た人や、実際に稼げた人からのお便りを募っていました。
まとめ
この回では、「誰でも簡単に月10万円」とうたうAI副業の多くが、先駆者利益と規制のいたちごっこの上に成り立ち、いちばん儲かるのはノウハウを売る側だという構造が語られました。そのうえでしぶちょーさんは、本業を軸足に赤字を許容し、自分の力で最初の1円を稼ぎ、価値ができてからAIでスケールさせる道を示しています。
- AI副業の手法は最初だけ稼げても、量産が進むとプラットフォームに規制される
- 副業全体では約半数が月1万円未満で、平均を押し上げるのは稼ぎ方を売る側
- 副業トラブルは5年で被害額3.8倍、借金をさせて高額契約を結ばせる手口もある
- 「スキル不要」「放置で稼げる」「今しかない」はFOMOを突く危険な売り文句
- 提供できる価値が先で、AIはそれを広げるための道具







