1ヶ月半ぶりの収録、その間に何があった?
この回は、二人にとって1ヶ月半ぶりの収録からスタートします。前回の収録は7月17日で、この日は9月の頭。放送も何回か休んでいたので、久しぶりに机の前に座って、マイクの前での話し方すら少し忘れかけていたそうです。
ちょっとこれ(マイク)大きすぎて、もう喋るのが。
確かにどういう感じで喋ってたか忘れてるよね。
休んでいた背景には、7月28日に発生した地震がありました。二人が住むのは熊本県上天草市。この地域では震度6弱ほどの揺れがあり、放送を3回分ほどお休みすることになったと振り返ります。
ただ、収録の場にはアユムさん、ツトムさん、リョウくんが顔をそろえ、マリちゃんも元気とのこと。まずは全員が無事であることを確認しつつ、この1ヶ月に何があったのかを振り返っていきます。
仕事も地震対応も重なった、あっという間の1ヶ月
地震があったのは7月28日で、翌29日の配信はすぐに休むと決めたそうです。そこからは、二人とも「あっという間だった」と口をそろえるほど、慌ただしい日々が続きました。
ツトムさんによれば、この期間は主に仕事に追われていたとのこと。アユムさんはそこに地震対応が重なり、仕事プラス地震対応という状態だったと振り返ります。
まあでも疲れたな。俺は、地震もそうだけど、稲刈りだったから。今までで一番きつかったかも。
アユムさんにとっては、ちょうど稲刈りの直前に地震が起きたのが大きかったようです。暑さに加えて、稲刈りを終わらせなければというプレッシャー、そして地震対応が同時に押し寄せてきました。
断水と濁った地下水、風呂を求めて動き回る日々
アユムさんの家では、生活用水の多くをポンプで汲み上げた地下水でまかなっているそうです。ところが地震後、その地下水が濁ってしまいました。
台所の洗い物だけは上水道につながっていたものの、風呂・トイレ・洗濯は泥水が出る状態に。稲刈りで汗をたっぷりかくのに、風呂に入れず洗濯もできないという厳しい状況が続きました。
さらにアユムさんは、収穫した米を玄米にする籾すり ── 稲刈りで収穫したもみ殻付きの米から、殻を取り除いて玄米にする作業。地域に大きな設備が1つあり、そこへみんなが米を持ち込みますのバイトにも入っていました。今年は本格的に手伝おうと自分の稲刈り時期をずらし、そのバイトの最中に地震が起きたそうです。
その7月末から8月終わりぐらいまで、もうほぼ休みなしで作業みたいな。
風呂に入れないアユムさんは、大家であるツトムさんのところへ入りに行こうとします。ところがツトムさんの地域は断水中。限られた給水時間との戦いも重なりました。
救いになったのは、松島の旅館などが無料でお風呂を開放してくれたこと。途中からは風呂はそちらで済ませ、洗濯は大家のところまで来て、夜9時までの給水時間内に終わらせる、という綱渡りの生活が続いたそうです。
帰ったらあっちで10時とかで。そっから飯食って、次の日朝5時ぐらいからやってとか。それがもう毎日あったから。
去年は水害で稲刈りできなかった場所もあったため、今年こそ全部刈りたいという思いも強かったそうです。機械が壊れるトラブルも重なり、疲労はピークに。稲刈りが終わってからも1週間ほど動けず、やっと前日あたりから元気が戻ってきたと話します。
使えなくなったスーパーの前で本震に遭遇
ツトムさんが地震に遭遇したのは、被災して使えなくなったスーパーの駐車場から家に帰ろうとしていたタイミングでした。近くのATMでお金を下ろし、道に出ようとした瞬間に揺れを感じたそうです。
なんかゆさゆさしてんなっていうとこで、「あ、これやばいな」と思って、車の中にいて。そしたらもう、いわゆる本震ですね。
その揺れは、長くグワーンと続くものではなく、ドスーンと衝撃が来るタイプだったと二人は振り返ります。揺れが収まってスーパーの方を見ると、見慣れないはずの空洞ができていました。
「あれ、なんかあそこ空洞あったっけ?そんな吹き抜けだったっけ?」と思って。
よく見ると、駐輪場の屋根がひしゃげ、壁が丸ごと落ちていたのです。壁の近くに止まっていた車には壁の一部が当たっていたものの、中の人はすでに出ていて無事だったといいます。
ツトムさんは、緊急的に止まっていたおばあちゃんたちの集団に「降りないほうがいいですよ」と声をかけつつ、家に帰るには橋を渡らなければならないことを考え、余震を警戒して10〜15分ほど車で待機。その間に家族へ電話をして無事を確認したそうです。
水と燃料が足りない、被災地の生活リアル
二人が振り返って「これがでかかった」と口をそろえるのが断水です。動きが制限され、夜9時から翌昼11時まで水が使えない時間帯が続いたため、朝は何もできなかったといいます。
ツトムさんの家では、断水でない時間にお風呂やバケツに水を貯めて備えていたそうです。それでも困ったのがトイレ。バケツの水を勢いよく流す方法で対応していましたが、うまく流し切れるかどうかが毎日の気がかりになっていたと話します。
勢いよく流して、バケツいっぱいなくなるみたいな。一回なくなる。
上天草はもともと水資源が乏しく、水を外部から引いている地域です。その引いてくる大本の地域が激しく被災していたため、今後の水の状況もそこ次第という不安定さがありました。
燃料も一時は逼迫していました。地震直後はガソリンを入れられず、スタンドでは「レギュラーが終わった、ハイオクならあります」と言われることも。みんな仕方なくハイオクで走っていたそうです。
むしろいいやつだから。
この回で語られる水と燃料のエピソードは、被災地で生活を続けることのリアルさを伝えています。
斜めになった家と、慣れてしまう余震の怖さ
家自体の被害については、アユムさんの家はおおむね無事で、井戸水が濁った程度だったとのこと。周りの家も瓦が何枚か落ちるくらいだったそうです。
一方、ツトムさんの住む地域は、対岸がほぼ八代という震源に近い場所でした。上天草全体では震度6弱でしたが、体感ではそれ以上だったと話します。
お隣さんがね、お家が今まだ住めない状態。がっつり斜めってしまっていて。
ツトムさんの家も斜めになり、車を入れるところや倉庫の床にはヒビが入り、扉が開かなくなった箇所もあるといいます。屋根は新しい家で防災瓦だったため落ちずに済んだものの、家全体が斜めになってしまったそうです。
斜めになった家で暮らすと、平行感覚がおかしくなって最初は頭痛がしたとツトムさんは振り返ります。帰るたびに斜めなのが目に入り、気持ちががっくりするといいます。
余震も続いていますが、二人は「慣れが怖い」と話します。最初は揺れるたびに外へ出ていたものの、毎回驚いていては疲れてしまうため、どこかで自分を落ち着かせるようになっていったそうです。
もう、ちょっと上見て、「大丈夫、今3ぐらい」。謎の震度センサーが働くっていう。
給水車の明るさに救われる、被災地の空気
水が使えない中で助けになったのが給水車でした。ツトムさんの地域には、都城の方々が応援に来てくれていたそうです。
めっちゃ明るくて、チャラくて、元気で。「居ます?」つって。
被災地はどうしても空気が暗くなりがちです。だからこそ、こうしたライトで明るい支援のトーンに救われた、と二人は感じたようです。
この夏は災害が続いていました。去年は水害、今年は地震と、毎年この時期に大変なことが起きているという実感も語られます。
落ち込んでいられない、スペシャルサマーパーティー
暗くなりがちな8月の中で、唯一輝いていた出来事として語られるのが、DJゆうきさんが8月23日に開催したスペシャルサマーパーティーです。毎年やっているものの、去年は水害でできなかったそうです。
落ち込んでいられないという思いから開催されたこのイベントで、アユムさんはカレーを出しに行きました。そして何より盛り上げてくれたのが、ヘビーリスナーのトモ君だったといいます。
ダンスをするっていう自分のパート前に時間があったんだけど、もうそこで踊り狂ってて。もう出し尽くして。
トモ君は本番前から踊り狂って汗をかき、いざ本番になっても番組のテーマソングに合わせてダンスを披露してくれたそうです。歌詞に合わせた表現もあり、アユムさんはグッときたと振り返ります。
なんかこう歌詞に合わせた表現をしてくれて。本当になんかグッときました。
当の二人は歌詞を全然覚えていないのに、5年生のトモ君は全部歌えるとのこと。イベントではDJゆうきさんが友達と回したり、山林業をやりながらラップをする「山師ラップ」の人が来たりと、盛り上がったそうです。
まだ大変な中で、それでも「また歌い出す」
仕事はまだこれからで、大変な中にいる人がたくさんいる、と二人は現状を語ります。テレビで報じられるような家がひしゃげる被害は幸いなかったものの、ツトムさんの隣家は屋根の瓦が流れ落ち、支援を受けつつ直していくしかない状況だそうです。
心が落ち着かない中で、二人は音楽やイベントの大切さについて話します。まだ大変な時期にイベントをやることには賛否があるかもしれないけれど、やめてしまえば暗くなっていくだけだ、という思いです。
もうやめてたら、どんどん落ちてくだけだからね、暗くなってくだけだから。
番組終わりの音楽コーナーでは、ツトムさんがライムスターの「そしてまた歌い出す」を紹介します。この曲は、宇多丸さんがラジオ番組で東日本大震災の翌日に予定を変更して生放送を行った際、「人間なめんな」と言って流したエピソードがあるそうです。
大変な思いをして、これからどうしたらいいんだろうと感じている人がたくさんいる中で、それでもまた歌い出して始めていこう、という気持ちを込めた選曲だとツトムさんは話します。
まとめ
震度6弱に見舞われた上天草での1ヶ月を、二人がゆるく、でも率直に振り返った回でした。断水や余震の大変さと、給水車の明るさやサマーパーティーの盛り上がりが同居する、被災地のリアルな空気が伝わってきます。
- 前回収録から1ヶ月半、二人は7月28日の熊本地震(上天草は震度6弱)を挟んで放送を数回休んでいた
- アユムさんは稲刈りと籾すりのバイト、地下水の濁りによる断水対応が重なり「今までで一番きつかった」1ヶ月を過ごした
- ツトムさんの家は斜めになり平行感覚で頭痛が出るなど、震源に近い地域ならではの被害があった
- 水と燃料の逼迫、そして「慣れてしまう」余震の怖さが、被災地で生活を続けるリアルとして語られた
- 落ち込んでいられないと開かれたサマーパーティーや、ライムスター「そしてまた歌い出す」に、前を向く小さな希望が込められていた






