そもそもなぜハロウィンだったのか
世界のエンタメシーンは、もうずっと札束の殴り合いなんですね。
資本力の弱い後発のベンチャーがそこに名乗りを上げるには、何かしらの手が必要になってきます。
『チムニータウン』は、僕が創業した会社です。芸能界の中でも後発も後発なんですね。
吉本興業やホリプロ、劇団四季や集英社のように、大きな会社がエンタメを作っている中で、急に一人で立ち上げた小さな会社が世界の戦いに手を挙げる訳です。
無策では立ちゆかない。そこで僕らが目をつけたのが、当時盛り上がりを見せ始めていたハロウィンでした。これは2012年の話です。
クリスマスにはサンタクロースという定番キャラクターがいますが、ハロウィンにはジャック・オー・ランタンぐらいしかいません。しかもそれは誰のものでもない。
だったらここのポジションを取れば、ハロウィンは毎年やってくるのだから、毎年見つけてもらえるんじゃないか。そういう願いから『えんとつ町のプペル』の制作がスタートしたんですね。
プペルが「ゴミ人間」になった理由
現代のハロウィンは収穫祭ではなく、コスプレ大会です。
そしてハロウィンの日に発生するもの、そのアイコンはゴミなんですね。
当時、渋谷のハロウィンのゴミ問題がニュースになっていました。翌朝の渋谷は本当にゴミまみれで。
ハロウィンイコール、ゴミが発生する日だった。だから「ハロウィンの夜にやってきたゴミ人間」という設定が生まれた訳です。これがプペル誕生の背景でございます。
作品は『サンリオピューロランド』でのテスト公演や、『NONSTYLE』の石田くんと一緒にやった舞台などを繰り返しながら、4年の歳月をかけて作られました。
2016年に完成発表して、気がつけば10年が経っていました。今年は『マクドナルド』のハッピーセットとのコラボもありましたね。
運営を覗いて、最初に気になったこと
今年、チムニータウンが運営のお手伝いに入るイベントのひとつが、鹿児島県霧島市のキリハロです。
このイベントには11年の歴史があって、これまでずっと地元有志の方が手弁当で運営してこられました。
続けるうちに規模が大きくなって、今では4万人を動員する南九州最大級のハロウィンイベントにまで成長したそうです。
ただ、さすがに自分たちだけでは苦しくなってきた、というSOSが届いて、お手伝いすることになりました。
そこで運営の中を覗いてみて、僕が真っ先に気になったこと。包み隠さず言いますね。動員数に見合った警備費が確保されていなかったんです。
面白さより先に、事故を起こさないこと
イベントは、ある一定の人数を超えてくると将棋倒しという大事故のリスクが出てきます。
それを防ぐために、人を整理する警備スタッフが絶対に必要になるんですね。
歩道橋だって、人が乗りすぎるとダメなんです。下手をすれば落ちることもある。だから横断歩道のポイントごとにスタッフに立っていただいて、流れを止めたり通したりする必要があります。
僕らが『マカリメッセ』でやっている、えんとつ町の踊るハロウィンナイトも同じです。ファミリーイベントだから、そこは徹底しています。
1平方メートルあたりに何人いるかを割り出して、将棋倒しが起きないように設計する。この平均人数を上回るなら、チケットはもう売り止めます。
迷子になった子も必ず見つかるように設計します。踊るハロウィンナイトなら、いざとなればイベントを止めて、その子をステージに上げて「お父さんいますか」と呼ぶのが一番早い。
親子に見せかけた大人と子供が会場の外に出ようとしていないか、出入り口のスタッフが必ず声をかける。そこまで想定しておきます。
面白さよりも、安全性の方が絶対に大事なんですね。コンテンツの制作費よりも、警備費の方がはるかに重要です。人の命に関わることなので。
警備費を守るために、外から声を集める
キリハロは元々が小さな手作りイベントなので、最初はそこまで必要なかった訳です。
でも、この調子で進めばどこかで必ず事故が起きる。だから運営のお手伝いに入るときには、警備費をきちんと確保することを条件にさせていただきました。
とはいえ、警備費を用意できるなら用意したい、というのが運営側の本音なんですね。全体の制作費を用意できないから、警備費が削られてしまう。
そして地元有志の手作りイベントの難しいところで、地元の企業さんや商店さんの協賛を取れないと、ほぼ予算が用意できないんです。
耳の痛い話をすると、友達がデザインしたオリジナルのイベントTシャツは、関係者以外ほぼ誰も買いません。売れるものがないんですね。
さらに、県外の方からすれば「鹿児島県霧島市を知らないよ」というのが本音なので、外からの応援もない。
でも、こうしてコラボの依頼を出してくれさえすれば、僕がこうやって紹介することができます。それを聞いた方が「子供の安全のためなら応援してやろうかい」と思ってくださるかもしれない。
僕としては事故だけは絶対に起きてほしくないので、キリハロの運営チームにはクラウドファンディングを立ち上げてもらいました。まずは警備費を確保することが目的です。
まとめ
イベントの話をすると、つい面白さやコンテンツの中身に目がいきがちですが、僕が最初に確保するのはいつも警備費です。まずは事故を起こさない。その土台があってはじめて、面白いことができるんだと思っています。
- 後発の小さな会社が世界の戦いに挑むために、僕らは誰も取っていなかったハロウィンのポジションを狙った
- 規模が大きくなったイベントは、面白さよりも「事故を起こさないこと」が絶対の第一前提になる
- コンテンツの制作費よりも、人の命に関わる警備費のほうがはるかに重要だと考えている
- 地元だけで予算を賄えないイベントは、外から応援の声を集める仕組みが必要になる







