リスナーの反応がないと、番組はどう変わる?
番組は3回目の収録を迎え、黒田さんは「ちょっと慣れてきた」と話しつつ、台本は前より作るようになったものの、どんな回になるかはまだ読めないといいます。
黒田さんと高村さんは、身近な人から「いつも聴いてるよ」と声をかけてもらえるのは嬉しい一方で、反応が見えないと不安になるとも打ち明けています。
本当にそうなんですよ。もうそこのリアクションがないと、やっぱね、なんかこう、このままでいいのかみたいなものが掴みづらいというかね。
高村さんの冗談まじりの投げかけに対し、黒田さんは「みんなが言いたくなる仕掛け」を自分たちが作らないといけない、と受け止めています。
僕らがもうちょっとなんかその仕掛け企画で仕掛けを作らないとですね。
テーマ選びについても、二人は自分たちの好みで決めている現状に「これでいいのか」と迷いがあるようです。人の深い話が聞きたいのか、エンタメ寄りか社会課題寄りか、時事ネタも含めて、リスナーからの要望を「無茶ぶり大歓迎」で募集していました。
なぜ高村さんはプレゼンを語れるのか?
今回のお題は高村さんが持ってきたプレゼンの話です。高村さんは、プレゼンでいろいろなご縁を作ってきたタイプで、意識していることがハマっていく感覚があるといいます。
高村さんは、自分たちが制作するプレゼン大会やピッチコンテストを客観的に見てきた経験と、自分自身も表舞台で話す経験の両方を持っています。その両方から得た気づきをシェアしたい、というのがこの回の出発点です。
黒田さんは、プレゼンは個性があって体系化されていないものだと感じていたと話します。間の取り方や目配りは本で学べても、実践者から体系的に聞く機会はなかったそうです。
黒田さん自身は1年前、高村さんが理事を務める大阪あかるクラブの高陣フェロー高陣フェロー ── 大阪あかるクラブが運営する、大阪のために活動する人やアイデアを応援する取り組み。書き起こしでは表記揺れがあるため、正式名称は確認が必要ですに出場して優勝し、そこからプレゼンと向き合うようになりました。
高村さんの説明によると、大阪あかるクラブは「大阪のために社会課題を解決しろ、汗をかけ」という趣旨の団体で、高陣さんが亡くなる際に3億円を預けたといいます。そのお金で、大阪のために頑張るレジェンドを顕彰したり、高村さんが作ったホープ部門で、これからの大阪を変えるアイデアに賞金やつながりを分配したりしているそうです。
高村さんは毎年多くのエントリーを裏側で見てきたため、「この人は通ったな」「意外やな」と感じる場面を深掘りしてきました。運や巡り合わせもあるけれど、知っているかどうかで変わる部分が結構ある、というのが高村さんの立場です。
受賞の7割はエントリー前に決まる?
高村さんはまず、プレゼン大会やピッチ大会に必勝法は多分存在しない、と前置きします。自分に必要なタイミングや、自分の得意が評価されやすい土俵があり、コンテストには合う合わないが明確にあるといいます。
高村さんが例に挙げたのは、健康系・福祉系の財団が主催するコンテストにエンタメで突入するケースです。評価される軸もあるけれど、だいたいは医療系のディープテックのような応募が評価されやすい、というズレが起きやすいそうです。
エントリーはいっぱいしたらいいと思うんですけど、これにかけるぞとか、この賞は取っておくべきだなみたいな、そういったものを優先して熱量を込めて(いく)。
高村さんが勧めるのは、主催団体やコンテストの開催意義、審査員のプロフィールを必ずチェックすることです。そこを見ていないと話にならないレベルで、自分に合うか、どれくらい熱量を注ぐべきか、受かりそうかも含めて大体そこで7割くらい決まってくるといいます。
ただし、実績がなくてとりあえず挑戦したい、このチームで応募すること自体に意義がある、という関わり方なら全然ありだと高村さんは話しています。受賞を狙うなら、フィットしない大会からは引いたほうがいい、という整理です。
主催団体・開催意義・審査員を調べ、フィットするものに熱量を集中する
実績がなくても、チームで応募すること自体に意義があるなら参加してよい
書類審査は「第1話」で終わらせるべき?
多くの大会は、第1次の書類審査、第2次のプレゼン審査と進みます。書類審査について高村さんが強調するのは、書かなさすぎるのはもっと良くないけれど、書きすぎない・詰め込みすぎないことです。
高村さんによると、審査側は100、200、多いと1000のレベルで一次審査資料を見るため、とても全部はじっくり見ていられないそうです。マッチングアプリのように、パッと見の印象で振り分けられていくといいます。
こいつの話聞いてみたいなっていうのがまず前提なので、書類審査って。そこで完璧な模範解答みたいなことで求められてなくて。
黒田さんが「全部を伝えることが逆にマイナスになるかもしれない」と返すと、高村さんは強く同意します。これで終わっているように見えたり、プレゼンを聞く必要がないと思われたりすると、落とされる理由にもなりかねないそうです。
ほんと僕からしたら第二話を見てもらうっていう、第一話、キングダムみたいな漫画があって、一話読んだらもう読んでいってしまうみたいな、そういう感覚に近いかなと思ってます。
黒田さんは、続きが気になる心理としてツァイガルニク効果 ── 完了した課題より、途中で中断された課題のほうが記憶に残りやすいという心理学の現象。「続きはCMのあとで」のような演出にも応用されますを挙げ、ふわっとしすぎず言いたいことが伝わるキャッチコピーが要りますよね、と話しています。
書類の文章の削り方について、高村さんのやり方は、まず書きたいことをフルマックスで書いてから要素をどんどん落としていく、というものです。自分の中で「これ以上いけない」と思ったところから、もう一行削ると多分いい文章になる、というのが高村さんの経験則だそうです。
黒田さんは高陣フェローに応募したとき、「高齢者にこそダンスを。やらされる健康ではなく、やりたくなる健康へ」というタイトルにしたところ、意外と反応が良かったと振り返っています。
審査員に届くのはどんな志望動機?
高村さんがもったいないと感じるのは、主催団体や審査員、大会のテーマとの親和性を、人間味が感じられるくらい直結させて書いていない応募です。
タカジンさんはアーティストでもあったから、私はこの歌っていうところのパワーを信じてて、この賞に応募するのは私だと思ってましたみたいなことを言ってあげる方がいいです。
黒田さんは、共通点があると一気に親近感が生まれ、「だからこそ応募した」というつながりが見えたほうがいいと受け止めています。高村さんも、ただ「やりたい」「いいプランだと思う」だけではあまり響かないと話しています。
やっぱこの子の話は聞いときたいな、この子を上に行かせてあげたいなっていう感覚がやっぱ審査側からもあるんで。
高村さんは、誰でもできることとして、です・ます調がベターだとも挙げています。「だ・である」は少し距離感を感じさせ、です・ます調のほうが当たり障りがなく減点されにくいからだそうです。
「マーケティング」「あったかい社会」が落ちる理由になる?
書類審査の落とし穴として高村さんが挙げたのが、抽象的な言葉や横文字です。「マーケティング」や「あったかい社会」のような言葉は、審査員から「どの範囲のことを言っているの?」と受け取られやすいといいます。
たとえば「マーケティング」と書くと、Web広告を想像する審査員もいれば、ビラ配りを想像する審査員もいます。応募者はインスタ広告のつもりでも、審査員が「ビラ配りでこの数は無理やろ」と考えて、勝手に減点されてしまうことがあるそうです。
頭の中で違う絵が描かれたら終わりですもんね。
マーケティング/あったかい社会を作りたい
Webでの広告の展開の仕方/子どもたちが笑顔でいられる社会にしたい
高村さんは応募者を集める立場なので人柄を知っていますが、審査員には全然違う方向で捉えられている場面が「めちゃくちゃある」といいます。それが実際に落ちる理由になっていて、とてももったいない減点だそうです。
黒田さんは、「なぜ」を深掘りするのと同じように「どういうこと?」を深掘りして、わかりやすくしていくことが大事なんですね、とまとめています。
エントリーシートの前に構成台本を作る?
高村さんは、いきなりエントリーシートを書き始めるのではなく、まず構成台本を作ったほうがいいと話します。今回のプレゼンで何を伝えたいのか、主催団体とのご縁や評価されそうなポイントを先に書き出すそうです。
エントリーシートには「活動内容」「なぜ社会に必要か」など項目がいくつもあります。高村さんは、各項目にどの話で答えるかを先に決めることで、内容がブレなくなるといいます。
構成を作らずに各質問へ全力で答えようとすると、どの項目も同じような回答になりがちだそうです。高村さんは「ずっとこの子イベントのこと言ってんな」と思われ、イベントのお金が欲しいだけに見えてしまう例を挙げています。
高村さんの例では、シングルマザーが苦労話をシェアできる場を作り、「土曜日にはこんな人が来て」とエピソードを書き連ねると、「頑張ってるね」で終わってしまうといいます。必要な理由、困っていること、自分たちの強みと存在意義を書くと、審査側が応援しやすくなるそうです。
AIはエントリー文章にどこまで使う?
高村さんは、ChatGPTなどのAIは壁打ちや構成づくり、誤字脱字や抜け漏れのダブルチェックに使うのは「めちゃくちゃあり」だと話します。ただし、AIに丸投げせず、自分の言葉で作り切ることが大事だそうです。
黒田さんが「AIすぎても困るし、自分の文章だとエピソードトークみたいになる。バランスはどれくらい?」と聞くと、高村さんはエントリー文章そのものには基本的にAIを使わないと答えています。
だから問い1に対して150文字で書いてくださいってやってても、一旦文字数関係なくバーって書くんですよ。
高村さんの考えでは、AIに頼って言葉を入れると聞こえのいい文章にはなっても、魂が乗らず少し遠い表現になってしまうそうです。根性論ではなく、個性が消えやすいから、というのが理由です。
綺麗すぎる言葉が刺さらない。だからカラオケで言ったら点数高いけど魂こもってなくて感動しないみたいな。
高村さんは、書類に「あれも伝えたかったのに」という悔しさが残ったら、それは全部プレゼン本番に持っていけると話しています。書類審査はアニメの次回予告のようなもので、本編は置いておいていいそうです。
補足資料は「道案内」をつけて出す?
多くの大会では補足資料の添付を求められます。高村さんによると、事業紹介書のような資料をそのまま載せがちですが、どこを見ればいいのか書かれていないことが多いそうです。
審査側には100人分くらいの補足資料が届くため、実は補足資料まではあまり見られていないといいます。じっくり見られるのは、最後に数人から選ぶ場面くらいだそうです。
だから補足資料でここの言いたいことはこのページを見てくださいとかを注釈で入れてると、あ、そういうことか、見よってなるので。
黒田さんはこれを本の注釈や「道案内」にたとえています。もう一つの工夫として高村さんが挙げたのは、表紙に「〇〇フェロー提案書」のように大会名を入れることです。今回のために作った熱意が伝わり、それだけで見てもらいやすくなるそうです。
高村さんは、こうした作業は5分、10分で終わるのに評価されやすい「バグ」のようなものだと表現しています。黒田さんは、相手のために準備するところは誕生日プレゼントを選ぶのと同じだと例え、高村さんは「もうラブレターなんでね」と返しています。
「神社仏閣版の食べログ」はなぜ強い?
書類審査の最後のポイントとして、高村さんは事業やプロジェクトのキャッチコピーを挙げています。一言で何をしているかがわかれば、それだけで審査員の記憶に残るからです。
高村さんが紹介したのは、仲のいい経営者が作る神社やお寺の口コミサイト「コトカミコトカミ ── 高村さんの知人が運営する神社仏閣の口コミサイトとして紹介されたサービス。書き起こしからの表記のため、正式名称は確認が必要です」の例です。
(その子たちが)言ってたのが、もう神社仏閣版の食べログを作りたいんですと。
黒田さんも「わかりやすい」と即座に反応し、自分のキャッチコピーも見直そうかなと話しています。ここまでが書類審査の段階のコツです。
ミュージカル型の「発表会」はなぜ響かない?
書類審査を通過すると、次はプレゼン審査です。高村さんは演出込みでやったほうがいいとしつつ、一言一句をミュージカルのように覚えてくるプレゼンは苦手だと話します。
黒田さんも、感動を誘われている感じがして「ちょっとだけ痒い」と同意しています。高村さんは、お涙頂戴系や壮大すぎるものを「発表会」と呼んでいます。
演技してるやんってなっちゃうから。なんか人間でぶつかってこいよっていうタイプなんで。
高村さんは、これは自分の人間性によるものだと前置きしたうえで、人間臭さを感じないとシャッターが半分降りてしまうと話しています。
プレゼンのゴールは「映像の一致」?
高村さんによると、プレゼンのゴールは相手を感動させることでも、課題を大きく見せることでも、差別化することでもありません。
そのため高村さんは、「売上は上がりにくい」「投資対象ではないかもしれない」といった厳しい点も正直に話すそうです。すぐに儲かると誤解されたり、政党に有利だと思われたりすると、イメージがずれてしまうからです。
イメージがずれたままだと、優勝できないだけでなく、共感者や支援者も現れなくなるといいます。高村さんはリンゴを例に説明しています。
リンゴが(一)個だけなのかな?とか、10個くらいあるのかな?とか、木についてるやつか、樽の中に入ってるやつかとか、そういったものがもう違ってる時点で負けなんですよ。
「木になっているリンゴ1つで、ちょっと青い」というところまで伝われば成功、というのが高村さんの基準です。この感覚を持っていると、どこでずれたかを後から振り返りやすく、ブラッシュアップもしやすいそうです。
メモ帳・タイマー・動画撮影は必須?
プレゼン本番の前提として、高村さんは備品をどんどん持ち込むよう勧めています。
高村さんによると、これらは持ち込んでも断られることはほとんどなく、他の邪魔にもならないそうです。とくに動画を撮っていない人が多いのはもったいないといいます。
スライドの量については、1分につき1枚が基本で、多くても1.5枚というのが高村さんの明確な基準です。うまくいっているプレゼンは大体この比率だそうです。
書き起こしはこの後しばらく欠けており、次に続くのはタイトルスライドの話です。
タイトルスライドで「予告」を成功させる?
高村さんは、社名だけを書いたような退屈な表紙は「大間違い」だと話します。「今のうちにトイレ行こう」と思われやすく、面白いと思われるまで2、3分は関心が下がってしまうそうです。
一発目が面白くないとね、やっぱそこから入ってこないんで、話って。
黒田さんはこれを「めちゃめちゃエンタメですね」と受け止めています。高村さんは、タイトルスライドにインパクトを持たせ、「こいつのプレゼンは面白そう」という期待感を作ることが絶対に大事だとまとめています。
質問は「わざと」させる?
発表会型のプレゼンは完璧すぎて質問が浮かばず、そのせいで思いがけない質問が来て詰まってしまうことがあるそうです。そこで高村さんは、質問を予測し、わざと質問させるタイミングを作るといいます。
5年後のことは書いてるけど、10年後のことはどうなの?みたいとか、もう審査員が本気で向き合ったらここ気になるやろなっていうところを何個か落としておいて。
高村さんは、5分のプレゼンなら本編スライドは7枚くらいにして、その倍ほどの補足スライドを用意するそうです。ビジネスモデル、将来像、今困っていること、協業したい相手などを想定質問への回答として準備しておきます。
5分やったら5メッセージしか伝えられないわけですよ。
ただし、ビジネスモデルを何も話さないわけではありません。審査員によっては質問が来ないこともあるため、世界観、課題、アプローチ、成果、仕組みの概要は本編で伝えておく必要があるそうです。
ワクワク感で引き込み、目指す世界・課題・アプローチ・成果・仕組みの概要を伝える
あえて残した余白に補足スライドで答え、「こいつは信頼できる」と思ってもらう
黒田さんが「3年間の売上推移と営業利益だけを出しておく感じ?」と聞くと、高村さんは「詳しくご説明しましょう。この図をご覧ください」と返せれば「完璧やこいつ」となる、と答えています。ただし、得意げに言うのは違うそうです。
高村さんは、人生として何をやりたいのかという質問にど真ん中で答えると、審査員は人として向き合い、強く応援してくれるとも話しています。審査員を仲間に取り入れるという発想が、高村さんの質疑応答の核にあります。
緊張は筋弛緩法でほぐせる?
高村さんは、プレゼン最大の敵は緊張だといいます。緊張自体は悪いことではありませんが、過度に緊張すると体が固まり、声が震えたり、噛んだり、表情が険しくなったりするそうです。
高校まで野球をしていた高村さんは、甲子園の最後の打席に近い感覚だと話し、適度な緊張に戻す方法として筋弛緩法 ── 筋肉にいったん強く力を入れてから一気に緩め、緊張と脱力の差を感じることで心身をリラックスさせる方法。漸進的筋弛緩法とも呼ばれますを紹介しています。
高村さんによると、体がリラックスすると声が出るようになり、表情も柔らかくなるそうです。高村さん自身も講演前には控え室で筋弛緩法をしているといいます。
黒田さんもダンスで筋弛緩法をしているそうで、アイソレーション ── 体の一部分だけを独立して動かすダンスの基礎トレーニング。胸や首、腰などを個別に動かし、可動域や体のコントロール力を高めますで可動域を広げると体が動きやすくなると話しています。ダンスコンテストでは表情も大事で、表情筋が固まると笑顔が嘘くさくなるそうです。
どう向き合うかが多分自分に合うものだと思うんで、そこを見つけれたら、それがルーティンワークみたいになってきたら、それをすることで自分の緊張がほぐれるよっていうのが(大事)。
高村さんは、プレゼンは今後もっと深掘りできるテーマだとして、今回の話を締めくくっています。
まとめ
高村さんの話に一貫しているのは、審査員の立場に立って準備することです。コンテスト選びから書類、スライド、質疑応答まで、相手の頭に自分と同じ映像を描いてもらうための工夫が積み重ねられています。
- 主催団体・開催意義・審査員を調べ、自分に合う大会に熱量を集中する
- 書類審査は「会いたい」と思わせる予告編。書きすぎず、抽象語は具体的に言い換える
- 構成台本で項目ごとの役割を決め、AIは壁打ちやチェックに使う
- プレゼンのゴールは映像の一致。スライドは1分1枚、補足スライドで質問に備える
- 緊張は筋弛緩法などのルーティンで、適度な状態に戻す






