ジーナ式を始めたきっかけと、つきまとう「軍隊式」のイメージ
この回のテーマは、赤ちゃんや幼児の睡眠に取り組む「ジーナ式」です。ヒヤマさんの第二子が6ヶ月目に入り、夜も安定してきたものの、まだ夜中に起きることがあって試行錯誤している、という話から始まります。
ジーナ式は、一般的なネントレよりも「強度強め」の睡眠への取り組みというイメージで語られがちです。2人とも、その紹介しづらさを感じているようです。
ジーナ式ね。いや、結構賛否あるよね。
気になるのは、検索したときに出てくる印象です。ヒヤマさんは、GoogleのAI要約などで「分刻みのスケジュール」「軍隊式」といった強めの言葉が出てくることに、実態とのズレを感じていました。
軍隊式みたいな、ちょっとなんか割と強めの言葉で来て、なんか実態とちょっとちゃうなみたいなのもあったから、実態を捉えたいなと思って持ってきました。
ばたこさん自身も、ジーナ式で検索するとスケジュール例の表が上位に出てきてしまうことに、実践しながら違和感があったと振り返ります。
は、結構一位二位とかにさ、スケジュールの主な例みたいなのが表に出てきちゃって。いや、本質そこじゃないなとやりながらすごい思ったかな。
導入のきっかけは2人で違いました。ヒヤマさんは、ばたこさんと妻の友人からほぼ同時期にジーナ式を紹介されたことが取っ掛かりだったそうです。
寝る子は育つじゃないけど、やっぱりちゃんと寝る方がいいよなって思ったから。なんか最初の取っ掛かりになったのがジーナ式やったっていう感じかな。
一方ばたこさんは、妊娠中に「赤ちゃんっていつ寝ていつ起きて、いつ食べるんだろう」という疑問から、あのピンクの本にたどり着いたと話します。ただ、1冊目の睡眠本として読むには「難しめの教科書」のような印象だったそうです。
赤ちゃんは体内時計が未成熟という前提
ばたこさんの考え方を変えたのが、みいけてるひさ先生の著書「赤ちゃんと体内時計」でした。赤ちゃんと体内時計 ── みいけてるひさ(三池輝久)氏の著書。赤ちゃんの睡眠の問題を、胎児期からの生活習慣や体内時計の発達という視点から解説した新書です。をジーナ式と並行して読んだといいます。
寝ない赤ちゃんは「先天的に寝ない子」なのでは、と括ってしまいがちです。でもこの本を読んで、そもそもの前提が変わったとばたこさんは語ります。
その赤ちゃんと体内時計っていう本によると、体内時計がそもそも未成熟っていう話を理解して、そこからなんか結構考え方変わったんだよね。
大人は毎日だいたい同じ時間に眠くなり、決まった時間に起きます。でも赤ちゃんには、その体内時計が最初はまったくないというのです。
そう、それが出来上がるのが二歳ぐらいらしいんだよね。完全に出来上がるのが。
ヒヤマさんは、テレビのドキュメンタリーで見た話とつながったと言います。胎児のときは、母体の負担にならないよう夜にエネルギーを摂取する。その名残で、生まれたあとも夜に目覚めてお腹が空くのだ、という説明です。
お母さんを思って産前に行ってた行動が、産後お母さんであったりとか、おいを苦しめるみたいな話あって、ストーリーとしてすげえ綺麗し腑に落ちるなと思ったから。
この前提のうえで重要になるのが、朝の光です。朝起きて朝日を浴びることが、メラトニンの分泌時間や入眠時間に影響するため、朝のリセットがとても大事だとばたこさんは説明します。
だからジーナ式では「朝7時に必ず電気をつけて朝日を浴びさせましょう」といったことが書かれています。カリスマ・ナニーが睡眠の仕組みまで紐づけて解説していることに、ばたこさんは驚いたそうです。
寝る子は寝る、で終わらせない後天的なアプローチ
ここでヒヤマさんが整理したのが、ジーナ式の核心です。「寝る子は寝る、寝ない子は寝ない」と先天性で括りがちなところを、実は後天的に整えられると捉える点です。
後天的にさっきの話だと生活リズムを整えればどんな子でも寝ますって言ってるのがそのジーナ式のメソッド。
つまりジーナ式は、寝方を学習させるためのHowToが書かれているもの、とばたこさんは捉えています。当たり前に思える「昼は明るい、夜は暗い」を、0歳から取り入れるのが起点です。
気になるのは、その当たり前をなぜ0歳児にやると「軍隊式」に見えてしまうのか、という点です。小学生に「早く寝なさい」と言うのと本質は同じはずだとヒヤマさんは言います。
自立できてない赤ちゃんとかの方がむしろそういう親の導きが必要そうやなとは思うけどね。
逆に、親の都合でリズムがバラバラだと赤ちゃんは混乱します。ばたこさんは、パパの帰宅に合わせて夜遅くまで起こす、日によって寝かせる時間が変わる、といった例を挙げます。
毎日対応がバラバラだと、まあ赤ちゃんもさ、混乱するし、結局その体内時計を合わせづらいんだよね。
だからジーナ式では「7時に起こす」「7時前は暗い部屋にいさせる」と書かれています。大人の1〜2時間はあっという間ですが、活動時間が2時間ほどの赤ちゃんにとっては大きな差だとばたこさんは言います。
黄金のルーティンと、探索的な試行錯誤
睡眠環境づくりも、ジーナ式ではこだわって書かれているとばたこさんは説明します。日が長くなる時期に朝5時から光を浴びせると7時まで寝られないため、真っ暗な部屋で寝かせることを重視するそうです。
寝る前のルーティンも一貫していたほうが寝かせやすい、と2人は話します。必ずお風呂に入って授乳して寝かせる、という流れが毎回同じであることがポイントです。
この一貫性が大事な理由は、赤ちゃんが「同じ」を安心と感じるからです。外出時に家のおくるみを持っていくと安心する、という例のように、刺激に弱い時期はいつもと一緒がいいのだと2人は確認します。
そして、この一貫したリズムこそが「観察の基準値」になります。ばたこさんは、夜通し寝ができなくなったという相談を例に、その本質を語ります。
夜通し寝をするってことは、多分赤ちゃんからのSOSが出てるわけじゃない?お腹が減った。
つまり、夜通し寝を「させる」ために何かをするのではなく、起きる根本原因を取り除く発想です。毎日同じリズムで過ごしているからこそ、その日の要因を特定しやすくなります。
この考え方を、ヒヤマさんはダイエットにたとえます。目標体重という基準があるから、増えた原因が運動不足なのか食べ過ぎなのかを考えられる、という話です。
ベースになるリズムがないと何が原因かとかがわからないみたいな話をしていますか?
2人はこの取り組みを「探索的」「アジャイル」と表現します。事象を観察し、仮説を立て、アプローチし、また観察する。ばたこさんはそのサイクルが「めっちゃ楽しかった」と振り返ります。
黄金のルーティンを作る
いつも通りに過ごせた「ご機嫌な1日」を基準値として持つ
差分に気づく
いつもと違う様子(夜泣き、グズグズ)が起きたら観察する
原因を考える
刺激が多かった、ミルクが飲めなかった、発育が進んだなど仮説を立てる
戻す
今日は守れなくても、また黄金のルーティンに戻していく
ただしヒヤマさんは、原因は一義的ではないと釘を刺します。疲れ、環境、食事、発育状況など、寝返りや立ち上がりといった成長そのものも要因になり得ます。だからこそ、原因を1つに特定するより、サイクルを回すこと自体が大事だという整理に落ち着きます。
ゆるジーナとガチジーナ、その違いはどこに
SNSでよく見る「ゆるジーナ」と「ガチジーナ」の違いも話題になりました。ばたこさんは、1人目がガチジーナだったと振り返ります。
理由は環境でした。1人目はコロナ禍の0歳期で、緊急事態宣言中はずっと家にこもっていたため、外出という変数が少なかったのです。
ずっと家にいたから、マジで徹底してスケジュールとか睡眠環境とか食事とかをハックしたんですよ。
一方2人目は、上の子もいて出かける機会が多く、朝寝も夕寝もすべて抱っこ紐だったそうです。それでもばたこさんは、これもジーナ式だと考えています。
だから今の感じやと百点満点をガチジーナとするならば、例えばそのちょっと光が漏れてますとか、お昼寝があんまうまくできませんでしたみたいな、そういうのがちょっと減点されていって、なんか大体それがね、五十点とか三十点とかになっていくとゆるジーナになるのかもしれないね。
ヒヤマさんの家でも、上の子を幼稚園に送った帰りに抱っこ紐で朝寝をさせているそうです。それはジーナ式と呼んでいいのか、と確認します。
ばたこさんによれば、朝寝と夕寝はいずれなくなるため、本にも「抱っこ紐でもいい」と書かれているそうです。ジーナ式は特定のやり方に足切りがあるわけではない、というのが2人の理解です。
ジーナさんが提唱してるのは、赤ちゃんがご機嫌に過ごせるスケジュールとか過ごし方で、それに沿ったお母さんの育児法なんですよね。
では、ゆるくても意識すべきポイントはどこか。ばたこさんは、長く寝るときの睡眠環境は相対的に大事だと答えます。真っ暗であること、温度、湿度などです。
- 光: 光が漏れず真っ暗にする
- 温度: 快適な室温に保つ
- 湿度: 50〜60%くらいがよく寝られると言われる
- 音: ホワイトノイズなどで外の音を和らげる
ヒヤマさんは、暖かくなると暴走するバイクの音が気になると言い、音の対策も話題に。ばたこさんの家では、下の子がもうすぐ3歳になる今もホワイトノイズをつけているそうです。
子どもの寝やすさには個人差もあるようです。ばたこさんの上の子は3〜4歳ごろから多少うるさくてもよく寝るようになった一方、ヒヤマさんの上の子は旅行中など環境が変わると早く起きてしまうと話します。夜驚症のように、夜に突然叫び出す症状もあったと2人は振り返ります。
一貫性をどうマネジメントするか
睡眠環境と並ぶもう1つの柱が「一貫性」です。ばたこさんは、もうすぐ3歳になる上の子の、その日あったばかりのエピソードを紹介します。
「まだ眠くない」「寝たくない」とイヤイヤしていた子が、いつものルーティンで寝ていったといいます。
寝たくないって今日言いながら、まだ眠くないもんって言いながら寝ていきました。
電気を消し、いつものルーティンをして、オルゴールをかけ、軽くトントンしたら5分で寝たそうです。ばたこさんは、これも親の一貫性だと語ります。
子供に主導権を渡さずに、ちゃんとそこで親として気持ちで負けずに、眠くない、絵本読むと言われても、いや、今はもう寝る時間だ、きっとあなたは眠いはずだって言って寝かしつけるっていう。
ヒヤマさんは、これは睡眠環境より難しいマネジメントだと感じます。2歳ごろになると自我も主張もあり、全部をねじ伏せていいわけではないからです。
難しいのは、パパとママで対応が違うと子どもがそこを突いてくる点です。「パパだったらいける」となって夜更かしにつながる、とばたこさんは指摘します。
なぜここまで一貫性にこだわるのか。ばたこさんは、夜寝られることと食べられることは相関し、その2つが子どもの成長に一番関わると考えているからだと言います。
やっぱり子供を育てるにあたって、親の一番の責務だなと私は思っているので。
関連して、ばたこさんはファーバー式にも触れます。泣かせる系のネントレと言われる方法で、夜間断乳などに使われますが、本には「6ヶ月以上で、日中これくらい食べられる」といった条件が細かく定められているそうです。
ばたこさんは、ジーナ式の原著に載っていたというファーバー先生の言葉を紹介します。危ないナイフを欲しがる子に、欲しがるからといって渡すのか、という問いかけです。
だから夜ミルクが欲しいからと言って泣いてる子、で、もうその子には夜あげなくてもいいという確証があるのに、欲しいからといってあげるんですか?みたいな。
つまり、条件が揃い「本当に夜のミルクは必要ない」と立証された場合にのみ行うべき、という慎重な設計です。ここでも、対応をブレさせない一貫性が根底にあると2人は確認します。
おしゃぶり・抱っこ寝と、退行との付き合い方
一貫性の話は、寝かしつけの「癖」の悩みにもつながります。ばたこさんは、おしゃぶりが指しゃぶりになり、噛み合わせがずれた(反対咬合)子の経験を語ります。
本当に歯医者にピシャリと言ってもらってやめたんだけど、結局。最初反対咬合って言ってちょっと噛み合わせがずれてたんだよね。
指しゃぶりをやめて半年ほどで噛み合わせは治ったそうです。日々の何気ない習慣が、思わぬ悪癖につながることもあると2人は実感します。
ヒヤマさんは、1人目で抱っこ寝を多用した経験を振り返ります。だんだん腰が痛くなるうえ、ベッドに置くとまた泣くリスクもある。だから2人目では、まずトントン、次におしゃぶり、という順に変えているそうです。
ただ、抱っこ寝とおしゃぶりのどちらが癖として悪いのかは分からないまま、というのが正直なところです。おしゃぶりは便利でも、やめ時が重要だと2人は話します。
夜泣きしてしまった時だけ使ってるんであれば、まあ癖になりづらいし、まあ結局夜泣きが改善されればさ、大丈夫だと思うけど、日中からずっとつけてるとやっぱりね、改善するの難しいよね。
添い乳のように、リスクがあると分かっていてもつい頼ってしまう手段もあります。特に夜中に起きるのはしんどく、ヒヤマさんは冬に布団から出る億劫さを語ります。ばたこさんの家は2人とも冬に夜泣きの時期がなかったそうで、そこは共感しきれない、と笑い合います。
話題は「睡眠退行」へ。ヒヤマさんが定義を尋ねると、ばたこさんは、明確な定義はないと前置きしつつ自分の理解を示します。
結局なんか例えば三ヶ月とか四ヶ月とか、成長に伴って、今まで睡眠がえっと一日合計十四時間でよかったのが、十五時間必要になるタイミングがあるかもしれなくて。
つまり、精神や内面の発達に伴って必要な睡眠量が増えることで、それまで寝られていた子が急に崩れる。それをばたこさんは睡眠退行だと捉えています。メンタルリープ ── 赤ちゃんの脳や心が急激に発達する時期を指す考え方。この時期はぐずりや夜泣きが増えやすいとされ、睡眠の乱れと関連づけて語られることがあります。とも重なる話です。
ここでヒヤマさんが、福岡と東京の日の出・日の入りの違いを紹介します。福岡は東京より朝が遅く夜が遅い。夏の夕方が長いのが好きな点だといいます。日照時間とうつの相関にも触れつつ、季節で日の出が早まると起床リズムが崩れやすい、という話に戻ります。
自分が子どものころ、そんなに徹底されていた?
ここで、2人は自分たちの子ども時代を振り返ります。暗いほうがよく寝られる、リズムがあったほうがいい。それは分かるけれど、自分たちの子ども時代にそんな環境はあっただろうか、という問いです。
でもさ、自分たちが子供の時そんなリズムあったっけ?とかさ、そんな環境って本当なかったっけ?ともやっぱ思っちゃうよね。
ばたこさんの家は、意外にも厳しかったそうです。小学生のとき9時、もっと早ければ8時半に寝なさいと言われ、当時放送されていた「SMAP×SMAP」を見たことがなかったといいます。
覚えているのは、決まった流れです。父が7時に帰るので、その前に6時に兄弟でお風呂に入り、7時にみんなで夕食を食べて寝る。今でも鮮明に覚えていると話します。
一方ヒヤマさんの家は共働きで、夕食が遅く、小学校の時でも寝るのは8時〜9時ごろ。川の字で、真っ暗になる一歩手前の常夜灯をつけて寝ていた記憶があると語ります。
ばたこさんの父は亭主関白寄りで厳しく、「子どもは寝る時間」と強く言われて育ちました。夫の家庭も似た方針だったため、ジーナ式のスケジュールがすんなり入ったといいます。
ヒヤマさんの家は逆に、子どもにちゃんと寝てほしいのに加え、親も夜はゆっくりしたい。その2つが相まって、6時から7時の間に寝てもらう形を作った結果、6時起き6時寝が定着したと話します。
共働きでリズムを整えにくいのは、昔だけでなく現代でも、むしろ今のほうがありそうな話です。だからこそ、睡眠に集中できる環境を作ることと、ベースのリズムを規則正しく作ることが軸になる、と2人は整理します。
ジーナ式とは「規則正しく」の一言に集約される
話を総括すると、2人の結論はシンプルでした。「寝トレ」という言葉が期待させる「こうしたらこうなる」というトレーニング像とは、少し違うのです。
そのうえで、原著には細かいHowToが辞書のように書かれています。ばたこさんは「朝寝を2回に分けましょう」といったケースまで載っていると挙げ、ヒヤマさんは「こういう時はこのページ」という索引がなく、紙の本ではめくるのが大変だと言います。
Kindle版私買い直したんだけどさ、Kindleのありがたみを感じたよね。検索ができるっていう。
本の読みづらさは翻訳ではなく、原著そのものにあるとばたこさんは言います。科学者ではなくベテランのナニーが実践で積み上げたメソッドである一方、ファーバー先生の引用など、しっかり勉強したうえで書かれている点も評価します。
ばたこさんはジーナさんの本を5冊以上買った「推し」だと語ります。今も子どもたちが11時間以上ぐっすり寝られているのはジーナさんのおかげだ、と感謝を口にします。
夜に収録ができているのも、ジーナ式で睡眠が整ったからこそ。「試行錯誤の番組があるのはジーナさんのおかげ」という軽口で、2人はこの回を締めくくりました。
まとめ
ジーナ式は、分刻みのスケジュールを守る「軍隊式」ではなく、赤ちゃんの体内時計が未成熟だという前提に立って、家族にとっての黄金のルーティンを探る取り組みでした。規則正しさというベースがあるからこそ、夜泣きの原因を探る試行錯誤も、崩れたときに戻すことも可能になります。
- 赤ちゃんの体内時計は未成熟で、完成するのは2歳ごろ。朝の光でリズムをリセットすることが起点になる
- ジーナ式の目的は夜通し寝そのものではなく、赤ちゃんと親がご機嫌で健やかに過ごせること
- 「黄金のルーティン」という基準値があるから、夜泣きなど不調の原因を特定しやすくなる
- 睡眠環境(光・温度・湿度・音)と、パパとママでブレない一貫性が2つの柱
- 結局は「規則正しく生活する」に集約され、原著にはそのための細かいHowToが辞書のように詰まっている




