仕事の8割をAIと過ごすPMは巫女なのか?
やましょーさんは、PMの仕事が神社の巫女に近づいているのではないかという不安を話し始めます。巫女とは、神に仕えて神職を補佐する女性のことです。
これまでのPMの仕事は、関係者に話を聞き、課題を整理し、進め方を自分で考えながらコミュニケーションを取るものでした。ところがこの1年ほどでAIが入り込み、やましょーさんは仕事時間の8割ほどをClaudeと過ごすようになったといいます。
何かあるたびにClaudeに意見や状況を確認し、複数のプランが出たときは「推奨はこれです」という答えを受け取ります。クライアントへの問い合わせでも、Claudeの出力に近いまま伝える場面が増えました。
これってなんか、御神託を預かって、それを人々に伝え広めていって、そこから出てきた要望とかをまた御神託にお戻しをするみたいな営みと、構造的には一緒なんじゃないかっていう気がしてきてですね。
やましょーさんは、自分の意思を乗せているつもりが、実はClaudeの意思を伝聞しているだけの触媒になっているのではないかと不安になることがあると話します。
AIは巫女なのか?伝書鳩とPMの違い
すぅさんは、自分にはそう思う瞬間はあまりないと答えます。AIは自分が言いたいことを言語化する手伝いをしてくれている、という認識だからです。
AIが言ってることは、よく言われるそれっぽいことではあるけど、本当にそうかを問うたりして、自分の納得感が本当にあるかというと、違う部分が2〜3割は出てくるんですよね。
すぅさんは、その違和感をAIと一緒に直し続け、自分が言いたかったことが出た段階で相手に伝えるといいます。言われたことをそのまま伝書鳩のように流すだけでは、PMとしての価値が問われるとも話します。
巫女さんって、どっちかっていうと本人の意思ないじゃん、多分。
やましょーさんは、前職でPMOと伝書鳩の違いを考えるワークショップをしたことを思い出します。言われたことを横流しするだけなら伝書鳩ですが、優先度を付け、何をやり、何をやらないかを決めて伝えるところに価値がある、という話でした。
やましょーさん自身も、Claude特有の言い回しを相手向けに翻訳して流すことはたまにある一方、右から左に流すことは少ないと振り返ります。
言われたことをそのまま横流しして伝える
優先度を付け、やること・やらないことを決めて伝える
巫女はAIの側?神と巫女の役割を入れ替えて考える
すぅさんは、巫女の役割を担っているのはPMではなくClaudeのほうかもしれない、という見方を出します。やましょーさんが神だとすると、神の考えをそのままでは相手に伝わらないので、巫女が翻訳や補足をして一般の人に通じる言葉にする、という構図です。
山椒が巫女ではなくて、AIが巫女である可能性はある。逆にそれが正しい使い方なのかもなと。
やましょーさんもこの解釈に納得し、八百万の神がいるように八百万のPMがいて、それぞれのスタイルで御神託を作っていくのだと冗談を交えて話します。
一方で、PM自身が完全な巫女になってしまうのは危険だと2人は話します。誰がやっても同じ答えが出るなら、PMはいらなくなってしまうからです。
推奨の誘惑に勝てないとき、何を詰めておくべきか?
やましょーさんは、自分にこだわれる領域とそうでない領域にはグラデーションがあると話します。経験のある領域では自分の意見を出せますが、開発のアーキテクチャのように何パターンもある領域では、「推奨」と書かれた案に抗えないことがあるといいます。
とりあえずエンター連打するよね。
すぅさんは、手段の選択はAIの推奨でよいと感じる一方、その前段階である「何がしたいのか」は詰めて持っておく必要があると話します。以前流行したグリルミー(AIに質問される形の整理)のように、わからない点も含めて質問を受け、観点を理解したうえで整理するところが大事だという考えです。
そのうえで、最適解の選択はAIに任せてもよいというのが、すぅさんの考えです。
最初はおすすめに従ってよいのか?守破離のような学び方
VercelとCloudflareのように選択肢がある場面では、どちらでもよいと思っていても、やってみて初めて「こちらがよかった」と気づくことが多いと、すぅさんは話します。
最初は御神託を言われたことをやるでいいと思って、やっていく中で多分気づいていく。それを学べばいいだけなんじゃないかな。
やましょーさんも、初めてのときは何がわからないのかもわからないため、おすすめから触り、感じた違和感や「実は自分はこうしたかった」という気づきを得ればよいと同意します。すぅさんは、知らないうちは先輩の言うことに従うのが人間社会でも同じだったと話します。
やましょーさんはこれを、武道の守破離にたとえます。まず型を真似て身につけ、その中で自分の色を出し、やがて自分流という属人化した状態をつくっていく進み方です。
AIという先生が常にいる時代に強くなる人とは?
すぅさんは、AIがなかった時代は学ぶための先生がいなかったと話します。エンジニアに質問しすぎると嫌われるかもしれず、わかったふりをして済ませることもありました。
今だと、本当にそれがいいのかなみたいなところを普通に聞いて、実はこっちが良かったですって言ってくることあるじゃん。AIが。
こうした積み重ねができる今、細かい違和感まで聞ききれる人が強くなる、というのがすぅさんの見立てです。やましょーさんも、しつこく聞いて吸収しきると、2回目以降は楽になると同意します。
すぅさんは、ドメイン知識だけ、オペレーションに強い、ITに強いといった偏りがあった人でも、インフラやセキュリティなどの観点を学べ、パラメーターのバランスが広がっていくと話します。
やましょーさんは、かつては外国語のようだった開発の用語も、フレームワークやインフラ環境といったカテゴリーで捉えられるようになり、パーツごとの理解も進むと話します。
御神託を作る側になるか、預かる側になるか
やましょーさんは、御神託を作る側になるか、預かる側になるかの違いは、自分のこだわりややりたいことを出せるかどうかにあると整理します。
神になるか、巫女に、神になるかどうか。
やましょーさんは「AI世界の神に俺はなるみたいな」と冗談で返し、回を締めくくります。
まとめ
AIに相談する時間が増えたPMは、自分が巫女のようにAIの意思を伝えているだけではないかと不安になりえます。この回では、自分の意思を持ち、AIを学びの先生として使うことが、PMの価値につながると話されました。
- AIの答えをそのまま流すだけでは伝書鳩になりかねず、優先度とやる・やらないの判断を加えることにPMの価値がある
- AIは、PMの考えを相手に伝わる言葉に翻訳する巫女の役割を担う、という見方もできる
- 推奨に従いたくなる場面ほど、先に「何がしたいのか」を詰めておくことが重要
- 最初はおすすめに従い、使う中で出た違和感から学ぶ進め方は、守破離に近い
- 先生が常にいる今は、細かい違和感までしつこく聞ききれる人が強くなる




