立春を過ぎた那覇、光へシフトする季節の気配
番組は沖縄・那覇のスタジオからお届けされています。パーソナリティは神森勉さんです。収録は2月13日、2月2回目の金曜日にあたります。
暦の上ではすでに春を迎え、立春も過ぎたころです。那覇では日の入りの時間が遅くなり、最近では18時20分ごろまでうっすら明るさが残るようになってきたといいます。
まだ海風がひんやりする日もあるものの、日中に雲の切れ間から日差しが降り注ぐと、春が近いと感じる日が多くなってきたと神森さんは話します。
季節が少しずつ、でも確実に光の方向へシフトしていくこの時期。神森さんは、縮こまっていた背筋を伸ばし、新しい季節の気配を吸い込んでみるのもいいかもしれないと語りかけます。
Apple Creator Studioとは何か、豪華すぎるバンドルの正体
今回のガジェットレポートは、ハードウェアではなくサービスの話です。取り上げるのは、1月29日にサービスが始まったApple Creator Studioです。
神森さんがこのサービスを知ったのは、Appleからの通知ではなく、X上の誰かのポストがきっかけでした。慌ててAppleのサイトを見に行き、内容を読み込んだといいます。
含まれるのは、Final Cut Pro、Logic Pro、Pixelmator Pro、そしてMotion、Compressor、MainStage。さらにKeynote、Pages、Numbersといったアプリまで総合し、サブスクで提供する形になっていました。
神森さんが注目したのは、これまで買い切りだったソフトがサブスクで使える点です。Final Cut Pro / Logic Pro ── Appleが提供するプロ向けの動画編集ソフトと音楽制作ソフト。従来はMac購入時などに買い切りで追加購入する形式だった。Final Cut ProやLogic Proはそれぞれ数万円で追加購入するものだったため、これらをまとめて使えるのはなかなかすごいと感じたそうです。
Final Cut ProとかLogic Proって、Macを買う時にそれぞれ5万円、3万円かなんかで追加でプリインストールソフトとして購入することができるものだったんですけど、これらをサブスクで利用できるっていうのはなかなかちょっとすごいんじゃないの、ってちょっと思ったりしました。
Adobe Creative Cloudの代わりになるのか
発表後、Web上やXでは、Apple Creator StudioがAdobe Creative Cloudの代わりになるといった声も見られました。しかし神森さんは、実際にソフトを立ち上げて見た結果、置き換えになるものではないという見解を示しています。
理由として神森さんは、それぞれのソフトの生い立ちが全く異なる点を挙げます。似たような機能があるだけで、目指すゴールが違うため、結果的に置き換えるものではないと感じたそうです。
たとえばFinal Cut Proは、AdobeのPremiereとだいたい同じと言われることもあります。ただ神森さんは、ソフトが目指すところが違うため、Final Cut Proを昔から使う人はそのまま、Premiereを使う人はそのままだろうと考えています。
Logic ProよりAuditionを選ぶ理由
音声編集ソフトのLogic Proについて、神森さんはポッドキャストを始める際に非常に気になっていたソフトだったと振り返ります。ただ実際には、このポッドキャストはAdobeのAuditionを使って制作しています。
神森さんがAuditionを評価するのは、波形編集がしやすい点と、トラック管理が楽な点です。この使いやすさから、当面Logicへ移行することはないだろうと話しています。
Logicはもちろん活用されている方はフルで活用されていると思うんですけど、私の中では今のところAuditionが非常に使いやすいと思っているので、Logicに移行することはないんだろうな、っていうふうに思っていたりします。
Pixelmator Proの日本語縦書きの弱点とFireworks的な魅力
画像編集を担うのがPixelmator Proです。神森さんは、これまでAdobeのツールで行っていたことがすべてできるかというと、多分できないと述べています。
具体的な弱点として挙げられたのが、日本語の縦書きです。IllustratorやPhotoshopは歴史が長く日本語環境に対応していますが、Pixelmatorでは縦書きがまともにできないといいます。
縦書きをするには、無理やり文字を一文字打って改行、一文字打って、みたいな感じにしたりしないとまともに使えない。
縦書きの禁則処理などを考えると、日本語に特化したAdobe系ソフトのほうが絶対にいいというのが神森さんの見解です。禁則処理 ── 行頭に句読点や閉じ括弧が来ないように文字を送るなど、日本語組版で読みやすさを保つための処理。縦書きの品質を左右する。
一方でPixelmator Proには、神森さんが以前から気に入っている点もあります。それが、かつてWeb制作でよく使われていたFireworksに近い使い勝手です。
Fireworksは、ベクトルっぽい感覚でデザインしつつ、最終的にビットマップで書き出すソフトでした。Pixelmatorはその感覚やレイヤー管理の仕方が似ているといいます。
違いはツールバーの配置です。この手のソフトは左側にツールバーがあることが多いのに対し、Pixelmatorは右側にツールがあり、レイヤーパネルが左側にあります。左右が入れ替わっているものの、ちょっとしたWeb画像を作るには結構使いやすいと神森さんは評価しています。
3ヶ月無料で試せた、注目はKeynoteのAIスライド機能
Motion、Compressor、MainStageといったツールは動画周りで活用されるもので、神森さん自身はそこまで使わないだろうと話します。
今回のトライアルにも思わぬ発見がありました。神森さんは12月にMac miniを購入しており、1ヶ月の試用だろうと思って起動したところ、3ヶ月無償で使えると分かって驚いたそうです。
そのうえで神森さんが一番気になったのがKeynoteです。プレゼンテーションはKeynoteしか使っていないため、サブスク契約者だけが使える専用テンプレートに関心を寄せています。
もう一つ注目しているのが、要点を書いておくと自動でスライドにしてくれる機能です。ただ、直近で登壇予定がないため、まだ試せていないといいます。
一方でPagesとNumbersはほとんど使っておらず、レビューできる段階にないとのことです。AIによる文書構成やNumbersのAIデータ分析があるため、タイミングを見て試したいと話しています。
Keynote単独でAIスライドが完結すれば便利になる
神森さんが特に気にしているのは、KeynoteのAIスライド作成機能がどこまで実用的なものを作ってくれるかです。
その背景には、現在の神森さんのスライド作成フローがあります。最近はChatGPTやGeminiに要点を書いてページ数を割り出し、ざっくりしたアウトラインを作ることが多いといいます。
その辺りをKeynote単独でできるようになると、とても便利だなというふうな気はしています。
さらに神森さんは、AppleがGoogleと提携し、Apple Intelligenceの裏側がGeminiに変わる動きにも触れています。それが本格的に動き出したら、AIを使ったスライド生成をぜひ試したいと語ります。
新しいMacやiPadを買った人は3ヶ月、それ以外でも最短1ヶ月のトライアルがあるため、神森さんは聴き手にも試してみることを勧めています。
『Brand New Sky』の紆余曲折、コード進行を巡る試行錯誤
後半はSuno AIラボのコーナーです。今回はワークトークを休み、拡大版でお届けされます。Suno AI ── テキストのプロンプトから楽曲を生成できるAI音楽サービス。歌詞や曲のスタイル、コード進行などを指定して曲を作れる。
紹介されるのは、前回のエピソード3で流した『Brand New Sky』です。神森さんは前回、興奮気味に紹介してパパッと終わらせてしまったと振り返ります。実はこの曲の制作には、結構な紆余曲折がありました。
神森さんは、J-POPでよくあるコード進行をどう組み立てればいいのかをGeminiと相談しながら作り込んでいきました。最初は王道進行で試したものの、ピンとこなかったといいます。
そこでカノン進行に切り替え、カノン進行で始まって最後に終わる形にしました。歌詞にコードをつけてもらい、スタイルを変えたものをSunoに投げたそうです。こうして生まれた原曲が、前回紹介したAnthem Versionでした。コード進行 ── 曲の中で和音が変化していく順番。王道進行やカノン進行など定番のパターンがあり、同じ歌詞でもコード進行を変えると曲の印象が大きく変わる。
王道進行で試す
最初に試したが、ピンとこなかった
カノン進行に変更
始まりと終わりをカノン進行で組み立て直す
歌詞にコードをつける
Geminiに相談しながらコードを付与
Sunoに投げる
スタイルを変えて生成し、Anthem Versionが完成
同じ歌詞から生まれた「Brand New Sky四兄弟」
神森さんは、オリジナルのショートバージョンをキープしたうえで、シティポップっぽいものや王道のロックっぽいものが作れないかと、さまざまな指示を出して曲を変えていきました。
その結果、なんだかんだで四曲ができあがりました。神森さんは、これは面白いと感じたといいます。
変えたのはコードとスタイルの2つです。ここでのコードはHTMLなどのコードではなく、音楽のコード進行を指します。コード進行の変え方の相談と、スタイルの変更によって、同じ歌詞で全く性質の違う四曲が生まれました。
コードとスタイルを変える。同じ歌詞で全く性質の違う四曲ができちゃったんですね。
せっかくだから四部作にしてはどうかとGeminiと話し、最終的に「Brand New Sky四兄弟」として順次紹介していくことになりました。
神森さんによると、前回紹介したAnthem Versionは、この四兄弟のなかでは三男にあたるといいます。今回はその三男から、別のバージョンへと話が展開していきます。
90年代シティポップを狙って生まれた「長男」
今回お届けするのは、四兄弟のなかでも神森さんが特に気に入った曲です。イメージの原点は1990年代によくかかっていた曲でした。
神森さんは、東野幸治さん(要確認: 音声からの聞き取りのため要確認)やORIGINAL LOVEさんのような、綺麗で澄んだ音を出すシティポップが好きだったといいます。その雰囲気を狙ってGeminiと相談を重ねました。
ここで神森さんは、制作上のこだわりを明かします。Sunoにスタイルを投げ込む時に、アーティストの名前を入れることはしていないというのです。
やっぱりこれをすると、もしかしたらその人とそっくりの曲が出来上がってしまう可能性があるので、そうではなくて、当時のそういうシティポップにまつわるスタイルというのがいくつかあります。
神森さんは、90年代のシティポップを表現するスタイルをいくつか挙げつつ、よく使われるコード進行を指定しました。そのなかでも有名なのがセブンスコードだといいます。セブンスコード ── 基本の3つの音(三和音)に、さらにもう1つ音を重ねた4音の和音。シティポップやジャズでよく使われ、洗練された響きを生む。
神森さん自身もまだ不勉強で、後から気づいたと断りつつ、本来は3つの音のところを4つ使う点や、黒い鍵盤をよく使う点を挙げます。その結果、軽快なリズムのポップスができあがったそうです。
楽曲『Brand New Sky - City Pop Version』
ここで、今回のメイン楽曲『Brand New Sky - City Pop Version』が流されます。Suno AIによって生成された曲です。
目覚ましの音が響く。靴紐を固く結び、地図にはない道を選び、新しい景色探しに行こう。
見上げた空は限りなく青く、涙の跡も強さに変えて。終わらない夢。走り続けよう。
翼広げて風をつかまえて、僕らの鼓動響かせあおう。傷つくこと恐れはしない。Brand new sky。飛べるはずさ。
コード進行ひとつで、同じ歌詞が別の曲になる
曲を聴き終えたあと、神森さんはコード進行一つで同じ歌詞が全く別のものに変わることが分かったのではないかと語ります。
神森さんは、Sunoを使った音楽制作に今めちゃめちゃハマっていると話します。実はこのCity Pop Versionも、最初にできた時はあまりピンときていなかったそうです。
ところが、キープしていた曲を改めて聞き直したら、結構かっこよかったといいます。前回のAnthem Versionと聴き比べると、印象の違いは鮮明でした。
サビで両手を上げて手を振り、行進したくなるようなイメージ
横揺れで、クラブでおしゃれに踊っているようなイメージ
この横揺れの感覚が、神森さんに「これは絶対に紹介したい」と思わせたきっかけになりました。
番組からのお知らせと次回予告
番組では、聴き手からのメッセージを募集しています。今回の感想や、デスク周りのこだわりなどを気軽に送ってほしいと神森さんは呼びかけています。
次回の配信を逃さないよう、番組のフォローも呼びかけられました。今回はワークトークの話がなかったため、来週は通常どおりワークトークを取り上げる予定です。
まとめ
今回は、豪華なバンドルで注目を集めたApple Creator Studioを実用面から冷静に検証しつつ、Suno AIで生まれた『Brand New Sky四兄弟』の制作背景と、シティポップ・バージョンの魅力を掘り下げる拡大版でした。
- Apple Creator StudioはFinal Cut ProやLogic Proなどをサブスクでまとめて使える豪華なバンドルだが、Adobe Creative Cloudの単純な置き換えにはならないというのが神森さんの見解
- 神森さんはポッドキャスト編集にAudition、プレゼンにKeynoteを使い続けており、Pixelmator Proは日本語縦書きに弱い一方でFireworks的な使い勝手が魅力
- 『Brand New Sky』は王道進行からカノン進行への切り替えを経て生まれ、コードとスタイルの変更で同じ歌詞から性質の違う四曲=「四兄弟」に発展した
- Sunoにはアーティスト名を入れず、90年代シティポップのスタイルとセブンスコードを指定して長男のCity Pop Versionが誕生した
- コード進行一つで同じ歌詞が全く別の曲に変わることが、Anthem VersionとCity Pop Versionの聴き比べで実感できる





