コンビニ兄弟を入り口に「物語の舞台の価値」を考える
この回でSeiyaが持ち込んだのは、地元・門司港を舞台にしたNHKドラマ『コンビニ兄弟』を入り口に、物語の舞台の価値を考えるというテーマです。
『コンビニ兄弟』はもともと町田そのこさんの小説で、中島健人さんが主演を務めるドラマとして放送されています。
番組の第3回でコンビニをテーマに扱いながら『コンビニ兄弟』に触れなかったことをSeiyaが思い出し、今回のテーマにつながりました。
第3回目でコンビニの兄弟とか言っておいて、門司港に住みながら、そのコンビニ兄弟に触れないということをしてしまったというね。
Yujiはドラマを第1回、第2回まで見て一旦離脱、Seiyaは本編ではなくPR動画を見た状態だと明かします。作品の内容は各自で見てもらう前提で、話は「舞台になること」そのものへ進みます。
北九州が撮影に強い理由と、1989年からの誘致
話題は、ドラマや映画、アニメの撮影を実際の土地で行うと何が起きるかへ移ります。撮影地が「聖地」と呼ばれるようになる現象です。
Seiyaによれば、門司港のある北九州市は撮影が非常に多い街です。その背景には北九州フィルムコミッションの存在があります。
北九州市は1989年から撮影誘致の支援を始め、2000年に北九州フィルムコミッションを設立したとSeiyaは説明します。
365日24時間撮影支援や大規模撮影の実現を掲げていると。
地方での撮影は、道路の封鎖や警察との調整など手間が多いのが実情です。北九州はエキストラやボランティアなど協力を得られる体制を整えていると話されています。
東京の代わりじゃないけど、ちょっとこう、撮影しやすい、交通の規制が効かせやすいっていう意味で、なんかちょうどいいみたいなことは聞いたことあるね。
この体制が、北九州が舞台として使われる基盤になっている、とYujiは整理します。
『海猿』『相棒』『鬼滅の刃』…実は多い北九州の撮影作品
Seiyaが北九州市のホームページを見たところ、撮影実績は30ほどあったと言います。
古いところでは『海猿』の撮影があり、Seiyaは高校生の頃に授業を抜けて見に行った(ものの見られなかった)と振り返ります。
高校の時、あの、授業抜けて寄り行きました。
ほかにも『黒ひつじ』『仮面ライダービルド』『相棒』劇場版、『釣りバカ日誌』『寅さん』『寄生獣』など、幅広い作品名が挙がります。
Yujiは、『コンビニ兄弟』と同じ町田そのこさん原作の映画『52ヘルツのクジラたち』でも、小倉のチャチャタウンなどが登場したことに触れます。
「ここ知ってるわ」みたいな。なんかちょっとこう、気持ちの高まりみたいなのを感じたね。
Seiyaは、駅や海、山、坂道といった多様な風景がそろうことが、北九州が撮影で使われやすい理由ではないかと話します。
観光とは別軸で「場所に感情が乗る」という価値
話題は、そこを撮影地・舞台にすると何がいいのか、どんな影響があるのかへ移ります。
そこで撮影とか、そこを舞台にした時、何がいいと思いますか。どういう影響があると思いますか。
Seiya さんからの質問
Yujiはまず、街の魅力を改めて目にすること、そして中島健人さんのファンなどが訪れることによる認知の広がりを挙げます。TikTokで話題になっていたという声も聞いたと話します。
Seiyaは、認知を大前提としつつ、それとは別軸の価値に注目します。通常の観光は建物や食べ物、体験を目当てに行きますが、ドラマや映画、アニメの舞台では、場所そのものに感情が乗るという現象が起きるというのです。
主人公の人がここで、ここで悩んでた場所なんだみたいな。その場所に感情が乗るみたいなことが起こるんだなって。
観光とは別軸のストーリーが乗った場所になることで、場所の価値が一気に変わる、とSeiyaは言います。
Yujiは、この感情の乗せ方がコントロールしにくく、珍しいものだと応じます。CMのように早期からブランドイメージを作るのとは違い、行ったことのない場所に感情が乗るのは特殊だ、というわけです。
その場所に感情が乗るって結構少ないのかもね。珍しいというか。
具体例として、『君の名は。』の階段や飛騨の風景、瀧が働く新宿御苑のカフェ「ラ・ボエム」が挙がります。Seiyaは、そのカフェで働いていた友人が誇らしげだったと振り返ります。
Yujiは、太宰府の鬼滅の刃の「石割り」を例に挙げるSeiyaの話を受け、もともとただ石が割れているだけの神社が、作品によって特別な場所へと見え方が変わることに驚きます。
聖地巡礼が生む経済効果を、要素に分けて考える
Seiyaは、場所の価値が変わることに加えて、物語の世界に自分も入るという体験の価値も大きいと続けます。画面で見た風景を実際に見たい、その世界に入ってみたいという気持ちが、訪れる人を増やすというわけです。
その流れをSeiyaは、こう整理します。作品への興味で人が訪れ、観光としての良さも知り、リピートにつながる。そうして経済効果が生まれる、という構造です。
当然なんかこう、そこでロケ地になったら経済効果があるよねっていうのはすごいわかってたけど、なんかもうちょっとそこを噛み砕いてみると、そういう要素の中に詰まってたんだなっていう。
Yujiも、聖地を見た流れで宿泊や飲食が生まれ、観光PRのやり方として成立すると補足します。ロケ地になることは、地域への集客の入り口になるという点で意見が重なります。
認知
作品や俳優をきっかけに、街の存在が広く知られる
来訪動機
作品を知りたい・世界に入りたい・画面で見た風景を実際に見たい
来訪
聖地巡礼として人が訪れる
観光体験
現地で観光としての良さも知り、宿泊や飲食が生まれる
リピート・経済効果
再訪につながり、地域に経済効果が生まれる
門司港での盛り上がりは十分か、二人が感じた温度差
話題は、この『コンビニ兄弟』のチャンスを街の盛り上げにどう活かすかへ移ります。
Yujiは、門司港を歩いていても大きなポスターが店に貼られているくらいで、思ったほど街に落とし込まれている感じがしないと率直な印象を述べます。
門司港を歩いてて、その大きめのポスターが貼られてるぐらい。それが落とし込まれてるか、じゃあそこからこう、なんか一つ門司港をみたいなのって、どれぐらい起こってるんだろうっていう感じ。
Yujiは、小説で話題になり中島健人さんが主演を務める作品としては、街へのインパクトがあまり大きくないように感じると語り、小倉に住むSeiyaにも感覚を尋ねます。
聞くとね、いや僕はそんな感じはしてないですかね。
二人は、企画のスタートと終わりに盛り上がりが集中する傾向を踏まえ、最初の仕込みが弱かったのではないかと話します。門司港駅や商店街の一角に告知を置くなど、認知させる量や企画の質にやりようがあったのではないか、というわけです。
「自分が市長なら」二人が語る、街を挙げた盛り上げ方
Yujiは、この状況を強気に批判する話ではないと断りつつ、記者会見や、中島健人さんと市長や町田そのこさんの対談があってもよかったのではないかと案を出します。
「自分が市長だったら」と問われたSeiyaは、街中に横断幕を作り、グッズを作りまくり、SNSで全国に広告を打つと勢いよく答えます。
いや、もうあの、街中に横断幕を作って。グッズを作りまくって。あのSNSで全国に広告を打って。
Yujiも、高校のインターハイ出場のように、門司港駅のどこかに「祝舞台化」の横断幕があってもいいと乗ります。
さらにSeiyaは、地元と密着するなら現地でしか体験できないことをやりたいと話し、ツアー化やマップ作成、作品に出てくる食べ物の提供といったアイデアを挙げます。
調べたら公認ツアーが存在、でも時期は放送前だった
その流れでYujiがネットを調べると、門司港レトロで「聖地巡礼ツアー」が実際に販売されていたことがわかります。町田そのこさん本人のトークショーも予定されていました。
「門司港狂想プロジェクトチーム共同自治体公認」。「町田そのこさん本人によるトークショーを予定しています」みたいなこと書いてあるよ。
専用サイトもYouTubeも用意された、しっかりした企画でした。二人は自分たちが侮っていたと反省します。
侮ってたわ。関係者の皆さん、失礼いたしました。
ところが期間を見ると、フォトスポットの巡礼は2025年10月24日から2026年1月31日まで。ドラマがNHKで放送されている2026年6月時点から見ると、公開の3、4か月前に終わっていました。
聖地巡礼ツアー自体も2026年3月31日まで、町田そのこさんのトークショーも12月と1月に終了していたことがわかり、二人は「今じゃないのか」と戸惑います。
火が点ってないのに、今、そのタイミングで薪くべてますみたいな話でしょ。
Yujiは、スケジュールや他イベントとの兼ね合いなど、政治的にできない理由があったのではないかと推測します。企画自体の質は高いだけに、放送のタイミングと合わせられなかったことをもったいないと話されています。
プロモーションの難しさと、街そのものの価値
Seiyaは最後に話をまとめます。ロケ地になることで注目され、地域への集客の入り口になること。訪れた人にとっては、観光だけでなく物語の世界に入り、場所に感情が乗る体験になること。それによって街のブランドイメージが変わり、経済効果が生まれること、という流れです。
ロケ地になるっていうところで注目はされるんで、その集客、その地域への集客の入り口になる。
一方でYujiは、これほど名の知れた作品でも、もったいない状況が起きてしまう点に、プロモーションや認知、集客の難しさを改めて感じたと話します。
Seiyaは、飲食などで集客する側にとっては、街や市が集客をやってくれるのは心地よい、と別の視点も添えます。
星野リゾートのオープン予定や、旧JR九州ビルのホテル化といったニュースにも触れつつ、そもそも街そのものが良いという点で二人の話は落ち着きます。
いい街、そもそもね、そもそも街がいいっていうのはありますね。
まとめ
門司港を舞台にした『コンビニ兄弟』を入り口に、ロケ地になることの価値をSeiyaとYujiが掘り下げた回です。認知と経済効果という定番の話を、場所に感情が乗るという体験の視点まで噛み砕いたうえで、名の知れた作品でも起こりうるプロモーションの難しさに行き着きました。
- 北九州は1989年から撮影誘致を支援し、2000年設立の北九州フィルムコミッションが撮影地としての基盤になっている
- ドラマや映画の舞台になると、観光とは別軸で「場所に感情が乗る」現象が起き、場所の価値が変わる
- 認知・来訪動機・来訪・観光体験・リピートという流れで、ロケ地は地域への集客の入り口と経済効果を生む
- 『コンビニ兄弟』では公認の聖地巡礼ツアーが用意されていたが、放送時期と企画の期間がずれており、活かしきれない印象が残った
- 名の知れた作品でももったいない状況が起きる点に、プロモーションと認知・集客の難しさが表れている





