晴れた日に戻ってきた「人生楽しかったかも」の感覚
ハナウタラジオは、ため息の中にあるポジティブな「鼻歌」を一緒に探す番組です。今回はブラジル在住のさときーにょさんと、ドイツのベルリンに住むあいみんさんが、海外から収録に参加しています。
さときーにょさんは、今回急きょ「さときーにょ」というニックネームにしたそうで、少し照れながら本名のさとこさんとして自己紹介しています。
最近の鼻歌を聞かれたあいみんさんは、仕事が楽しいフェーズに入ってきたことを挙げます。物理的な鼻歌や歌は毎日のように歌っているそうですが、気分の面での鼻歌は仕事のほうだといいます。
あいみんさんによると、1週間ほど前までは忙しくなり始めたのに心がついていかず、自分の中の波をどうしようかと迷っていたそうです。ところがある日を境に、その迷いが一気に晴れたといいます。
なんかすごい私の人生ちゃんと楽しかったかもみたいなのを、もう一回こう掴んだみたいな日があって。
あいみんさんが迷いの晴れたその日は天気もよく、いい気分のまま散歩に出かけたそうです。さときーにょさんも、天気のよさは気分にとって大事だと共感しています。
カリブ海のプンタ・カナで知ったブラジル流の休み方
さときーにょさんの最近の鼻歌は、10月の初めに家族で出かけた旅行です。行き先はドミニカ共和国のリゾート地プンタ・カナ ── カリブ海に面したドミニカ共和国東端のリゾート地。白い砂浜とオールインクルーシブ型のホテルが多いことで知られますで、家族6人で1週間ほど過ごしたといいます。
ブラジルからプンタ・カナへは飛行機で7時間ほどかかるそうです。さときーにょさんと夫にとっては今回が3回目で、前の2回は夫婦2人で訪れ、すっかり気に入っていたといいます。
今回の旅行のメンバーは、夫、ブラジルの義父母、夫の妹、姪っ子、そしてさときーにょさんの6人です。子どもたちから両親へのプレゼントという形で実現した旅でした。
なんか全然ほんと特別なことしてなくて。もう海行ってプール行ってのんびりしてみたいな感じだったんだけど。
さときーにょさんにとっては、夫婦が好きな場所を家族にも楽しんでもらい、一緒にゆっくり過ごせたことが何よりうれしかったそうです。
あいみんさんがプンタ・カナを知ったきっかけを尋ねると、さときーにょさんは、プンタ・カナはブラジル人にとって日本人のハワイのようなメジャーなリゾート地だと説明します。最初に訪れたのは、まだブラジル人の夫と遠距離恋愛をしていたころで、どこかで落ち合おうという話になったときに夫が勧めてくれたそうです。
さときーにょさんは、日本人と比べてブラジル人は休み方が上手だと感じています。ブラジルに初めて来たとき、朝から夕方まで海で過ごす人たちを見て「何をするんだろう」と信じられなかったそうです。
なんか本当にゆっくり自分の時間を楽しむ、家族との時間を楽しむみたいなのが上手だなあって。
一方、あいみんさんの住むベルリンには海がありません。高知出身で海の近くで育ったあいみんさんは、計画しないと海に行けない今の環境から、プンタ・カナの話をうらやましく聞いていたといいます。フランスのニースには一度行ったことがあり、とてもよかったそうです。
さときーにょさんは、初めて一人で海外に行った先がドイツだったこともあり、ドイツにぜひ行きたいと話しています。
小学4年生の憧れがベルリン移住に変わるまで
番組の中盤は、リスナーから届いたお便りの紹介です。あいみんさんが読み上げたお便りは、海外生活への憧れを伝えるものでした。
海外生活に憧れています。
あいみんさんは小学4年生のときに初めてドイツを知り、それ以来ずっと憧れていたドイツに今住んでいるといいます。途中で諦めかけたものの、「行かなきゃ」と思える時期があったおかげで移住できたそうです。
収録時点の時差も話題になりました。日本は夜の11時前、ドイツは夕方4時前、ブラジルは午前11時前で、それでも普通におしゃべりができることに2人は「すごい時代」だと感心しています。
あいみんさんの海外滞在歴は、ドイツを知ってから10年ほど飛んで、大学最後の夏休みに始まります。語学学校に申し込み、2か月だけドイツに滞在しました。
あいみんさんがドイツを知ったきっかけは友人の家族で、その家族がちょうどベルリンに引っ越していたため、会いに行ったところベルリンに一目惚れしたそうです。そこからさらに10年ほどかけてベルリンに移り住み、その前には半年ほど韓国にも住んでいました。
あいみんさんが韓国に住んだのはコロナ禍のころで、海外に行きたい気持ちと、どの国がビザを発給しているかを考えた結果でした。ちょうどBTSにはまり始めていたので「ラッキー」だったといいます。
あいみんさんがベルリンに惹かれた理由は、日本の首都である東京のイメージとの違いでした。ベルリンはドイツの人からは「一番ドイツっぽくない」と言われることもあるそうですが、あいみんさんには、余裕のある街並み、豊かな自然、昔からのものが今も普通に残る姿が魅力的に映ったといいます。
なんかこんな首都もあるんだみたいな。初めて他の国の首都を見たんですけど。
フランクフルトとケルンには行ったことがあるものの、ベルリンを候補から外していたさときーにょさんは、あいみんさんの話を聞いて行きたくなったと話しています。
ダブリンでの出会いから5年の遠距離恋愛へ
さときーにょさんは、小さいころから海外に興味があり、大学時代に一人旅が好きになったことが海外へ出るきっかけだったといいます。大学3年生を終えたあと、アイルランドの首都ダブリンに留学し、それが一番長い海外滞在になりました。
さときーにょさんは、ダブリン留学中に今のブラジル人の夫と出会います。その後、日本とブラジルで5年ほど遠距離恋愛を続け、一緒に暮らそうと決めて、さときーにょさんがブラジルへ移りました。ブラジルに住んでもう5年ほどになるそうです。
5年の遠距離恋愛をどう続けたのかとあいみんさんに聞かれ、さときーにょさんは、自分は遠距離に向いていたのかもしれないと答えます。
私は結構面倒くさがりなんだけど、彼はすっごいマメなんですよ。
さときーにょさんの夫は毎日きちんと連絡をくれ、2人は1年に1〜2回、さときーにょさんがブラジルへ行くか、別の国で待ち合わせて会っていたそうです。さときーにょさんは、続いたのは夫がマメだったおかげで、自分は連絡を返さずによく怒られていたと振り返っています。
差別を感じたダブリン、受け入れてくれたブラジルとベルリン
あいみんさんは、さときーにょさんにとってブラジルは出会った国とも違う3つ目の国であることに触れ、どうやって馴染んだのかを尋ねます。さときーにょさんの答えは、ブラジルが移民の多く混ざり合った国で、受け入れてもらえる感覚があるということでした。
さときーにょさんは、対照的な経験としてダブリン時代を挙げます。ヨーロッパの島国であるアイルランドではアジア人差別があり、歩いているだけで10代の子に背中を押されたり、お尻を叩かれたりしたそうです。韓国人の友人も、スターバックスでレシートを顔に投げられたといいます。
ブラジルは本当に全くそういうことなくて、逆に日本人すごくリスペクトされる。
さときーにょさんによると、ブラジルは人が優しく、夫の家族も自分を家族のように思ってくれていることが、馴染めた大きな理由だといいます。
閉鎖的なところがあり、アジア人への差別的な行為を本人も友人も経験した
移民が混ざり合う国で差別を感じず、日本人はリスペクトされ、人も優しい
あいみんさんも、ベルリンについて近い感覚を持っています。ベルリンにはさまざまな国の人が住んでいて、電車ではドイツ語がまったく聞こえないこともあるほどだそうです。
ベルリンに日本人は比較的少ないものの、韓国の人などアジアの人たちはいるため、あいみんさんはもうすぐ4年になる暮らしの中で、差別的な目で見られたと感じたのは1回ほどだといいます。外国人として変な目で見られていない安心感が、住み続けられる理由になっているようです。
さときーにょさんは、自分には夫の家族という受け皿があったのに対し、一人でベルリンに渡ったあいみんさんの自立ぶりに感心します。あいみんさんは、語学学校で日本人や韓国人の友人ができたこと、契約の難しいベルリンの住まいも日本人向けの掲示板で見つけられたことを挙げ、「順番にいろんな登場人物が出てきてくれた」と振り返っています。
ブラジルで始めた着物リメイクブランドの舞台裏
あいみんさんは、さときーにょさんが手がける着物のブランドについて尋ねます。さときーにょさんはブラジルに来たばかりのころ、フリーランスとして日本の仕事をしていましたが、ブラジルにいるからこそできることを始めたいという思いが少しずつ湧いてきたそうです。
さときーにょさんが着物を選んだのは、着物を漠然と素敵だと思っていたことと、ブラジルのサンパウロに日本国外で最大の日系コミュニティがあり、日本文化への関心が高いと感じていたからです。自分の好きなことと、暮らす場所で求められるものがつながりそうだと考えたといいます。
さときーにょさんのブランドでは現在、日本で選んできた着物をリメイクし、オーダーメイドのドレスを作る依頼が多いそうです。縫製はブラジル人のパートナーと一緒に行っています。
あいみんさんは、仕事に誇りを持ちつつも、自分の仕事がすべて日本語であることを気にしている部分があると明かします。だからこそ、一度それまでの仕事を手放して新しいことに挑んでいるさときーにょさんを尊敬していると伝えます。
さときーにょさんにとって、縫製パートナー探しはとても大変だったそうです。ファッションの仕事の経験がなく、小物は作れるようになってもオーダーのドレスまでは縫えないため、必死に探し回ったといいます。
さときーにょさんが最初に頼んだ人は、お客さんとの試着の当日になって「先週交通事故に遭って何もできていない」と連絡してきたそうです。夫からは「それは絶対嘘だよ、ブラジルあるあるだよ」と言われたといいます。
その後も別の人に頼んではうまくいかず、さときーにょさんは最終的に今のパートナーにたどり着きました。日本の仕事も少し続けながら、着物の仕事の比重を徐々に増やしているそうで、パートナーとの縁に感謝していると話しています。
ポルトガル語とドイツ語で自己紹介してみたら
あいみんさんのリクエストで、2人はそれぞれ現地の言葉で自己紹介をしてみました。さときーにょさんは、ブラジル人と仕事をするようになって危機感を覚え、ポルトガル語を勉強し始めたといいます。
さときーにょさんはポルトガル語で、ブラジルに住んで5年になること、日本の着物を日常で着られる服やドレスに作り変えるブランドを始めたこと、ブラジルは自分にとって特別な国であることを語りました。あいみんさんは「全然わからないけど、かっこいいのだけは伝わる」と反応しています。
続いてあいみんさんがドイツ語で、2022年からベルリンに住んでいること、4年ほどライフコーチとして働いてきたこと、今は占星術 ── 天体の位置や動きと人の性格や運勢を結びつけて読み解く考え方。西洋占星術では生まれた瞬間の星の配置であるホロスコープを用いますが大好きなことを話しました。
あいみんさんはドイツ語を大学時代から学んでいるものの、得意ではないといいます。半分ドイツ人のパートナーの母親がドイツの人で、その家族や母親の友人と話す機会があるため、最近ようやく観念してドイツ語を話すようになったそうです。
あいみんさんとパートナーは、2人ともあまりドイツで暮らしてこなかったため、ゴミの出し方などもよくわからず、パートナーの家族に頼りながら生活しているといいます。
ケバブと謝り方に見る「優しさの方向」の違い
パートナーとの生活について聞かれたあいみんさんは、2人の会話が日本語であることを明かします。パートナーが片言の日本語で話してくれたところから関係が始まり、今ではパートナーの日本語のほうがあいみんさんのドイツ語よりずっと上手だそうです。
優しさの方向性が全然違う時とかありません?なんか日本人同士だと、こういう風にするのが優しいってことだみたいなのが、国が違うともう全然違って。
あいみんさんが例に挙げたのは、冬の夜に友人と出かけたときの出来事です。ベルリン名物のケバブが食べたい一方で、寒い夜遅くまで歩きたくないので早く帰りたい気持ちもあり、優先順位は「今すぐ帰りたい」だったといいます。
ところがパートナーは、あいみんさんの「ケバブを食べたい」を叶えてあげようと、あちこち歩き回ってくれたそうです。あいみんさんは当時、なぜ帰してくれないのかと戸惑ったといいます。
さときーにょさんも、夫と10年以上一緒にいる今でも文化の違いを発見するといいます。最近は夫婦でNetflixの恋愛リアリティ番組『ラブ上等』にはまっていて、ヤンキー出身の出演者たちの価値観は、ブラジル人の夫にとって初めて触れるものだったそうです。
さときーにょさん夫婦は『ラブ上等』を見るうちに、謝り方の話になりました。番組では、まず素直に謝ることが誠実さや美徳として描かれていて、さときーにょさんもそう考えてきたといいます。
一方、さときーにょさんの夫は、喧嘩のときにまず「なぜそう思ったのか」の説明から入るそうです。さときーにょさんは、それを言い訳ばかりだと感じていました。
ところが夫によると、ブラジル人の感覚ではただ謝るだけだと「どうでもいいから話を終わらせたい」と受け取られてしまうそうです。説明すること自体が相手を大事に思う気持ちの表れという価値観だとわかり、2人で「なるほど」となったといいます。
まず素直に「ごめんなさい」と謝ることが誠実で美徳とされる
ただ謝るだけだと話を終わらせたいように見えるため、まず理由を説明することで相手を大事にしていると示す
あいみんさんも、パートナーに対して「全然謝らない」と思うことがあり、この謝り方の話に強く共感しています。ただ、相手も何か思っているはずで、気の強い自分のほうが押し通してしまうことが多いと振り返ります。
2人は、ちょっとしたことで文化の違いを感じて喧嘩になることもあるものの、それも含めて毎日が楽しく、ありがたいと話し合います。聞きたいことは尽きないまま、収録は締めくくられました。
まとめ
ブラジルとベルリンで暮らす2人の話からは、海外生活が特別な出来事だけでなく、休み方、受け入れてくれる人や街、仕事のつくり方、パートナーとの日々の小さな違いの積み重ねでできていることが見えてきます。違いを面白がれることが、2人の海外生活を支えているようです。
- さときーにょさんは家族でのプンタ・カナ旅行を通して、のんびり過ごすブラジル流の休み方の上手さを感じています
- あいみんさんは小学4年生で知ったドイツへの憧れを、韓国での滞在を経てベルリン移住で叶えました
- ダブリンでは差別を経験したさときーにょさんも、ブラジルとベルリンでは受け入れられている安心感を2人とも感じています
- さときーにょさんは日系コミュニティの大きいブラジルで、着物をリメイクするブランドを立ち上げました
- ケバブの一件や謝り方の違いのように、国際カップルの間では優しさや誠実さの示し方そのものが異なることがあります






