なぜ「仲介と子育ての両立」を話すのか
石井優香さんは今回、子育てをしながら不動産仲介の仕事を続けることについて、リアルな話をしたいと切り出します。きっかけは、Instagramを通じて同業の女性から連絡をもらうことが増えたことです。
寄せられるのは「仲介の仕事と家庭のバランスを、どう保っているのか」という相談や質問で、特に20代の女性からが多いといいます。
私自身はですね、今バランスを取れてますと胸を張って言えるわけじゃないんですけど。
それでも石井さんは、30代の女性で未就学児を育てながら仲介営業をしている人には、ほとんど会わないと話します。仲間はいるものの、みんな苦労し、考えながら続けている印象だそうです。
そこで今回は「バランスの取り方」という正解を示すのではなく、石井さんが今どんな環境で、何を考えながら仲介の仕事をしているのかを話す回になっています。
30代の子育て中の女性に、なぜ現場で会わないのか
石井さんが物件の案内で売り主側の仲介担当者と顔を合わせると、まず男性が非常に多いといいます。20代の女性もちょこちょこいる一方で、30代で子育て中と思われる女性にはほぼ会わないそうです。ただし、子育て中かどうかは石井さんの予想だと断っています。
その理由として石井さんが挙げるのが、土日に仕事が集中するという仲介業の構造です。お客様が休みの土日が一番の稼働日になり、案内も面談も土日に寄りがちです。
つまりね、子供と過ごす時間が一番増える日にとか、あと小学校とかね、保育園がお休みの日に仕事がね、メインで入ってくるっていう感じなんですよ。
石井さんによれば、この土日勤務の構造が、女性が仲介営業を離れていく流れにつながっています。
土日が稼働日
お客様が休みの土日に案内や面談が集中する
子育てとぶつかる
保育園や学校が休みで、子供と過ごしたい日に仕事が入る
働き方の転換
バックオフィス、管理系の仕事への異動や、別業界への転職を選ぶ人が多い
男性については、決まった話ではなく印象だと前置きしたうえで、土日勤務があると子育てにコミットしにくい人が多いのではないかと石井さんは見ています。結果として、男女を問わず子育てしながら仲介営業を続ける人はとても少ないという見立てです。
義理の兄が不動産営業を辞めた理由
石井さんが身近な例として挙げるのが、関西で不動産営業をしていた義理の兄の話です。賃貸の営業だったため、1月から3月の繁忙期には日をまたいで帰宅するような状況だったといいます。
その間、石井さんの姉はほぼワンオペで子育てをしていました。義理の兄自身もその状況を良いとは思えず、もっと子育てにコミットしたいと考え、2〜3年前に不動産営業を辞めて別業界に移ったそうです。
賃貸の不動産営業。帰宅が遅く、繁忙期は日をまたぐ。子育ては姉がほぼワンオペ
別業界に転職。土日が休みになり、娘たちと一緒に遊べている
その変化を間近で見てきた石井さんは、仲介と子育ての両立は個人の頑張りではどうしようもない部分があると感じています。
石井さん自身も、20代前半に会社員として不動産営業をしていた頃、同じチームに小さな子供を育てながら営業するメンバーはいなかったといいます。子供を産むとバックオフィスや別部署に移るのが普通だったそうです。
別に仕事は嫌いになったわけでもないし、続けたくないというわけでもないけど、続け方がね、難しいっていうところがね、結構きっとあるよなというふうに思ったりしています。
石井さんの土日は、どう回っているのか
では石井さん自身はどうしているのか。石井さんの場合、土日に案内や面談が入れば必ず本人が出ており、その日は夫が子供たちと過ごしています。
夫にも予定があるときや、マンションの総会のような家族の用事に夫が出る日は、別の手段を使います。石井さんの子供たちが通う保育園は平日のみで土曜保育がないため、そうした日の預け先を別に確保しています。
| 状況 | 子供を見る人・場所 | 補足 |
|---|---|---|
| 通常の土日 | 夫 | 石井さんが案内や面談に出る |
| 夫にも予定がある日 | ベビーシッター | 自宅に来てもらう |
| 夫にも予定がある日 | 土日保育を受け入れる保育園 | 普段の保育園とは別の園に預ける |
石井さんは、この仕組みが成り立っているのは自分が頑張っているからではないと強調します。
石井さんは、妻が土日に働くことに協力的ではない家庭や、協力したくてもできない環境の家庭も多いはずだと話します。そうした状況では、仲介営業を続けるのは本当に難しいというのが石井さんの見方です。
両立に悩む20代へ、石井さんが伝えたいこと
そのため、相談を受けても「頑張ればなんとかなるよ」とは言えないと石井さんは話します。石井さんの場合は、頑張りではなく環境に恵まれたから成り立っているからです。
両立できるか不安だという20代の質問に対し、石井さんが大事だと考えるのは、結婚前であればパートナーとどんな家族のビジョンを描くかという点です。
夫が妻の仕事ややりたいことを全力で応援し、サポートするスタンスなら、仲介営業を続けられる可能性は十分あります。また、夫が子育てにどれだけコミットするかも大きく関わってきます。
(子育てに)コミットするかって、なんかすごい変な言葉だなと思うんですけど、自分の子供なので、コミットするのは当たり前だろうというところなんですけど。
一方で、世間ではまだ男性がそこまでコミットしていない状況もあると石井さんは見ています。ただ、20代後半から30代前半の世代では、その点が変わってきているとも感じているそうです。
石井さんの結論は、両立の不安を個人で抱えるより、家族になる時点で方針を話しておく必要があるというものです。
子育て中の仲介者だからこそできること
子育てしながら仲介をする人が少ないからこそ、石井さんには今できていることがたくさんあるといいます。子育て世帯の家探しは、物件のスペックだけでは決まらないからです。
保育園をどうするか、朝の支度の動線や時間配分、帰宅後に暮らしをどう回すか、親が子育ての体力を残して仕事を終えられるか。子育て世帯の家探しには、そうした毎日のリアルが関わってきます。
石井さんは、独身だった会社員時代にもファミリー層の仲介を担当していました。ただ当時は、子育て世帯の暮らしを自分事としては分かっていなかったと振り返ります。
独身時代の石井さん。子育て世帯の大変さをイメージでしか語れず、深い話をするのが難しかった
子育て中の今。お客様の不安や悩みを想像しやすく、プレママにも暮らしの変化を伝えられる
石井さんは、女性だから、母親だからという括りで語りたいわけではないと断っています。男女関係なく「暮らしに寄り添える人」として仲介の仕事ができるとよい、というのが石井さんの考えです。
石井さんが仲介の仕事をする理由は、住まい探しから不安や不満をなくしたいという思いにあります。そのために大事なのが「誰と探すか」だといいます。
物件を選ぶ前に、まず自分たちがどういう暮らしをしたいのかっていうところと、それをね、一緒に整理してくれる人なのか、一緒に伴走してくれる人なのか。
石井さんは、そうした伴走者を選んでから物件選びに進むことが当たり前になるよう、業界を変えていきたいと話します。だからこそ、同業の女性から届く質問は放っておけないのだそうです。
バランスに正解はない。いまの働き方と現在地
石井さんは、仕事と家庭のバランスの取り方に正解はないと話します。夫に支えられながら、その日その日で調整して働いているのが実情です。
会社員としてがっつり働いていた頃と違い、今の石井さんは会社員でありながら、案内のスケジュールを自分で調整できます。午前しか案内がなければ午後は家族の時間にする、といった組み立てができていることも大きいそうです。
石井さんは、こうした柔軟な働き方ができないと家族時間とのバランスは取りづらいと考えています。だからこそ、子育て世帯でも仲介の仕事を続けられる形を、自ら少しずつ体現しながら業界に広げていきたいと語っています。
番組の最後には、この回が珍しく夜に、勉強会で1時間話した後に収録されたことにも触れています。10月1日の放送として、9月の振り返りと、年末までの3か月目標を立てたいという呼びかけで締めくくられました。
まとめ
石井優香さんは、子育てしながら仲介営業を続けられている理由を、自分の頑張りではなく夫の支えと調整できる働き方に見いだしています。両立に悩む人には、家族の方針を早めに話し合うことをすすめつつ、子育てを知る人が子育て世帯の家探しに寄り添う価値を伝えていました。
- 不動産仲介は土日が稼働日のため、子育てとぶつかりやすく、続ける人が少ない
- 石井さんが続けられているのは、夫の支えとシッター・土日保育などの環境があるから
- 両立の不安は個人の努力ではなく、家族になる時点での方針の話し合いが鍵になる
- 暮らしのリアルを自分事として知る人が伴走することが、家探しの安心につながる




