週末にClaude Codeで15個の「スキル」を自作した話
冒頭は、浜田さんが週末に取り組んでいたClaude Codeの話題から始まります。以前は「Claudeは使えるが、Claude Codeはまったく使えていない」という状態だったといいます。
転機になったのは、よく行く店で「VSCode ── Microsoftが提供する無料のコードエディタ。拡張機能で機能を追加でき、開発者に広く使われていますがいいですよ、エディターで全然違います」と勧められたことでした。VSCodeにClaude Codeを入れたところ、一気にわかりやすくなったと話します。
ほんとシンプルに、このチャネルに言ってることを一日分こういう感じでまとめてとか、なんならそれをNotionにこういうメモにしてとか、いうだけで全部やってくれるんで。
浜田さんは1日で15個ほどの「スキル」、つまりClaude Codeのアクションのようなものを作ったといいます。それらが毎朝5時と夕方5時に自動で動き出す状態になっていると話します。
具体的なタスクとしては、テクニカルサポートの未解決案件の洗い出しや、カスタマーサクセスの面談履歴から良いものと注意が必要なものを教える処理を挙げます。翌日の予定を見て会議室を自動予約するタスクも動かしているそうです。
顧客ミーティングのリスク検知の精度について、浜田さんは「気になるものは確かに出るし、それは気にすべきものだとわかる」と評価します。一方で注意点も口にします。
逆に言うと、ここで(Claudeが)危ないって判断してないけど、本当は危ないものってありそうな気はする。
浜田さんは、現場から2つ離れた立場の自分がClaudeで現場感を保つのはよいとしつつ、一線のマネージャーがClaudeのまとめだけで納得するのは少し危ないという感覚も語ります。あくまでアラートとして使い、全自動で完結させないという整理です。
VSCodeで使う利点として、タブを複数開けることも挙げます。1つのタスクの提案が出るまで30秒ほどかかるため、その待ち時間に別のタブでCS系と営業系のタスクを並行して進められるといいます。
そもそもナヴァル・ラヴィカントとは何者か
ここから本題の名著再読に入ります。テーマは、シリコンバレー最重要思想家と呼ばれるナヴァル・ラヴィカントです。清沢さんは、起業家界隈で彼の名前が頻繁に出ると話します。
清沢さんによると、先日サンサンのcontract-1の事業責任者である小原さんと話した際にもナヴァルの名前が出たそうで、押さえておくべき重要人物・思想だと位置づけます。浜田さん自身も、昨年のカンファレンスで話題に上がり、慌てて読んだ口だといいます。
今回扱うのは、ナヴァル本人が書いた伝記ではなく、Twitterなどでの彼の発言を引用しながら思想をまとめた、やや変わった構成の本です。黒い表紙に「シリコンバレー最重要思想家」と記され、各所で超良書と評されています。
浜田さんが人物像を紹介します。1974年インド生まれ、9歳でニューヨークに移住し、ダートマス ── アメリカ北東部にある名門私立大学。ハーバードなどと並ぶアイビーリーグの一校ですを卒業したエリートです。
その後はBCG ── ボストン・コンサルティング・グループ。世界的な経営コンサルティング会社ですでコンサルタントを務めた後、1999年のネットバブル期に若手起業家として活動しました。ただ、当時は必ずしも儲からなかったといいます。
大きな転機は2010年のエンジェルリスト ── スタートアップと投資家をつなぐアメリカのプラットフォーム。投資手続きも進められ、シリコンバレーで広く使われていますの共同創業です。スタートアップのデータベースであり、投資家向けのプラットフォームでもあるサービスだと説明されます。
その後はエンジェル投資家として、Twitter、Uber、Notion、StackOverflow、Perplexityなどに投資してきました。清沢さんはClubhouseへの投資も懐かしいと振り返ります。
エンジェルリストは日本でいうと何にあたるのか
清沢さんが、エンジェルリストは日本でいうと何にあたるのかと尋ねます。浜田さんは複数のサービスを引き合いに、その位置づけを説明します。
浜田さんは、いわゆるスタートアップデータベースや企業データベースに近い一方で、ログインして自分の投資を管理できる点が特徴だと話します。その意味ではスマートラウンドやMストックにも近いといいます。
名前の通り、VCだけでなくエンジェル投資家をかなり想定している点も特徴です。VC向けとエンジェル向けは少し違うため、その裾野の広さがサービスの土台になっていると説明します。
アメリカって結構いろんな人が、IPOでストックオプションとかで軽く儲けると、次にそれをエンジェル投資したりするんで、めちゃくちゃ裾野が広いんですよね。
浜田さんは、エンジェルリストにはエンジェル向けSNSのような要素もあると印象を語ります。清沢さんも、投資が盛んでステークホルダーが多いアメリカならではのサービスが伸びた背景だと受けます。
この本が起業家やVCに愛読される理由を清沢さんが問うと、浜田さんは実績のすごさに加え、海外ではPDFで無料公開されることも多く、いつでも読めるバイブルのような存在になっている点を挙げます。
さらに、富や幸福という本質的なテーマを扱っているため、常に見返す価値があるとも話します。莫大な経済的成功を収めながら、精神的な平穏やマインドフルネスを最優先している点が、多くの起業家やVCに刺さっていると清沢さんはまとめます。
富の方程式「特殊知識×アカウンタビリティ×レバレッジ」
ここから本の前半、富の構築の話に入ります。浜田さんは、人生の三大テーマを富・健康・幸福とした上で、本来は幸福が最も大事という順番だとしつつ、まず富から論じる構成だと紹介します。
富の作り方の核として、浜田さんは1つの方程式を挙げます。収入は「特殊知識×アカウンタビリティ×レバレッジ」で表されるという考え方です。
最初の特殊知識とは、人が持っていない知識のことです。頭の良さよりも、考えるのがまったく苦にならず楽しめるかが重要だと説明します。
浜田さんは例として、ミドリムシのことを一日中考えても苦にならない人の話を挙げます。多くの人が楽しくないことを楽しめること、それ自体が特殊知識だという整理です。
2つ目のアカウンタビリティは、リスクを取ることだと説明します。ミドリムシが好きでもブログを書いたり博物館で時間を使うだけの人は多いが、それで世界を変えようと起業するのは普通はやらない。そのリスクの先にリターンがつながっているといいます。
3つ目のレバレッジは、それをどうスケールさせるかという要素です。浜田さんは、レバレッジの手段として労働力・資本・コードとメディアを挙げます。
浜田さんは、これらが掛け算で表現されている点を強調します。ミドリムシで儲けるには売る人も培養装置の資本も、独自技術も必要で、どれかが欠けると富は生まれないという論理です。掛け算の結果として収入・富が生まれ、1つでも欠けると成立しません。
自分しか知らないことに自分の責任で、かつ他からリソースを持ってきてチャレンジするっていう、そこにしか富はないよねっていうことを言っているっていう感じですよね。
浜田さんにとっての「特殊知識」とは
清沢さんが、浜田さん自身の特殊知識は何かと尋ねます。浜田さんは、海外、とくにインサイドセールスや海外トレンドの動向を挙げます。
浜田さんは、MBA留学やアメリカでの2年間の勤務に加え、LinkedInで自分の友人がリアルに反応していることが大きいと話します。著名人の発言はポジショントークになりがちですが、友人の生の声はそうではないという理由です。
自分の友人がHubSpotで働いてこういうこと言って、なるほどなみたいなところも含めると、やっぱり自分は日本にいる他の人よりも海外のところをリアルに見れてると思う。
清沢さんも、浜田さんが常に最新のトレンドの情報を得ている印象があると受けます。浜田さんはこの情報収集の強さを、他の人にない差別化要素だと捉えています。
続いてレバレッジの話に戻り、清沢さんはナヴァルが自分の時間の切り売りではなくキャピタルへ向かえと説くのかと問います。浜田さんは、むしろコードやメディアに行けという主張だと訂正します。
浜田さんによると、コードは再生産コストがゼロで最もレバレッジが効きます。人力だけでは本当の意味でレバレッジはかからず、ソフトウェアに投資しないと効かないという考え方です。ただしこれはプリAI ── 生成AIが普及する前の時代を指す表現。AIによって前提が変わりつつあるという文脈で使われていますの時代の議論で、いまは少し変わってきているとも付け加えます。
メディアというレバレッジと、日本での余白
レバレッジの一種であるメディアについて、清沢さんが自身の体験を語ります。ポッドキャストや動画、ブログを通じて知識や思想を拡散するのも重要なレバーだという整理です。
清沢さんは、最近コツコツ書いているnote記事が意外と読まれていると話します。社内のあるテーマの記事が、後輩から「社内で結構シェアされていた」と伝えられたそうです。
しっかり書くと、自分が寝てる間に気づいたら色んなところで拡散されてるみたいなこともあるので。
一方で清沢さんは、日本ではポッドキャストやブログをやる人がまだ少ないと指摘します。アメリカは積極的だが、日本ではまだ草の根的だという見立てです。
アメリカだと、もうだって普通にイーロン・マスクとかビル・ゲイツとかポッドキャスト出てくるでしょ?
浜田さんは、日本では大物がメディアに出ることが少ないと話します。清沢さんも、アメリカにはサブスタックのようなニュースレターの文化が根強く残っていると補います。メディアがまだ空いているレバーであることが、両者の共通認識として示されます。
幸福とは「何も欠けていない状態」
後半は幸福と平穏の技術がテーマです。浜田さんは、富の作り方はいくらでも教えられるが、結局は幸福が一番大事だというのが本の主張だと紹介します。
ここで浜田さんが引くのが、欲望についての定義です。欲望とは、手に入れるまで不幸でいるという自分との契約であり、富の追求を続ける限りずっと不幸だという指摘です。
その裏返しとして、幸福とは何も欠けていない状態だとナヴァルは説きます。浜田さんは別荘の例を挙げ、海の見える別荘やシャンパンを幸福だと思っても、その先にはハワイの別荘、さらには宇宙へと欲望が無限に広がっていくと説明します。
だからこそ、欲しいものを最小化し、それがすべて揃っている状態こそが唯一の幸福だという論理です。浜田さんは、ナヴァルが明確に挙げる3つを紹介します。鍛えた体、穏やかな心、愛に満ちた家。これらは買えないといいます。
これら(鍛えた体・穏やかな心・愛に満ちた家)が幸福なんじゃないかみたいな。そこにたどり着くまでよく考え、よく瞑想しろみたいなことを言っている本ですね。
清沢さんも共感を示します。家で家族となんでもない話をして大笑いした瞬間に「これでええやん」と思うといい、健康で大きな悩みがない時間こそが豊かだと語ります。
手を広げた時に子供が胸の中に駆け込んでくるみたいな、それが世界で一番豊かな人であるみたいな。別にもう何兆円資産があっても関係ないみたいなね。
欲望への「速度」を落とすという品の良さ
最後に清沢さんが、幸福や平穏に通じる言葉を1つ紹介します。一橋の楠木先生の本にある、立川談志の言葉です。
品のいい人間は、欲望に対しての速度が遅い。
清沢さんはこの言葉を、欲にすぐ飛びつくのではなく、一度理性的に「本当に欲しいか」をゆっくり考えられることだと解説します。欲望自体は否定しないが、そこに飛びつくのは品がない、という言語化に感心したといいます。
欲が出そうな瞬間に、一度冷静にこれは本当に取るべき欲望かと考える。それが清沢さんの実践だといいます。浜田さんも、欲や怒りは生理反応であることが多いため、その時に深呼吸するのが大事だと応じます。
清沢さんは、お酒を飲まないことも心が鍛えられ、平穏につながると付け加えます。欲望との距離の取り方が、この回全体の幸福論を締めくくる形になりました。
浜田さんは最後に、この本はグロースリーダーにも学びが多いと総括します。自分だけが追えるナレッジは何か、労働力や資本だけでなくメディアもレバレッジになるという視点は、AI時代にも通じる示唆だと話します。
グロースリーダー、経営者、みんな一回読んでみていい本かなとは思ってます。
まとめ
名著再読として、ナヴァル・ラヴィカントの富の方程式と幸福論を整理した回でした。富は特殊知識・アカウンタビリティ・レバレッジの掛け算で生まれる一方、幸福は「何も欠けていない状態」にあるという、対照的でありながら地続きの2つのテーマが語られました。
- 収入は「特殊知識×アカウンタビリティ×レバレッジ」の掛け算で、1つでも欠けると成立しない
- 最もレバレッジが効くのは再生産コストがゼロのコードとメディア。メディアは日本ではまだ空いたレバー
- 欲望は「手に入れるまで不幸でいる契約」であり、富の追求を続ける限り不幸が続く
- 幸福とは欲しいものを最小化し、それが揃っている状態。鍛えた体・穏やかな心・愛に満ちた家は買えない
- 欲望への速度を落とし、飛びつく前に一度考えることが平穏につながる






