Perfumeという言葉は、なぜ「香り」を意味するのか?
聴くお香ラジオは、お香が好きすぎてお香ブランドを立ち上げた阪本琢磨さんが、お香やそれ以外のさまざまな話をする番組です。第2回のテーマは、お香と音楽の共通点です。
阪本さんはまず、自分が好きなアイドルグループのPerfumeを入り口にします。「Perfume」は香水や香りを意味するフランス語だとよく言われます。
私、あのPerfumeっていう、あのアイドルグループが好きなんですけど、あれPerfumeってどういう意味か皆さんご存知ですか?
阪本さんによると、Perfumeという言葉の語源を調べるとラテン語にたどり着きます。PerとFumeという2つの単語を組み合わせた言葉だといいます。
Perは「〜を通して」、Fumeは「煙」という意味です。つまりPerfumeは、平たく言えば「煙を通して」という言葉が香りの意味になったものだと阪本さんは説明します。
Per
ラテン語で「〜を通して」
Fume
ラテン語で「煙」
Perfume
「煙を通して」が香りを意味する言葉に
不思議ですね。面白いですよね。
グループ名の由来そのものについては、阪本さんは「Wikipediaなどで見てほしい」と触れるだけにとどめ、言葉の語源のほうに話を進めています。
香水より古い、お香と煙の歴史
今でこそフランスや香りと聞くと香水をイメージする人が多いかもしれません。しかし阪本さんは、香水の歴史は非常に浅いと話します。
阪本さんの説明では、中東では香水の歴史がもっと長いとも言われるものの、人々が香水を生活に取り入れ始めたのはここ数百年ほどのことです。
一方でお香の歴史は古く、阪本さんはキリスト教 ── イエス・キリストを救い主とする宗教。カトリックや正教会などでは典礼で香を焚く習慣がありますでもユダヤ教でもイスラム教でもお香を焚くと指摘します。
キリスト教でもユダヤ教でもイスラム教でもお香って焚くんですよね。
そこから阪本さんは、香りという目に見えないものを昔の人がどう言葉にしたのかを想像します。焚き火や古くからのお香を焚く習慣を通じて、香りを煙として目で見ていたのではないか、という推測です。
だからこそ、香りを表す言葉に「煙を通して」という表現を使ったのではないか、と阪本さんは考えています。ただし、これはあくまで阪本さん自身の見立てです。
煙を通してっていう言葉を使ったんちゃうかなっていう話がね、思うわけです。知らんけどね。
阪本さんは、この仮説について一度言語学者の人にも聞いてみたいと話しています。
香水と音楽、どちらも「ノート」と呼ぶ理由
香りと音楽の2つ目の共通点として、阪本さんは「ノート」という言葉を挙げます。香水の世界では、香りのことをノートと呼びます。
香水をつけた瞬間にまず香る爽やかな香りがトップノート、その次にじわじわと感じ出す香りがミドルノートです。つけた後も長時間漂い続ける香りはベースノートと呼ばれます。
一方で音楽でも、音のことをノートと言います。1つだけの音を出すことはシングルノートと呼び、香水でも1つだけの香料を使ったものを同じくシングルノートと呼ぶそうです。
さらに阪本さんは、ジャズでよく使う音階をブルーノート ── ジャズやブルースで使われる、長音階の一部を半音ほど下げた独特の音。同名のジャズレーベルやライブハウスも有名ですと呼ぶことにも触れます。ジャズのレーベルやライブハウスの名前にもなっている言葉です。
| 言葉 | 香水の世界 | 音楽の世界 |
|---|---|---|
| ノート | 香り | 音 |
| シングルノート | 1つだけの香料を使ったもの | 1つだけの音を出すこと |
| その他の例 | トップ・ミドル・ベースノート | ブルーノート(ジャズの音階) |
結構ね、共通点あるかなと思うんですよね。
共通点はそれだけではないとして、阪本さんは日本の香道の話に移ります。華道が花を通じて自分や世の中と向き合う道であり、茶道がお茶を通じて心を整える芸事であるように、香りにも香道という道があります。
阪本さんは香道を、簡単に言えば香りを鑑賞する日本の伝統芸能だと紹介します。香道については、別の回で改めて時間を取って話したいとも述べています。
香道では、香りを「嗅ぐ」ではなく「聞く」
阪本さんが特に面白いと語るのが、香道での言葉づかいです。香道の世界では、香りを「嗅ぐ」という言い方をしません。
阪本さんによると、「嗅ぐ」という言葉にはどちらかといえば反射的で、受動的な印象があります。これに対して香道では、心が静まった状態で、香りをこちらから捉えに行くのだといいます。
反射的・受動的に香りを受け取る印象
心を静め、香りをこちらから捉えに行く
阪本さんは、香道を2回体験したことがあります。そのときの印象は、意識を向けて集中し、内側で受け取るという点で、音楽を聴く体験にとても近いものだったそうです。
あ、なるほど、これは確かに音楽に意識を向けて集中して内側で受け取るっていうような経験にとっても近しいなというふうに思います。
阪本さんによると、大阪や東京、京都では香道の体験会が開かれています。機会があればぜひ香道をやってみてほしいと、リスナーに勧めています。
香道まで行かなくても、香りを「聞く」体験は日常でもできると阪本さんは話します。普段使っている香水、料理をするときの香り、道端に咲く花や果物の香りでもかまいません。
香りを受動的に嗅ぐのではなくて、一度ですね、自分の中で捉えて、心の中で噛み砕いて聞くっていう体験をしていただくとね、とっても、まあおもろいんちゃうかなっていうふうに思います。
まとめ
阪本琢磨さんは、Perfumeの語源、香水と音楽の「ノート」、香道の「聞く」という3つの切り口から、香りと音楽の共通点を紹介しました。どれも、香りを目に見えるものや耳で受け取るものに重ねてきた人間の感覚がうかがえる話です。
- Perfumeの語源はラテン語のPerとFumeで、「煙を通して」という意味になると阪本さんは説明しています
- 香水でも音楽でも「ノート」や「シングルノート」という言葉が使われています
- 香道では香りを鑑賞することを「嗅ぐ」ではなく「聞く」と表現します
- 阪本さんは、日常の香りも意識を向けて「聞く」ように味わうことを勧めています


