三人はもともと声優の養成所の同期です
四宮さんと樋口さん、そして私は、もともと同じ声優の養成所に通っていた同期です。
勝田声優学院というところで、私と四宮さんは同い年。樋口さんはひとつ隣のクラスでした。
四宮さんはこの番組にも過去に何度か来てくれていて、100.5回と200.5回という記念回にゲストで出てもらったこともあります。
そんな三人が、今は三井不動産さんのポッドキャストで一緒に仕事をしています。私が企画とプロデューサーをやって、二人にメインパーソナリティをお願いしているんです。
5月に収録が始まって、もう半年で70何回。週3回、月水金でお届けしているので、あっという間なんですよね。
エネルギッシュという言葉が服を着て歩いている
せっかくなので、お互いの印象を話してもらいました。
樋口さんには「今も昔も変わらない。声でかい、圧強い」と言われてしまいました。26年経つのにエネルギー放出量が変わってないそうです。
四宮さんも「昔からやりたいことがはっきりしてる」と言ってくれて、樋口さんが「エネルギッシュって言葉が服を着て歩いている」と。ちょっとパワーワードが過ぎますよね。
二人には共通して「旗を持ってみんなを導いてくれてた」「リーダーっぽいところがあった」と言ってもらえました。
私からすると、四宮さんは私と違うタイプのまとめ役なんです。
私はまとめようとしてまとめるタイプなんですけど、四宮さんは「そこにいることでまとまる」んですよね。だからみんなが四宮さんを頼る。
樋口さんについては、私も四宮さんも「芯が強い」「悪く言うと頑固」という印象で一致していました。テコでも譲らないところは、20何年前から変わらないなと。
何種類もの人生を生きられる、という言葉
番組には、声優を続けてこられてよかったことは何か、というおはがきをいただきました。
四宮さんは「続けてこられてよかったかどうかはわからないけど、続けてこられたこと自体はよかった」と話していました。
「もともとなりたかったこと、やりたかったことをいまだにやり続けられているのは、とてもありがたい」と。なりたいものにそのままなれるとは限らないですからね。
樋口さんの答えも印象に残りました。声優は人間役だけじゃなく、動物も文房具も機械の声も当てる。
「普通だったら自分一人の人生だったのが、何種類もの人生を生きられて、なんて楽しいこの世みたいなことが思える」と言うんです。
次の現場で今日はどんな人生を送るのかな、と思えて、しかもお金がもらえる。だから続けてきてよかったし、この先も続けたい、と。
その言葉を聞いて、私は根本的に違うんだなと思いました。私は続けることそのものが目的みたいになって、お芝居を楽しめないまま辞めていったので。
覚悟という自覚すらなかった、という差
さらに、どんな決意で声優を目指したのか、というおはがきもいただきました。
樋口さんはロボットアニメの主人公を見て「この子になりたい」と思ったのがきっかけだそうです。小学5、6年生の頃。
四宮さんも同じ小学校高学年で、でも「感動させられたなと思って、ちょっとだけ悔しかった」「そっち側、作る側に行きたかった」と。同じ年頃でこの違い、面白いですよね。
気になったのは、そこから養成所に入るまでの10年間、どうやって思いを持ち続けたのかということでした。
樋口さんの答えは「頑固。もうなるって決めたら、なるからみたいな」。何の疑いもなかったそうです。
四宮さんは大学を卒業するときに「就職したら一生会社員、養成所に行くなら一生こっち、どっちかにしよう」と決めたと話していました。
そして、私はどうだったかというと。私はその道の傍らに、いつも別の何かを置いていたんです。
今の仕事につながることを、当時からバイトのような形でやっていて。逃げ道にしていたつもりはないのに、結果的にはそうなった。
だから、A案の横にB案を、セーフティネットを無意識に置きながら、Aに全力を出していた。二人ほどの覚悟がなかったんですよね。
樋口さんに「覚悟っていう自覚もないんだよな」と言われて、まさにそこなんだ、と思いました。
ないものねだりと、心残りと
高田馬場を歩いていたとき、同期の一人が言った言葉を、私は今もはっきり覚えています。
「僕これしか生きる道ないから」。虚勢でもなく、心からの吐露でした。それを聞いて「だから俺はダメだったんだ」と思ったんです。
ただ、これはいい悪いの話ではないんですよね。そう思っていてもダメになる人もいるし、私のように別の道でうまくいく人もいる。
面白かったのは、樋口さんが「あんな風に全力で努力できない私やばいって、勝手に自己嫌悪してた時期があった」と言っていたことです。
四宮さんも「20年以上前、ナムさん見てて、こんな全力な人そうそうおらんけどな」と。お互いに、ないものねだりだったのかもしれません。
樋口さんは「一本の道だと視界も狭くなる。リスクヘッジができるのは、いろんな役ができるってことだと思う」とも言ってくれました。
四宮さんも「声優になりたい人は声優のことしかしちゃダメか。そんなことはないと思う」と。若い人と話す機会が増えたからこその言葉なんでしょうね。
戻りたいとは1ミリも思っていません。ただ、青春の時間を賭けてやっていたことに、今思い返すほど真摯に向き合えていたのかな、というのは、正直まだ心残りなんです。
まとめ
辞めた私と、続けている二人。どちらが正しいという話ではないと、今ははっきり思っています。ただ、二人の言葉を聞いて、自分が何を引きずっているのかが少し見えた気がしました。25年経って、こうして一緒に仕事ができているのは、私にとっては本当にいいことなんです。
- 四宮さん、樋口さん、私はもともと声優の養成所の同期でした
- 続けることの意味を、二人はそれぞれの言葉で持っていて、私はそこが違ったと気づきました
- 一本の道の強さと、傍らに別の道を置くことの強さは、どちらもあり、ないものねだりでもあります
- 戻りたいわけではないけれど、当時の過ごし方への心残りはまだ残っています






