牛丼が「4割安く」なった裏側で起きていること
学生の頃、もう25年くらい前になりますが、某牛丼屋さんの並盛りって400円か500円くらいしてたんですよね。
それがいつの間にか、豚丼が出てきた頃には230円とかになっていました。
最初は「安くなった、安くなった」と思っていたんですけど、ある時ふと気づいたんです。
「これ、元々400円してたものだよね」って。仮に400円だったとしても、4割くらい安くなってる計算です。
皆さんの仕事で、工数を4割削って同じものを作れますか。なかなか難しいですよね。
牛丼は大量生産だから一概には比べられませんが、それでも4割安くするなら、仕入れ値もどこかで下げてもらっているはずなんです。
値下げが回り回って、みんなの首を絞める
仕入れの値引き交渉が入って、さらにその手前の業者さんにもお願いが行って、行き着く先は大体第一次産業になるわけですよね。
つまり、第一次産業の方々の収入が減ります。
収入が減れば、その人たちが日用品を買うお金も減る。すると次はスーパーや家電メーカーが売れなくなる。
売れなくなれば、人件費のカットやレイオフが起きて、また別の誰かの収入が下がる。
牛丼が安くなった先で、ぐるっと回ってみんながお金を使えなくなるんです。「風が吹けば桶屋が儲かる」の、逆みたいな話ですね。
これがこの20年、ずっと続いてきたわけです。
値下げの間は、お金を持ってる人も、そんなに収入がない人も、同じものが安く買えるから誰も困らないんですよ。
でも、行き着くところまで行ったら、絶対にどこかで値上げをしなきゃいけないタイミングが来ます。
その時に困るのが、手元にお金がない人なんですよね。値上げされたら買えなくなってしまう。
だから本当は値上げしたいのに、買ってくれる人が減るのが怖くてできない。みんなチキンレースになってしまっているのが、今の日本なんじゃないかと思います。
クリエイターが価格で勝負を始めると、業界ごと沈む
これ、僕らクリエイターの価格の話とまったく同じなんですよね。フリーランスだけじゃなくて、企業の値決めにも影響しています。
当然、お客さんは高いより安い方が納得してくれるし、金額交渉もしなくて済みます。
でもその結果、自分たちの収入が減って、利益が減って、次の投資ができなくなる。僕らの業界で言えば、新しいパソコンすら買えなくなるわけです。
価格で勝負を始めてしまうと、その業界自体がどんどん儲からなくなっていくんですよ。だって、下げたところに仕事が行くんだから、みんな下げるしかなくなる。
今回ちょっと値下げして「仕事取れた、ラッキー」と思っても、次は競合がさらに下げて取り返しにくる。
すると自分はもっと下げなきゃいけなくなる。このスパイラルに一度入ると、もう誰も歯止めが効かないんです。
1年後2年後に「この金額でもみんな高いって言うようになった」となった時、そのごくごく小さな責任は、値下げで仕事を取り始めた自分にもあるんですよね。
だからこそ、適正な収益はちゃんと考えて、お客様に納得して払っていただけるものを作っていくしかないと思っています。
ぼったくるという話じゃないですよ。適正収益をどう最大化するかを考えないと、業界自体がシュリンクしていってしまうんです。
「高いけど、あなたに払うよ」と言ってもらう努力
巻き込まれないためには、自分が思う金額をちゃんとお伝えするしかありません。
もちろん、それだけで仕事が完璧に取れるわけじゃないです。取りづらいと思います。
それでも、「他と比べたら高いけど、それだけのことをやってくれると納得したから、あなたにこの金額を払うよ」。
そう言ってもらう努力を続けないと、業界自体がダメになっていくと思うんです。
経済って、乱暴に言えば日本の中でぐるぐる円が回っているだけですからね。
だから自分のやっていることが、5年10年という単位で見た時に、ちゃんと自分の生き残れる道になっているか。そこはぜひ考えてほしいなと思います。
まとめ
安く買えるのはうれしいし、安く出せば仕事も取りやすい。それは事実です。でも、その先がぐるっと回って自分に返ってくることを思うと、僕は今のところ「安さで勝負しない」を選びたいと考えています。答えというより、自分への戒めみたいなものですけどね。
- 値下げは回り回って、第一次産業から消費者まで全員の収入を削っていく
- 価格で勝負を始めると、下げ合いのスパイラルに入って業界ごと儲からなくなる
- 適正な収益を考え、お客様に納得して払ってもらう努力を続けるしかない
- 自分の値付けが5年10年後に生き残れる道になっているかを考えたい






