わからないことは、その瞬間に聞いてほしい
ディレクターの中には、デザインのことがよくわからなくて「今さら聞いていいのかな」と悩んでいる人が多いんじゃないかと思うんです。
聞いたら「そんなこともわからないのにディレクターやってたの?」と言われそうで、聞くに聞けない。そういう気持ちですよね。
これについてこばやすさんは、「分からないことはむしろ聞いてほしい」とはっきり話されていました。
後々になって溜まったものを全部聞かれるより、その瞬間に聞いてほしい、と。分からないことが雪だるま式にふくらんで、デザインがめちゃくちゃになるより、早い段階で聞いてもらえれば全然大丈夫だと。
なぜディレクターは自信を持てないのか。私はここに、ディレクター特有の事情があると思っています。
デザイナーさんはアウトプットが目に見える形で出せますよね。でもディレクターって、サイトそのものにはアウトプットが残らないんです。
ガントチャートがサイトに載ることはないですし、メールを何通やりとりしたかをお客さんに見せることもない。だからこそ、自分のスキルを自信を持って言えるディレクターは意外と少ないんじゃないかと思うんです。
同行のスケジュール調整は、ディレクターの仕事
「デザインのヒアリングは自分だけだと不安なので同行してもらえませんか」と素直に頼むのはアリなのか。私はこれ、聞いていいものなんだと思っています。
ただし、こばやすさんが前提として挙げていたのが「時間を調整してくれるなら」という一点でした。
デザイナーさんは予定がギチギチで、いろんなディレクターから仕事をもらっている。そこに突然打ち合わせをねじ込まれると「わー」となってしまう、と話されていました。
だから「Aの仕事を後ろにずらすよう交渉するので、空けたところに打ち合わせを入れる」というところまでディレクターがやってくれれば、「もう全然行きます」と。
ところが、そのスケジュール調整すらデザイナー側にやらせてしまうことが「結構あるんですよね」とこばやすさんはおっしゃっていて、私は正直、耳が痛かったです。
私はディレクターの仕事を、プロジェクトを進めて終わらせることに対して、どんな手段を使ってもやりきることだと思っています。
だから同行してほしいのに「スケジュール調整しといて」と言われたら、そりゃ「私の仕事?」って思いますよね。ここはディレクターが担う部分なんです。
「青にして」の、その先を聞けているか
クライアントから「この文字を青にして」と言われて、そのまま「簡単でしょ、よろしく」とデザイナーさんに丸投げする。こういうディレクターが一定数いるんじゃないか、という話になりました。
こばやすさんは、クライアントが「赤にして」と言ってきたら、なんで赤なのかという意図を聞きたいと話されていました。
全体の雰囲気に合わせたいのか、それとも重要だから目立たせたいのか。「黒文字を赤にして」だけ伝えられても、それがわからないんですよね。
そして印象的だったのが、こばやすさんのこの言葉です。「デザインはただ外見をよくするっていうだけじゃなくって、ビジュアルをもってクライアントさんが抱えてる問題を解決するっていう道具なので」。
目立たせたいという意図さえわかれば、デザイナー側は赤よりもっと目立つ表現を提案できる。つまり、言葉の裏にある意味こそが、デザインの判断材料なんです。
本来これは、ディレクターがクライアントから聞き出さなきゃいけない部分ですよね。
「なんで青なんですか」「今のどこがダメだったんですか」をちゃんと聞いた上で、デザイナーさんと「その青ってどんな青がいい?」とディスカッションできる状態を作る。
そこを聞き出せないまま右から左に流してしまう、いわゆる伝書鳩になってしまうと、どう考えてもうまくいかないんです。
お客さんに見せる前に、一緒にデザインを見る
自分のデザインの意図をディレクターにどう伝えるか。こばやすさんは、ドキュメントにするより「一緒にデザインを見てもらう」と話されていました。
Webサイトなので、スクロールしながら、実際に操作してもらう。ボタンにオンマウスで色が変わるアクションが入っていれば「これはボタンだって分かりやすいよね」と、使いながら説明していくわけです。
ドキュメントにすると、その辺がかえって伝わりにくい。だからお客さん先に行く前に、一回一緒に見る。いわゆるデザインレビューですね。
これ、ディレクターにとってもすごく大事だと思ったんです。デザインを言語化する練習になるし、お客さんの前で同じ操作をするときの予習にもなる。
こばやすさんは、この時間はデザイナー側にもメリットがあると話されていました。ディレクターに「これなんで?」と聞かれて説明できないなら、なんとなく入れちゃった無駄な要素かもしれない、と。つまり自分のデザインの見直しにもなる。「双方にとっていいもの」だと。
ということは、ディレクターがWBSやガントチャートを引くときに、このデザインレビューの時間をちゃんと工数として設けておくべきなんですよね。
デザインを作る作業のあとに、10分でも30分でもフィードバックをもらう時間を取る。そのあとにお客さんへ提案に行く。この流れをタスクとして理解しておくだけで、後々の齟齬やズレが随分減る気がしました。
正直これは、うちのデザイナーにもちゃんと聞いてみようかなと思ったくらいです。
まとめ
今回こばやすさんと話してみて、私自身「意図を聞く・伝える」という当たり前のところを、ディレクターとしてちゃんとやれているだろうかと考えさせられました。いまの時点での私の答えは、まず自分の現場から見直してみよう、というところです。
- わからないことは溜め込まず、その瞬間に聞いてもらった方がデザイナーは助かる
- 同行のスケジュール調整はディレクターの仕事で、デザイナーに押し付けない
- 「赤にして」の裏にある意図こそが、最適なデザインの判断材料になる
- お客さんに見せる前にデザインを一緒に見る時間を、工数として設けておく






