デザイナーから見た、ディレクターにやってほしいこと
こばやすさんはIT系の事業会社でWebデザイナーをされていて、以前はディレクションも兼務されていたそうです。
だから、デザイナーの気持ちもディレクターの気持ちも両方わかる方なんですよね。
そのこばやすさんが挙げてくれたのが、デザイナーが集中できる時間を奪う原因になっている打ち合わせや問い合わせの対応は、ディレクターがマストでやってほしい領域だ、という話でした。
インハウスでデザイナーの数が少ないと、昼間は打ち合わせや問い合わせで潰れて、定時を過ぎてやっと集中して作業できる、なんてことになるそうです。
その上で、コーダーさんや営業さんへの情報の振り分け、そしてスケジュール通り進んでいるかの監督。こばやすさんは、このあたりがディレクターの役目だと考えていると話されていました。
「ディレクターが伝書鳩みたいになっちゃって、次にバトンタッチされたものをデザイナーがやらなきゃいけない事態になる」。この言葉は、育成をやってきた身としても本当に耳が痛かったです。
同行してもらうべきか、削るべきか、いつも迷う
一方で、ディレクターとして正直に迷うところもあるんですよ。
私はキャリアが長くて比較的フルスタックにやってきたので、デザイナーさんに作業へ集中してほしいという気持ちはもう本当に強いんです。
ただ、デザイナーさんによっては、クライアントの性格みたいな、一見デザインに使うのかなという情報こそ大事だ、という方もいるんですよね。
じゃあ私がどこまで情報を渡せばいいのか。間に入るがゆえに情報をスポイルしてしまって、変なところを膨らませたら怖い。
それならいっそ同行してもらおうか、と考えることもあります。でも移動で片道30分、40分使うなら、その分デザインしてもらえたのにな、とも思ってしまう。
この「どこまで削るか、どこまでディレクターが背負うか」の塩梅に、いつも迷うんです。
こばやすさんは、最初の打ち合わせだけ同席して経緯を固めてしまえば、進行中はデザイナーが出なくても済む場面が多い、と話されていました。
そして要件が重なってきて「そろそろデザイナーが出た方がいいな」と思ったら、自分から出ますと言って出ることもある、と。
結局はコミュニケーションなんですよね。でも会社によってディレクターの立ち位置が違うと、これが悪い方に硬直することもあるんです。
「内容は全部ディレクターが聞いてきてくれるもの」という前提が固まりすぎると、追加の要望もそのまま流れてきて、文字だけの空中戦になってしまう。だから私も、怖くて呼べないまま迷うことがあるわけです。
写真も文章も、中身を見ずに右から左はダメ
こばやすさんの投稿にあった「写真選び」の話も聞いてみました。
クライアントから渡された写真をそのままデザイナーに丸投げする、という例ですね。
これ、私にも思い当たるところがあって。デザインの審美眼に自信がないと、「プロなので選んでください」というつもりで、丸投げに近い形で渡してしまう人もいるんじゃないかと思うんです。
でもこばやすさんの困りごとは、そこじゃなかったんですよね。
アングルや構図が違うものはいくらでも入れてくれていい。でも、解像度が足りずガビガビの画像や、ちょっとずつしか違わない写真が10枚も20枚もゴソッと送られてくるのは困る、と。
さらに「明らかに中身を見てないよね」というのが、ディレクター向けの資料までそのまま一緒に送られてくるケースだそうです。
写真だけじゃなく、お客さんが箇条書きで書いたメモを整えずに「これをホームページに入れて」と送られてくるのも困る、とも話されていました。
これはもう、デザイナーさんがやることじゃないですよね。私自身は文章にこだわりがある方なので、箇条書きをもらったら及第点までは頑張ってライティングしてから渡すようにしています。
面白かったのは、こばやすさんが「お忙しいんだなっていうのはデータを見たらわかる時はある」と、ディレクターに気を使ってくれたことです。
でも、ディレクターが忙しい分だけデザイナーが暇、なんてことは絶対にないんですよ。
「ディレクターだけが大変」とは言えない
この手の話をXで書くと、「ディレクターは覚えることがたくさんあって、そこまでやらなきゃいけないのか」と言う方がいます。
でも、それはデザイナーもフロントもサーバーサイドも同じで、その領域で技術は進化するしトレンドも変わる。覚えることが山ほどあるのはディレクターだけじゃないんですよね。
こばやすさんも、デザインを学ぶだけじゃなく、お客さんの心の読みを経験から学んだり、売上が伸びる仕組みをデザインに反映するマーケティングも必要だ、と話されていました。「ずっと学びですよね」と。
だから「ディレクターだけがしんどい」と言った瞬間に、自分の成長も止まっちゃう。私はそう思っています。
もうひとつ大事だと感じたのが、ノンバーバルな部分です。
こばやすさんは、お客様と対面した方が「言葉にならない情報がすごく入ってくる」ので気にしている点に気づける、と話されていました。
マークアップやシステム開発は「このように動く」と定義できますが、デザインは情感の要素が大きい。
ここを汲み取って言語化するのが、デザイン経験のないディレクターには難しくて、下手すると劣等感を持っている人もいるんじゃないかと思うんです。
だから頼りたいのに頼り方がわからず、つい「お願いします」だけになってしまう。
上下ではなく、間合いの問題
こばやすさんが言っていたことで、なるほどと思ったのがこれです。
あらかじめ「この部分はお願いします」と言ってもらえたら全然いい。でも何も言わずに「これやっといて」「これよろしく」とどんどん投げてこられると、一方的にボールを投げつけられてる感じになる、と。
これは本当にその通りだなと思いました。
ディレクターはクライアントの矢面に立つので、仕事を終わらせる責任という意味では、嫌でも指揮命令の上位に立たなきゃいけない場面があります。
でもそれは、お客さんと何をコミットしているかという話であって、デザイナーがディレクターより下だなんてことは絶対にないんです。
責任を取ることは偉いことじゃない。「俺が偉いんだ、ほら」みたいな話ではないんですよね。
結局、リスペクトがどこにあるか、そしてコミュニケーションが取れているか。ミスマッチはそこで起きているんじゃないかと、改めて感じました。
まとめ
「伝書鳩にならない」というこばやすさんの言葉は、私にとって本当に刺さった言葉でした。自分がそうならないでいたいなと、改めて思っています。ディレクターもデザイナーも、一歩ずつ歩み寄って話してみたら、案外うまくいくのかもしれません。
- デザイナーが集中する時間を奪う打ち合わせや問い合わせの対応は、ディレクターがマストで担う領域
- どこまで削り、どこまで背負うかの塩梅は、結局デザイナーとのコミュニケーションで決まる
- 写真も文章も、中身を見ずに右から左へ流すのは伝書鳩でしかない
- 責任を取ることと偉いことは別。上下ではなくリスペクトと間合いの問題






