「わからない」と言い切れる強さ
番組のリスナーの方から、生成AIによって物を売る仕事は人に代替されていくのか、という質問をいただきました。
これに対して角掛さんは、「わかりません」とはっきり言うんですよね。
「そんなそういう時代が来てからでいいんじゃないの?」と。
角掛さんは「言うほど新しい技術とかに興味がない」と話していて、最新の技術でお客さんに博打を打たせるよりかは、枯れた技術でベストを尽くしたいという言い方をしていました。
でも面白いのが、じゃあ全く触っていないのかというと、そうじゃないんです。
「お客さんのプロジェクトにおいて最新の技術を使うことはないけれど、自分の業務効率のために最新の技術を使うことはある」と。
他社のケーススタディを見てから導入を考える。自分に自信がないものはお客さんに勧めない。
「自分に自信がないものをお客さんに勧めるほど俺はハートが強くない」という言葉が、すごく腑に落ちました。
当たらなくても、そんなにリスクはない
ミワさんという方から、ウェブプロデューサーという仕事の醍醐味はどこにあるのか、という質問もいただきました。
角掛さんの答えは明快で、「お客さんのビジネスに直接触れられる」こと。
今その事業が抱えている課題を共有してもらえて、解決策を一緒に考えて、実践まで持っていける。「もうそんだけで十分面白いね。やばいぐらい」と言っていました。
私はここで、素朴に怖くないのかと聞いてみたんです。解決策が当たらなかったら、と。
そうしたら「俺はほら、怖くないからいいのよ」と返ってきました。
もちろん施策がうまくいかないことはある、と角掛さんも認めています。
ただ、当たるか当たらないかわからないのはお客さんも分かっている。その上で「一緒にここにベットしますか?」と提案しているだけの話だ、と。
誠実に仕事をしていれば、外れたからといって発注した金を全額返せなんて言う人は、そうそういない。
角掛さんの「そんなこと言う人ってさ、占い師に占われたことで、当たらなかったら訴えたりすんのかね」という一言で、ほとんどノーリスクなのかと妙に納得してしまいました。
ディレクションが「しんどい」と言える人
同じミワさんからは、私のやっているウェブディレクターという仕事をどう見ているか、という質問もありました。
角掛さんは「尊敬してるね」と言ってくれたんですが、その理由が私には面白かったんです。
角掛さんもワイヤーを引いたり進行管理を作ったりはするけれど、「ちょっとしんどいんだよね、いつもね」と。
企画のときは準備運動なしに突っ込めるのに、ディレクション業務になると「よし、やるか」とスイッチを入れないとできないそうなんです。
誰がいつ何をやって、あの人はこう対応してくれるかなと想像しながらガントチャートを引く。そういう細かくて面倒なことが山積みの作業を、角掛さんは「しんどい」と言い切ります。
私はそこに苦痛がないんですよね。だからこそ、逆に角掛さんの仕事は絶対にできないと思っています。
デザインができる人、プログラムで動くものを作れる人を私が尊敬するのと同じで、自分にできないものは、やっぱり尊敬なんです。
夏休みの宿題を外注する発想
昔、大阪で角掛さんと一緒にセミナーに出たことがあります。
「ウェブプロデューサーとウェブディレクターの仕事を知る」という趣旨だったんですが、煽り文句が「つのかけさんとナムラさん」だけで、真面目な方からXでちょっと怒られたという、そんな回でした。
そのとき、示し合わせてもいないのに、二人とも「ウェブプロデューサーが夏休みの宿題をやるとしたら」というテーマを用意していたんです。
私の答えは、コツコツとスケジュールを引いて、自分でちゃんとやる、という理想的なものでした。
ところが角掛さんの答えは、「外注先を探す」。お金を払ってやってくれる相手を探す、と言い出したんです。
私はあれを見た瞬間に、絶対にウェブプロデューサーにはなれないと思いました。こんなアイデアは出てこない、と。
角掛さんは「得意な人がやるのがいいじゃない」とけろっとしていて、根っからプロデューサーなんだなと、あらためて思い知らされた出来事でした。
好きなことをやっているから、次につながる
角掛さんは今、クーディーという会社で日本法人の立ち上げに関わっています。
ウェブの設計はもう担当者に任せていて、展示会の企画やコスト計算、インフルエンサー施策、さらには物流まで見ているそうなんです。
「会社の売り上げが上がるためだったら何でもやる」と言っていて、もうウェブプロデューサーの一段上、ビジネスをプロデュースしている感覚だ、と。
この仕事も、昔のクライアントからの声かけがきっかけだったそうです。エステサロンの仕事をした相手が、テントをやることになって連絡をくれた、と。
もちろん、簡単に仕事がもらえるという話ではありません。前の仕事でちゃんと成果を出したから、次につながっているだけなんですよね。
角掛さんは友達だろうとお客さんだろうとSNSでつながる人で、「僕何も隠さないので」と言います。
日々キャンプを楽しんでいる様子が相手にも見えていて、「この人キャンプいつもやってるし、いいんじゃない?」と声がかかる。
見られているからキラキラしよう、という下心はまったくないそうで、「もうこの年だからね、俺は俺なんでよろしくね」と。
好きこそものの上手なれという言葉を、角掛さんを見ているといつも思います。楽しそうにやっているから、次が来るんですよね。
まとめ
角掛さんの話を聞いていると、やっぱり私は絶対にウェブプロデューサーになれないなという気がします。もう脳の仕組みが違うんじゃないかと思うくらいです。でもそれは卑下する話でもなくて、私は私の性分に合ったウェブディレクターとして頑張ればいいんだ、と今は思っています。
- 枯れた技術でベストを尽くし、自信のないものはお客さんに勧めない、という角掛さんの姿勢
- 当たらなくてもお客さんと一緒にベットしているだけ、という提案の考え方
- 自分にできない仕事を尊敬する気持ちが、向き不向きを教えてくれる
- 好きなことを隠さず楽しんでいるから、次の仕事につながっていく






