正直に言うと、僕も0→1は苦手です
まず正直な話をすると、僕自身、0→1を作るのは本質的には苦手なんです。
どちらかというと、すでに動いているものを大きくしていく方が得意というか、好きなんですよね。1を10にしたり、10を100にしたり、というやつです。
だから「企画が苦しくて苦しくて辛い」という気持ちは、すごくよくわかります。
ただ、ある時に「こうやっていればいいんだな」と自分の中で腑に落ちてから、そんなに苦手意識がなくなってきました。ポイントは2つあります。
企画力の正体は「なんでそうなってんの?」というツッコミ
1つ目は、企画力って考え方の回路、思考の癖だと思っているということです。
僕らの仕事でいうと、企画って実は「改善案」だったりすることが多いんですよね。既存サイトのリニューアルをどうするか、みたいな話です。
そこでおすすめしているのが、世の中のいろんなものを見た時に「なんでそうなってんの?」と、関西人的に言うとツッコミを入れる、ということなんです。
人間が作っているものには、きっと何かしら意味があります。不便だから良くしたかったのか、とりあえず直さなきゃいけなくて場当たり的にやったのか。その裏の背景があるはずなんですよね。
たとえばご飯屋さんのメニューが、なんでこの紙の素材なんだろう、なんで表面にビニールを貼ってるんだろう、とか。ペットボトルの形だってみんな違いますよね。四角のものもあれば、角が削れて八角形になってるものもある。
これって、なんでこうなってるんだろう。本当の正解じゃなくてもいいので、「きっとこうじゃなかろうか」と自分なりに考えるようにしてほしいんです。
立ち食いそば屋の券売機で、僕がひとりツッコんだ話
この間、実際にあった話です。ある立ち食いそば屋さんに行きました。
店の外に券売機があって、番号が振ってあるんですよ。かけそばは1、天ぷらそばは2、みたいに。
で、その横にでかいPOPが置いてあって、「なんとかそば始めました」みたいなやつに「21」と書いてあったんですね。券売機の21番を押してね、という意味だと思うんです。
ところが、はたと券売機を見ると、数字の順番に並んでないんですよ。うどんでまとめたり、そばでまとめたりしていて、1、3、5、8みたいになってて。下手したら途中の10番が全然なくて、横を見たら20番から始まってる、みたいな。
POPに番号を振った人は、たぶん親切なんですよ。「これじゃどこに券売機があるかわからないから、番号を書いといてあげよう」って工夫したんだと思います。でも当の券売機が順番に並んでないから、結局どこにあるか探すことになる。「おい」ってツッコミたくなるわけです。
こういう時に、じゃあ自分なりに良くするならどうするか、と考えるようにしていくと、頭の中に企画を考える脳みそがだんだんできてくるんじゃないかと思っています。
これは思考の癖なので、一足飛びにはいきません
この考え方をサイトのリニューアル案に当てはめると、「これ不便でしょ」「じゃあどうすれば便利なのか」「初めて見た人はどんな気持ちなんだろう」ということが、以前より考えやすくなってくると思うんです。
少なくとも、「こうじゃないかな、こうじゃないかな」とアイデアを出すこと自体の辛さが、多少やわらぐんじゃないかと。
ただ、これは本当に思考の癖の話なので、一足飛びにはいきません。いきなりポンとできるとか、こんな本を読んだからできます、というものではないと思うんですよね。
仕事で目に映るものだけじゃなくて、道路でも、信号でも、車でも、公園の水飲み場でも遊具でも構いません。「これって誰がどういう意図で、誰に対して何を改善しようと思ってこうしたんだろう」と考えるのを癖付けてほしいんです。
これは僕のウェブディレクター育成講座 ── 名村さんが講師を務めているディレクター向けの講座でも、毎回みなさんに言っていることなんです。やり始めると街を歩いてるだけで疲れてくるんですけど、1年ぐらいするとまあまあ考えられるようになりますよ。だんだん慣れてきます。
なので、苦手意識を外したいという方は、ぜひ試してみてくださいね。「おお、そうか」と思ってもらえたら嬉しいです。
まとめ
企画力は特別な才能ではなく、身のまわりのものに「なんでそうなってんの?」とツッコミを入れ、「自分ならこう良くする」と考える思考の癖だと思っています。1年ほど続けると、だんだん考えられるようになってきます。
- 0→1が苦手でも、企画は「改善案」だと捉えると入りやすい
- 身のまわりのものに「なんでこうなってるの?」とツッコミを入れる
- 立ち食いそば屋の券売機のように、日常が格好の教材になる
- これは思考の癖なので、一足飛びではなく続けることで身につく







