若い頃の私も「お客様は神様」に縛られていた
断るのが苦手で、言い方一つで関係が崩れそうで、断るタイミングにも悩む。ウェブディレクター歴13年の方からそんな相談をいただきました。
これ、難しいですよね。私も若い時はすごくできなかったんです。
やっぱり「お客様ですよね」って思っちゃう。日本人だからなのか、「お客様は神様です」みたいなところが刷り込まれてるのかもしれません。
だから無理難題を言われても、「無理です」って言った瞬間に「お前、仕事を受ける立場だろ」って返されたらどうしよう、って勝手に思っちゃうんですよね。
それで言えなくなる。この構図、すごくよくわかります。
お客さんは、本当にわかっていない
長く仕事をしてきてわかったことがあります。お客さんは、僕らがどこまでできるかがわかってないんですよ、単純に。
だから悪意はあんまりないんです、多くの場合はね。本当に無理難題をふっかけてくる人もたまにはいますけど、大体の人は本当にわかってないんですよね。
ここでもう一つ、作り手側が気をつけたいことがあります。
「頼んでる方はわかってんだろ、お前ら」って、逆に作り手が思い込んでるケースも意外と多いんです。
相手が情報システム部だったりすると、「工数どれくらいかかるかわかるだろ、君たちは」って勝手に思ってしまう。それをわかってるのになんで無茶を言うんだ、って腹に溜めてしまうんですよね。
でも私が最近本当に思っているのは、わからなくていい、ってことなんです。
だってもしわかってたら、僕らに仕事を頼んでないですからね。
「だったら言ってくれたらよかったのに」が日本中で起きている
両方が勝手な思い込みを持って、互いに違う方向を向いて喧嘩になってる。これ、意外とあるんじゃないかと最近すごく思うんです。
だから聞いてみた方がいいと思いますよ。「ちょっと大変なんです」って言ったら、「あ、大変なんですか?」「ええ、大変です」「あ、だったら言ってくれたらよかったのに」。
この「だったら言ってくれたらよかったのに」って、日本中で起きてる結論な気がするんですよね。
問題は、これがプロジェクトのデッドラインの時に言われることなんです。もう引き返せないタイミングで言うから、「だったら言ってくれたら」になっちゃう。
だから、大変ですっていうことは、できるだけ早めに言った方がいいと思います。
断るには「相手がわかる言葉で説明する責任」がこっちにある
もちろん、請け負う側としてできるところまで頑張りたい気持ちはすごくよくわかります。私もそのつもりで仕事をしています。
でも、無理は無理ですよ。霞を食って生きてるわけじゃないですからね、僕らも。
ただ、「難しいですよ」と言うなら、何が難しいかを説明する責任はこっちにあると思うんです。
しかも、お客様にわかる言葉で説明できるかどうか。ここが大事なんですよね。
専門用語をわからない人に並べたら、受託側が嫌われるって話、よくあるじゃないですか。KPIがどうだ、UIがどうだ、SEOがどうだ、ってアルファベット3文字を並べて「わけわからん」って言われる。
相手には相手にしかわからない言葉があるのと同じで、僕らはそれを素人にわかる言葉で説明できる。それがプロとしての責任だと思うんですよね。
デザインもそうです。「デザインが大変です」って言われても「何が大変なんですか」ってなりがちですよね。定性的になりやすいから。
設計が大変なのか、処理が重たくなるのか、扱う項目が多すぎるのか。何がどう大変で、作業量や時間がかかるのかを相手がわかるように説明できるなら、私はさっさと言うべきだと思います。
関係が崩れるのは、断ったからじゃない
相談の中に「言い方一つで関係が崩れそう」とありましたが、関係が崩れる理由って、たぶん断ったこと自体じゃないんですよ。
「何言ってるかわかんねえこいつら、やりたくねえからしんどいって言ってるんじゃねえか」って思われるから、崩れるんだと思うんです。
ちゃんとまっとうな仕事をして、定量的なところと定性的なところを説明して、相手に理解してもらえれば、そう簡単には崩れません。
もし「お前ら下請けなんだから言うこと聞いときゃいいんだ」みたいな人がいたら、それはそもそも仕事じゃないと思うので、できるだけ距離を取った方がいいです。
でもリスペクトできる相手として仕事をしているなら、そこを説明していくことこそが大事だと思いますよ。
だから、断るタイミングは悩むべきではなくて、みんなにとって引き返せないタイミングで言っちゃダメなんです。
早めに、「こういう理由で大変なので、こういうやり方どうですか」「もう少し簡単にやる方法を考えさせてもらえませんか」って言えばいい。
よく言う「否定をするなら代替案を出せ」に繋がると思うので、そこを含めて考えていただけたらいいんじゃないかと思います。
まとめ
Noが言えないのは、相手を怒らせたくないからだと思っていました。でも今の私は、断ることそのものより、早めに、相手がわかる言葉で理由を説明できるかどうかがすべてだと思っています。断るのが怖い人ほど、まず「聞いてみる」から始めてみてほしいなと思います。
- お客さんは僕らがどこまでできるかを本当にわかっていない。だから早めに相談していい
- 「難しい」と言うなら、何が難しいかを相手がわかる言葉で説明する責任はこちらにある
- 関係が崩れるのは断ったからではなく、理由が伝わらないから
- 引き返せないタイミングで言うのが一番まずい。代替案とセットで早めに出す







