技術を磨くだけで上がったのは、はるか昔の話
まず前提として、単純に技術を磨くだけで給料が上がるっていうのは、もうはるか昔の話じゃないかと思うんです。
私が若い頃は確かにあったんですよ。でもそれは、そもそもウェブを作れる人が単純に少なかったからなんですよね。
給料が上がるかどうかは、希少性があるかないか、ここに尽きると思うんです。希少性は価値ですからね。
だから昔は技術をどんどん磨いていけば、その分だけ希少性が上がった訳です。
ただ、ウェブ制作って基本的に参入障壁がすごく低い業界だと私は思っていて。だってパソコン1台あればなんとかなりますからね。
会社が求めているスキルかどうか
じゃあどうするか。まず一番大事なのは、いま自分が所属している会社が、何を求めているかを正確に知っているかどうかだと思うんです。
もちろんベースになるスキルは必要ですよ。フロントの方なら、セマンティックにHTMLが書けるとか、CSSやJavaScriptがいじれるとか。
でも他の人と全部同じスキルセットだったら、差別化がないので給料は上がらないんですよね。
その上で、他の人が持っていないスキルを持てるかどうか。ここが分かれ目だと思います。
ただし注意したいのは、その希少なスキルを会社が求めているかどうか、なんです。
極端な話、フロントエンドの人が「他の人が持っていないスキルを」と思ってフォークリフトの資格を取っても、ウェブ制作会社でフォークリフトは使わないでしょう。
希少ではあるけど、その会社では価値がない。だから、インフラ系ができるとか、サーバーサイドもできるとか、デザインやディレクションもできるとか、会社の中で見て評価されるものを狙うのが大事なんじゃないかと思います。
早すぎてもダメだった、私のCSSの苦い思い出
この話で思い出すことがあるんです。私が一番最初に勤めていた会社での出来事なんですけどね。
2004年、2005年くらいかな。ちょうどテーブルレイアウトからCSSレイアウトに移行し始めた頃だったんですよ。
当時の私はセミナーに行きまくって勉強していて、自社サイトのリニューアルで「セマンティックなHTMLで書き直しましょう」と提案したんです。
そうしたら当時の社長に、こう言われたんですよね。「ナムちゃん、ウェブの技術はすごく早く移り変わる。言ってることはわかるけど、それが半年後どうなってるかわからないじゃないか」と。
結局その話は流れてしまって。私は「これは絶対そうなる」と思っていたので、すごく忸怩たる思いを持っていました。
でもその後、私が転職したあとに、その会社はサイトをフルCSSでリニューアルしていたんですよ。それ見て「ほら見ろ」って思ったんですけどね。
この経験で感じたのは、物事にはいい機微、タイミングがあるということでした。早すぎてもやっぱりダメなんだな、と。
正しいと信じていても、会社が「まだいらない」と思っていれば評価されない。トレンドだからと身につけても、会社から「それいらないね」と言われたら評価されないんですよね。
AIの時代、生き残るのはどんな人か
後半の「今後も給料面で魅力がある業界でいられるのか」という点ですが、正直ちょっと難しくなってくるんじゃないかと思っています。
やっぱりAIの存在がすごく大きい。HTMLやCSS、JavaScript、サーバーサイドのプログラムって、生成AIが比較的得意な分野なんですよね。
だから人が手を入れて書くという部分は、どんどん減っていくと思います。裾野の部分はきつくなってくるんじゃないかなと。
ただ、ここでいう設計は、HTMLやプログラムのレベルの話ではなくて、お客様のビジネスをITでどう解決するかという本質的なところです。
仮に生成AIに問題解決を聞くにしても、「これを解決して」の「これ」が何なのかを言語化できるかどうか。ここがすごく大事だと思うんです。
だから上流とか、ビジネスのワークフローとか、その問題を言語化できる人は、今後も魅力的な業界にいられるんじゃないかなと思います。
もちろん実装が全くわかりませんというのも、実現性やユーザー体験の良し悪しを見る目が育たないので、ちょっと無理があります。技術そのものよりも、商売をどう作るかに寄与できる人が生き残っていくんじゃないかな、と。
まとめ
技術を磨くこと自体は大切です。でも、それが会社の求めているものと噛み合っているか、そしてビジネスをどう解決するかまで言語化できるか。いまの私はそこがこれからの分かれ目だと思っています。あなたの会社は、いま何を求めているでしょうか。
- 技術を磨くだけで給料が上がったのは、作れる人が少なかった昔の話
- 希少性は価値。ただしその希少性を会社が求めているかどうかが大事
- 正しくてもタイミングが早すぎると評価されないことがある
- AI時代は、ビジネスの問題を言語化して設計できる人が生き残る






