ディレクターは「作ったもの」で喜べない
まず、私たちの仕事ってすごく難しいところがあるなと思うんです。なんせ世に出る成果物がないじゃないですか。
いや、プロジェクト中にはありますよ。メール書いたり、ガントチャート引いたり、ワイヤー引いたりとか。
でも世に出るもの、つまりWebサイトそのものを作るわけじゃなくて、それを作る管理進行のところに私たちはいるんですよね。
だから「このデザインが世に出たぜ」とか「このマークアップかっこよくない?」みたいな喜びは、ほとんど感じることができません。
ものづくりをしているという言葉でいくと、「ディレクターってもの作ってるんですか?」と思ってしまう人もいるんじゃないかなと思います。
リアルなやりがいをそこに持っていこうとすると、ディレクターはやっぱりつらいんですよね。
いちばん楽しいのは、お客さんと膝を突き合わせているとき
じゃあ私は何にやりがいを感じているのか。それはやっぱり、お客さんと膝を突き合わせて喋っているときが一番楽しいんです。
マークアップをやっていても、デザインをやっていても、システム開発をしていても、それよりもう何年も前から、お客さんとああだこうだ喋っている時間の方が楽しくて。
会議室で「あーしましょう」「こうしましょう」と言っているときが、多分一番楽しいんですよね。
それが私にとってのやりがいになっているんじゃないかなと思います。
要望に応えられなかった経験が、私の中に積み上がっている
いただいた問いの中には「クライアントの要望に応えられなかった時のモチベーション維持」についてもありました。要望に応えられなかったとき、それはやっぱりつらいですよね。
この29年やってきた中で、いろんな事情も含めて何度も何度も実際にありました。
でも、その要望に応えられなかったということ自体が、私の中には積み上がっているんじゃないかなと思うんです。
もちろん苦い経験、嫌な経験なわけですよ。だから「次はもう絶対やらない」と思う。
そのために自分に何が足りなかったんだっけ、どう動けたらよかったんだっけ、と考える。日記に書いているわけでもないんですけど、なんとなく毎回そうしている気がします。
そうやってだいぶ経験してきたから、要望に応えられなかったときやプロジェクトがうまく進まなかったときに、モチベーションが下がるほどショックを受けることが、逆にあんまりなくなったんですよね。
追い込まれると、どこかで燃えている自分がいる
むしろ、追い込まれてくると「来た来た来た来た来た」と思ってしまう自分がいます。
良くないんですけど、たぶん今この話を聞いて苦笑いしているか、爆笑してくれている人がいそうな気がします。
もちろんトラブルは嬉しくないですよ。全然やりたくないし、順調に終わる方が全然いいんです。
でもトラブルになってくると、どこか燃える自分がいるのは、これはもう紛うことなき事実だと思います。
どうやってこれを解決してやろうか、という謎解きやパズルを始めたみたいな感情になるので、それ自体がモチベーションの維持になっているのかもしれません。
だからといって、自分でトラブルを引き起こすようなことはさすがにしていませんけどね。
結局、お客さんの問題解決をするために私たちはいるんですよね。プロジェクトという問題が起きないように、起きたら起きたでどう解決するか。それがディレクターの仕事だと私は思っています。
「トラブルになっている時点でディレクター失格だ」と言われたら、申し訳ございませんでしたと言うしかないんですけど。それでも、そういうときに自分がどう立ち振る舞うかは、自分だから解決できるところかなと、どこかで思っているんです。
まとめ
私にとってのやりがいは、作ったもので喜ぶことじゃなくて、お客さんと向き合って、起きた問題を解決していくところにあります。要望に応えられなかった経験も含めて、今の私があるんじゃないかなと思っています。もちろん泥臭い作業も多いので、そこが苦手ならディレクターは向いていないかもしれませんけど、そのあたりも含めて、私はこの仕事を続けています。
- ディレクターは世に出る成果物を直接作らないぶん、そこにやりがいを求めるとつらくなりやすい
- 私にとってのやりがいは、お客さんと膝を突き合わせて話しているとき
- 要望に応えられなかった苦い経験が積み上がって、いまはトラブルにも動じにくくなった
- 問題が起きたときにどう振る舞うかは、自分だからこそ解決できる部分だと思っている






