そもそもディレクターは構造上、板挟みになる
まず前提として、ディレクターというのはコミュニケーションのハブになるのが仕事です。
自分を挟んで左右からお話が通ってきて、それを通すのが役割なんですよね。
だから、問題があろうとなかろうと、構造上、基本的には板挟みなんです。
クリエイターはクリエイターで好きなことを言いますし、お客さんはお客さんで好きなことを言う。
なので、この辛さはすごくよくわかります。私もずっとその真ん中にいましたから。
お客さんが修正を平気で頼んでくる本当の理由
お便りをくれた方は、クライアントに「デザインの修正要望はこの日までですよ」とちゃんと仕切っていました。
それでもポロポロ修正が出てしまう。ここに、実は大事なポイントが隠れていると思うんです。
お客さんには、その締め切りが全く響いていないんですよ。
なぜかというと、それを守らなかった時のリスクを、お客さんは一切感じていないからです。
別に悪人だからじゃありません。リスクが顕在化されていないから、わかっていないだけなんですよね。
だから「この日までですよ」と伝えるだけじゃ足りなくて、「守られなかったらこういうリスクがありますよ」まで言わないといけないんです。
そのリスクって何かといえば、もう費用かスケジュールの話しかないです。ここに持っていく以外に道はないと思っています。
だから、契約の一番最初に言っておく
じゃあいつ言うのか。デザインが始まる時ではありません。もっと前です。
下手すると、見積もりを出している時くらいから言っておくべきなんです。
「デザインの後にブラウザで動くようにする仕事があります。ここで戻ってくると工数がすごく増えて、スケジュールか予算のお願いを必ずしなきゃいけなくなります」と。
これを、関係が良好なうちに言っておくのがコツです。
「今なんでそんな心配してるの、うちそんなことしないよ」というテンションの時にこそ、一回言っておくんですね。
そうすると、いざトラブルが起きた時、お客さんの側が先に「これ言ったら追加費用かスケジュール遅れるって言ってたな」と考えてくれるんです。
仮に「金払うんだからやれよ」みたいな空気を出してくる相手でも、「最初に言ってましたよね、それをされたら僕も費用かスケジュールをお願いしなきゃいけないです」と返せます。
先に言っているから、少なくともその場では本当に申し訳ないと言ってくれますよ。
パートナーさんが嫌がるのも、結局はお金とスケジュール
この板挟みには、クライアントとの話と、パートナーさんとの話の2つがあります。
パートナーさんが嫌がる理由も、突き詰めれば同じで、費用ももらえずスケジュールももらえないと、ただ働きになるからなんですよね。
私も昔、HTMLを作ったりデザインをしたりしていたので、せっかくOKが出たものを直せと言われる辛さはよくわかります。
でも、乱暴に言ってしまえば仕事なんです。
お客さんが赤を青にしてくれと言って、ちゃんと説明した上でもそうなったなら、そこから先は残酷だけど仕事です。
費用とスケジュールをもらえているなら、私はやります。プロってそういうものだと思っているので。
だからこそ、クリエイティブなメンバーを守るために、お金とスケジュールをもらってくることは私の絶対の仕事だと思っているんです。
それさえもらってこられれば、「追加のコストももらってきたので、これを受けてもらえないか」と胸を張って言えますからね。
心の持ちようは、先手を打ち続けること
最後に、どういう心の持ちようで乗り越えているか、という質問への私なりの答えです。
正直に言うと、辛くて板挟みにならないように、できるだけ先手を打つようになった、というのが実際のところなんです。
20年以上やってきて、同じトラブルを何十回と経験しました。でも、先に言っておいてむちゃくちゃなことになったことはないです。
もちろんゼロにはなりません。「うわ、そうきたか」というのは残念ながらありますから。
だから、起こらないように起こらないように、事前にいろいろ考えて、起こりそうなことを先に潰していく。今はそんな感じでやっています。
まとめ
板挟みが憂鬱なのは、感謝もされず、お金ももらえないのに、やって当たり前だと思われるからだと思うんです。だからこそ、トラブルが起きる前に一言伝えておくだけで、ずいぶん楽になるはずですよ。まだ答えが出きらない部分もありますが、いまの私はこう考えています。
- ディレクターは構造上、必ず板挟みになる立場だと割り切る
- お客さんに締め切りを伝えるだけでなく、守らなかった時の費用・スケジュールのリスクまでセットで伝える
- そのリスクは、関係が良好な契約の一番最初に言っておくのが効く
- 費用とスケジュールをもらってくることが、クリエイティブを守る自分の仕事だと考えている






