役職定年で「取り扱いづらいおっさん」になる怖さ
相談をくれた方は、そこそこ大きな代理店系の制作会社にお勤めで、その会社の役職定年が52歳なんだそうです。
これ、なかなか早いなと思いました。
役職定年というのは、会社の定年ではなくて、ある年齢になったら役職を降りなきゃいけないというものですね。部長も課長も外れて、いわゆる平になっちゃう。
相談の中でハッとしたのが、この一文でした。
「元役職者が懲罰で降格したわけでもないけども、役職が外れたということで、どう動いていいか本人も年下の上司もわからず」。
確かにそうなんだと思ったんですよね。
悪いことをしたわけでもないのに、見た目には平に降格したように映る。年下の部下も、どう扱っていいか困っちゃう。
結果として「あの人は役職なくなったらパフォーマンスめっちゃ落ちたよね」と言われてしまう。構造上、ちょっとかわいそうだなとは前から思っていました。
転職も残るのも、どっちもアリ。でも
で、この方は今より少し小規模の会社への転職を考えていらっしゃる。そこならスキル的にはまだ上の方にいられるし、多少給料が下がっても60歳まで挽回できる、と。
正直に言うと、どっちもアリだなと思うんですよ。
役職手当が抜けただけで、ある程度ベースが維持されるなら、プライドの折り合いはつくとして、今の会社に残るのも全然一つの選択です。
ただ、私がいちばん考えてほしいのは、実はそこじゃないんですよね。
考えてほしいのは、60歳からどうするかの方なんです。
最近、私の周りでも50代から60代の身の振りで悩んでいる方がすごく増えました。若い頃は、こんな言葉、耳にも入らなかったのに。
諸先輩の動きを見ていて思うのは、60歳になってから「どうしよう」「転職しよう」と考えるのは、だいぶ遅いということです。
60歳で「ぜひ来てください」と言われる自分を、今から作る
大きな会社だと、定年後の再雇用は給料が半分、下手したら3分の1になることもあると聞きます。
そうなると、役職も抜けて給料も半分なのに、周りも本人も昨日までと同じことを期待される。
ある時「なんで同じことやってるのに給料半分なんだよ」と気づいて、じゃあ稼働も半分でいいやとなる。それで周りからパフォーマンスが下がったと見られる。よくある流れですよね。
だからこそ、50代半ばから5年くらいかけて、自分がどう仕事をするかを準備しておくべきだと思うんです。
ここで言う準備は、世間でよく言う「人脈を作って新しい会社に行く」みたいな話とは、ちょっと違う気がしています。
それだと、雇う側も「しゃあねえな」で雇っているだけになりかねない。パフォーマンスを本気で期待されていない転職って、それはそれで嫌じゃないですか。
そうじゃなくて、60歳で転職するとしても、雇う側が正々堂々と「ぜひうちに来てください」と言ってくれる。そういう自分を今のうちに作っておくべきだと思うんですよね。
50歳の転職には「勝手な期待」がくっついてくる
もう一つ、転職そのものについて思っていることがあります。
50歳の転職には、いろんなものが自分にくっついてくるんですよ。
転職先が自分より若い人の多い会社だったら、若手はこう思うわけです。「50歳なんだから絶対バリバリだぜ」「客持ってくるんじゃないか」って。
50歳だからこれぐらいできるよね、という期待が、勝手にすごく肩に背負わされるんです。
だから入社した翌日ぐらいからバリバリに結果を出せないと、期待に対する裏切りがものすごいことになる。
20代や30代の未経験なら、会社に体力があれば育成枠として許してもらえるかもしれない。でも50歳が育成枠になることは、まずないんですよ。
かといって、育成枠でいいからと50歳を28万円で雇うかというと、経営者としては怖くて雇えないんです。だって、それでは生活できないはずだから。
つまり、給料を下げすぎるとミスマッチになるし、期待を背負ったまま結果が出ないと、今の会社よりもっといたたまれなくなる。
今の会社には、自分を知ってくれている人がいます。気を遣われるのがオブラートに包まれているようで嫌、という気持ちもわかるんですけどね。
でも、どこの人かもわからない50歳がいきなり入ってきて、箸にも棒にもかからなかったら、会社の中で本当に大変なことになりますから。
平職になったからこそ、を先に考える
だから私の結論としては、まず60歳のときにどう身を振るかを考えて、その上で今、転職するのかしないのかを決めてほしいんです。
多少辛くても今の会社に残るなら、平職になるかもしれない。でもそれは会社のルールであって、相談をくれた方が悪いわけじゃないですよね。他の先輩もみんなそうなってきた。
だったら「平職になったからこそ、自分はどうやってパフォーマンスを出すか」を、思い切ってポジティブに考えて身を振った方が、もしかしたら楽かもしれない。
目先のことだけで判断すると、失敗する選択肢が目の前にあるように、私には見えました。
まとめ
どちらの道もアリだと思います。ただ50歳の転職は、目の前の役職定年をどう避けるかより、60歳からの働き方を先に決めてから選んだ方がいい。いまの私はそう考えています。同じ年齢だからこそ、これは自分にも問いかけているつもりです。
- 役職定年は懲罰じゃないのに、本人も周りも扱いに困りがちな構造がある
- 60歳からどうするかを、50代半ばから5年かけて準備しておく
- 50歳の転職には「バリバリできるはず」という勝手な期待がくっついてくる
- 目先の給料や役職より、平職になっても結果を出す身の振り方を先に考える






