そもそも「上司に気に入られるゲーム」に生産性を感じなくなった
お便りをくれた方が書いていた「楽々達成してるのに頑張った風にして評価を取って給料を上げてもらうゲーム」。これ、私も昔はまさにそう思っていた時期があるんです。
上司はもう絶対的な神で、そこに評価してもらうものだと。だから、いかに気に入られて、認めてもらう言い訳をもっともらしく作るか、みたいな。
でもある時、それって生産性ねえなとすごく思ったんですよ。
最終的に誰がハッピーなのか、と考えたときに、上司に気に入られるスキルを身につけたところで、プログラムを書くのが早くなるわけでも、ディレクションが良くなるわけでもないですよね。
うちのIT業界で言うと、そもそも新卒から定年を迎えた人なんてまだ誰もいないはずなんです。インターネットが一般に広がったのが93年くらいですからね。私ですら30年やっててまだ定年を迎えていません。
だとしたら転職だってあるわけで。せっかくうちにいてくれる間は、外に出ても通用するスキルを身につけてほしい。その一心なんです。
「僕が評価する」ではなく「僕に評価させてほしい」
そこで私がうちの会社でいつも言っているのが、僕を数字で説得してくれということです。
言い方を変えると、僕が評価するんじゃなくて、僕に評価させてほしいんですよ。
「ああ、そうだね、だからAだね、Bだね」と、それを見たらもうそうとしか言いようがない状態にしてほしい。
だってそうじゃないと、「ナムラさんに気に入られたんでしょ」みたいなことが争点になってくるじゃないですか。めちゃめちゃ不毛だなと思うんです。
たとえばデザイナーが2人いて、あるタイミングで給料が同じだったとします。もし評価がオープンになったときに、「なんでお前の方が評価高いんだよ、ごまをすったんだね」なんて言われたくないんですよ、私も。
そのときに「僕の感情じゃなくて、こうこうこうだから彼の方が評価が高いんだよ」と表に出して言えるようにしたい。だから恣意的な数字や感想じゃなくて、根拠で語れる状態にしておきたいんです。
「勉強会をやります」が、なぜいちばんダメな目標なのか
うちの中で一番ダメな目標設定は何かというと、「この半期で社内勉強会をします」みたいなやつなんです。
これがなぜダメかというと、やると言って開催したら、やると言ったことができただけなんですよ。プラスもマイナスもない。
すごくできたか、超できたかの評価ができないんです。
しかも「忙しくてできませんでした」となったら、これは最低評価をつけなきゃいけない。やると言ったことができなかったので、ゼロなんですよね。
だから同じ勉強会でも、回数に重きを置くのか、アンケートの結果に重きを置くのか。3回やると言って5回やったら「すごいね」、3回のうち1回しかできなかったら「できなかったじゃん」と、はじめてプラスマイナスがつくんです。
どうしても定性的にならざるを得ないところはあると思うんですが、できるだけ数字に落として自分が評価を得る方に持っていってほしい。目標設定の作り方のディスカッションなら、本人といくらでもやりますよと伝えています。
一番難しいのは「成長してトントン」の見極め
上席の人がすごく大変だなと思うのが、出してきた数字がその人の実力に対して適正かどうかの見極めなんです。
たとえばBを100点の真ん中として、120点でA、80点でC、としますよね。
ここで気をつけたいのが、今の自分の100と1年後の100が何も変わっていなかったら、その人は成長していないということなんです。
世の中は必ず何か良くなる方に変化しているはずなので、一定成長していてやっとトントン。それをしていなかったら、相対的には劣化しているんですよね。
だから今の100が1年後に110になってトントン、そこからさらにプラスになってやっとA評価、というくらいの感覚です。
この成長率とプラスマイナスの塩梅を本人と握れるかどうか。間違えて高すぎるハードルを与えたら「できるかそんなもん」になるし、甘すぎたら鼻クソほじっても達成できる状態になっちゃう。
そうなると、お便りをくれた方が書いていた通り、本人は何も成長せず、出ていくお金だけ増えて、会社の利益率も利益も下がっていく。だからこのディスカッションが一番難しいところだと思っています。
まとめ
評価って本当に根が深いテーマで、私も正解を持っているわけではないんです。ただ、少なくとも「気に入られるゲーム」から抜けて、数字で語り合える関係にしておくと、お互い納得しやすくなるとは思っています。同じ立場になった方の参考に少しでもなれば嬉しいです。
- 上司に気に入られるスキルは、その人の実力を伸ばさない
- 評価は「僕がする」ではなく「僕に数字で説得させてほしい」と伝えている
- 「勉強会をやります」はプラスもマイナスもつかない、いちばんダメな目標
- 成長してやっとトントン、その塩梅を本人と握れるかが一番難しい






